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NIリサーチャーコラム #29 ホームユーステスト(Home-Use-Test 略称:HUT) 自然体の声をお聞かせください!(2023年2月執筆)

執筆者: フィールドワーク管理部 K.M

※NIリサーチャーコラムでは、当社の各リサーチャーが日々の業務等で感じた事を自由に紹介しています。

1)現在、当社では様々な手法の調査を行っております

■ 生活者の反応がリアルに確認できる「会場調査(CLT)」
会場に対象者を集め、試食・試飲を行ったり、守秘性の高い画像やパッケージ等の実物を見せてのデザイン評価」などに活用できます。
また、当社では店舗を再現した「模擬店舗」でお買い物行動を再現することも可能です(NI Shopper Lab.(模擬店舗会場)。

■ 消費者の視線の動きをビジュアル化し行動に至る経緯を可視化にする「アイトラッキング

■ 大量サンプルから短期で回答を集めたり、画像や動画も収集可能な「インターネット・リサーチ

■ 生活者の生の声を聴く「「座談会形式」(グループインタビュー)「1on1形式」でのインタビュー(デプスインタビュー)

■ インターネットの会議システムを活用した「オンラインインタビュー
遠方の方や移動が困難な方もご参加可能で、新型コロナウイルスなどの感染リスクを避けながら定性調査を行うことができます。

その中でも今回ご紹介させていただくのは、
生活者の実際の生活の中で製品を使用してもらうことにより、よりリアルな使用感や評価の把握が可能な「ホームユーステスト(HUT)」です。

会場調査で行うような一時的な試飲・試食・試用ではなく、1週間、1ヵ月といった一定期間(長期間)使用してもらわないと評価しにくい商材や、普段ご自宅でのみ使用する日用品などの情報を得ることができるのが特徴です。

HUTのメリット

・全国で実施することができる
・一定期間試用しないと正確に評価できないようなテスト品の調査ができる
・テスト品を普段の生活の中で試用するため、より実態や本音に近い評価が得られる
・参加者1人に試用してもらうテスト品が多い場合・時間が長い調査の場合でも実施できる
・画像や動画で、テスト品や普段お使いのアイテムについて日記的に記録をつけてもらうこともできる
・参加者と、そのご家族にテスト品を使用してもらうこともできる

HUTのデメリット

・すべての参加者に同一条件、同一環境でテスト品を試用してもらうことが難しい
・あいまいなFA回答について、記入時点での確認や深堀ができない
・テスト品のお届けや回収など期間を要する
・テスト品管理は参加者任せになるため、上市前の製品の情報漏えい※についてのリスクがある

※機密情報管理について
当社では、機密情報保持の承諾、試用後にテスト品返却の同意を事前に取得し、ご参加時にも同様の内容を確認していただいた後に、HUTにご参加いただいております。

2)当社におけるHUT-DX(WEBHUT専用アンケートシステム)

当社では、参加者のみなさんがアンケート用資材をお受取になった後、個人任せになってしまうことの多かったHUTの進行について、管理体制・対応力向上のため、当社独自のアンケート回答システムを導入し、運営にあたっています(回答システムについては、通常のWEBHUTと共にご提案、クライアント企業にお選びいただきます)。

このシステムでは、最初に、内容物・注意事項の確認動画、テスト品の取り扱い・守秘義務の動画、返送の動画、を音と映像でわかりやすくお伝えし、間違った使い方や誤廃棄・紛失を防止しています。

すべて正解しないと次に進めない、理解度確認アンケートを行い、ご参加にあたっての注意事項についての理解を深めていただきます。

参加者の皆さんには、ご自身の回答状況がひと目でわかる専用ページを利用していただくことにより、スケジュール・注意事項・使用方法を常にご確認いただきながら進行いただくことが可能です。

不明点などもチャットにて随時ご連絡いただき、タイムリーなレスポンスにより参加期間中の参加者を戸惑わせることが大幅に減りました。

また、「次にお願いしたい内容・予定」や日記のように毎日ご回答いただくものなど、回答状況に遅れなどある場合にはアラート機能により、自動で各参加者へ回答のリマインドを行います。

回答内容から追加で聴取したいことが発生した時も、随時確認することも可能です。

常に参加者とコミュニケーションが発生しているため、急用や急病などによりアンケート参加離脱となった場合にも対応フォローを素早く行うことができ、アンケートの運営がスムーズになっております。

3)組み合わせ手法・コロナ禍での手法の模索


新型コロナウイルスによる非常事態宣言下では、参加者のみなさまにお集まりいただく必要のある会場調査(CLT)の実施ができない状況の中、その代替案としてこのHUT案件が増えました。

ご自宅から、決まった時間に調査に参加いただき、参加者お一人ずつに調査員がインターネットの会議システムを利用して、ご回答のサポートを行い、調査のポイントに合わせて、呈示物を管理する会場調査(CLT)とホームユーステスト(HUT)の間のような調査や、動画・写真調査とホームユーステスト(HUT)を組み合わせ、正しい使用方法や使用時間を確認しつつ、回答を進めていただく調査なども多く実施しました。

以前は「動画収集」となるとハードルが高く感じる方も多く、なかなか参加者が集まらないことがあったのですが、最近は動画サイトの人気などもあり、撮影をしながら「この旦那の肌着がいつもくさいです」「夫のひどい抜け毛が目立って掃除が大変でーす」などとコメントを付けながら、動画をアップロードされる方もいらっしゃいます。

ご自宅という状況の中、普段感じているままのご意見でFAなどが口語で書かれていたり、思わず口元が緩んでしまうような回答に出会えるのもこの手法ならではないかと思います。

コロナ禍以降、この手法での調査のご依頼も増加し、おかげさまでHUTが当社の大きな柱となってきました。

商材も多岐にわたり、化粧品や日用品、食品や調味料、電化製品などの様々な実績も増え、それに伴って発送・回収拠点を整備しました。

これによって、これまで以上に受注体制強化をしております。

画像や動画確認などでも工程管理を行い、間違いの起きないオペレーションで運営しておりますので、HUTをお考えの際にはぜひ日本インフォメーションまでご相談ください。

長く一人暮らしをしていた私は、家の中で使うような品々(清掃用品・化粧品・ペーパー類・調味料など)について、新商品やあらたな価値をもった商品などを積極的に試すタイプではありませんでした。

一度買ったものが良いものではなくても、「用途を満たせばそれでいい」と思っていました。

のちに、結婚したパートナーはそういうタイプではなく、同じ用途のものでもあれこれ買い替えては試し、より良いものをいつも探しています。

仕事で出現率を確認した際に「0.03%」しかユーザーが出なかった商品が家に置いてあった時もあり、「こんなところにユーザーがいた!」とびっくりすることもありました。

仕事で取り扱うものなど、具体的に話をしたりはしませんが、HUTのことを話すと「私もやりたいっ!」と言っています。

新たな製品を選び、使う。

次の購入機会には、違うものを買っているところを見ると「トライアル」⇒「再購入」とはならない不満点や不一致を日々感じ、また新たな製品に手を伸ばしているのかもしれません。

そうした使用期間中の不満点や不一致、もちろん継続使用による満足点・効果などが確認できるのがこの手法ですので、パートナーには参加させてあげたいな、と思ったりしながら日々の業務にあたっています(コンプライアンス上そんなことはできませんが)。

執筆者プロフィール

フィールドワーク管理部 K.M

入社5年目(調査業界歴20年超)

現在は主にHUT、CLT、ODIなどの実査の運営を担当。

調査の設定や設問聴取方法、より良い回答環境の整備などについて、フィールドワークという消費者に一番近い立場から、他部署と議論を重ねています。

「消費者の声をクライアントにお届けすることは、一消費者である自分も幸せにする」と信じて、この仕事を続けています。

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