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ドイツの刃物 キッチン編

Hallo, Guten Tag! 

最近ドイツでも大人気の日本の包丁。

来日していたドイツ企業の研修の合間に少しだけ、刃物屋さんを覗いて研磨の実践など見学したのですが、日本の刃物めちゃくちゃ人気です(笑)。

今回はそんな身近な『』の話から。

先日、刃を研いでもらっていた鰹箱を刃物屋さんに取りに行くと家人に伝えて出かけた私。鰹箱を受け取ったあと、買い物をして友達と食事して帰ってきたら、家人が一言。

「ハ、治った?」

(はて?歯医者に行くなんて言っていないけど、最近歯が痛いと訴えた記憶はあり、一方で刃を研いでもらった鰹箱を取りに行くと伝えていた記憶は飛んでいる私は)、
「HA? (ああ、歯、ね。)
ま、そのうち(歯医者行く)ね〜。」

日常会話っていい加減なものです^_^

で、本題の『刃』の話。

ドイツで包丁、これさえあれば


とりあえずこの3本あればどうにかなるよ、というドイツ生活に必要な基本の3本が、
調理ナイフ(Kochmesser)
肉・魚・野菜なんでも切れる、日本で言うところの三徳包丁。

果物ナイフ(Schälmesser)
果物ナイフは、ペティナイフのように小ぶりで使いやすいですが、人差し指くらいしかない短い刃部分は、切先が前方に弧を描くように弯曲しています。

パン切りナイフ(Brotmesser)
日本でもお馴染みのパン切りナイフ。日本のパンは手でちぎれますが、ドイツパンはその硬さ故に人間の指の力の物理的限界からナイフが使われます。間違っても手でちぎろうなどとは思わないような固くて大きな黒パンも多く、パン切りナイフは必須です。

ところで日本の主食である米は、やれ餅だと搗(つ)かれ、やれ米のりだと潰されたり、餅になったらなったでちぎられて、煎餅になって割られることすらあれど、刃物などで切られるのには何故か縁遠いものですね。

「シャリ切り」は・・・

切ってない( ̄∇ ̄)。

因みにドイツでは、パンに並ぶ主食はじゃがいもです。
最近言われることは少なくなりましたが、昔から肉料理に添えられる茹でたじゃがいもはナイフで切って食べてはいけないと言われてます。

ドイツにもナイフで切らない主食があるなんて、面白い偶然ですね。


こだわりの・・

さて、これさえあればの3本の後は、汎用ではなく専用包丁の出番です。

日本にも片刃の柳刃包丁や出刃包丁、菜切包丁など、プロ仕様の包丁がありますが、これらが職人の技術と創意工夫によって和食を作るのに最適なのと同じように、ドイツにもここぞというときの一本、あります。

骨スキ包丁(Ausbeinmesser)
文字通り、「足を取り外す」ためのナイフ。
肉を骨から外したり皮を剥ぐのに使用しますが、手袋をして使うイメージがあるくらい鋭利です。
日本で言うところの、骨スキ包丁です。

写真(骨スキ包丁) https://www.grillheaven.at/zwilling-pro-ausbeinmesser-14-cm


Filiermesser (フィレナイフ)

主に肉の捌き包丁の一つ。
刃部分の高さはあまりなく、多少柔軟性があるので骨や皮のスレッスレを切ることができて、お肉を無駄にせずに捌くことができます。
魚の骨抜きにも使われます。

写真(フィレナイフ)https://www.grillheaven.at/zwilling-pro-filiermesser-180mm-7


チーズナイフ(Käsemesser)
歯の部分が波打っていたり、刃の上部が峰に向かってくり抜かれていて、切断面と刃の接触する面積が少ないため、切った時に刃がチーズから離れやすいような工夫があります。
ハード、ソフト用、これにチーズスライサーとチーズおろし金が加わって、ナイフとはまた別にセットが組めるほど、チーズ周りの道具は充実しています。

写真(チーズナイフ)https://www.castellocheese.com/de/


これ、いる?


骨スキ包丁やさばき包丁はプロ向けの感じがするし、チースナイフは見た目がオシャレだし趣味でこだわる人も多いのですが、日常使いの頻度が高く、その用途からは汎用性も高い割には、専用の道具になっているものもあります。
私が特に、ドイツ生活の初めの頃に疑問に思っていたのが、トマトナイフ。
今では日本でもすっかり馴染みのトマトナイフ、20年前にはその真価になかなか気づきませんでした。

写真(トマトナイフ)https://www.kochen-macht-spass.com/wuesthof/classic/wuesthof-classic-tomatenmesser-14-cm-4109/a-42979

料理するときには一応段取りがあって、一連の作業の中に「野菜を切る」があり、数種類の野菜を何品かの献立用に同じ素材でも違う形に切ったりすることはよくあることですが、そんなことを考えながら切ってる工程で、トマトを切る時だけ、
ハイ、ストップ、ストップ!
次、トマトだね?
はーい、トマトナイフ様入りま〜す!

みたいな?

ないわぁ(笑)。

数年後のドイツ。
パン切りナイフでカットした黒パンに、チーズナイフでカットしたチーズと、トマトナイフでカットしたトマトを乗っけただけの質素なドイツの夕食を食べている自分がいました。
トマトナイフ、他に切る野菜がないなら、絶対使ってる説。

そもそも主力の三徳包丁が常にしっかり研いでさえあれば(そうでもないことが往々にしてある)、トマトナイフなしでトマトの皮もスッパリ行ける。

とは言え、今は出番がない日はないくらいに我が家では活躍しています。

それともう一つ。
これはドイツの初夏の代名詞、白アスパラを剥く道具。
毎日じゃがいもに使ってる普通のピーラーで十分な上、機能もほぼ一緒なのに、1年のこの時期しか使わない白アスパラ専用ピーラー。白アスパラに至っては専用の鍋まで使っていましたが、それだけ春が楽しみだということでしょうか。

日本にもお正月にしか出さない食器とかがある感覚と似てるのかもしれませんが、春を楽しみにする心が食器じゃなくて道具の方に現れちゃってるところがナルホドイツです(・ω・)ノ。

写真(シュパーゲル用ピーラー)https://www.kaufland.de/product/25760991/?vid=340526315


今日は(も)ドイツ語でためになりそうなことは一言も書いていませんが、またいつかドイツの刃物(工業編)を書けたらと思います。

今日のドイツ語
やるんかい。

das Sushimesser 柳刃包丁
(ここはせめてSashimimesserなのでは( ̄∀ ̄)?)  

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。





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