大人になった今だから感じる『風の谷のナウシカ』の魅力
小さい頃からジブリ作品をたくさん観ている。
そんなジブリ作品のすごいところは、子供の時に見た印象と大人になってからの印象が全く違うのに、いつ観てもその時に応じた面白さを感じられるところだと思っている。
金曜ロードショーでやっていた『風の谷のナウシカ』を観て、昔思っていた内容と全く違う感じがして自分が大人になったなとも思ったし、改めてこんなに複雑な話だったのかと、かなりびっくりした。
子供の頃は、白いメーヴェで飛び回って虫や動物をどんどん手なずけるナウシカがかっこよくて好きだったし、ナウシカというヒーローが風の谷に攻めてくる敵に立ち向かう姿にあこがれた。
だけど、大人になってから観てみると単純な悪役と正義の味方の話と言うわけではなく、それぞれに思惑や諦め、理想や理不尽さを抱えながら自分の意志を貫きたいと願う大人たちの葛藤が見え隠れしていることに気づく。
人間界を守りたいから巨神兵という兵器を使ったり、強硬な手を使っても自分たちの国を守りたかったり、共存すれば生きていけると信じたり。多分、どの考え方にも理由はあって、間違いでもなければ正解でもない。
現状がいいと思っているわけではなくても今ある現実を諦め半分で受け入れているのがトルメキアで、強行手段で理想を貫きたいのがペジテで、性善説とも思えるほどに受け入れて共存できると信じているのがナウシカのいる風の谷。
同じ世界に生きていても人の考えることはこんなに違って、争いが起きるのは考え方の違いが原因ではなく、違う考え方をお互いに受け入れることができないから。正しさはあってないようなもので、正しいから争いごとが起きないということではない。
正しさを追及したり、間違いを責めたり、そんな事よりも“違う”ことそのものを丸ごと受け入れて理解はできなくても、”違い”が存在することを許容す。そんな世界を描き出そうとしている作品のような気がした。
見返すほどにいろいろなことを感じるのがジブリ作品の魅力。
ナウシカの原作マンガがあるらしいので、それも読んでみたい。
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