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あれから10年・それぞれの10年 メディアの現場で考え続けてきたことを記事にします

巨大な津波が押し寄せ、原子力発電所も緊急事態に陥った大災害の現場に取材に入った私たちは、がれきで覆い尽くされた光景に立ちつくし、行方の分からない家族を必死に探す人たちに、かけることばが見つかりませんでした。

「遠くまでわざわざきてくれてありがとう」

そう言って、おにぎりをにぎって手渡してくれた人もいました。

あれから10年

一面のがれきに覆われていた被災地は整備され、土地がかさあげされ、防潮堤ができ、家は再建され、店は再開しました。

歩みを進める人たちがいる一方で、心が置き去りにされたままになっている人もいました。

「思い出したくない」「そっとしておいてほしい」
取材のなかで、そうした言葉を聞くことも増えていきました。

被災地のこと、被災した人たちのことを「分かったつもり」にはなっていないか。「伝え続ける」ことを押しつけてはいないか。一方で「本当に伝えてほしい」と言われたことを、伝えられてきたのか。

取材を続けてきた記者やディレクター、カメラマン、アナウンサーなどの取材ノートには、それぞれが抱える葛藤や悔しさもあります。

放送には出しきれなかったものを伝えるためにはじめたこのノートで、#それぞれの10年 というテーマで、これから現場の一人一人の取り組みと思いを発信していきます。

震災当時は高校生で、3月11日を自分事として捉えられなかったディレクターが、被災した人たちへの取材に悩みながら、同世代の若者たちへの取材を続けている思い。

自分たちのことばは届いていなかったのではないか。災害時に命を守る呼びかけを模索し続けてきたNHKアナウンサーたちの10年の模索。

そうした #それぞれの10年 の記事には、読者のみなさんからもメッセージをいただいて、一緒に考えていくことができればと願っています。私たちとみなさんの10年を、次の10年につなげていくことができればと思います。

(NHK取材ノート編集部)

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