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キンの卵②

 ミーヤがゴルフを始めたのは、4月から小学2年生に上がる春休みの7歳のことだった。
きっかけは、バドミントンで実業団までプレーするほどのお父さんがその後に唯一熱中したのがゴルフだったからです。

 ミーヤはお父さんが朝早く起きて練習場に行ったり、素振りをしたり、家の中でアプローチやパッティング練習をしたり、そのためにランニングまでしたりするその不思議なスポーツにとても興味を持ちました。

 最初は、ただお父さんが笑顔になるのが見たくて、構ってもらえるのがうれしかっただけでしたが、次第に、投げても到底届かないような所まで球が飛んで行く気持ち良さやドライバーのキーンといういい音や手に伝わる何とも言えない感触の虜になって行きました。そして、極め付けはショートコースでプレーした時に15メートルほどのパットを一発で入れた時に、ミーヤは
「最高に楽しい!」
と感じたのでした。

 2年生のうちは、お父さんに付いて遊びに行っているような感じでしたが、3年生に上がる時に、ミーヤは
「私、真剣にゴルフやってみたい」
「試合に出てみたい」
とお父さんとお母さんにお願いして、お父さんはミーヤのサポート役に回ることになりました。
 そして、それから、3年生、4年生、5年生と成長するにつれ、お父さんのミーヤへの接し方がどんどん厳しくなりました。



「どうしてあんな短いパットを外すんだ」
「もっと真剣に練習しろ」
「考えてプレーしてるのか」
などその時々に厳しい言葉が投げ付けられ、
「今日、スコアいくつだったんだ」
「順位は」
など結果、結果、結果が全てのような会話がほとんどになって行きました。

 お父さんには、私がゴルフをして行く上での成長速度や成績の出方にも理想があり、親同士の意地の張り合いみたいなものもあるようでした。
なので、私の成績が悪いとすごく不機嫌になり、家族の会話がなくなったり、嫌な雰囲気になることも良くありました。
帰りの車の中が懺悔部屋になることもよくあり、泣いて帰ることもほんとによくありました。

 それが今回のすべての原因だったとは言いません。
私にも、
「アンに負けたくない」
「レクシ―に負けたく」
「優勝したい」
という気持ちや
「ミスなんて許せない」
「私は誰よりも上手いんだ」
という気持ちもありました。

 ほんとに、
「何であんなことしてしまったの」
 こんなこと誰にも話せないし、あの声にも責められる……。

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