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【NJRPG-2ND/シナリオ】フォールス・ウインター#9-A:トーテム・アンド・タブー

あらすじ:突きつけられたのは真実か欺瞞か?己の過去に向き合うも、確信が持てない鷲のニンジャたちの元に、怪しげなトーテムが導きとして現れる。明かされるCIAの存在と恐るべき計画を前に、彼らは再び決断を迫られる。

これは「ニンジャスレイヤーTRPG2版」のシステムに対応した、「鷲のニンジャ」がテーマのキャンペーン『フォールス・ウインター』の第9話に該当するサンプルシナリオ記事です。

なお9話のサンプルシナリオは2種類存在しており、直前にプレイしたシナリオによって次にどちらのシナリオに派生するか異なる仕様となっています。このシナリオはAルートである『コールドフィート√A』をクリアしたプレイヤーキャラクターが参加するためのシナリオです。

プレイ人数:2~3名
所要時間:8~12時間(オンラインセッション/テキストセッション)
難易度:キャンペーン専用のルールで作成後、7~8シナリオを踏破した程度の強さのPCを想定(成長の壁(1)をそれぞれ2~3つずつ超えている。ジツを2倍でカウントして、能力値合計30~35程度)

キャンペーン全体の背景設定やルート分岐の調整方法などは、別途CPセッティング記事も参考にしてください。

※各ゲーム要素はニンジャスレイヤーTRPG初版で行ったキャンペーン実卓を元に、2版向けへコンバートされたものです。ゲームバランスは現行環境やプレイヤーキャラクターに合わせて都度調整することを推奨します。

関連記事はこちらのマガジンから。

◇本文中に登場する略称
NM:ニンジャマスター    → ゲームの進行役。描写などを行う。
PL:プレイヤー       → ゲームの参加者。PCを操作する。
PC:プレイヤーキャラクター → ゲーム内の主人公。メインキャラ。

前シナリオ

別ルートのシナリオ

はじめに

このシナリオは第八話において"ボス"、すなわちアシッドウルフ率いるブラックサイト勢力に敵対的な行動を取ったPCがシナリオ終了直後から辿る分岐ストーリーのひとつとして設計されている。より具体的には、『コールドフィート√A』において、次の結末に辿り着いた場合、このシナリオへと分岐する可能性がある。

  • 失われた帰り道

  • 最も信用できるのは……

物語中では、ビクターという監視の目が外れたのを良いことに、導き手たるトーテムとして怪しげなニンジャ、フィルギア再び彼らの前に現れ、重要な情報を与えると共に決断を求める。一方、ネオサイタマではあちこちで迫りくる知事選のニュースがひっきりなしに報道されている。

マップデータ

このシナリオで使用するマップデータはGoogle スプレッドシートで作成されています。下記からローカルにダウンロードするか、ご自身のアカウントにコピーを作成してGoogle スプレッドシート上で使用してください。

導入

不可視の監視者『ビクター』を撃退あるいは爆発四散させたPCの元には、彼が発していたジャミング電波が途絶えることで、次のような断片的なメッセージが届く(スタックしていたログがようやく彼らの端末に届く)。

送信者:アシッドウルフ
・ブラックサイトを放棄(ニューロサージが生存している場合)
・使用するIRC通信チャンネルを放棄
・此方から指示があるまで待機

これを受け、仲間との合流を図っていたPCたちは次にどうすれば良いか途方に暮れることだろう。そこに現れるのが、遠巻きに彼らの戦闘の様子を伺っていたフィルギアだ。ビクターという監視者が消え、またソウカイヤにより適度な目くらましとなる騒動が引き起こされたのを良いことに、彼はPCたちに堂々と接触を図る。

TIPS:これまで明確に描写されてこなかったが、PCたちは"セキュリティ上の理由"から、お互いのIRCアカウント情報を知らず、個人間で連絡を交わすことができない。彼らは暗号化された特定のIRCグループチャンネルを介して、アシッドウルフからの指示を受け、チーム間で連絡を取っている。

つまり、すべての通信はアシッドウルフに筒抜けであり、口頭など物理的な手段でなければ彼の監視から逃れることはできない。そして今回のようにグループチャンネルが放棄された場合、彼らは相互的な連絡手段を失ってしまうのだ。


シーン1:トーテムの導き

そう、先のイクサは決着を急ぐ必要があったとは言え、少々派手に過ぎた。ビクターのジャミング装置が……仮に先程まではソウカイヤのIRC通信にも影響を及ぼしていた……とすれば、君たちが懸念する通り、追手が現れる可能性が高い。

だがブラックサイトを失った今、身を隠すに安全な場所など……その時、そのニンジャはフクロウの姿を取って現れ、路端のゴミ箱に留まると、ホウと鳴き、言った。

「イヒヒヒ……随分と派手にやったね」そのニンジャはフクロウの姿を取って現れ、ホウと鳴き、言った。「アンタ、知りたいンだろ?着いてきな。教えてやるよ……ほら、あのおっかない"ボス"のことをさ」

フィルギアはフクロウにヘンゲした姿で現れ、途方に暮れるPCらに安全な場所で話をしないかという提案をする。彼らの正体こそ知らないが、彼らの疑問を解消することに繋がる情報……アシッドウルフの正体についての情報を提供すること、また一時的な隠れ場所を提供することを餌に、情報を引き出す機会を設けようとするのだ。

隠れ家を失い、周囲にソウカイヤやザイバツの刺客がうろついている状況下では、実際PCたちには選択肢は限られている。

もしPCがこの誘いを断る場合、それが煮え切らない態度の場合、フィルギアは執拗に後をついていきながらシーン1における問答を進める。それが拒絶的な態度の場合、シーン1は即座に終了し、PCは情報を得られない。フィルギアと戦闘を試みるなら、1ターンほどで彼は尻尾を巻いて逃げ去ってしまう。

◆フィルギア: トーテム・オブ・ザ・パック (種別:ニンジャ/リアルニンジャ)	
カラテ    4   体力   11
ニューロン  12  精神力  19
ワザマエ   12  脚力   6/N
ジツ     7   万札   30

攻撃/射撃/機先/電脳  4/12/12/12
回避/精密/側転/発動  12/12/12/19

◆装備や特記事項			
 『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、
 『◉挑発』、『◉魅了』、『◉疾駆』、『◉空中制動』、
 『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉アーチ級ソウルの力』、
 『☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV1-3』(コヨーテへの変身時に適している)
 『★アクマヘンゲ・ジツ』(融合形態への変身時に適している)
 『★★フクロウへの変身』、『★★グレーター・アクマヘンゲ・ジツ』
 『★★★ニンジャ神話知識』

『★★フクロウへの変身』:
 フィルギアは「ヘンゲヨーカイ・ジツ」と同様のルールで、自動的にフクロウに変身できる。
 例外として【精神力】は変身時のみ1消費し、自発的に変身を解くまで継続する。
 またこの状態のフィルギアは【カラテ】1、【ワザマエ】6へと代わり、『飛行移動(16マス)』を得る。

『★★★ニンジャ神話知識』:
 フィルギアは悠久の時を生きてきたリアルニンジャであり、またソウル感知能力も極めて高い。
 このため、敵の憑依クランや行使するジツを素早く看破し、その対抗策を講ずることができる。
 このルールを持つ者は、抵抗や回避が可能な【ジツ】への抵抗/回避の難易度が−1される。
 また、シナリオ内でニンジャ神話などの知識が試される判定がある場合、難易度が−1される。


"安全な場所"

「さ、到着だ」コヨーテが体を振り、重金属酸性雨の水しぶきを払うと、そこには再び男の姿があった。

PCはコヨーテに変身したフィルギアに導かれ、身体を休めることのできる、安全な隠れ家へと辿り着く。場合により、フィルギアはPCの信用を勝ち取るため、彼らをサークル・シマナガシのアジトまで呼び込む可能性もある。後者の場合、彼の仲間であるニンジャたち、すなわちスーサイドアナイアレイタールイナーが彼の軽率な行為に対する非難の声と警戒する目線を向けてくる中でフィルギアと話をすることになる。

フィルギアは殺気立ったアトモスフィアを位にも介さず、コロナビールの瓶をPCに放って渡すと、次のような問いかけをしてくる。彼はクレイニアムと同様に、まずはPCの正確な状態を把握しようとしているのだ。

PCがフィルギアを怪しみ回答を拒んだとしても、彼は僅かな反応を機敏に捉え、おおまかな状況は把握してしまう(そしてそれ以上は彼らを問い詰めない)。

  • 何をしているのか、させられているのか、理解して行動しているのか?

  • "ボス"が何者なのか、誰なのか知った上で行動しているのか?

  • "ボス"の目的、すなわち終着点がどこなのか把握しているのか?

  • "ボス"に会うまでの過去を正確に思い出せるのか?

いずれの質問へも、正直なPCは「そうだ」と答えることができない。どれも知らされていない・知らない情報だからだ。


"アシッドウルフ"とは何者か?

「電子戦争の前にさ、アメリカって国があったのは知ってるだろ?そこにCIAッて組織があったんだよな」フィルギアはまず、聞き慣れない単語を口にした。

彼の会話は始め要領を得ず、抽象的な話題や表現から始まる。これに対して本題に入るには、他のシマナガシメンバーが「お前はいつも話が回りくどい」と助け船を出すか、PCが「話が見えない」と指摘を入れる必要がある。そうしてようやく、フィルギアはアシッドウルフがY2K以前の米国で行っていた(と思われる)計画について真面目な表情でPCに語る。

ここにはフィルギアの推測が大幅に混じっており、全てが真実とは限らないことに注意すること。

話の要点:フィルギアはPCがアシッドウルフに洗脳され、その手駒として実態を知らないまま恐ろしい計画に加担させられていると考えている。アシッドウルフがY2K以前の米国でモータルに行った洗脳計画を、ネオサイタマでニンジャまでも対象に再開しているのであれば、この街の有り様は大きく歪められてしまうことになるだろう。

いずれミームを歪める彼のやり口が、シマナガシや自身への迫害に繋がると考えるフィルギアは、PCの目を覚ますことでアシッドウルフの計画を少しでも妨害したい。彼らは最も"ボス"に近く、その情報を握っているからだ。

主張の根拠:フィルギアは上記の要点・主張の根拠として、以下のような情報を提示する。彼は次に述べるアシッドウルフの正体と手口、クレイニアムのような過去を知る人物の存在を根拠に、PC洗脳説を主張する。

◉かつて電子戦争前のアメリカにはCIAという組織があった。国家に所属する諜報機関で、その活動の殆どは市井の知るところではなかったが、そこには対ニンジャ専門の部門も存在していた。

◉当時のCIA長官は『アレン・ダレス』と呼ばれる人物で、彼は電子戦争勃発時の長官から数えて1代前に長官の座に就いており、1970年に死んだと考えられている。

◉アレンは暗殺や破壊工作、謀略を得意分野とした人物であり、そのようにCIAという組織を再編成した張本人でもある。フィルギアはニンジャ専門部門を編成したのも彼だと推測している。

◉アレンが影で推進していたのは『MKウルトラ』という極秘の「洗脳計画」である。後に暴かれたところでは、大抵の場合は被験者の合意(認識)なく、非合法的に実験が行われた。

◉アレンは1961年にCIA長官を解任されて以降、これは公然の事実として、その動きをコントロールし続けた。何らかの枠組みを越えた権力を握っていたのだ。

フィルギアはアシッドウルフの正体を、その『アレン・ダレス』だと考えている。彼は1960年代に、ケネディ大統領暗殺事件の真相究明を行う「ウォーレン委員会」の取材に紛れ込み、実際にアレンと対峙しており、ネオサイタマでアシッドウルフに接触したとき、彼はその事実を覚えていた。

◉ひとつ確実なのは、1960年代時点で60代を迎えていたアレンはニンジャではなかった。

フィルギア上記の情報を語り終えた後、再び冒頭の質問を引き合いに出し、これを答えられないのが「洗脳」の確固たる証拠だと改めて主張する。PCはフィルギア本人の飄々とした態度と、(仮にその証拠が真実だとして)彼がもたらす情報の説得力の板挟みになってしまうだろう。

TIPS:PLにはメタフィクション的に、中央情報局(CIA)の紋章を見よ!とニンジャ真実を突きつけると良い。なんとCIAのエンブレムでは、国防の象徴である「盾」の上に鷲が配置されているのだ。CIAとアレンが古くから〈鷲の一族〉の影響を受けていたことは想像に難くない。


◇フィルギアとNYC(NM向け情報)

ニンジャスレイヤー原作エピソード【プロメテウス・アレイ】で描かれているように、彼はかつて1997年のLAでジョシュアという名を名乗り、ロックバンド『プロメテウス・アレイ』のマネージャーとして活動していたが、その直前まではNYCを拠点としていた。その当時、1970年代に取り沙汰されていたのはNYCを中心にCIAが実施していた極秘計画『MKウルトラ』の実態追究に関するニュースだった。

フィルギアは米国全土を騒がすこのニュースが核心を欠き、当時のCIA長官「アレン・ダレス」が未だのうのうと活動していることも手がかりに、その背後に何らかの陰謀が潜んでいることを嗅ぎつけた。CIAのニンジャ専門部門の存在を知り、それを極めて警戒し始めたのはこの時期だと考えられる。

このシリーズにおいて、1960年代にケネディ大統領暗殺事件の真相究明を行う「ウォーレン委員会」の取材に記者として紛れ込み、実際に当時のCIA長官「アレン・ダレス」と接触しているフィルギアは「アシッドウルフ=アレン・ダレス」であると推測しており、彼がY2Kを生き延びて、ネオサイタマで『MKウルトラ』計画を再開しているのではと考えている。



シーン2:家紋タクシーと追跡者

フィルギアとの会話が煮詰まってきたと感じたタイミングで、中座して周囲を偵察していたルイナーかスーサイドが(あるいはPCのニンジャ第六感が)、うろついて何かを探しているような様子を見せる何者かの存在を伝える。PCはこれを契機に潜伏先を離れることを余儀なくされる(PCたちにとっても、フィルギアにとっても、PCたちがここに留まり続けることは大きなリスクになる)。

ここからは現れた追跡者への対応と、次の行先の選択によって若干シナリオ展開が変化する。

私刑執行人

潜伏先の外に出たPCは高所から偵察することで、一台の家紋タクシーが不自然に停車し、そこから2人のニンジャが降り立つことを確認できる。タクシーの窓からはスーツを着た柔和そうな若い男が顔を見せて2人のニンジャになんらかの指示を出している。

ここではPLの提案などに応じて、判定により幾つかの追加情報を得ることができる。現れたNPCの正体や挙動については後述。

気配を探る:【ニューロン】判定(HARD):タクシーの中にはもうひとつのニンジャソウル反応がある。ただし若い男がニンジャなのか、もうひとりニンジャが車内に潜んでいるのかは分からない。

【6, 5+】:タクシーの中にもうひとりのニンジャが潜んでおり、また若い男も極めて良く気配を消しているがニンジャであることが分かる(ビクターほど完璧な擬態ではない)。

装備を観察する:【ワザマエ】判定(HARD):若い男は片手をサイバネ腕に置換しており、ジャケットの袖から覗くそれはオブシダンめいた美しい装飾が施されている事がわかる。その他、一見してニンジャを含めて誰にも所属を表すような装飾品は見られない。

【6, 5+】:若い男の襟元には『SP』と刻まれた銀色のピンが取り付けられている。「公僕の流儀」など適した知識スキルを有する場合、これが警察庁(NSPDではない)の要人警護官の身分を表す記章であることが分かる。

ニンジャ第六感に頼る:【ジツ】判定(U-HARD):何者かが直接PCの位置を特定しようと、何らかのジツによって此方をサーチしている気配を感じ取れる。

【6, 5+】:ジツによる走査を行っているのは、家紋タクシーの中に居る何者かであることが分かる。既にニンジャの存在を識別していた場合、それは若い男ではなく、タクシー内に潜む別のニンジャであると識別できる。


◇NPCデータ:エージェント・カメヤマ|ドラゴングラス

家紋タクシーに乗る若い男は「カメヤマ」を名乗り、官房長官のSPとしてカスミガセキ・ジグラットで働いている。その正体はアシッドウルフの配下の一人「ドラゴングラス」であり、"腕"のニンジャとして、要人へ接触しようとするアマクダリの妨害や官公庁へ"仕掛け"を行う際のホットラインを担当している。

一方で賞金首のシリアルキラーニンジャという背景を持つ彼は、"洗脳"の弊害として策謀・籌略を求める精神的な欠陥を抱えており、元々アシッドウルフを出し抜こうとしていたビクターと共に何らかの計画を練っている。

TIPS:ドラゴングラスはもともとソウカイヤに賞金首として狙われていた危険なシリアルキラーニンジャである。アシッドウルフはジツを用いて彼の破壊欲求を策謀・籌略による支配欲にすり替えることで彼を完全にコントロールし、その上で要人警護官「カメヤマ」のなりすましに仕立て上げ、ドラゴングラスをカスミガセキに送り込んだ。

ドラゴングラスの最も危険なところは、アシッドウルフのジツによって、暴力性と冷酷な知性とを状況に応じて切り替える(=スイッチング)が可能なところである。これにより彼は日頃からインサイダーとして冷静に機密任務をこなしつつも、いざとなれば突然の激しい暴力性で敵をネギトロに変えることが可能となっている。彼はウルトラ・ジツによる人格改変・模倣・スイッチングの例である。

『コールドフィート』でビクターが既に爆発四散している場合、彼はドラゴングラスに「PCがアシッドウルフの弱点だ」と密かに伝え、彼らを抹殺するよう唆している。カメヤマは死亡したビクターの役割を引き継ぎ、カラカミ・ノシトの元を訪れて護衛を付けた後、PCたちを探し始めた。

このシナリオにおける彼の目的はアシッドウルフの意思とは一切関係なく、"ボス"の弱点と言われるPCを騒ぎに乗じて始末するか、その利用価値を見定めることだ。

「じゃ、後はよろしくね。僕は帰るので」

◆カメヤマ/ドラゴングラス (種別:ニンジャ)	
カラテ    10  体力   11
ニューロン  13	 精神力  19
ワザマエ   9	  脚力   5
ジツ     5	  万札   50
近接D:14、射撃D:10、回避D:16、発動D:19
◆装備や特記事項
 装備  :『SPブラックスーツ(効果なし)』
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『●ニンジャ第六感』
       『◉翻弄』、『◉挑発』、『◉◉タツジン:アイキドー』、『◉◉グレーター級ソウルの力』
      『◉ニンジャソウルの闇』、『◉邪悪なサディスト』
 サイバネ:『▶▶▶鷲の腕Lv3』

『☆ヒカリ・ジツ:粒界操作』:
 自身を起点に、壁や床から暗黒結晶体のヤリを放射状に生成し周囲の敵を襲う。
 攻撃フェイズに【精神力】1と1行動を消費してジツ判定で発動(HARD)。

 自身を中心とした、上下左右2マスもしくはナナメ方向2マスの範囲に対して
 ダメージ1、回避ダイスダメージ1を発生させる(回避HARD)。

『★ヒカリ・ジツ:結晶鎧』:
 暗黒結晶体で構成された凶悪なヨロイを生成し全身を覆うジツ。
 手番開始フェイズに【精神力】を2消費し発動(難易度HARD、瞬時)。

 ・常時『ダメージ軽減1』を得る。これは範囲攻撃に対して2倍となる。
 ・『近接攻撃』を受けたとき、フェイズ終了時にその『近接攻撃』1発につき
   攻撃者へ1ダメージを与える(時間差、回避:NORMAL)。
 ・この効果は【ジツ】値の半分(切り上げ)に等しいターン後の手番開始時まで継続する。
 
『☆◉フォノン・カラテ』:
 固有の周波数で超振動する手刀により、強固な装甲でさえトーフめいて切り裂く暗黒カラテ。
 
 『●戦闘スタイル:フォノン・カラテ』:
  素手による近接攻撃を行う。この攻撃は『装甲貫通1』、『回避ダイスダメージ+1』となる。
  また集中状態の場合、【6,5+】でサツバツ!が発生するようになる。

 近接【6,6,5+】『●ワザ:コンビネーション・ランスキック』:
  この攻撃フェイズの終了時、攻撃対象へさらにダメージ2と『弾き飛ばし』を与える(回避HARD)。


ドラゴングラスの詳細なバックグラウンドやキャンペーンにおける役割は、CPセッティング記事を参照すること。


◇NPCデータ:クリプト

日本政府内部にSPとして所属するニンジャ。彼のアテヨ・ジツは爆発四散痕や戦闘痕からソウル情報をトレースし、カラテやジツなどのムーブメントを超常的に分析学習する。

このシナリオにおいて、彼は積極的に前には出てこず、あくまでもドラゴングラスの副官として活動する。

「ここは私が。貴方も役目を果たしてください」

◆クリプト(種別:ニンジャ)	
カラテ    8     体力   8
ニューロン  11   精神力  18
ワザマエ   10    脚力   5
ジツ     6    万札   25
近接D:11、精密D:10、射撃D:10、回避D:14
◆装備や特記事項
 装備  :ブラックスーツ(効果なし)
 サイバネ:『▶▶▶鷲の腕Lv3』
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉タツジン:ジュー・ジツ』
      『◉暗殺者の眼』、『◉滅多打ち』、『◉電光石火』、『◉トライアングル・リープ』
      『★★ブンシン・ジツ』、『★シャドウリープ』

『☆アテヨ・ジツ』:
 トレースしたソウル痕跡からカラテやジツなどのムーブメントを超常的にパターン学習するジツ。
 手番開始フェイズに【精神力】1を消費して発動(難易度HARD、瞬時)。
 敵1体と攻撃種別(近接or射撃orジツ)を対象に指定し、戦闘終了時までその回避難易度を-1する。
 このジツを再発動したとき、この効果対象は置き換えられる。

『★マインズ・アイ』:
 隣接マスからの射撃を除く、あらゆる遠隔攻撃に対する『ダメージ軽減1』を得る。

『●戦闘スタイル:骨格破壊』:
 敵の動きを先読みし、その力を利用した組技で関節にダメージを与える。
 『崩れ状態』の敵に対し、出目【6】を含む近接攻撃が全て『痛打+2』となる。
 またこの攻撃が命中したとき、使用者の次の手番終了フェイズまで対象は『不覚状態』となる。


◇NPCデータ:ビクター

『コールドフィート』においてビクターが生存していた場合、彼はカメヤマと合流し再びこのシナリオに再登場する。彼の行動パターンは次のいずれかとなる。

  1. PCがクレイニアムやフィルギアから得た情報をもとに、自分たちが「洗脳」されているという説を信用していた場合、あるいは利用されていると反アシッドウルフ感情が生じていた場合、彼はそれを認め、共にアシッドウルフを打破しようと彼らに協力を要請する。

  2. PCが変わらずアシッドウルフとの主従関係を継続しようとする場合、アシッドウルフの戦力を削ぐため、またビクターの裏切りの気配を伝えないため、全力でPCを抹殺しようとする。


ビクターがアシッドウルフを裏切ろうとする動機やバックグラウンドについては、CPセッティング記事を参照すること。

◆ビクター(種別:ニンジャ)
カラテ     8   体力     11
ニューロン   8   精神力    12
ワザマエ    7   脚力     4
ジツ      4   万札     25
近接攻撃D:8、射撃D:13、回避D:10
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉剛力(出目【6】含む近接攻撃は『痛打+1』)』、『◉挑発』
      『◉ニューロン・ブースト』、『◉翻弄』、『◉◉グレーター級ソウルの力』

『**ドウメキ・ステルスニンジャスーツ**』:
 全身に大量の『▶サイバネアイ』めいた装置が埋め込まれたハイテック光学迷彩スーツ。

 ・【ワザマエ】判定ダイス+4、射撃ダイス+2個、回避ダイス+2個。
 ・手番終了フェイズにおいて、自動的に『☆ステルス・ジツLv3』が発動する(コストなし)。
 ・ステルス状態の使用者によるあらゆる攻撃は「回避難易度+1」となる。

『●全身義体』:
 全身を医療用サイバネで置換しており、痛覚を完全に遮断することができる。
 このキャラは『◉痛覚遮断』を取得しているものとみなされる。

『☆タイジン・ジツ』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費し、瞬時行動として発動する(難易度NORMAL)。
  発動した場合、射線の通る敵1体を術者の次の手番開始時まで『不覚状態』とする。
  相手はこれを望まない場合、回避判定を行う(HARD)。

『★センド・ジツ』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費し、瞬時行動として発動する(難易度HARD)。
  自身もしくは視線の通っている味方キャラに隣接する3×3マスを『NRS錯乱モータル』マスとする。
  
  このマスは「移動困難な地形」であり、術者側の味方NPCとして扱われる(【体力】1)。
  また頭上ないし隣接マスを通過しようとする敵に回避ダイスダメージ1(回避NORMAL)を与え、
  命中した場合はそこで移動を強制的に終了させる。


刺客​と選択

「SP!ヘェー!カスミガセキから来たってところか。アンタらもツイてないね……」フクロウの姿で肩に留まるフィルギアから、薄笑うような声が漏れた「で、これからどうするか、決めたかい?」

ドラゴングラスは部下のクリプトに加え、子飼いの傭兵であるソージュン、マスペインを引き連れて、ビクターが爆発四散した現場からPCをトレースしている。シナリオに登場した時点で、彼らはPCの潜伏先の大まかな位置を突き止めており、あとは正確な位置を把握して殺すだけという状況にある。
 ドラゴングラスは刺客としてソージュンとマスペインの2人だけを放ち、クリプトと共にその場を離れるが、手練のニンジャである2人がPCに辿り着くのは時間の問題だろう。

PCはここで次にどう行動するべきか判断を下す必要がある。つまり「フィルギアを信用して協力体制を取る」「あくまでも独自行動を続ける」かだ。
 いずれの場合でも、フィルギアと敵対的な関係にならなければ、彼は「他の仲間(PC)を探すのを手伝う」と提案し、PCに合流場所(ブラックサイトなど)を指定させると、伝令役として別ルートのPCを探しにゆく。

フィルギアを信用して協力体制を取る:AルートのPCが辿る物語は「第三勢力ルート」における「フィルギア・ルート」へと分岐する。PCはフィルギアによって再び導かれ、全ての始まりであるアシッドウルフとの決着を付けるという目的を見出す。

フィルギアが他のPCを探しメッセージを伝える伝令役になるのは変わらないが、PCは他のサークル・シマナガシのメンバーの手を借りながら追手に対処し、新たな潜伏先(場合によってはシマナガシのアジト)へと向かうことになる。

あくまでも独自行動を続ける:AルートのPCが辿る物語は、この段階ではまだ確定しない。しかし、フィルギアがもたらした情報を理由に考えを変え、クレイニアムやその他の第三勢力へと助けを求めに向かうこともできる。

フィルギアが他のPCを探しメッセージを伝える伝令役になるのは変わらないが、選択により人物・組織・場所など、次なる目的地が変化する。
 フィルギアはPCが最終的にアシッドウルフと敵対的な立ち位置になりさえすれば良く、仲間との合流を最優先する場合でも、その心の揺らぎを良い兆候として捉える。


ルート分岐については、CPセッティング記事の「第三勢力ルート」などを参照すること。


シーン3:執行人への対処

フィルギアとの関係を明確にすると、次いでPCには幾つかの行動の選択肢が提示される。それらは主に「仲間と合流する・情報を収集する・安全な場所を求める・追跡者を巻く」といった理由で、彼らが過去に訪れた場所から、移動先の候補を導き出したものとして考える。

このセクションにはPCが訪れる可能性のある場所と、簡単なイベント例が記載されているが、PLの提案に応じて、NMは過去に彼らが訪れた場所や情報を持つ場所であれば柔軟に許可して構わない。いずれの場合でも、PCは向かった先で2人の傭兵に追いつかれ戦闘となる。

基本的な考え方として、メイライ社(アシッドウルフ傘下)を含む中立組織の領域に踏み込めば自衛行動として無差別攻撃を受け、アマクダリやソウカイヤなど敵対組織の領域に踏み込めば私刑執行人はリスクを考慮して撤退の優先度を上げるが、PCは敵対組織の攻撃を受ける可能性が高まる。

TIPS:メイライ社、墜落現場など幾つかの候補を提示し、任意の場所に向かわせる。シナリオには簡潔な最低限の情報だけが掲載されており、残りは即興で対応する必要がある。向かった先では必ず執行人(傭兵)との戦闘になるが、場所に応じて敵の増援が発生するなど、得られる情報とトレードオフで難易度が増減する。NMはPCのこれまでのセッション経験を考慮して、展開や選択肢を自由に変化させて構わない。

◇執行人との戦闘ルール

後述のボスNPCである執行人2人との戦闘では、乱戦のルールが適用されるものとする。一方で、成長度合いによってはボスNPCの回避ダイスが多すぎる可能性があり、NPCが強すぎると感じる場合は回避ダイスを-2~3程度減らして調整をすると良い。

彼らとの戦闘は、1エリアにつき最低2~3ターン行われるものとする。PCは規定ターン経過後、そのままのエリアで戦い続けるのか、別のエリアへと逃走して戦闘を継続するのかを選択することができる。これにより、PCは最大で3つのエリアを訪れることができる。

このシーンでは、執行人を撃退ないし爆発四散させることで、次のシーンへと進行する。なお、戦闘用のマップは過去のシナリオから引用すること。

TIPS:執行人は通常通り『ニンジャ耐久力の発露』を使用し、シナリオ中1回限り、戦闘中に【体力】0となって『気絶状態』に入った瞬間に、ラスト・ニンジャ・スタンディング状態に入ることができる。

彼らは必ずしも爆発四散するまで戦い続けるとは限らず、ラスト・ニンジャ・スタンディング状態に追い込まれるなど、不利な状況になれば迷わず撤退を選択する。

◇NPCデータ:マスペイン(執行人)

ドラゴングラスに雇われる傭兵ニンジャ。マスペインはシンプルな強化スーツを纏ったニンジャで、テックカタナを用いた一刀流イアイドーとテック銃によるミリタリースタイルを交互に切り替えて戦う。彼は不要なことは語らず、また請け負った仕事について「何故」と考えることもない。

マスペインはカタナとLAN直結銃を交互に用いて戦う。

「これはブレイウチだ。その不法ごと焼き斬らん」

◆マスペイン(種別:ニンジャ)	
カラテ    7      体力    7
ニューロン  8      精神力   12
ワザマエ   8		脚力   5/N
ジツ     4		万札    25
近接D:7、射撃D:11、回避D:10
◆装備や特記事項
 装備  :『ケブラー強化ブラックスーツ(回避D+1)』、『サイバーメンポ(射撃D+2)』
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉ツジギリ』、『◉シャープシューター』、『◉◉タツジン:ミリタリー・カラテ』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉電光石火』
 サイバネ:『▶生体LAN端子』

『ヒートチャージ・カタナ』:
 特殊近接武器、ダメージ1、火炎ダメージ2、納刀術(射撃・側転ペナ無視)
 ※この武器は『近接攻撃』を繰り出すたびに付与された『火炎ダメージ』が-1される。
  『火炎ダメージ』の値は、この武器を1ターンの間使用しなければ元の値に戻る。

『LAN直結型オートマチック・ガン&チルアウト・グレネード』:
 ダメージ1、連射3、時間差、マルチターゲット
 射撃前に回避不可の『回避ダイスダメージ1』



◇NPCデータ:ソージュン(執行人)

ドラゴングラスに雇われる傭兵ニンジャ。ソージュンはかつてロシア軍が使用したGP-5ガスマスクを想起させるフルメンポに、身軽なボンズ装束と編笠を身に着けた奇妙な外見をしている。

「理由も立場も知らぬが、ブッダの加護を祈るぐらいはしてくれよう」

◆ソージュン(種別:ニンジャ)	
カラテ    9		体力   9
ニューロン  6	    精神力  6
ワザマエ   9		脚力   6/N
ジツ     3		万札   25
近接D:9、射撃D:9、回避D:11
◆装備や特記事項
 装備 :『ボンズ装束&編笠付きロシアン防毒マスク(回避ダイス+3)』
 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『◉◉戦闘系ソウルの力』
      『◉ツジギリ』、『◉特殊近接ステップ』、『◉トライアングル・リープ』

『◉◉タツジン(ボンジャン・カラテ)』:
 出目【6】を1個以上含んで成功した『近接攻撃』は全て『痛打+1』となる。
 また『攻撃集中』時には全ての『近接攻撃』に『回避ダイスダメージ1』が付与される。

『●ワザ:武装解除』:出目【6,6,5+】:
 この『近接攻撃』は『回避難易度+1』となり、命中した場合、
 対象が装備中の武器を強制的に除外し、ソージュンの隣接マスのいずれかにドロップする。

『◉ヒサツ・ワザ(ヘブンスルーキャノン)』:
 身を一瞬屈め、高く伸び上がりながら喉元をめがけ斜め上に拳を振り上げる暗黒カラテ技。
 使用する場合、顎への強烈な一撃により追加で2D3ダメージを与える(回避難易度:U-HARD)。
 さらに強烈な脳震盪により戦闘終了まで【ニューロン】と【ワザマエ】に2ダメージを与える。


エリア1:ゴットリーブの秘密拠点

オペレイシヨン・ミッドナイト・クライマックスなどで訪れる地下施設。PCは安全な場所ないしアシッドウルフの活動情報を求めてこの場所を訪れる可能性がある。この拠点の入口には新たに防衛網が敷設され、秘密施設としての特性を失う代わりに、メイライ社の重装兵士によって厳重に守られている。

ここを訪れただけでは戦闘にはならないが、(このシナリオが発生していた場合は必然的に)ビクターによる「PCの裏切り」の情報が伝わっているため、彼らに保護や協力を求めることはできなくなっている。

一方、この場所で戦闘が始まり、余計な注意を引く場合は戦闘するニンジャ全員に重金属弾を浴びせかけて迎撃しようとする。PCが防衛網を突破して入ろうとするなら、ロボニンジャなど主戦力が登場して酷い乱闘に発展する可能性が高い。

投降:1つの選択肢として、執行人を撃退ないし爆発四散させたうえで、メイライ社に投降することもできる。この場合、彼らは拘束されシナリオは即座に終了してしまうが、その事実はアシッドウルフへと伝わり、近いうちに地下施設で対峙することになる。

◆重装メイライ・トルーパー(種別:モータル)
カラテ     2  体力     4
ニューロン   2  精神力    2
ワザマエ    4  脚力     3
ジツ      -  万札     2
近接攻撃D:2、射撃D:8
◇装備やスキル
スキル :『◉タクティカル移動射撃』
装備  :『サイバーヘルメット(サイバーサングラス)』、『重金属弾』

『AAV-229アサルトライフル&レーザーサイト』:
 遠隔武器、小銃、ライフル、連射3、ダメージ1、射撃D+2
 
『重装型メイライ・タクティカルスーツ』:
 四重構造ケブラーとプロテクターで守られた重装パワードスーツ。
 【体力】+2、【脚力】+1。


エリア2:オムラ・インダストリ本社

モーターヤブなどの高火力兵器に護衛された本社ビル及び周辺区域。安全な場所ないし新たな分岐可能性を求めてこの場所を訪れる可能性がある。基本的にオムラ本社が管轄する区域に侵入しようとした時点で、警告なしの銃撃が発生し、さらにそれを押し通ろうとするならモータードクロやニンジャ戦力が投下される。

PCの選択肢として、『オペレイシヨン・ケイオス』などで接点のあるアルベルト・オムラやサイオコールにIRC経由で事前通達して便宜を図ってもらうという手もあるが、彼らに対する明確なメリットの提示や一定以上の関係性が求められる。

モーターヤブ銃撃:オムラの敷地内で戦闘する場合、毎ターン開始時、全キャラクターに「オムラ・マシンガン」によるD3ダメージが発生する(回避難易度:NORMAL)。3ターン以上この場での戦闘を求められる場合、これをさらに激化させる。

エリア3:墜落地点

ブレイン・ウォーフェアなどで訪れる航空戦艦の墜落地点。安全な場所ないしアシッドウルフの活動情報を求めてこの場所を訪れる可能性がある。現在ここにはアシッドウルフに乗っ取られたメイライ社の兵士が警備に配置され、トラックで搬入される資材を使って墜落した航空戦艦の修復作業が行われている。

ここでは"腕"のニンジャである「マテリアルアイズ」が陣頭指揮を取っており、マスペインらとの戦闘が発生した場合、彼の介入によって3ターン経過後に強制的に戦闘終了となる。彼はアシッドウルフからPCの抹殺指示は受けていないとして私刑執行人を追い返すも、PCを拘束しアシッドウルフへと突き出そうとする(先述の"投降"オプションを参照すること)。

彼を振り切って逃走する場合、メイライ社の兵士たちとマテリアライズとの戦闘になる。ここでは最低3ターンの戦闘を行う必要があり、これを切り抜けることができれば別のエリアへと脱出が可能だ。マテリアライズは持ち場を離れてまで彼らを追っては来ない。


◇NPCデータ:マテリアライズ

マテリアライズは電子戦争にも参加した経歴を持つ退役軍人である。基本的な銃撃戦のみならず、近距離でのCQB、ブービートラップの構築、長距離狙撃、部隊指揮など幅広い分野での軍事活動をこなす。

彼は主に鹵獲した軍事兵器の修復作業やモータル戦力の統率など裏方の任務に従事している。またアシッドウルフの任務をスナイパーとして遠距離から支援することが多く、基本的には単独活動中のアシッドウルフの陰には彼の存在があると考えても間違いではない。

「作戦行動を開始」「2分後に狙撃ポジションに到着」

◆マテリアルアイズ(種別:ニンジャ)
カラテ     9  体力     12
ニューロン   9  精神力    14
ワザマエ    7  脚力     5/N
ジツ      4  万札     -
近接D:12、射撃D:9(13)、回避D:15
◇装備やスキル
装備   :『ネオン装束(回避D+1)』、『重金属弾』
サイバネ :『▶クロームハート』、『▶サイバネアイ』、『▷全方位監視アイ』、『▶▶▶鷲の腕Lv3』
スキル  :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●マルチターゲット』、『時間差』
      『☆ムテキ・アティチュードLv3』、『◉頑強なる肉体』
      『◉シャープシューター』、『◉タクティカル移動射撃』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉タツジン:ミリタリーカラテ』

『★アメナガレ・ジツ』:
 一時的に身体を水銀めいた流体金属に変え、敵の攻撃を吸収・無効化するジツ。 
 『☆ムテキ・アティチュード』の効果中も難易度+1で『回避判定』が可能となる。
 ただし『火炎ダメージ』からは2倍のダメージを受け、さらに一切軽減することができなくなる。

『★◉流体剣生成』:
 ジツにより自身の両腕を一時的に変形させ、攻撃の瞬間だけ流体カタナを生成する。
 『素手』攻撃時、エンハンスにより『無属性ダメージボーナス+1』、『連続攻撃+1』を得る。

『AAV-229アサルトライフル&スコープ』:
 遠隔武器、小銃、ダメージ1、連射3、時間差可、攻撃集中時「射撃D+2」

『●スプリング地雷設置』:
 空中に飛び上がり散弾を撒き散らす対人地雷を設置する。
 隣接マスに敵が居らず、自身が「攻撃集中」を行った場合、自動的に設置されたと見做す。
 次の手番までの間、このキャラへ最初に「近接攻撃」を繰り出した敵に次のダメージを与える。
 >ダメージ1、回避難易度HARD、命中した場合「崩れ状態」とする。
NMは状況に応じて、彼が持つ武器を別の銃器に変更しても構わない。
いずれの場合でも、それはカスタマイズされ通常品より1段階強力になっている。


エリア4:オナタカミ社近郊

オペレイシヨン・ケイオス』などで訪れるオナタカミ社本社要塞の周辺地域。かつての戦闘の余波で荒廃しており、遮蔽物こそ多いが潜伏できるような建物はそう多くない。

アマクダリのエージェントが迎撃に出現する可能性がある。

エリア5:オナタカミ兵器実験場

オペレイシヨン・クロスボウ』などで訪れるオナタカミ社の戦闘実験区画。ここでは引き続きドラグーンや新型のキュライジアーなどの戦闘実験が行われており、かつてのPCの襲撃を契機に防備もさらに厳重になってしまっている。

オナタカミ社のロボニンジャや、アマクダリのエージェントが迎撃に出現する可能性がある。

エリア6:カスミガセキ・ジグラット

君たちは追手を振り切り、ある意味彼らの意表を突いて……と言うべきか、ジグラットへと向かった。目的は彼らを放ったSPバッジの男。何らかの情報が得られないかと踏んだのだ。

そしてその思惑は、意外な方向で果たされることになる。

君たちがジグラットへと向かうルートのさなか、その家紋タクシーは重金属酸性雨が激しく打ち付ける路上に停車していた。その正面に、3人のニンジャが立ちふさがっていたからだ。「ドーモ、ルーンサージです」「シーウルフです」「インシデントニストです」「よもやセクトに楯突いて、いつまでも無事に居られると思ったか?」

カメヤマのSPバッジを目視していた場合、PCはこの行き先を思いつく。カメヤマの家紋タクシーは待ち伏せをしていたアマクダリの暗殺ニンジャの襲撃を受け、PCは彼のジツの性質を事前に知ることができる。

ここで執行人の2人を爆発四散させた場合、あるいは既に撃退していた場合のみ、後述のカメヤマとのイベントが即座に発生する。


エリア7:旧世紀軍事基地|磁気嵐の荒野

アクセルカタナのフロッピーディスクを解析済みか、アシッドウルフに同行して既にこの場所を訪れている場合のみ、PCはこの行き先を思いつく。ただし、ここに辿り着くには相当な長距離を移動する必要があり、NMは必要に応じて新幹線や荒野を踏破するシーンを挿入する。

この荒野に隠された基地にはデシグネーションとミスクリエイテッドが居り、ペケロッパと作業を行っている。基本的には『墜落地点』と同様の展開になる(執行人は生きて帰ることはできない)が、事前にミスクリエイテッドとIRC情報を交換しコネクションを持っていた場合、別の場所へと匿ってもらえる可能性がある。


"鷲の腕"はエメツ技術とジツが融合した超精密なサイバネ腕だ

シーン4:逃走劇の終幕

執行人2人の撃退に成功するか、特定の条件を満たすことで、逃走シーンを半ば強制的にインタラプトする次のようなイベントが発生する可能性がある。

カメヤマの正体

「ハハハ!マジか!あの2人でもたいして相手にならないかァ」姿を現した君たちを見て、待ち構えていたニンジャがミシリとアスファルトに悲鳴をあげさせながら一歩踏み出した。

PCが敵の意表を突いて、情報を得ようとジグラットを目指した場合、あるいは早期に執行人を始末した場合、移動の道中でカメヤマに待ち伏せなどの形で遭遇してしまうことになる。

カメヤマはこの時点で既にPCを始末する気はなくなっており、アシッドウルフへの一手として、彼らが掴んでいる情報を可能な限り引き出そうとしてくる。あるいは、NMの選択によっては小手調べとして数ターンの戦闘を強制される可能性もある。

ひと通りの駆け引きが終わると、カメヤマは唐突に興味を失い、クリプトと共に家紋タクシーでその場を去ってしまう。

TIPS:PCとドラゴングラスは互いに対峙したとき、その滑らかな動作のサイバネ腕を互いに認め、同じ"腕"のニンジャであることへすぐに気がつく。あるいはそれは、アシッドウルフのジツを媒介する首輪のようなもので、彼らはそこに残るジツの痕跡を見ているのかもしれない。

ビクターの再介入

シーン2の冒頭でも述べられているように、『コールドフィート』においてビクターが生存していた場合、彼はカメヤマと合流し再びこのシナリオに再登場する。

彼が再登場するタイミングは、PCがアシッドウルフに関連したエリアへと移動しようとした際、あるいは「カメヤマの正体」イベントが発生する際であり、本来の行き先で発生するイベントをインタラプトする形でこれは起こる。

執行人を始末する前にこれが発生した場合、PCはドラゴングラス、ビクター、マスペイン、ソージュンの4人を相手取る非常に不利な状況で彼らと対峙することになってしまう(クリプトはその場に居ない)。戦闘が発生する場合、傭兵ニンジャ2人とビクターの爆発四散がシナリオのクリア条件となる(「カメヤマの正体」イベントへとそのまま繋がる)。


結末:再びネオンの海へ

追っ手は潰えた。未知の"腕"のニンジャの存在を知った。"ボス"の思惑……あるいはそれに近い何かを知った。だが、まだ結論は出ない。
次はただ、その事実を君たちが誰かにぶつける番だった。

追手の撃退に成功するか、何らかの形でアシッドウルフ側との連絡手段を確立した時点で、このシナリオは終了となる。(大抵の場合)再びネオサイタマに放り出されるPCたちは、この後に安全な場所を自力で見つけて潜伏することを強いられてしまうが、その後に何が起こるのかはこのシナリオ中では語られない。

物語の分岐について

このシナリオにおいても、PCの決断や行動に応じて、幾つかのストーリーないし要素の分岐が発生する構造となっている。

失われた帰り道:PCはフィルギアともビクターとも行動をともにせず、そのままネオサイタマの闇に潜伏することに決めた。フィルギアと最低限の協力体制にあれば、少なくとも分断された仲間たちの位置は突き止められる。そうでなければ、アマクダリかアシッドウルフが彼らの居場所を突き止めることになるだろう。

分岐可能性√
*アシッドウルフ・ルート
*第三勢力ルート

過去との和解:PCはフィルギアからもたらされた情報により、クレイニアムを信用することを決断した。無事にクレイニアムと合流できた場合、彼女と行動をともにして、秘匿されていた真実を明らかにしてゆくことになる。

分岐可能性√
*クレイニアム・ルート
*第三勢力ルート

汝に啓示を与えん:PCは過去を知るフィルギアを信用することを決断し、これ以降はサークル・シマナガシと行動を共にすることになる。彼らはフィルギアの導きにより、全ての始まりであるアシッドウルフとの決着を付けるという目的を見出す。間接的にニンジャスレイヤーやナンシーなどの反抗勢力とも繋がり、PCがもたらす情報を元に小規模な反攻作戦が始まる。

分岐可能性√
*第三勢力ルート(フィルギア・ルート)
*アシッドウルフ・ルート

これからよろしく:PCは再び現れたビクターの誘いに乗り、その陰謀に絡め取られてしまった。表向きはアシッドウルフに従いつつ、ビクターのタイジン奴隷として反乱計画に加担させられてしまう。

分岐可能性√
*第三勢力ルート(ビクター・ルート)
*アシッドウルフ・ルート


◇報酬(PC1人あたり)

基本報酬:20万札

※爆発四散させたキャラクターの所持万札は除く。
 また余暇は与えられないが、ブラックマーケットで買い物を行うことはできる。


補足コメント

シナリオタイトルの由来となったのは、ジークムント・フロイトが1913年に執筆した「トーテムとタブー(Totem and Taboo)」という、半ばこじつけのような文化論が綴られた書籍です。この論説は精神分析学的な観点から、未開民族の心理と強迫神経症者の心理の共通点を、"タブー"という要素で指摘する内容となっています。

このシナリオにおいては、まず「トーテム=情報を与えPCを導くフィルギア」、「タブー=知ってはいけない秘密主義」とタイトル中のキーワードが物語中の出来事と単純に結びつけられています。しかし物語の背景や実態を「トーテムとタブー」に照らし合わせると、次のようにPCの正体に関する示唆を掘り起こすことができるような構造ともなっていました。

*トーテム=オオカミ=アシッドウルフあるいは"鷲"。
*PCは、その"トーテム"を崇拝対象とするトーテミズムを持ち合わせた集団であり、外界から隔離され、多数のタブーを抱えている。
 ▶強迫神経症者と同類の心理学的条件を満たしている。
 ▶逆説的に、なんらかの精神的な疾患・成因を抱えているとも言える。
 ▶"洗脳"疑惑は真実?


物語としては、ようやくCIAの名前と関与が明らかになりますが、この名称の登場は初期プロットの段階から用意されていたもので、(アメリカの国鳥が"ハクトウワシ"なので当然なのですが)CIA や アメリカ宇宙コマンド(旧アメリカ宇宙軍)など、限られた組織の紋章においてのみ『鷲が天に配置されている』という特徴から〈鷲の一族〉との関連性に着想を得た「ニンジャ真実」ネタのひとつでした。
 例えばニンジャスレイヤーにおける歴史において「ジョン・F・ケネディ暗殺事件」にはニンジャによる暗殺の可能性が示唆されていますが、同時にCIA長官アレンとケネディ大統領の対立的な関係は知られていた(アレンはケネディにより退任にさせられた)ことであり、少なくとも『フォールス・ウインター』では〈鷲の一族〉の超法的な後ろ盾を得ていたアレンとCIAが関与していたことが疑われます。

この荒唐無稽なニンジャ陰謀論をプレイヤーに突きつけられるのも、このシナリオの醍醐味でしょう。

一方で、本シナリオの実卓プレイと同じタイミングで【プロメテウス・アレイ】の連載が進んでいたこともあり、マスターの視点では、CIAに関するニンジャ真実が先に明かされてしまうのではとヒヤヒヤしながら構成を調整させられていたという背景もありました。

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