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【NJRPG-2ND/シナリオ】フォールス・ウインター#8-A:コールドフィート√A

あらすじ:扇動工作により、ニンジャおよび企業間抗争が激化するネオサイタマ。その行く末を監視する鷲のニンジャたちに、ソウカイヤの魔の手が迫る。予想外にも過去と対峙するそのとき、彼らは選択を迫られる。

これは「ニンジャスレイヤーTRPG2版」のシステムに対応した、「鷲のニンジャ」がテーマのキャンペーン『フォールス・ウインター』の第8話に該当するサンプルシナリオ記事です。

なお第8話においては、チームが分断され、全く異なる展開をプレイすることになるため、ルートごとに別々のシナリオ記事として公開されます。この記事は第8話のAルートに該当します。

プレイ人数:2~3名
所要時間:8~12時間(オンラインセッション/テキストセッション)
難易度:キャンペーン専用のルールで作成後、7~8シナリオを踏破した程度の強さのPCを想定(成長の壁(1)をそれぞれ2~3つずつ超えている。ジツを2倍でカウントして、能力値合計25~30程度)

キャンペーン全体の背景設定やルート分岐の調整方法などは、別途CPセッティング記事も参考にしてください。

※各ゲーム要素はニンジャスレイヤーTRPG初版で行ったキャンペーン実卓を元に、2版向けへコンバートされたものです。ゲームバランスは現行環境やプレイヤーキャラクターに合わせて都度調整することを推奨します。

関連記事はこちらのマガジンから。

◇本文中に登場する略称
NM:ニンジャマスター    → ゲームの進行役。描写などを行う。
PL:プレイヤー       → ゲームの参加者。PCを操作する。
PC:プレイヤーキャラクター → ゲーム内の主人公。メインキャラ。

前シナリオ

別ルートのシナリオ


はじめに

このシナリオは『オペレイシヨン・スターゲイト』や『オペレイシヨン・ミッドナイト・クライマックス』で示唆される、プレイヤーキャラクターたちの曖昧な過去とソウカイヤのクレイニアムとの関係性について、彼らが探究心や好奇心を示していた場合に発生することを想定している。あるいは、プレイヤーが自主的にクレイニアムや過去についての調査を申し出てきた場合も、このシナリオに準じたストーリーが展開されるものとして扱う。

彼らが過去に興味を示さなかった場合、あるいはアシッドウルフに従順に従うことに何の疑念も抱かない場合、これは『オペレイシヨン・コールドフィート』というタイトルのシナリオに置き換わり、アマクダリの妨害やサルベージ任務といった全く異なる平凡な内容でプレイすることになる(ただし、キャンペーン全体における、他のルートへの分岐は絶望的になる)。


『コールドフィート』の重要なポイントは、情報制限を受けていたPCが、アシッドウルフ以外のキャラクターから明確に「PCに関する過去の情報を聞くことができる」ということだ。ただしそれが真実かどうかは相変わらず分からないし、実際に過去のPCの身に何が起こったのかはNMからPLへ語るべきではない。ここで得られる情報を踏まえて、最終的に彼らがどういった決断を下すのかによってキャンペーン全体の物語の大分岐が発生する。


マップデータ

このシナリオで使用するマップデータはGoogle スプレッドシートで作成されています。下記からローカルにダウンロードするか、ご自身のアカウントにコピーを作成してGoogle スプレッドシート上で使用してください。


導入(各ルート共通)

ネオサイタマで繰り広げられるソウカイヤとザイバツの暗闘。そして不気味なほど静かなアマクダリ・セクト。その全ての動向に目を光らせるべく、君たちは最早ルーチンワークと化した、この混沌の街の監視についていた。

知ってか、知らずしてか、収集される情報の尽くはネオサイタマにおけるホットスポットや、ソウカイヤ、ザイバツの拠点の特定に利用されている。下界を見下ろす君たちの視線の先でもまた、ひとつのホットスポットで壮絶なイクサが繰り広げられていた……。

このシナリオはアシッドウルフに下される具体的な任務を遂行するというものではなく、単純に平時の作戦行動として、ネオサイタマの情勢に関する諜報を行っている際、突発的インシデントにPCが巻き込まれる偶発的な物語となる。

彼らは日常化したルーティンとして、激化するソウカイヤとザイバツの抗争を監視するうち、その戦闘の余波やシックスゲイツが仕掛けた罠に巻き込まれる形で、予想もしなかった情報を得ることになる。

TIPS:彼らの集積した情報は、ネオサイタマにおけるイクサのホットスポットやウィークポイント、あるいはソウカイヤ、ザイバツ、アマクダリの拠点の特定に利用されている。

このシナリオ時点で、既にPCはひとりひとりが強力なニンジャ戦力に成長している筈だが、前述の理由から各地にソウカイヤ戦力が展開しているため、リスクヘッジとして彼らには最低でもツーマンセルの行動を取ることを求められている。

『コールドフィート』において、NNはPLにチームを2~3人のグループに別れさせ、片方を『√A』に、もう片方を『√B』に配置し、別々のシナリオをプレイさせる。このシナリオ記事は『√A(Aルート)』に配置されたPC向けの内容である。

Aルートにおいて、PCチームはソウカイヤのクレイニアムの罠にかけられる。飲み屋街に誘い出されるPCは、自身が過去の上官であると主張するクレイニアムと対峙し、曖昧な記憶を彼女の言葉と突き合わせることになる。

一方、信用できない監視者ビクターもその場に現れ、PCはBルートよりも遥かに明確に、誰の言葉を信用するのか決断する必要を迫られる。


プロローグ

NMはシナリオ開始より前に、次のようなショートエピソードを開示し、シナリオの背景で起こっている出来事を描く。『オペレイシヨン・スターゲイト』でも登場するソウカイ・シックスゲイツのニンジャ、クレイニアムは連携しているスカウト部門のソニックブームと親交が深く、組織にも報告していない情報と秘密の計画を彼に明かしている。

かつてアシッドウルフの活動の一端をも嗅ぎつけた第六感的嗅覚により、彼女は「鷲のニンジャ」と化したプレイヤーキャラクターを追跡し、対峙しようと考えている。

【とあるモデストなスシ屋|クレイニアムとソニックブーム】
「テメエ、ラオモト=サンの御前まで引きずり出されておいて、本気でこれを報告しねぇつもりか」ソニックブームは目の前のスシに手もつけず、差し出されたIRC端末の画面に難しい表情を向ける。

「だから、そうだって言ってるんだよ」その向かいでクレイニアムがケモビールのジョッキを空にした。両者のアトモスフィアは対極的であった。「これが、先延ばしにしてまで黙っているような情報か、エエッ?」
「うるせぇな。スシ食いな」


「……」ソニックブームはチャを啜り、同席するもうひとりのシックスゲイツの言葉を待つ。

「ヤクザ式とか軍隊式がッてのはどうでもいい。けど、勘違いするなよ」イナリ・スシを食べると、クレイニアムは決断的なジェスチュアでソニックブームを箸で指した「ナメたマネをしてくれた奴は誰だろうとタダじゃあ済まさない」。その仕草に、ソニックブームはやや顔をしかめた。

「つまり、なんだ。テメェには何か考えがあるってことで良いんだろうな」

「勿論。ソウル痕跡は、覚えた」「その後は」

「やることはアンタとおんなじさ。とりあえず、見つけて、叩きのめす」「……フン」「ま、仮説を確かめるだけさ」「ダマでな」

「アンタには話したじゃないか」「……」
「今度こそ、チョロチョロ煩わしい奴の尻尾を踏みつけてやる」


シーン1:予想外の目撃者(Aルート)

その時、君は背後で身じろぎする何者かの気配を感じ取った。振り向けば、そこには身を翻す四眼ノクトメンポのニンジャ!密かに君たちの跡をつけていたのだ……!

Aルートのシナリオには極力人数が少ないグループを割り当てる。このシーンでは諜報を行っていたPCたちが、所属不明の斥候ニンジャに姿を目撃されるというハプニングイベントが発生する。

そのニンジャは付かず離れずの距離を保ちながら、(彼らがそれに気がつくかどうかは別として)PCに自身を追いかけさせようとする。一方のPCは、ソウカイヤの増援を避けるか情報漏えいを防ぐため、「ニンジャを始末しに追いかける」「即座にその場から離れる」かを選択しなくてはならない。もっとも、どちらを選択しても状況はそれほど変らない。


◇NPCデータ:シェードテイカー

四眼ノクトメンポを装着したミリタリーニンジャ。かつて電子戦争で暗躍したニンジャ工作員。クレイニアムの部下の1人であり、ニンジャソウル痕跡のトレース能力を用いて敵を追跡する。

「作戦開始だ。ムバー!」「リタンファイア!サプレッシン!」

◆シェードテイカー(種別:ニンジャ)
カラテ     1  体力     6
ニューロン   8  精神力    8
ワザマエ    8  脚力     7
ジツ      0  万札     10
近接攻撃D:1、射撃D:10、回避D:10
◇装備やスキル
装備  :『近代的タクティカルニンジャ装束一式』
     『タツジン・オノミチx2』、『マシンガン』
サイバネ:『▶ヒキャク』
スキル :『◉◉戦闘系ソウルの力』、『◉◉タツジン:ミリタリー・カラテ』
     『◉頑強なる肉体』、『◉◉タツジン:ジュージツ』、『◉常人の三倍の脚力』


選択肢1:その場を離れる/飽和クローンヤクザ射撃(判定イベント)

「ザッ!」「ケンナ!」「コラーッ!!!」突如として屋上にクローンヤクザ部隊展開!それだけではない、君たちが行く先……路地裏、屋上、室内、あらゆる場所から伏兵クローンヤクザが現れ銃撃を浴びせてくる!

PCがその場を離れようとした場合、密かに展開されていたクローンヤクザ部隊が逃走ルートの先々に現れ襲撃してくる。これは先の偵察ニンジャ、シェードテイカーがクレイニアムの指示によって配置したもので、PCの行動ルートを制限しながら特定の場所まで誘導することを意図されている。

◆クローンヤクザY-12型 (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ)
カラテ     2   体力     1
ニューロン   2   精神力    1
ワザマエ    3   脚力     2
ジツ      -   万札     0
近接攻撃D:2、射撃D:3
◇装備や特記事項
 チャカ・ガン:遠隔武器、連射1、ダメージ1


◇襲い来るクローンヤクザ包囲網(ミニゲーム・ルール)

このシーンにおいてPCはビルからビルへと飛び移るなどして逃走しながら、襲い来るクローンヤクザに対処しなくてはならない。これは簡略化された戦闘として、次のルールに従って処理する。

1:毎ターン、10体のクローンヤクザY-12型が追加でPOPする。

2:各PCは自身の手番で「近接攻撃判定/射撃判定/発動判定」のいずれかを選択し、難易度NORMALで判定する。判定に成功した場合、その出目に応じた数のクローンヤクザを倒すことができる。ただし、2ターン連続で同じ判定を選ぶことはできない。

判定に成功       :1体
出目【6で成功    :2体
出目6,6で成功  :4体
出目【6,6,6で成功:5体

3:この判定は、ダイスを分割して複数回行っても良い。分割の上限はそれぞれ「連続攻撃X/連射X/ニューロンの壁突破数」に依存する。例外的に、「●マルチターゲット」を持つ射撃武器やジツを有している場合、理論上の最大攻撃可能人数分が分割数の上限となる。

4:出目に応じたクローンヤクザの殺害数は、分割した判定ごとにカウントされる。(例:「●連続攻撃2」を持つPCが攻撃ダイスを4,4に分割してカラテで攻撃する。ロール結果は【1,2,5,5と【3,6,5,5
だったので、この攻撃で倒した敵の数は1+4=5体となる。)

5:全てのPCが攻撃判定を行った後、生き残ったクローンヤクザはなるべく均等に攻撃対象をバラけさせ射撃を行う。この一連の判定は合計で3セット(≒3ターン)繰り返される。


選択肢2:ニンジャを追いかける/シックスゲイツの罠(判定イベント)

「……やれッ!」四眼ノクトメンポ(訳注:暗視ゴーグル付きメンポのことか)のニンジャが壁を蹴り、跳躍しながらIRCコマンドを飛ばす。すると「「「「ザッケンナコラー!!!!」」」」ビルの屋上から、裏路地の影から、大量のクローンヤクザ部隊が出現する!待ち伏せだ!

ニンジャを追いかける場合、彼はPCに追いつかれない為にクローンヤクザ部隊を展開し適度な足留めを試みる。NMは『襲い来るクローンヤクザ包囲網』のルールに従ってこの包囲網からの脱出を処理するが、撤退しようとしたケースとは異なり、POP数は8体に減少し、代わりに毎ターン必ずシェードテイカーが射撃で攻撃を行ってくる。

これに対処する内に、PCたちはニンジャを追っているのか、包囲網に追い込まれているのか次第に分からなくなってしまうだろう。

◆クローンヤクザY-12型 (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ)
カラテ     2   体力     1
ニューロン   2   精神力    1
ワザマエ    3   脚力     2
ジツ      -   万札     0
近接攻撃D:2、射撃D:3
◇装備や特記事項
 チャカ・ガン:遠隔武器、連射1、ダメージ1



シーン2:うらぶれた飲み屋屋台街

退廃ホテル街を抜けた君たちは、うらぶれた飲み屋屋台街にさしかかる。編笠をかぶった客達、「そでん」「お肉」「ラード」といった屋号が書かれた屋台のノレン。この先へ行けば……この先に……この先に何が?君たちは足を止めた。

いずれのパターンでも、クローンヤクザ包囲網からの攻撃はどこかの段階でピタリと止まる。PCはいつの間にかうらぶれた飲み屋屋台街に迷い込んでいたことに気がつくだろう。しかしこれは先のニンジャによって誘い込まれた形であり、ここに到着した時点で彼の姿は見失ってしまう。先述のように彼はソウカイヤのニンジャであり、クレイニアムの命によって彼らをここに誘導したのだ。

モータルだらけのこの場所で、ニンジャソウルの痕跡を探す(あるいは警戒する)PCたちは、まずソバ屋台に危険なニンジャの存在を察知する。それはクレイニアムである。

彼女は当然ながらPCがここに誘き出されることを知っており、それを待ち構えている。PCが正体を知らずに近づいた、あるいはアンブッシュを仕掛けようとした時、ノレンからチャカの銃口が向けられ、それを牽制する。

IRC電波妨害:このシーンに突入した段階から、PCをステルス追跡していたビクター(詳細後述)は配下を用いてIRC通信の強烈なジャミングを開始している。そのため彼を倒さない限り、別行動中のチームやアシッドウルフと連絡をとって状況の共有や選択の相談をすることができない


クレイニアムの主張によると……

「ソイツは止めておいたほうが吉だな」アンブッシュの試みを静止するように、ノレンから突き出た銃口の奥から、低い女の声が響く。「今日は、ある仮説を確かめに来た。お互いに情報が得られる。損はない筈だ……座りな」

このシーンにおいて、クレイニアムは(とりあえずのところ)積極的にPCと事を構えようとはしない。彼女は手振りでPCを屋台に招き、座ることを確認すると勝手にスシ・ソバを人数分注文する。

PCがこの展開に対して比較的慎重に対処するなら、クレイニアムは「仮説を確かめに来た」と言って、初めて遭遇した際に叶わなかった、腰を据えた対話の機会を設けようとする。

クレイニアムとの会話:クレイニアムは死亡したと思われていた、かつての部下であるPCが、ソウカイヤを裏切ったのか、他の理由があるのか(つまり、何か事情があるのか、記憶喪失によるものではないのか)を会話で見極めようとしている。そのうえで、可能であれば彼らをソウカイヤに連れ戻すのが目的である。


PCとの対話のなかで、クレイニアムは次のような情報を語る。ただし、PCが明確に真実だとわかるのは『真のニンジャネーム』が正しいということだけで、他の情報については(『オペレイシヨン・ミッドナイト・クライマックス』の幻覚などを除けば)心当たりはない。

*クレイニアムの仮説:PCは記憶喪失状態であると考えている(これはクレイニアムの勘違いだ)。

*真のニンジャネーム:クレイニアムはPC全員が秘匿している真のニンジャネームをすべて知っている。

*情報:PCら全員はソウカイニンジャであり、クレイニアムの部下だった。ネオサイタマにおける正体不明の活動痕跡の調査に向かわせた後、PC全員のIRC通信が途絶えた。現場には[ PC合計人数+1 ]の爆発四散痕があり、ソウカイ・ネット上では相討ちによってPC全員が爆発四散したと記録されている。

キャンペーン全体におけるクレイニアムの役割については、CPセッティング記事も参照すること。

TIPS:キャンペーンの基本設定において、クレイニアムは将来性のある有望株としてPCたちに注目をしている。だからこそアシッドウルフの痕跡に気がついたとき、彼らの能力を信用して(そして手柄を立てさせてやろうと)斥候として送り出したわけだが、皮肉なことに彼らという人材は、同じく才能を見抜く"目"のあったアシッドウルフによって奪い去られることになった。


ビクターの乱入

クレイニアムの放った銃弾は空中で静止した。何者かが、手早くそれらを摘みとったかのように。そんな芸当が出来るものが居るとすれば……それはニンジャだ! 「素晴らしい直感だ。故に危険なのだが」

「コソコソ隠れやがってよ……コイツらの監視をしてたんだろ?出てきな」「私は弱いので、こうして隠れているんだ……」不可視の指が銃弾を弄ぶ「ドーモ、ビクターです。"鷲のニンジャ"の諸君。君たちは正しい判断をした……素晴らしい」

PCがクレイニアムと会話している間にも事態は変化しつつある。彼らを監視していたビクターがステルス状態の部下を大量に引き連れ、この飲み屋街に包囲網を形成しているのだ。NMはこの会話が一段落付きそうなタイミングで彼を出現させる。

最終的にPCと敵対したかどうかに関わらず、クレイニアムはいち早くこのステルス存在に気が付き、屋台の店主の横で聞き耳を立てているビクターに突然銃弾を浴びせかける。ビクターはこれを難なくつかみ取り、まるで宙に銃弾が浮いているような状況が生まれる。

ビクターの行動:ビクターはこの状況において、まだ積極的にイクサを仕掛けようとはしない。彼はPCが精神的な揺さぶりを受けている状況を把握しており、まずは彼らがアシッドウルフとクレイニアムのどちら側につくのかを見極めようとする。一方で彼はアシッドウルフを出し抜きたいと考えている潜在的な裏切り者であり、PCが動揺しているこの状況を利用して、彼らをタイジンの罠にかけタイジン奴隷に仕立て上げようと行動する。

彼の言動は主に次のようなパターンに分類される。

*敵対勢力と不用意に接触することを咎める。
*"ボス"の信頼を裏切る行為だと咎める。
*"ボス"への良い手土産になる、として共にシックスゲイツを殺害するよう呼び掛ける。
*何者であるのか知りたいならば、自分が力になると誘惑する。

この状況に対し、クレイニアムは一瞬でビクターの胡散臭さを見抜き『自分で何をしているのか理解して行動しているのか?』『コイツが信用できるという証拠は?』『監視される覚えでもあるのか?』とPCの葛藤を招くような言葉をぶつけた後、『アタシはコイツが胡散臭くて気に食わねぇ。とりあえずボコるから手を貸しな!』とPCへ協力してビクターを倒すよう呼びかける。

キャンペーン全体におけるビクターの役割については、CPセッティング記事も参照すること。



ストーリー分岐

ここで『ビクター』と『クレイニアム』のどちらの手を取るかによって、キャンペーン全体のストーリー分岐が大きく傾く。NMはPLに対してその事実を伝えた上で、慎重に検討させること。

より具体的には「どちらの味方をしたのか」と「戦闘後にどう行動したのか(誰を爆発四散させたのか)」によってルートの選択肢が閉ざされる形になる。

ビクターの手を取る:アシッドウルフ・ルートに移行する可能性が高くなり、クレイニアム・ルートへの移行が難しくなる。PCがウカツな場合、ビクター・ルートへと転落する可能性もある。
 最終的にクレイニアムを爆発四散させるかどうか、またビクターの誘いを拒絶するかどうかによってもルート分岐が発生する。

クレイニアムの手を取る:クレイニアム・ルートに移行する可能性が高くなり、アシッドウルフ・ルートへの移行が難しくなる。
  最終的にビクターを爆発四散させるかどうか、またクレイニアムの誘いを拒絶するかどうかによってもルート分岐が発生する。

*片方に協力しながらも、敵対したボスを爆発四散させない(生存させる)という選択肢もある。加えて、片方のボスを倒した後、誘いを拒絶してもう片方のボスと戦闘になる可能性もあり得る。
◆選択に応じた、大まかなルート分岐の比重変化(参考)

最初の戦闘でビクターに協力する   : アシッドウルフ・ルート++、ビクター・ルート+
                    クレイニアム・ルート--

最初の戦闘でクレイニアムに協力する : アシッドウルフ・ルート--、ビクター・ルート-
                    クレイニアム・ルート--

クレイニアムを爆発四散させる    : アシッドウルフ・ルート++、ビクター・ルート++
                    クレイニアム・ルート消滅

ビクターを爆発四散させる      : アシッドウルフ・ルート-、ビクター・ルート消滅
                    クレイニアム・ルート++


◇その他の分岐可能性について

『フォールス・ウインター』キャンペーンでは、物語の最終的な決着に向けたルート分岐が複数存在しており、このシーンの後も選択を迫られる場面が登場する。NMはその旨を伝えた上で、(機械的に処理するのではなく)PLの要望を聞きながらルート選択をさせる。

1:アシッドウルフ・ルート:PCは『鷲のニンジャ』であることを受け入れ、ボスと共に大いなる何かを成し遂げようとする。「ビクターの味方をし、その後もボスに従う」場合、もしくは「ビクターとクレイニアムの両方との因縁を断ち切りボスの元に戻る」などした場合はこちらに分岐する。

2:クレイニアム・ルート:PCはクレイニアムの言葉を真実と受け入れ、自分たちを操っていたアシッドウルフへの怒りからか、その野望を打ち砕こうとする。「クレイニアムの味方をし、その後も彼女と共に行動する」場合、もしくは「クレイニアムを撃破したのちビクターを倒してクレイニアムと再接触する」などした場合はこちらに分岐する(クレイニアムが爆発四散した場合、このルートに分岐することはない)。

3:アマクダリ・セクト・ルート:PCは虚実入り混じった現状に答えを出せなかった。しかし『鷲のニンジャ』として定義された己を受け入れるのではなく、自ら手を取って真の『鷲のニンジャ』となることを選択する。「クレイニアム・ルートに分岐しておらず」、かつ後のシナリオで「ハタモトと接触したタイミングで誘いを受け入れる」場合はこちらに分岐する(分岐タイミングはこの1度だけしかない)。

4:第三勢力ルート:PCは虚実入り混じった現状に答えを出せなかった。
アシッドウルフを拒絶し、しかし他の勢力にも大手を振って加担できない混乱したアイデンティティを持つPCたちは、組織に属さない者達と手を組み、自らの意志でアシッドウルフの計画そしてMKウルトラとの決着を付けようとする。

ビクターのタイジン奴隷となってしまう『ビクター・ルート』もここに含まれる。

他の第三勢力ルートへの分岐などについては、CPセッティング記事も参照すること。


シーン3-A:襲い来るタイジン奴隷(VSビクター√)

「君は選択を誤った。報いを受けてもらう!」ドウメキ・ステルスニンジャスーツがビクターの姿をヘキサゴン状のポリゴンノイズに分解する。

しかして彼が姿を消すと同時に、周囲の物陰からはステルス隠匿状態にあった複数のニンジャたちが次々と姿を表し始めた!伏兵だ!

ビクターと敵対する選択肢を選んだ場合、彼のタイジン・ジツによって支配されたソウカイニンジャたちがステルス状態を解除し、一斉に襲いかかってくる。

幸いにもここで登場するのは精神力の弱いサンシタたちだけだが、その数は8人であり、PCたちとクレイニアムはサンシタを強化しているビクターを含めて9人ものニンジャを相手取る必要がある。

マップ上の全ての敵対NPCを排除すると次のシーンへと移行する。

◇足留め(オプション)
NMはこのシーンにおいて、クレイニアムを実際の戦闘処理には参加させず、ランダムな敵ニンジャ(ビクターを除く)を2体相手取るものとして両者をマップから除外しても構わない。当然ながらクレイニアムが圧勝するため、除外された敵ニンジャは戦闘終了時に爆発四散する。

◇ソニックブームの出現(オプション)
クレイニアムを加えてもPCが明らかに劣勢な場合、NMはさらにソニックブームを味方としてPOPさせても構わない。当然ながらソニックブームにも「足留め」オプションを適用でき、クレイニアムとソニックブームに当該オプションを採用した場合、PCは敵ニンジャ4人+ビクターを相手取ることになる。



◇NPCデータ:ビクター

ビクターは「タイジン奴隷」と呼ばれる、彼のタイジン・ジツによって縛り付けたソウカイヤのサンシタニンジャを配下としてPCらにけしかけて来る。

彼は配下のニンジャが1体以下になり、マップ上の敵対キャラから集中攻撃を受けるような状況になった場合、あるいは本来爆発四散するような状況に陥ったとき、ステルス・ジツによって即座にその場から離脱する(生殺与奪の判断は次のシーンへと持ち越される)。

◆ビクター(種別:ニンジャ)
カラテ     8   体力     11
ニューロン   8   精神力    12
ワザマエ    7   脚力     4
ジツ      4   万札     25
近接攻撃D:8、射撃D:13、回避D:10
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉剛力(出目【6】含む近接攻撃は『痛打+1』)』、『◉挑発』
      『◉ニューロン・ブースト』、『◉翻弄』、『◉◉グレーター級ソウルの力』

『**ドウメキ・ステルスニンジャスーツ**』:
 全身に大量の『▶サイバネアイ』めいた装置が埋め込まれたハイテック光学迷彩スーツ。

 ・【ワザマエ】判定ダイス+4、射撃ダイス+2個、回避ダイス+2個。
 ・手番終了フェイズにおいて、自動的に『☆ステルス・ジツLv3』が発動する(コストなし)。
 ・ステルス状態の使用者によるあらゆる攻撃は「回避難易度+1」となる。

『●全身義体』:
 全身を医療用サイバネで置換しており、痛覚を完全に遮断することができる。
 このキャラは『◉痛覚遮断』を取得しているものとみなされる。

『☆タイジン・ジツ』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費し、瞬時行動として発動する(難易度NORMAL)。
  発動した場合、射線の通る敵1体を術者の次の手番開始時まで『不覚状態』とする。
  相手はこれを望まない場合、回避判定を行う(HARD)。

『★センド・ジツ』:
  この戦闘では使用しない。


◇NPCデータ:ビーハイヴ(タイジン奴隷)

このニンジャは『ビクター』のタイジン・ジツにより縛られており、彼の手駒として活動している。

◆ビーハイヴ(種別:ニンジャ/タイジン奴隷)
カラテ     2   体力     4
ニューロン   1   精神力    1
ワザマエ    3   脚力     5(6)/E
ジツ      0   万札     5
近接攻撃D:2(4)、射撃D:3(5)、回避D:3(5)
◇装備やスキル
 スキル :『◉常人の三倍の脚力』、『◉頑強なる肉体』、『◉ダッシュ移動』
 サイバネ:『▶ヒキャク』、『▷ローラーブレード』
 
 『オジギ・ガトリング』:
  遠隔武器、連射3、銃弾の雨2、ダメージ2、重火器
  ※ビーハイヴはこの武器を背中に懸架しているため、基本射撃難易度をNORMALとして扱う。

 『タイジン戦術式』:
  タイジン・ジツの契約に縛られ、肉体の許容値を超えるような行動をも強制されている。
  【脚力】+1、近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、回避ダイス+2


◇NPCデータ:アルバトロス(タイジン奴隷)

このニンジャは『ビクター』のタイジン・ジツにより縛られており、彼の手駒として活動している。

◆アルバトロス(種別:ニンジャ/タイジン奴隷)
カラテ     3   体力     3
ニューロン   2   精神力    2
ワザマエ    5   脚力     3(4)/N
ジツ      3   万札     5
近接攻撃D:3(5)、射撃D:5(7)、回避D:5(7)
◇装備やスキル
 スキル :なし
 装備  :『タケヤリ(カタナ)』
 
 『●移動スタイル:ヤリ・アンブッシュ』:
  【脚力】の2倍までの距離を即座に移動する(これは飛行移動とみなす)。
  移動先と隣接する敵1体は、この移動終了時に、自動的に1ダメージを受ける(回避HARD)。

 『☆上空退避/大跳躍』:
  特殊なスプリングを装着したゲタによる驚異的なジャンプ力で天空へと飛び上がる。
  攻撃フェイズに「その他の行動」として【ワザマエ】判定(難易度:NORMAL)で発動。
  
  発動に成功した場合、次の手番までアルバトロスは「遠隔攻撃」以外の攻撃対象にならない。
  「飛行移動」もしくは「連続側転」中のキャラは上記の制限を無視できる。

 『タイジン戦術式』:
  タイジン・ジツの契約に縛られ、肉体の許容値を超えるような行動をも強制されている。
  【脚力】+1、近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、回避ダイス+2


◇NPCデータ:テンカウント(タイジン奴隷)

このニンジャは『ビクター』のタイジン・ジツにより縛られており、彼の手駒として活動している。

◆テンカウント(種別:ニンジャ/タイジン奴隷)
カラテ     5   体力     5
ニューロン   4   精神力    5
ワザマエ    7   脚力     4(5)/N
ジツ      0   万札         5
近接攻撃D:5(7)、射撃D:7(9)、回避D:7(9)
◇装備やスキル
 スキル :『◉◉戦闘系ニンジャソウルの力』、『◉◉タツジン:ボックスカラテ』
      『◉特殊近接ステップ』、『◉不屈の精神』
 装備  :なし
 消耗品 :『ZBRアドレナリン注射器』

 『タイジン戦術式』:
  タイジン・ジツの契約に縛られ、肉体の許容値を超えるような行動をも強制されている。
  【脚力】+1、近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、回避ダイス+2


◇NPCデータ:ワイヤード(タイジン奴隷)

このニンジャは『ビクター』のタイジン・ジツにより縛られており、彼の手駒として活動している。

◆ワイヤード(種別:ニンジャ/タイジン奴隷)
カラテ     3   体力     6
ニューロン   4   精神力    6
ワザマエ    3   脚力     2(3)/N
ジツ      2   万札     5
近接攻撃D:3(5)、射撃D:3(5)、回避D:4(6)、発動D:9
◇装備やスキル
 スキル :『◉突撃』
 装備  :『特殊オーダーメイド・マグネット装束(体力+1)』
 サイバネ:『▶生体LAN端子Lv1』、『▶︎▶︎クロームハートLv2』、『▷ジツ支援サイバネ』

 『☆マグネ・ジツLv2』:
  【精神力】を1消費して回避判定の代わりに発動する(NORMAL)。
  次の手番開始フェイズまで遠隔攻撃に対する『ダメージ軽減1』に加えて『痛打+1無効化』を得る。
  ただし範囲攻撃は効果対象にならず、効果中は対象の遠隔攻撃を回避できなくなる。

  『●射撃スタイル:マグネ・スリケン』:
   直前のターンの『マグネ・ジツ』により射撃ダメージを1点でも軽減していた場合に使用可能。
   このスリケン射撃は『基礎ダメージ2』となる。

 『タイジン戦術式』:
  タイジン・ジツの契約に縛られ、肉体の許容値を超えるような行動をも強制されている。
  【脚力】+1、近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、回避ダイス+2


◇NPCデータ:ゼブラ(タイジン奴隷)

このニンジャは『ビクター』のタイジン・ジツにより縛られており、彼の手駒として活動している。

◆ゼブラ(種別:ニンジャ/タイジン奴隷)
カラテ     3   体力     3
ニューロン   3   精神力    3
ワザマエ    4   脚力     2(3)
ジツ      4   万札     5
近接攻撃D:3(5)、射撃D:4(6)、回避D:5(7)
◇装備やスキル
 装備  :『ゼブラ迷彩装束(回避ダイス+1)』、『迷彩ナイフ(アサシンダガー)』
 スキル :『◉特殊近接ステップ』、『☆◉忍び寄る刃』
      『☆ステルス・ジツ』、『★ステルス・アンブッシュ』

 『タイジン戦術式』:
  タイジン・ジツの契約に縛られ、肉体の許容値を超えるような行動をも強制されている。
  【脚力】+1、近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、回避ダイス+2


◇NPCデータ:ストーンゴーレム(タイジン奴隷)

このニンジャは『ビクター』のタイジン・ジツにより縛られており、彼の手駒として活動している。

◆ストーンゴーレム(種別:ニンジャ/タイジン奴隷)
カラテ     4   体力     4
ニューロン   3   精神力    3
ワザマエ    3   脚力     2(3)
ジツ      3   万札     5
近接攻撃D:4(6)、射撃D:3(5)、回避D:5(7)
◇装備やスキル
 装備  :『伝統的ニンジャ装束(回避ダイス+1)』
 スキル :『◉滅多打ち』、『☆ムテキ・アティチュード』
      『☆◉無機物化』、『☆◉レッサー・ムテキウェポン』

 『タイジン戦術式』:
  タイジン・ジツの契約に縛られ、肉体の許容値を超えるような行動をも強制されている。
  【脚力】+1、近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、回避ダイス+2


◇NPCデータ:バタフライ(タイジン奴隷)

このニンジャは『ビクター』のタイジン・ジツにより縛られており、彼の手駒として活動している。

◆バタフライ(種別:ニンジャ/タイジン奴隷)
カラテ     2   体力     2
ニューロン   4   精神力    4
ワザマエ    4   脚力     2(3)
ジツ      1   万札     5
近接攻撃D:2(4)、射撃D:4(6)、回避D:4(6)
◇装備やスキル
 スキル :『◉空中制動』

 『☆カラテ羽根生成』:
  手番開始時に【精神力】を1消費して発動(発動難易度:NORMAL)。
  成功した場合、戦闘終了時まで「飛行移動」が使用可能となる。
 
 『●鱗粉攻撃』:
  『☆カラテ羽根生成』の効果中、『●轢殺攻撃2』を得る。
  ただし発生するダメージは『毒属性ダメージ1』となる。

 『タイジン戦術式』:
  タイジン・ジツの契約に縛られ、肉体の許容値を超えるような行動をも強制されている。
  【脚力】+1、近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、回避ダイス+2


◇NPCデータ:クイックサンド(タイジン奴隷)

このニンジャは『ビクター』のタイジン・ジツにより縛られており、彼の手駒として活動している。

◆クイックサンド(種別:ニンジャ/タイジン奴隷)
カラテ     3   体力     3
ニューロン   3   精神力    3
ワザマエ    2   脚力     2(3)
ジツ      3   万札     5
近接攻撃D:3(5)、射撃D:2(4)、回避D:3(5)
◇装備やスキル
 スキル :『☆ドトン・ジツ』
 装備  :『ニンジャアックス(カタナ)』
 サイバネ:なし
 
『タイジン戦術式』:
 タイジン・ジツの契約に縛られ、肉体の許容値を超えるような行動をも強制されている。
 【脚力】+1、近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、回避ダイス+2


さらなる伏兵(オプション)

PC側の戦力が過剰な場合、さらに数体のニンジャをPOPさせる。下記はプリセットとして用意されたサンシタよりもやや強力なニンジャたちだが、NMは状況に応じてサンシタクラスのニンジャをその場で生成して使用しても構わない(ビクターのバフによって、サンシタクラスのニンジャでも一段回高い攻撃性能と回避性能を持つことには注意すること)。

またこれらのニンジャはPCがソニックブームやクレイニアムと敵対する場合のソウカイヤ側の増援として使うこともできる。

◇NPCデータ:ペイヴメント(タイジン奴隷)

このニンジャは『ビクター』のタイジン・ジツにより縛られており、彼の手駒として活動している。

◇ペイヴメント(種別:ニンジャ/タイジン奴隷)
カラテ     5   体力     5
ニューロン   3   精神力    3
ワザマエ    7   脚力     6
ジツ      0   万札     5
近接攻撃D:7、射撃D:11、回避D:10
◇装備やスキル
 スキル :『◉シャープシューター』、『◉◉タツジン:ユミ・ドー』
 装備  :『ナガユミ』、『ニンジャコート(回避D+1)』
 サイバネ:『▶サイバネアイ』

『マスタードガス・アロー』:
 【精神力】を1消費して使用。ナガユミで単発射撃(ダメージ1固定)し
 さらに着弾点を中心とした3x3に追加で「コリ・ジツLv3」のダメージを時間差で発生させる。
 
『タイジン戦術式』:
 タイジン・ジツの契約に縛られ、肉体の許容値を超えるような行動をも強制されている。
 【脚力】+1、近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、回避ダイス+2


◇NPCデータ:パラポネラ(タイジン奴隷)

このニンジャは『ビクター』のタイジン・ジツにより縛られており、彼の手駒として活動している。

◇パラポネラ(種別:ニンジャ/タイジン奴隷)
カラテ     6   体力     6
ニューロン   4   精神力    4
ワザマエ    5   脚力     5
ジツ      1   万札     5
近接攻撃D:9、射撃D:7、回避D:8
◇装備やスキル
 スキル :『◉ニンジャソウルの闇』、『◉邪悪なサディスト』
      『◉滅多打ち』、『◉常人の三倍の脚力』、『◉ニンジャアドレナリン強化』
 装備  :『マットグリーン装束(効果なし)』

『マンディブル・メンポ』:
 頭部防具かつ『近接攻撃ダイス+1』の『バイオ武器Lv1』とみなされる。

『☆ポイズンスピット・ジツ』:
 『マンディブル・メンポ』の攻撃が「回避」されたとき、【精神力】を1消費し
 【ワザマエ】判定(難易度:NORMAL)で発動。成功した場合、毒液吐きかけ攻撃により
 『毒ダメージ1』、『回避ダイスダメージ3』を与える(回避難易度:NORMAL)。

『タイジン戦術式』:
 タイジン・ジツの契約に縛られ、肉体の許容値を超えるような行動をも強制されている。
 【脚力】+1、近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、回避ダイス+2



シーン3-B:新たなるシックスゲイツ(VSクレイニアム√)

殺戮の号令を下そうとしていたビクターは、動きを止めて耳を澄ませた。「ズルズルッ!ズルズルーッ!」近くの屋台からだ。彼らはノレンの奥に二本の脚を見る。ということは、愚かにもこのニンジャ同士の戦闘下で逃げなかった者が一人いたという事だ。「ズルズルー!」

わざとらしいほどにうるさい音である。屋台のノレンには「オスシソバ」と極太ミンチョ書きされている。彼はニンジャを近くに知りながら逃げない不敵さを不快に思い、警戒した。

ノレンが翻り、その男は街灯の下に姿をさらした。それはニンジャだった。金糸入りのニンジャ装束。シャープかつ威圧的なメンポ。

「ドーモ、ソニックブームです。おちおち食事もできねぇな、この街は」

クレイニアムと敵対する選択肢を選んだ場合、近くの屋台からソニックブームが出現する(彼は独断専行したクレイニアムが失態を犯し、ラオモトの顔に泥を塗らないよう、密かに後をつけていたのだ)。
 基本的にビクターは先述の「タイジン奴隷」を4体POPさせ、5人がかりでソニックブームの相手をする。これにより、ソニックブームと5人のニンジャはマップから除外される。

NMが望むならば、ソニックブームを除外せずに通常の戦闘としてシックスゲイツ2人とPCを戦わせても構わない。

いずれの場合でも、マップ上の全ての敵対NPCを排除すると次のシーンへと移行する。

◆ソニックブーム (種別:ニンジャ)
カラテ    12    体力   17
ニューロン  6     精神力  12
ワザマエ   10    脚力   6/N
ジツ     5     万札   50

攻撃/射撃/機先/電脳  12/10/6/6
回避/精密/側転/発動  12/10/10/-


◇装備や特記事項
 『●連続攻撃2』、『●連射2』、『◉忠誠心:ソウカイヤ』、『★◉◉ソニックカラテ衝撃波』

 『★◉◉ソニックカラテ衝撃波』:
 手番攻撃フェイズ開始時に【体力】か【精神力】を1消費し、以下の戦闘スタイルを使用できる:

  射撃用の『戦闘スタイル』として使用:
   ・ソニックカラテ衝撃波(連発):連射5、ダメージ2
   ・ソニックカラテ衝撃波(収束):連射2、ダメージ3、時間差	
   ・ソニックカラテ衝撃波(乱打):連射10、ダメージ1

  素手攻撃用の『戦闘スタイル』として使用:
   『近接攻撃』に『痛打+1』と『リーチ+2』を得る。ただし、隣接している敵に対しては攻撃不能。


◇NPCデータ:クレイニアム

クレイニアムは『オペレイシヨン・スターゲイト』で登場した際よりも、遥かに容赦なく、しかし慎重にイクサ運びをする。NMは『★カトン・パンチ』を付与したボックスカラテを主体に立ち回らせ、要所で『★◉特殊カトン・ジツ』による強力な戦闘スタイルを織り交ぜると良いだろう。

クレイニアムは物語上、分岐に関わる非常に重要なキャラクターであるため、本来爆発四散するような状況に陥ったときでも、単に行動不能状態となりマップから除外される(生殺与奪の判断は次のシーンへと持ち越される)。

◆クレイニアム (種別:ニンジャ)
カラテ     12   体力     19
ニューロン   8   精神力    9
ワザマエ    7   脚力     6
ジツ      5   万札     50
近接攻撃D:14(15)、射撃D:9、回避D:14、緊急回避D:9
◇装備や特記事項
 装備 :『**ガスマスクメンポ&ミリタリー装束+2**(業物の近代的ニンジャ装束一式+2)』
 消耗品:『オーガニック・トロスシ』、『ZBRタバコ(効果なし)』
 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉特殊近接ステップ』、『◉◉タツジン:ボックスカラテ』
     『◉緊急ブリッジ回避』、『◉頑強なる肉体』、『◉防具習熟』
     『☆カトン・ジツLv3』、『★カトン・パンチ』

『★◉特殊カトン・ジツ』:
 カラテ打撃と同時に、拳の先に小爆発を生じさせる特殊なカトン・ジツ。
 攻撃フェイズ開始時、【精神力】Xを消費することで次の戦闘スタイルを使用できる。

 『●戦闘スタイル:捨て身の強打|強打』:精神力コスト1
  この攻撃は『エンハンス不可』となるが、判定の成否に関わらず
  攻撃対象を中心に「爆発(3x3)」が自動的に発生するようになる(全て『時間差可』)。

  ※発生する「爆発(3x3)」は術者を含む敵味方全員を巻き込む。術者はこれを回避できない。
  ※例えば「連続攻撃3」に全成功した場合、これは時間差可の6連続攻撃となる。

 『●戦闘スタイル:収束カトン・パンチ|収束』:精神力コスト3
  この攻撃は『エンハンス不可』となるが、判定の成否に関わらず、
  最後の近接攻撃対象を中心に『グレーター・カトン・ジツ』が発生する。
  シナリオ中1回までの使用。

  ※発生するカトンは術者を含む敵味方全員を巻き込む。術者はこれを回避できない(D3ダメージ)。


増援の登場(オプション)

致命的なイアイドが、爆炎が、大口径の弾丸が飲み屋街を飛び交う。ソニックカラテが敵を打ちのめし、不可視の拳がその肉体を打つ。その時「「イヤーッ!」」その場に新たなニンジャがエントリーを遂げた!

2ターン目の開始時、イクサの騒動を聞きつけて周辺のソウカイニンジャ2人(後述のデータを参照。既にタイジン奴隷として登場させていた場合、別のニンジャを用意する)が現場へと現れる。彼らは予想外の状況に困惑しながらも、クレイニアムやソニックブームの姿を捉えるとイクサに加勢してPCを攻撃してくる。

状況により、クレイニアムやソニックブームは、ダメージを負って窮地に陥った増援ニンジャを撤退させる可能性もある。


◇NPCデータ:ペイヴメント(ソウカイヤ)

「終わりだな。狩人気取りの兎め」「掃射せよ!」

◇ペイヴメント(種別:ニンジャ)
カラテ     5   体力     5
ニューロン   3   精神力    3
ワザマエ    7   脚力     5
ジツ      0   万札     5
近接攻撃D:5、射撃D:9、回避D:8
◇装備やスキル
 スキル :『◉シャープシューター』、『◉◉タツジン:ユミ・ドー』
 装備  :『ナガユミ』、『ニンジャコート(回避D+1)』
 サイバネ:『▶サイバネアイ』

『マスタードガス・アロー』:
 【精神力】を1消費して使用。ナガユミで単発射撃(ダメージ1固定)し
 さらに着弾点を中心とした3x3に追加で「コリ・ジツLv3」のダメージを時間差で発生させる。


◇NPCデータ:パラポネラ(ソウカイヤ)

「まったくこの街と来たら、騒がしくてならねえよな」「もはやこの場に用は無し。運び出せ」

◇パラポネラ(種別:ニンジャ)
カラテ     6   体力     6
ニューロン   4   精神力    4
ワザマエ    5   脚力     4
ジツ      1   万札     5
近接攻撃D:7、射撃D:5、回避D:6
◇装備やスキル
 スキル :『◉ニンジャソウルの闇』、『◉邪悪なサディスト』
      『◉滅多打ち』、『◉常人の三倍の脚力』、『◉ニンジャアドレナリン強化』
 装備  :『マットグリーン装束(効果なし)』

『マンディブル・メンポ』:
 頭部防具かつ『近接攻撃ダイス+1』の『バイオ武器Lv1』とみなされる。

『☆ポイズンスピット・ジツ』:
 『マンディブル・メンポ』の攻撃が「回避」されたとき、【精神力】を1消費し
 【ワザマエ】判定(難易度:NORMAL)で発動。成功した場合、毒液吐きかけ攻撃により
 『毒ダメージ1』、『回避ダイスダメージ3』を与える(回避難易度:NORMAL)。



シーン4:決着(VSクレイニアム)

「グワーッ!」KRAAASH!!不可視のニンジャが弾き飛ばされ、屋台を粉砕!「ドクサレッガー!!!」それに対峙するは血みどろのシックスゲイツ。ビクターが支配するニンジャ奴隷たちは既に爆発四散!一方的に思えるカラテ押収を、ソニックブームが制したのである。

しかし「やれやれ参った」不可視のニンジャが何事もなかったかのように起き上がる。痛みを感じぬのだ。そして彼は見咎めた。君の傍らの、まだ息のあるクレイニアムを。「一体何をしている?殺すんだ」

このシーンは『シーン3-B』が終了すると発生する。PCがクレイニアムとのイクサを制したとき、彼女は爆発四散せずに膝をついて行動不能状態となる。彼らが何のためらいもなくカイシャクを行なうのであれば、クレイニアムは爆発四散し、クレイニアム・ルートへの分岐は消滅する。

そうでなければ、再び現れるビクターが彼女を殺してしまえと唆す。ビクターはクレイニアムを始末させることで、PCに過去と決別させ、それによる精神的な動揺の隙につけ込んで彼らをタイジン奴隷にしようと目論んでいるのだ。ビクターは威圧するように、潜ませていたタイジン奴隷のステルスを解除させ次々と出現させながら、嘲笑的にクレイニアムをカイシャクできないPCの優柔不断さを非難する。

「……そこのニンジャが言っていたことは、まぁそれほど的外れでもなかったということか。君たちは……命じられねば決断的に動けない。かといって命じられれば、自らのエゴに引きずられ、迷いを生じさせる。なんとも、不完全だな。いけないぞ、そういうことでは。"勝てなく"なる」キュイキュイキュイ……音を立て、ステルス機構が再起動する。

ビクターには明らかにアシッドウルフとは別の目的があり、野心的な言動をとる。
彼は分かりやすく邪悪で、PCのヘイトを買うようなニンジャとして描かれる。


大きく分けて、ここでは2つの選択肢がある。

クレイニアムを爆発四散させない:PCがビクターに反抗する、連れて逃げる、見逃がそうとするなどの行動を取った場合はこちらに該当する。ビクターが敵対し、三つ巴の戦闘に移行する。ソニックブームは敵の敵は味方理論でビクター側を攻撃する。
 クレイニアムをマップから除外した状態で、『シーン3-A』が発生する。なお膠着状態の間にスシを補給したものとして、ソニックブームとビクターの両者は【体力】と【精神力】が最大値まで回復した状態から開始する。

※この選択の時点でビクター・ルートは消滅する。


クレイニアムを爆発四散させる:クレイニアムはPCのカイシャクを受け、爆発四散する。ソニックブームのインタラプトはビクターとタイジン奴隷によって阻まれてしまう。
 クレイニアムの爆発四散を確認した時点で、ソニックブームは携帯型ノロシ装置を起動して増援を呼び寄せ、その場から撤退する。ただし、現れるのはクローンヤクザの集団のみであり、NMはこの戦闘をスキップしても構わない。例外となるのは、明らかに信用できないビクターをPCが排除しようと考えた場合だ。この場合、ソウカイヤのクローンヤクザ軍団を交えた三つ巴の状態で、『シーン3-A』が発生する。

そうでない場合、この時点でシナリオは終了となる。

※この選択の時点でクレイニアム・ルートは消滅する。


◇ビクター・ルートへの分岐

PCがクレイニアムのカイシャクをためらい、なおかつビクターの精神に語りかけるような唆しを十分に聞いてしまってから実行した場合、PCはビクターのタイジン・ジツの罠に掛かってしまう(ビクター・ルート)。

このルートに突入してしまったPCは、表向きはアシッドウルフ・ルートに従って活動することになるが、実際にはタイジン・ジツの契約によって行動を縛られながら、アシッドウルフの計画転覆に向けた反乱に加担させられることになる。ただし、仲間たちと合流したとき、BルートのPCは、タイジン・ジツの影響を受けたPCたちの不審な行動に気がつく可能性がある。



シーン5:ビクターの逃走劇(VSビクター)

『君たちは何も分かっていない。自ら敗北者になろうというのか?』

このシーンは『シーン3-A』が終了すると発生する。先述のように、配下のニンジャが1体以下になり、マップ上の敵対キャラから集中攻撃を受けるような状況になった場合、あるいは本来爆発四散するような状況に陥ったとき、ビクターは逃走を試みる。

ビクターを追いかける:PCはビクターと決着をつけるため、彼を追いかけて再びイクサに持ち込むことができる。NMは新しいマップを用意して、戦闘シーンの処理を改めて開始する(詳細後述)。
 クレイニアムが行動可能な場合、彼女とソニックブームは演出としてビクターがPOPさせた新たなタイジン奴隷の相手を引き受ける(PCのみがビクターと戦うことになる)。クレイニアムが行動不能の場合、ソニックブームは彼女の保護を最優先しビクターとPCにはそれ以上構わない。

ビクターを見逃す:PCは敢えてビクターを深追いせず、彼を見逃すこともできる。その場合、ビクターの生存は確定し、ソウカイヤのニンジャたちも彼を追いかけることはない。
 残されたPCは、クレイニアムの言葉を信用して行動を共にするのか、あるいはクレイニアムとも決別してブラックサイト勢力との合流を図るのか、再び決断する必要がある。


路地裏の追跡劇(ビクターを追いかける)

ビクターは大量のモーター兵器を足止めに展開しながら、入り組んだ路地裏を逃走する。この戦闘は原則3ターンのみ行われ、その間に仕留めきれなかった場合、ビクターは完全に逃げ切ってしまう。

NMは3ターン目以降、ターン終了時にPCとビクターの【ニューロン】対抗判定を行い、対抗に勝利した場合のみ戦闘ターンが継続できるとしても構わない。

◇NPCデータ:モーター・レギオン

ビクターとの戦闘では、まず手勢のハッカーによる遠隔支援で3体のモーターヤブがPOPし、追跡を妨害してくる。このモーターヤブは『モーター・レギオン』の特性を持ち、仮にPCがいずれかの個体を倒したとしても、次のターンの開始時には3体になるようモーターヤブが再POPしてしまう。

このモーターヤブはターン開始時に、任意の「敵増援POP」エリアに再配置しても構わない。これはヤブが瞬間移動したわけではなく、別のモーターヤブが出現したことを現している(ただしマップ中に存在するのは常に3体のみだ)。彼らの役割は、ビクターの追跡が単調にならないよう、戦闘の緊張感を高めることだ。

◆暴徒鎮圧用モーターヤブ (種別:戦闘兵器)
カラテ    6   体力   12
ニューロン  3   精神力  -
ワザマエ   6   脚力   2
ジツ     –   万札   -
攻撃/射撃/機先/電脳  6/6/3/3
◇装備や特記事項
 ショック・サスマタ: テック近接武器、ダメージ2(1+電磁1)
 マシンガン・アーム: 銃器、連射3、ダメージ1、バースト3x3、射撃難易度:NORMAL
 
 『●射撃スタイル:銃弾の雨1』:
  通常の射撃(連射3)かこの射撃スタイルか、どちらか片方をターンごとに選択する。
   このスタイルは、視線が通っている3x3の範囲に対して自動的に1ダメージを与える(回避:HARD)。

 『◉移動スタイル:跳躍移動』:
  3マス以内の好きな地点へと、カンガルーめいた跳躍によって移動する。
  飛行装置を持っているわけではないが、ルール上は『飛行移動』をそのまま使用する。

 『モーター・レギオン』:
  このモーターヤブは破壊されてもターン開始時に自動的に再POPする。
  またターン開始時に、任意で「敵増援POP」エリア内に再配置しても構わない。
  ※これはヤブが瞬間移動したわけではなく、別のヤブが出現したことを現している。


◇NPCデータ:ビクター(追跡戦)

周囲からガッシャガッシャとモーターヤブの駆動音が聞こえたかと思うと、追い立てられるように錯乱モータルがなだれ込む!「ハハハ、見ろ!ニンジャだ!ニンジャが居るぞ!ハハハ「アイエエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」

この段階になると、ビクターはもはや手段を選ぼうとしない。先程までの戦闘では用いなかった『★センド・ジツ』を使うようになり、アジテーションによってNRSを発症したモータルを障害物として配置し、PCを足止めしようとしてくるのだ。

センド・ジツによる『NRS錯乱モータル』マスは範囲攻撃によって一掃することもできるが、それによってDKKが付与されるかどうかはNMの判断に委ねられる。

TIPS:PCは情報を引き出そうとビクターをミネウチなどで気絶させ、インタビューを行おうとするかもしれない。しかしながらビクターはタイジン・ジツを修めたカルマ・ニンジャクランのソウル憑依者であることから虚実を曖昧にする話法に長けており、また全身を医療用サイバネで改造してモータル時代から全くの別人と化しているためその正体を暴くのは難しい。

彼の医療用サイバネはその痛覚をシャットダウンする機能を有した高性能品であるため、痛みから情報を引き出すこともまた難しい。ビクターから引き出せる情報は、まず間違いなく彼がアシッドウルフの配下であり、PCを監視していたこと、彼もまた計画自体については何も知らないこと程度だ。

◆ビクター(種別:ニンジャ)
カラテ     8   体力     11
ニューロン   8   精神力    12
ワザマエ    7   脚力     4
ジツ      4   万札     25
近接攻撃D:8、射撃D:13、回避D:10
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉剛力(出目【6】含む近接攻撃は『痛打+1』)』、『◉挑発』
      『◉ニューロン・ブースト』、『◉翻弄』、『◉◉グレーター級ソウルの力』

『**ドウメキ・ステルスニンジャスーツ**』:
 全身に大量の『▶サイバネアイ』めいた装置が埋め込まれたハイテック光学迷彩スーツ。

 ・【ワザマエ】判定ダイス+4、射撃ダイス+2個、回避ダイス+2個。
 ・手番終了フェイズにおいて、自動的に『☆ステルス・ジツLv3』が発動する(コストなし)。
 ・ステルス状態の使用者によるあらゆる攻撃は「回避難易度+1」となる。

『●全身義体』:
 全身を医療用サイバネで置換しており、痛覚を完全に遮断することができる。
 このキャラは『◉痛覚遮断』を取得しているものとみなされる。

『☆タイジン・ジツ』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費し、瞬時行動として発動する(難易度NORMAL)。
  発動した場合、射線の通る敵1体を術者の次の手番開始時まで『不覚状態』とする。
  相手はこれを望まない場合、回避判定を行う(HARD)。

『★センド・ジツ』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費し、瞬時行動として発動する(難易度HARD)。
  自身もしくは視線の通っている味方キャラに隣接する3×3マスを『NRS錯乱モータル』マスとする。
  
  このマスは「移動困難な地形」であり、術者側の味方NPCとして扱われる(【体力】1)。
  また頭上ないし隣接マスを通過しようとする敵に回避ダイスダメージ1(回避NORMAL)を与え、
  命中した場合はそこで移動を強制的に終了させる。


結末

このシナリオは、ここまでに描かれたような決着や決別のシーンで、唐突に途切れるようにして終了する。ビクターを爆発四散させた後。クレイニアムと決別することを決断した後。何が起こるのかはまだこのシナリオではわからない。

いずれにしても、このシナリオ中の行動に応じて物語は分岐を始める。次はストーリー分岐の例となるが、サンプルシナリオは最終的に『アシッドウルフ・ルート』に収束することを前提に組まれているため注意すること。


失われた帰り道:PCはクレイニアムを爆発四散ないし行動不能にし、なおかつビクターに敵対した。これは少なくともアシッドウルフの配下に敵対する行為であり、そうでなくともビクターは追い詰められた時点で、PCが不利になるように「AルートのPCが裏切った」という虚偽の情報をアシッドウルフへと送信している。

▶派生ルート未確定。『トーテム・アンド・タブー』に続く。
 ▷サンプルシナリオあり。サンプルシナリオ想定ルート。

過去との和解:PCはクレイニアムを信用し、ビクターに敵対した。彼らはこれ以降、クレイニアムと行動をともにして、秘匿されていた真実を明らかにしてゆくことになる。

▶【クレイニアム・ルート】に派生(別ルートへ合流可能性あり)。『オペレイシヨン・グレイストーン』などに続く。
 
ルート専用のサンプルシナリオはない。

最も信用できるのは……:PCはクレイニアムもビクターも信用しなかった。ビクターと敵対しつつ、クレイニアムとはイクサを構えなかったが、Bルートとの仲間との合流を最優先した。

▶派生ルート未確定。『トーテム・アンド・タブー』などに続く。
 ▷ルート専用のサンプルシナリオはない。

これからよろしく:PCはクレイニアムを爆発四散させ、ビクターに敵対せず誘いに乗ってしまった。表向きはアシッドウルフに従いつつ、ビクターのタイジン奴隷として反乱計画に加担させられてしまう。
▶【ビクター・ルート】に派生(別ルートへ合流可能性あり)。『オペレイシヨン・ライト』などに続く。
 ▷ルート専用のサンプルシナリオはない

◇報酬(PC1人あたり)

基本報酬:余暇:4日、万札:なし(敵のドロップのみ)

※撃破したキャラクターの所持万札は除く。
 調整したい場合、所持万札のドロップを無しにして想定獲得分を基本報酬に加算する。


補足コメント

シナリオタイトル『コールドフィート』は、1962年にCIAが実施した『コールドフィート計画(Project Coldfeet)』から引用されたもので、これは北極で放置されたソ連の流氷基地(流氷の上に建てられた基地。冷戦時代には研究やスパイ活動のため米ソ両国が多くを配置した)から情報を抽出するという計画でした。

『コールドフィート計画』とあまり内容的な共通点はありませんが、PCがCIAの残党である「ブラックサイト」の構成員として"敵"の情報を抽出するという立ち位置に対して、果たしてその"敵"とは対峙しているソウカイヤなのか、過去の自分自身なのか、あるいはアシッドウルフについてなのか……と問いかけるような構成となっています。

加えて"(get) cold feet"とは 躊躇する、怖気づく などの意味があり、本シナリオにおいては、PCがにわかに真実を受け入れられない、あるいは知る準備がまだできていないような状況に陥るであろうことを揶揄する意味合いもタイトルに隠されています。


このシナリオのストーリー構成は、プレイヤーがどのような選択をするかによって今後の物語展開が大きく変化するターニングポイントを、キャンペーン全体にわたって初めて取り入れられていることが特徴となります。キャンペーンの前半では、与えられた任務を攻略する方法についての狭い範囲の選択肢しか用意されない事への対比として、プレイヤーが物語に介入していると感じられるようにするため、このような分岐イベントが挿入されることは初期プロットの時点から計画されていました。

クレイニアムかビクターか、と選択を迫られるシーンはまさに「赤い薬と青い薬」であり、しかしどちらの選択肢にも決定打となる情報が掛けているのも特徴となっています。

テストプレイにおいては、プレイヤー傾向から「洗脳を脱却して諸悪の根源を倒す」という比較的王道な展開(すなわちクレイニアム・ルート)に本シナリオ時点で流れることを予想していたのですが、実際にはアシッドウルフ・ルートへと収束することになりました。これはクレイニアムとビクターの立ち位置が対等になるよう、上記のように、半ば意図的にその主張から信頼性を欠如させていたのも原因でしょう。

いずれにしても、プレイヤーキャラクターたちはこのシナリオを契機に、先の見えない分岐路の選択を度々迫られるようになります。

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