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【NJRPG-2ND/シナリオ】フォールス・ウインター#7:オペレイシヨン・ミッドナイト・クライマックス

あらすじ:カスミガセキで行われる記念式典を契機に、鷲のニンジャは謎めいた暗黒メガコーポ、メイライ社の機密施設へと潜入する。そこには幾つかの意外な出会いと、恐るべきテクノロジーの真実、そして正体不明の暗部の主 "ゴットリーブ" の演ずる狂気が待ち受けていた。

これは「ニンジャスレイヤーTRPG2版」のシステムに対応した、「鷲のニンジャ」がテーマのキャンペーン『フォールス・ウインター』の第七話に該当するサンプルシナリオ記事です。

プレイ人数:4~5名
所要時間:20~24時間(オンラインセッション/テキストセッション)
難易度:キャンペーン専用のルールで作成後、6~7シナリオを踏破した程度の強さのPCを想定(成長の壁(1)をそれぞれ2~3つずつ超えている。ジツを2倍でカウントして、能力値合計25~30程度)

キャンペーン全体の背景設定やルート分岐の調整方法などは、別途CPセッティング記事も参考にしてください。

※各ゲーム要素はニンジャスレイヤーTRPG初版で行ったキャンペーン実卓を元に、2版向けへコンバートされたものです。ゲームバランスは現行環境やプレイヤーキャラクターに合わせて都度調整することを推奨します。

関連記事はこちらのマガジンから。

◇本文中に登場する略称
NM:ニンジャマスター    → ゲームの進行役。描写などを行う。
PL:プレイヤー       → ゲームの参加者。PCを操作する。
PC:プレイヤーキャラクター → ゲーム内の主人公。メインキャラ。

前シナリオ

はじめに

このシナリオでは「ブレイン・ウォーフェア」から要所で登場する敵対組織、メイライ・コーポレーションについて、その実体を掘り下げ、彼らとの決着をつけることになる。その過程ではメイライ社の暗部にして、PCにまつわる謎と源流を同じくするNPCとの戦いから、PCは「己とは」というエゴについて、また自己定義について学ぶことになる。

シナリオ構成としては「メイライ社の活動を知るAパート」、「メイライ社の研究所で刺客を蹴散らすBパート」、「最深部に到達し強大な敵と戦うCパート」の3パート構成になっており、段階を踏んでメイライ社について知ることができるように組まれているが、キャンペーン全体の流れとしてやや唐突すぎる内容だと感じられる場合は、メイライ社を主要な敵に据えた別のシナリオを事前に1つ(回想のような形で)プレイしておくと良いだろう。

マップデータ

このシナリオで使用するマップデータはGoogle スプレッドシートで作成されています。下記からローカルにダウンロードするか、ご自身のアカウントにコピーを作成してGoogle スプレッドシート上で使用してください。


導入:ダンゴウ

このシナリオが始まると、オペレイシヨン・ケイオス(後編)で開放された「個人的な調査」がある程度進んでいることを想定し、その調査内容を踏まえて、アシッドウルフ(スパイマスター)から次の通り任務の概要が伝えられる。

◎今回の任務はシャッタードランドに隠されたメイライ社の秘密拠点への潜入およびCOO『ゴットリーブ』の暗殺である。彼はいかなる時も表舞台に出ようとせず、その呼称は暗黒メガコーポにおいても周知されていないほどの知名度だ。一方でシャナイヒ級の機密を握り、社の動向をコントロールする、影の権力者でもある。

◎近々、メイライ社は創立記念を祝してカスミガセキ・ジグラットで祝典を開く。彼らは雇用問題の解決などの功績からクリーンなイメージがあり、この日に政府からの表彰も受ける予定だ。外部他社との交流やPRも目的に、祝典には一部幹部社員も出席する。

◎秘密拠点への潜入のチャンスは、警備が手薄になる上記の祝典の日である。目的地は存在そのものが巧妙に偽装隠蔽された極秘施設であり、もとより大量の兵士が詰めている軍事拠点ではない。この日にはプロモーション用途で"ニルヤ兵"を含む上級兵科がこの拠点から祝典に派遣されるため、通常より警備がゆるくなるのである。

◎先述の理由から、この日もゴットリーブは秘密拠点から外に出ることはないと考えられる。直近のオナタカミ社のプロモーション視察の際も、過去のヨロシサン製薬の協議の際も、舞台に出てきたのは彼ではなく"シロウ・イスヒ"と名乗るメイライ社の専務であった。

◎アシッドウルフはこの日、メイライ社が実施する「スカウト」のエリアに当たりをつけている。PC はこのうち最も可能性の高いエリアを絞り込み、トラックの位置を特定。速やかに無力化したのち、メイライの兵士に変装して秘密拠点へ忍び込む必要がある。

◎また今回はアシッドウルフが任務に同行する。


シーン1:"スカウト"地点の特定

PCは幾つかの調査により、作戦決行日にメイライ社のスカウト偽装トラックが出没する可能性の高いエリアを3つまで特定した。そのいずれもが渾崎地区である。メイライは先のオムラ対オナタカミの抗争で焼け出された住民や失業者を抜け目なく狙っているのだ。

まず全PCは特定した①~③のエリアのうち、どこへ向かうのかを選択する必要がある。その後、難易度U-HARD, HARD, NORMALのいずれかを宣言し【ワザマエ】もしくは【ニューロン】で調査判定を行う。これは当該エリアからトラックの正確な位置を特定する試みであり、判定に成功した難易度に応じて1~3ターンでそれを突き止められたものとして扱う。失敗した場合は4ターン後に目標へたどり着くことになる。

それぞれのエリアには4ターン進行のイベントが割り当てられており、PCが行動する度に、並行してイベントのタイムラインも進行してしまう。つまり他のトラックの出現地点で活動している間もそれぞれのイベントは進行するため、PCがその場を訪れたターンによって発生するイベントの段階は変動するのである。

NMはイベントがそれぞれ用意されている旨を伝え、PCがなるべく2手に分かれるよう誘導する。イベントによっては戦闘も発生するが、PCとの人数差によって自動排除とするなど、ある程度まとまって(しかし分散して)活動することにメリットを持たせるなどしても良いだろう。


予測地点①:イベント「長髪の男」

「ヒヒヒ、あいつらノシちまったのか?せっかく働く気になったのになァ。ドーモ、はじめまして。フィルギアです」

物語中、フィルギアはアシッドウルフの企みを探ろうとPCを追跡しており、このシナリオの開始時には、PCらを追って辿り着いた 渾崎地区を嗅ぎ回っている。彼は最終的にメイライ社の活動に目をつけると、一般人のフリをして"スカウト"されようとする。

このイベントを引き当てたタイミングによって、PCはフィルギアと遭遇する可能性がある。

1ターン目:周辺をうろついていたフィルギアはPCが現れたことに気が付き、彼らの目的と思われる偽装スカウトトラックを先んじて探し始める。この段階でPCがトラックを発見した場合、遅参したフィルギアが声をかける可能性がある。

2ターン目:トラックを発見したフィルギアはメイライ社のスカウト兵士に声をかけ、ひと悶着を起こす。PCは彼がスカウトを咎めている場面、あるいは自分も雇ってくれとへらへら笑いながら頼み込んでいる場面に遭遇する可能性がある。

3ターン目:フィルギアは他の労働者に紛れてまんまとトラックに乗り込んでいる。トルーパーに対処したPCは荷台に座り込む彼を、あるいは労働者を追い出そうとする影に潜む蛇の姿で発見する可能性がある。

4ターン目:フィルギアを乗せたトラックは既にその場を去っている。【ワザマエ】判定(難易度:HARD)に成功したPCは彼が落としたフクロウの羽を発見する可能性がある。

◆メイライ・トルーパー(種別:モータル)
カラテ     2  体力     1
ニューロン   2  精神力    2
ワザマエ    4  脚力     3
ジツ      -  万札     1
近接攻撃D:2、射撃D:6
◇装備やスキル
 スキル:『◉タクティカル移動射撃』
 装備 :『アサルトライフル&ミハル・ドットサイト, 赤外線レーザーサイト』
     『サイバーヘルメット(サイバーサングラス)』
 
 『軽量型メイライ・タクティカルスーツ』:
  最低限の装甲を備えた軽量のパワードスーツ。【脚力】+1。


◇トーテムの啓示

「アンタはさ、自分が何をしてるのか理解してやってるのか?」沈黙の後、フィルギアは唐突に言った。「あのおっかない"ボス"……またろくでもないことを企んでるぜ」

「……ア?なんでかって?昔もそうだったからな」

フィルギアはY2K以前のアメリカ合衆国、ニューヨークにおいて、あるジャーナリストの名を騙って、ニンジャになる前のアシッドウルフ(アレン・ダレス)の企み……正確にはCIAの企みを調査していた過去がある。

PCが彼の口振りに関心を寄せてさらなる情報を引き出そうと対話を試みるなら、不可視の監視者によるスリケンインタラプトが発生し、フィルギアは話半ばの状態でフクロウとなって逃げ去ってしまう。


インタラプトを仕掛けてくるのは、ステルス状態でPCを監視していたニンジャ「ビクター」とその配下の2人である。以前のシナリオでも述べられているように、ビクターはモータルとして暗黒投資家「シンマキ・ソウキュウ」の名を持ち、『オペレイシヨン・ペーパークリップ』や『オペレイシヨン・クロスボウ』でも密かにシナリオ中に存在していた。

ビクターは姿を見せないままアイサツし、もし過去のシナリオで(彼と知らずとも)で接触したPCが存在するなら名指しで「君にアドバイスをするのは二回目だ」と前置きし「知るべきことだけを知れ」と忠告を与える。彼はアシッドウルフの協力者であり、必要ならばそれをほのめかしても良い。

彼はカルマ・ニンジャクランのグレーター級憑依者であり、フィルギアにも即座に看破が難しいほどニンジャソウルの存在を巧妙に隠匿しているほか、タイジン・ジツにより縛り付けたソウカイ・ニンジャを配下として従えている。このシーンにおいてビクターの役割はPCに余計な情報を与えないためフィルギアを追い払うことであって、勢力上味方であるPCと積極的にイクサを構えるつもりはない。

◆ビクター(種別:ニンジャ)
カラテ     8   体力     11
ニューロン   8   精神力    12
ワザマエ    7   脚力     4
ジツ      4   万札     25
近接攻撃D:8、射撃D:13、回避D:10
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉剛力(出目【6】含む近接攻撃は『痛打+1』)』、『◉挑発』
      『◉ニューロン・ブースト』、『◉翻弄』、『◉◉グレーター級ソウルの力』

『**ドウメキ・ステルスニンジャスーツ**』:
 全身に大量の『▶サイバネアイ』めいた装置が埋め込まれたハイテック光学迷彩スーツ。

 ・【ワザマエ】判定ダイス+4、射撃ダイス+2個、回避ダイス+2個。
 ・手番終了フェイズにおいて、自動的に『☆ステルス・ジツLv3』が発動する(コストなし)。
 ・ステルス状態の使用者によるあらゆる攻撃は「回避難易度+1」となる。

『●全身義体』:
 全身を医療用サイバネで置換しており、痛覚を完全に遮断することができる。
 このキャラは『◉痛覚遮断』を取得しているものとみなされる。

『☆タイジン・ジツ』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費し、瞬時行動として発動する(難易度NORMAL)。
  発動した場合、射線の通る敵1体を術者の次の手番開始時まで『不覚状態』とする。
  相手はこれを望まない場合、回避判定を行う(HARD)。

『★センド・ジツ』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費し、瞬時行動として発動する(難易度HARD)。
  自身もしくは視線の通っている味方キャラに隣接する3×3マスを『NRS錯乱モータル』マスとする。
  
  このマスは「移動困難な地形」であり、術者側の味方NPCとして扱われる(【体力】1)。
  また頭上ないし隣接マスを通過しようとする敵に回避ダイスダメージ1(回避NORMAL)を与え、
  命中した場合はそこで移動を強制的に終了させる。
 


ビクターに随伴するニンジャのデータが必要となる場合、キャラクターデータ集から『タイジン奴隷』のニンジャを参照すること。


予測地点②:消えたトラック

「おいコラ、どこのモンだ。調子乗ってんじゃねえぞ……!」

このシナリオでは数人の護衛を連れたニューロサージがアマクダリ・セクトのエージェントとして、PCと同じ方法でメイライ社の秘密施設への侵入を試みようとしている。アマクダリ・セクトにとって、旧世紀の技術を保有しながら、オナタカミの勧誘を拒み続けるメイライ社は重点警戒対象のひとつであり、重要な技術リソース源なのである。

彼女は以前よりニューロン記憶からスカウト関連の情報を断片的に収集しており、それを辿ってエリアを絞り込むため、必ずPCよりも早くトラックに到着し、それをジャックして秘密拠点へと潜入する。

一方でこの一帯を支配しているチャイニーズヤクザ組織〈老頭〉はメイライによるネコソギ計画に難色を示しており、特に憤りを見せる若いヤクザたちはニューロサージやメイライの痕跡を辿り、この場所でPCと接触する可能性がある。

1ターン目:既にトラックはその場を去っている。現場には幾つかの黒い破片(これはニューロサージと護衛に破壊されたメイライの装備片だ)が散らばり、ニューロンハックで記憶野をシュレッダー掛けされた住人が地面で丸まって啜り泣いている。

2ターン目:NRS状態の住人を発見し、火蛇という名の、〈老頭〉の若いヤクザが現場を訪れる。このタイミングでトラックの位置を特定したPCは彼と鉢合わせをする可能性がある。火蛇はPCをニンジャ、あるいはメイライ社のエージェントかと疑る。既にPCが現場に居た場合、彼は極めて警戒するだろう。

3ターン目:火蛇は住人を介抱し安全な場所まで連れて行こうとする。このタイミングでPCが現場を訪れるなら、火蛇は上記と同様にその存在を警戒する。あるいは危険を察知して住人を連れて逃げるかも知れない。

4ターン目:その場には黒い破片だけが残されている。ほんの微かに血の匂いを感じ取れるかも知れないが、決定的な手がかりは何もない。だが、なにかが起こったことは間違いない。

憤った火蛇がメイライ社のトラックを追い、PCが乗った車両を襲撃してくる可能性もある。本筋には関わらないイベントのため、NMはこのシーンをまるごとカットしても構わない。

◇カジャ/火蛇(種別:モータル)
カラテ     4   体力     6
ニューロン   4   精神力    4
ワザマエ    3   脚力     3
ジツ      -   万札     5
近接攻撃D:5、射撃D:5、回避D:5
◇装備やスキル
 スキル :『頑強なる肉体』、『サイバネ適正(埋め込み可能数+1)』、『タクティカル移動射撃』
 サイバネ:『▶サイバネアイLv1』、『▶︎生体LAN端子Lv1』、『▷EMPノイズ発生装置』
      『▶︎ヒキャクLv1』、『▷ブースター・カラテユニット』
 装備  :『強化ケブラー・トラックパンツ(【精神力】+1)』
      『LAN直結型ハンドガン』

 『赤熱ワイヤーウィップ「MF-33」カスタム』:
  鞭状近接テック武器、攻撃難易度HARD、ダメージ2(基礎1+火炎1)、リーチ+1、精密攻撃
  
  『赤熱貫通』:
   手番「攻撃フェイズ」の開始時に使用を宣言できる(戦闘スタイルとは別枠)。
   このフェイズ中、この武器による『近接攻撃』は、追加で『装甲貫通D3』の効果を得る。
   敵がダメージ軽減を持たない場合、火炎ダメージボーナスを+1ではなく+D3に強化する。
   シナリオ中1回限りの使用(リチャージ2)。
 
 『▷EMPノイズ発生装置』:
  IRC通信や監視システムを妨害するジャミング装置。
  効果エリアでは画像や映像の送信データが破損し、音声とテキストのみの送信に制限される。


予測地点③:漆塗りの兵士

現場に辿り着くと、そこにはみすぼらしい身なりの男女をトラックに乗るよう誘導する2人のメイライ・トルーパーの姿があった。『貴方が求められている今』扇情的なメッセージがLEDボードを走り、虚ろな足取りの求職者たちの横顔を照らす。

一方、車両の屋根上にはアグラメンテーションを行う影あり。二振りのカタナを帯刀し、純白のアヤオドシで飾られた黒漆の鎧をまとうその兵士は油断ならぬアトモスフィアを放っている。

トラックの1台には対ニンジャを想定し、メイライ社の最上級兵士であるニルヤ・トルーパーが搭乗している。ニルヤ兵はほんの微かにニンジャソウルの痕跡を漂わせ、恐るべき三次元機動からプラズマ・カタナによる致命的な斬撃を繰り出してくる。

彼らは概念蘇生ニンジャの素体候補でもあり、サイバネ適正が高い、戦闘訓練を受けている、といったものが優先的に任命されている。また「概念蘇生」との親和性を高める目的で、シナリオ後述の『★ヒガン・コネクト』によって身体能力がブーストされた上で、「己はニンジャである」という刷り込みによって実際超人的な力を発揮している油断ならぬモータルだ。

1ターン目:トラックが到着し、メイライ・トルーパーが『貴方が求められている今』と文字の流れるLEDボードを立て、求職者を集め始める。このタイミングでトラックに接近する、スカウトを妨害するなどした場合、ニルヤ・トルーパーが稲妻のような速度でPCのひとりにアンブッシュを仕掛ける(回避難易度:HARD、3ダメージ)。

2ターン目:ニルヤ兵がトラック上でアグラメンテーションを開始する。トルーパーは遠巻きに様子を伺う住人や求職者に近づき、直接的なスカウトを開始する。

3ターン目:トルーパーの巧みな勧誘により、少なくない人数がトラックに乗り込み始める。注意深く観察すると、そうした人々はやや虚ろな目をしており足元が覚束ないことがわかる。スーツに内蔵された薬物散布システムにより、正常な判断力を奪った上で勧誘を行っているのだ。

4ターン目:トラックはその場を去ろうとする。

◆ニルヤ・トルーパー(種別:モータル/重サイバネ/ボス級の敵)
カラテ     4  体力     7
ニューロン   4  精神力    5
ワザマエ    4  脚力     4/E
ジツ      -  万札     5
近接攻撃D:6、射撃D:6、回避D:6(HARD)
◇装備やスキル
 スキル  :『◉ツジギリ』、『◉タクティカル移動射撃』
       『◉連続側転』、『◉トライアングル・リープ』
 サイバネ :『▶テッコLv1』、『▶ヒキャクLv1』、『▶生体LAN端子Lv1』
       『▷ブースター・カラテ・ユニット』
 装備   :『サイバーメンポ(射撃D+2)』

 『プラズマ・カタナ ⇔ プラズマ・カタナ二刀流』:
  特殊近接武器、ダメージ1、電磁ショック1。

 『内蔵型スマートショットガン』:
  遠隔武器、内蔵型、ダメージ2、小銃、ショットガン接射
  射撃を「回避された」とき、跳弾が発生し、同じ対象へ「時間差」の1ダメージを発生させる。

 『*メイライ・ユルギザネシロ*』:
  美しい白装飾の施された黒漆塗りのLAN直結型サイバーパワード鎧。
  【体力】+3、【精神力】+2、【脚力】+1。

 『●壁歩き』:
  連続側転難易度-1。常時、敵や障害物のいるマスを通過することが可能。
  また「連続側転」判定が必要とされる段差なども判定無しで通過することができる。
 
 『●弾幕射撃』:
  同じターゲットに対して2人以上のニルヤ・トルーパーが射撃する場合、
  その射撃に対する敵の回避難易度を+1する。



シーン2:"エイトボール"

君たちを乗せたトラックは、事前に入力されたケオサキから99マイルズベイへ周辺と向かう、どこか儀式的な、無駄の多いルートを淡々と走った。幾つかの建物を意味もなく潜り抜け、車両が荒廃したおマミ工場のシャッターをくぐり抜けると、車両倉庫全体が振動し、ゆっくりと降下を始める。エレベーターだ。

トラックを使って潜入したPCたちは、おマミ工場の地下に隠された入り口のひとつからゴットリーブの秘密拠点でアシッドウルフ(スパイマスター)と合流する。彼はPCのはるか以前からこの場所に潜入しており(つまり既にこの場所を特定しており)、メイライ・オペレーターに変装した姿で現れ、少しばかり彼らを脅かすことだろう。

そのとき、静止したトラックの物陰からひとりのオペレーターが現れた。君たちにも気取られず、音もなく右肩が、それから殆ど間を置かず、構えられたサブマシンガンの銃口が光沢のあるヘルメットと共に姿を見せる。

しかし「思ったより早かったな」その緊迫したアトモスフィアを破ったのはオペレーターの声であった。彼は銃口を下げ、ヘルメットを剥いだ。

PCの"ボス"である彼はこの場で手短な追加のブリーフィングを行い、「ゴットリーブの暗殺」という大目的を達成するため、2手に分かれ、2つの問題に並行して対処する必要があると話す。

◎ゴットリーブのプレジデントルームにアクセスするには、特定のニューロンパターンをキーとする照合をパスする必要がある。このキーに該当するのはメイライ社の上級職員、すなわちニンジャ社員のニューロンパターンだ。対象は秘密拠点で防衛に当たっているニンジャに限定されるが、その死亡などが観測された場合、セキュリティルームは即座に対象を照合データベースから排除してしまう。

◎アシッドウルフはゴットリーブの逃げ道を塞ぐため、予備ジェネレーターの破壊とセキュリティルームの制圧に向かう。重役用脱出路への電力供給を絶ち、ニューロンパターンのリセットを防ぐために監視カメラシステムを抑えることが目的だ。ここには破壊工作チームとしてPCを1~2名同行させる。

◎他のPCは暗殺チームとして、アシッドウルフがセキュリティルームを制圧している間に部屋を調査してニンジャ社員の位置を特定し、逃げ道が塞がれると同時に対象を殺害。首ないし神経系を奪い、先行してプレジデントルームに向かわなくてはならない

◎IRC無線通信は傍受の危険性が高いため、セキュリティルームを制圧するまでは使用を禁ずる。暗殺部隊にはセキュリティールームの制圧後、アシッドウルフからIRC通信でその解禁が通達される。

◎仮にセキュリティールームを制圧するまでに検出されてしまった場合、監視カメラを破壊しながら極力迅速に目的を達成すること。目標とはすなわち「セキュリティールームの制圧」「予備ジェネレーターの破壊」「ニンジャ社員の首を打ち取る」の3つである。

◆アシッドウルフ (種別:ニンジャ)
カラテ     10  体力     13
ニューロン   10  精神力    12
ワザマエ    10  脚力     6/N
ジツ      1   万札     50    
近接攻撃D:14、射撃D:14、回避D:15
◇装備や特記事項
 防具 :『旧世紀ポリゴンメンポ&ミリタリー装束(精神力+1、回避D+1)』
 武器 :オノミチ・カスタムx2(赤外線レーザーサイトx2、クイックドロー・ユニット)

 サイバネ:▶︎▶︎▶︎▶︎鷲の腕Lv4(カラテ判定D+4, 回避D+4, 精神力+1)
      ▶︎アパタイトの眼(ワザマエ判定D+1, 射撃D+1)、▶︎生体LAN端子

 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉トライアングル・リープ』、『◉グレーター・ツジギリ』
     『◉タクティカル移動射撃』、『◉キリングマシーン』、『◉痛覚遮断』
     『◉◉タツジン(ピストルカラテ)』、『◉ヒサツ・ワザ(ネバダズ・デスカタパルト)』

『○元秘密工作員』:
  諜報活動のタツジンとして、電子・物理両面で様々な情報収集と隠蔽工作に精通している。
  適切なシチュエーションであれば、関連した判定の難易度が−1ないし−2される。

『◉◉タツジン(ピストルカラテ)』:
 「拳銃/二挺拳銃/ライフル」装備を「素手状態」ともみなし、
 それら銃器の装備時ペナルティを全て無視し、隣接している敵に対しても射撃可能とする。

  『●戦闘スタイル:射撃反動カラテ(使用コスト:回避ダイス2個)』:
   装備中の銃器で射撃判定を行った後、近接攻撃判定を行う(射撃スタイルは使用不可)。
   『二挺拳銃』を装備している場合、『連続攻撃+1』かつ『近接攻撃難易度+1』を得る。

  『●戦闘スタイル:セイケンヅキ射撃』:
   この近接攻撃は全て『痛打+1』を得る。この攻撃が1発でも命中した場合、
   攻撃フェイズ終了時に対象へ「弾き飛ばし」を与えても良い。

『☆腐食カラテ』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費して瞬時発動。ジツ値Xターンの間だけ効果が持続。
  効果中は『素手』攻撃にエンハンスによる『装甲貫通1』『回避ダイスダメージ1』が付与される。

『●???』:
 このキャラは常時強化系やソウル系を除く、ルールブック収録の全スキルを所持するとみなされる。
 ただし例外的に、『◉◉戦闘系ソウルの力』はこの対象に含まれる。

 これに伴い、手番開始時にタツジン系スキルの切り替えも行うことができ、
 さらに対応した武器が武器スロットに存在しなくとも、常に所持しているとみなされる。

『☆☆跳弾射撃』:
 宙に放った金属などを反射板とし、神がかり的な計算に基づく超精密な跳弾射撃を行う。
 「拳銃/二挺拳銃/ライフル」装備時に限り、次の射撃スタイルが使用可能となる。

 『●射撃スタイル:跳弾射撃』:使用コスト 回避ダイス2個
  この射撃は『射撃難易度+1』かつ『回避難易度+1』となり、射線を無視することができる。
  また出目【6,6】で『スリケン急所破壊』と同様の表からサツバツ!が発生する。 


◆別行動の処理

シーン2以降、シナリオボス戦の直前まで、全く異なるマップでチームが2手に分かれた状態で進行することになる。NMはこれを同時並行で処理しても構わないが、破壊工作チームパート、暗殺チームパート、合流パート、とセッションを分割して参加プレイヤーを限定することもできる。

ここからのセクションでは各チームごとにシーンの処理が記載されている。タイムラインの扱いについては、上記のとおりNMの判断に委ねられる。


◆破壊工作チーム:セキュリティルームへの道

こちらのルートを選択したPCは、上記のマップを舞台に、長い通路を"ボス"と隠密行動でくぐり抜け、セキュリティルームを目指す。入り組んだ通路には巡回の兵士のほか、監視カメラが設けられている。道中では部屋を経由してショートカットすることもできるが、ルートによっては障害が待ち受けている。


このマップにおいて重要なのは、ピンク色のマスで示される「監視カメラの視界」である。このマスが表す範囲内で「PCが移動を終了する」「敵NPCが攻撃を受ける」「PCが通常移動で通過する」のいずれかが起こると、PCらの潜入は即座に検出されてしまう。

これは配置されている敵NPCの行動手番が回ってきたとき、視線の通っているマスにPCあるいはNPCの死体が存在する場合も同様である。

PCが検出されてしまった場合、即座に後述の『警報』イベントが発生する。

以下には、エリアに用意されたギミックや処理について述べられている。なお凡例の表記がないマスについては、すべて通常マスとして処理を行う。


警備控室

君がこの部屋に踏み込んだ時、部屋の四方で直立していた4人の兵士たちが一斉に銃を構え動き始めた。部屋の中央には複数の監視カメラが向けられ、部屋の奥には強化バンブーキャビネットに収められた複数の銃火器が見える。

この場所はメイライ・トルーパーの待機部屋となっている。配置されているトレジャーはガンロッカーであり、次のような武装を入手することができる(シナリオを持ち越すことはできない)。

メイライ・タクティカルSMG :コアルールの『マシンガン』のデータに準拠
ショットガン         :コアルールのデータに準拠
バクチク・グレネード     :コアルールのデータに準拠
◆メイライ・トルーパー/アシガル級(種別:モータル)
カラテ     2  体力     1
ニューロン   2  精神力    2
ワザマエ    4  脚力     3
ジツ      -  万札     1
近接攻撃D:2、射撃D:6
◇装備やスキル
 スキル:『◉タクティカル移動射撃』
 装備 :『アサルトライフル&ミハル・ドットサイト, 赤外線レーザーサイト』
     『サイバーヘルメット(サイバーサングラス)』
 
 『軽量型メイライ・タクティカルスーツ』:
  最低限の装甲を備えた軽量のパワードスーツ。【脚力】+1。


使われていない休憩室

君がこの部屋に踏み入ると同時に、もうもうと厚い埃が舞い上がった。内装を見る限りこの場所は談話室や休憩室の類であったようだが、この様子では随分と長い間使われていないらしい。

ここには何もない。西側の扉は鍵が掛かっており、【ワザマエ】HARDの判定に成功することで解錠し通過することができる(行動を消費しない)。


休憩室

円筒状のポッドが僅かに傾斜し壁際にずらりと並べ立てられ、冷たい電飾がその強化ガラス製の覗き窓に反射し、部屋はまだらなグラデーションを描いていた。金属製の無骨なキャスターテーブルには何らかの薬剤アンプルが整然と配置されている。

そして、おお、ナムアミダブツ!覗き窓の向こう側に半ば直立状態で収められているのは、無数の管が繋がれた兵士たちである。これは彼らにとっての"休憩室"であったのだ!

この部屋は先述のような本来の休憩室ではなく、ある種の皮肉を込めて『休憩室』と呼称される。ここには幾つもの円筒状のポッドが僅かに傾斜した状態で壁に並んでおり、内部ではメイライ・トルーパーが"休憩"をしている。彼らはほぼ直立した状態で僅かな肉体の休息をとりながら、ポッドから供給される薬物によってニューロンを修復させ、メガデモによる愛社精神の再充填作業(すなわち再洗脳)を行っているのだ。

その光景は、洗脳教育を受けている最中のクローンヤクザのようでもある。彼らには全く意識がないため、部屋に侵入したPCに反応することはない。PCが望むなら、判定もなしに殺してしまうことができる。警報が発令した時、休憩中のトルーパーは自動的に再起動しPCに襲い来る。

この部屋に配置されたトレジャーはいずれも『バイオアンプル』である。これは人体に決して無害ではない強壮物質が濃縮された緑色の液体が封じられたガラス容器で、経口摂取するか皮下注射することで効果を発揮する。

PCはバイオアンプルを消耗品である通常の回復アイテムとして使用できる。使用した場合、【体力】と【精神力】がそれぞれ即座に1回復する。複数手に入れたとしても、同じシナリオ中には1回までしか使用できない(複数回の使用をPLが求める場合、NMは本来の効果に加えてペナルティを与える)。


シュレディンガーの部屋

君が足を踏み入れると同時に、圧縮空気を吐き出しながらいやに重厚な扉が音を立てて閉じた。一台の監視カメラと金属製のテーブルの他には何もない、無機質な部屋だ。テーブルの上にはひとつの箱が置かれている。

この部屋はメイライ社の兵士たちの恐怖心を麻痺させ、幻覚により思考操作を容易にするための薬物を高速摂取させるための部屋だ。PCが足を踏み入れるとこの部屋は完全に密閉され、無味無臭透明の薬物が空気中に散布される。PCは即座に素の【ニューロン】値で難易度U-HARDの判定を行う。判定に失敗した場合、【精神力】が+1回復する。


君は箱の蓋を開ける。そこには……「ナオーン!」ネコチャン!ネコチャンである!

箱の中には一匹の黒猫が収まっていた!『ネコチャン』

君は再び箱を開いたが、黒猫は居ない。
君の頭の上に居るからだ。ナオーン。

ナオーン。ネコチャンは箱の中に居る。大丈夫ですか?

ネコチャンはどこにいますか?貴方の頭の中でしょうか?
まさかとは思いますが、この「ネコチャン」とは、あなたの想像上の存在に過ぎないのではないでしょうか。

トレジャーは「空の箱」だが、先の【ニューロン】判定に失敗し薬物の影響を受けたPCは中に猫が居るような幻覚を見る。あるいは、メイライ社の異常性の片鱗を見せる怪奇演出として、結果を問わずに幻覚を生じさせても構わない。回収してもこのトレジャーは消えない。


教育室

並べられた簡素な椅子、東側の壁に天井から吊るされる3つの大型モニター……モニターにはノイズにまみれた不明瞭な人影が映り、何らかの身振り手振りを行う様子が延々とループ再生されていた。

不自然に良い姿勢で着座したメイライ・トルーパーはヘルメットの表面にその映像を反射させながら、何の反応も返さずに画面を延々と見つめ続けている。

この部屋は「教育室」と呼称され、休憩中のポッドから出たトルーパーが戦闘意識と愛社精神の調整を目的に、明滅するモニターから洗脳映像を摂取する部屋となっている。

PCが踏み入った時、彼らは恐るべき速度でそれに反応し、ぐるりと首を回すと一斉に立ち上がり、椅子に立てかけていたライフルを手に取る。

◆メイライ・トルーパー/アシガル級(種別:モータル)
カラテ     2  体力     1
ニューロン   2  精神力    2
ワザマエ    4  脚力     3
ジツ      -  万札     1
近接攻撃D:2、射撃D:6
◇装備やスキル
 スキル:『◉タクティカル移動射撃』
 装備 :『アサルトライフル&ミハル・ドットサイト, 赤外線レーザーサイト』
     『サイバーヘルメット(サイバーサングラス)』
 
 『軽量型メイライ・タクティカルスーツ』:
  最低限の装甲を備えた軽量のパワードスーツ。【脚力】+1。



◆イベント:警報

3ターンが経過したとき、突然地下施設には警報が鳴り響く。これはPCたちではなく、後述のニューロサージが検出されてしまったことによるものだ。いずれにせよゴットリーブが施設から逃げ出してしまうというリスクを排除するため、一行は一刻も早く予備電源の破壊とセキュリティシステムの確保を成し遂げなくてはならない。

PCが通過した後の兵士は彼らの後を追いかけるように移動し、そうでない兵士は先に行動指針が明記されていない限りPCを迎撃するために行く手を阻もうとする。

PCは押し寄せるトルーパーを"ボス"と薙ぎ払いながらセキュリティルームの方向へと猛進しなくてはならず、やがて分岐路に差し掛かるとセキュリティルームを"ボス"に任せて、予備電源を破壊するよう指示を受ける。この時点で、PCの次なる目標は、ジェネレータールームに辿り着くことになる。


セキュリティルーム

オペレーターが2体、トルーパーが2体控えている。オペレーターはUNIXコンソールを監視し、施設全体のカメラ映像や警報を管理している。

◆メイライ・オペレーター(種別:モータル)
カラテ     4  体力     4
ニューロン   3  精神力    3
ワザマエ    6  脚力     5
ジツ      -  万札     5
近接攻撃D:4、射撃D:8
◇装備やスキル
 スキル :『◉タクティカル移動射撃』、『◉トリガーハッピー』、『◉ウィークポイント射撃』
 サイバネ:『▶テッコLv1』、『▶ヒキャクLv1』、『▶クロームハートLv1』、『▷自動蘇生装置』
 装備  :『パルス・グレネード』、『サイバーヘルメット(軍用サイバーサングラス)』
      『メイライ・タクティカルSMG(マシンガン)』

 『軽量型メイライ・タクティカルスーツ』:
  最低限の装甲を備えた軽量のパワードスーツ。【脚力】+1。

 『●戦術指揮』:
  同じマップ上に居る味方のモータルNPCの移動可能マス数を2倍にする。
◆メイライ・トルーパー/アシガル級(種別:モータル)
カラテ     2  体力     1
ニューロン   2  精神力    2
ワザマエ    4  脚力     3
ジツ      -  万札     1
近接攻撃D:2、射撃D:6
◇装備やスキル
 スキル:『◉タクティカル移動射撃』
 装備 :『アサルトライフル&ミハル・ドットサイト, 赤外線レーザーサイト』
     『サイバーヘルメット(サイバーサングラス)』
 
 『軽量型メイライ・タクティカルスーツ』:
  最低限の装甲を備えた軽量のパワードスーツ。【脚力】+1。


ジェネレーター室への道&待機室

両サイドの柱の陰にズラリと直立するメイライ・トルーパーが並んだ広い直線通路。警報が発令されると、どちらか片方のトルーパーが通路の中央に移動して敵を迎撃する構えを取り、その兵士が倒されるともう片方が中央に移動して通路を塞ごうとする。

通路の南側にある2つの部屋は重要設備を防衛する兵士の待機スペースであり、先の「休憩室」に行くほどでもないメイライ・トルーパーが交代制で待機をしている。東側の部屋のトレジャーは「オーガニック・スシ」の入った簡素な冷蔵庫である。

左側の部屋には精密機器に囲まれたジェネレータールームでも戦闘が可能なメイライ・ケミスツとそれらを束ねるデッドリースモークが待機している。部屋中の?アイコンが後者の位置を表す。彼らは警報が発令されると即座に行動を開始し、ジェネレータールームに移動してPCを迎撃する。

◆メイライ・トルーパー/アシガル級(種別:モータル)
カラテ     2  体力     1
ニューロン   2  精神力    2
ワザマエ    4  脚力     3
ジツ      -  万札     1
近接攻撃D:2、射撃D:6
◇装備やスキル
 スキル:『◉タクティカル移動射撃』
 装備 :『アサルトライフル&ミハル・ドットサイト, 赤外線レーザーサイト』
     『サイバーヘルメット(サイバーサングラス)』
 
 『軽量型メイライ・タクティカルスーツ』:
  最低限の装甲を備えた軽量のパワードスーツ。【脚力】+1。



予備ジェネレータールーム(ボスエリア)

君が飛び込んだ部屋は、熱気と冷気が混ざり合う混沌としたアトモスフィアに包まれていた。この部屋にはオベリスクめいた冷却装置が円形に並べられ、その中央に巨大なジェネレーターが設置されている。

その物陰にはケミカル発光する化学防護服を来た兵士が4人。そして1人の背後から、一際大柄な影が現れ、君に対峙した。

赤いセルで示されたジェネレーターは【体力】8に加え、頑丈な放熱装甲板による「ダメージ軽減1」の効果を有している。一方で周囲に配置された冷却装置は【体力】3を持ち、全てが破壊されるとジェネレーターも連鎖爆発を起こす。(いずれも射線を遮る)。

破壊工作チームにとって、この部屋はいわゆるボス戦用のエリアとなる。デッドリースモークとメイライ・ケミスツはこの部屋に陣取り、冷却装置やジェネレーターへの動線を遮りながら、じわじわと痛めつけるような攻撃手段でPLを焦らせる。

PCそしてPLは先に厄介な兵士たちを片付けてから悠々と装置を破壊するのか、あるいは万が一の事体に備えて装置の破壊を優先するのか、選択を迫られる。ボスエリアの敵をすべて排除し、ジェネレーターを破壊するとこのシーンは完了となる。


◇NPCデータ:デッドリースモーク(概念蘇生ニンジャ)

ブレイン・ウォーフェアでPCに爆発四散させられたと仮定して、このシナリオで再登場するデッドリースモークは『概念蘇生ニンジャ』と呼ばれる存在と化している。彼らは本来のニンジャが持っていたニューロン記憶バックアップで上書き洗脳された重サイバネのモータルであり、PCがかつて遭遇したニンジャとは全くの別人である。

メイライ社のニンジャは任務へ出撃する前にニューロン記憶のバックアップを行い、仮に爆発四散した場合でもモータルの素体へ記憶上書きすることで、任務直前の状態で"蘇生"できるという冒涜的な福利厚生を得ている。これは即ち失敗した任務の記憶を全て失うということであり、例えばPCが直接の死因であった場合でも、全くの面識がない状態にリセットされている。

NMは上記の真実を強調するため、遭遇時のセリフなどを初回と全く同じものにする、メンポが砕け別人の素顔が顕になる、など幾つか演出面で工夫をこらすことが望ましい。


『概念蘇生ニンジャ』は後述の『★ヒガン・コネクト』によって、大元となったニンジャが有していたグローバルIPに属するプライベートIPで素体となる「モータル」のIPを上書きし、微かにオヒガンの力を引き出すことを可能とされた存在である。これに加えてニューロンの上書き洗脳を受けることで、元来のニンジャソウルや記憶から戦闘スタイル呼び起こせるため、単なる重サイバネ者に収まらない戦闘能力を身に付けることができている。

「のこのこと現れやがったな。ドーモ、デッドリースモークです。知らないヤツってこたぁ、少なくとも敵であることは間違いないな!」重装甲のスーツ機構が展開し、黒煙を吐き出し始めた。

「俺は不死身なんだーッ!!」

◆デッドリースモーク(種別:モータル/重サイバネ/ボス級の敵)
カラテ     3  体力     8
ニューロン   3  精神力    4
ワザマエ    6  脚力     3/E
ジツ      -  万札     15
近接攻撃D:3、射撃D:6、回避D:8(HARD)
◇装備やスキル
 装備  :『ガスマスクメンポ(【精神力】+1)』
 サイバネ:『▶︎テッコLv1』、『▶︎生体LAN端子Lv1』、『▶︎ヒキャクLv1』
      『▷内蔵型チェーンブレード』
 スキル :『●サイバネ適性』、『◉常人の三倍の脚力』
      『◉連続側転』、『◉シャープシューター』

『*ソウドオフ・カスタムスマートショットガン*』:
 遠隔武器、ダメージ2、連射2、時間差、マルチターゲット、ショットガン接射
 この銃火器は「射撃を回避された」とき、即座に同じ対象へ跳弾による1ダメージを発生させる。

『▶▶▶デッドリー・フレーム』:
 【体力】+3、【精神力】+2、【脚力】-2
 スリケンおよび銃器による遠隔攻撃に対してのみ有効な『回避難易度-1』を得る。
 
『ドクケムリ・ジツ(偽)』:
 僅かに触れるだけで神経に作用する危険な毒煙を周囲に蔓延させるジツ。
 隣接する密閉空間あるいは部屋全体の敵に対すして「能動判定難易度+1」の効果を常時発生させる。

◇NPCデータ:メイライ・ケミスツ

メイライ・ケミスツは一切の痕跡を残さない神経毒ガスにより、現場の目撃者や潜伏者を"掃除"する後処理部隊である。その特性上、直接戦闘能力は低いが、ジェネレータールームなど流れ弾で精密機器が破損する可能性があるようなエリアでも問題なく活動できるというメリットがある。

◆メイライ・ケミスツ(種別:モータル)
カラテ     2  体力     2
ニューロン   2  精神力    3
ワザマエ    3  脚力     2
ジツ      -  万札     2
近接攻撃D:2、射撃D:5
◇装備やスキル
 装備   :『サイバーガスマスク(射撃D+2)』
 サイバネ :『▶︎クロームハートLv1』、『▷自動蘇生装置』

『リロン神経毒ガス噴霧器』:
 遠隔武器、爆発(3x3)、連射1、精神力ダメージ1

『サイバーケミカルスーツ』:
 パルス発光するシナプス状LEDラインの入った化学防護服。
 気体を媒介した毒物によるダメージを無効化する。



◆暗殺チーム:サイバネ工房

こちらのルートを選択したPCは、上記のマップを舞台に、隠密行動を取りながら、ニューロンキーを持つニンジャを探して回ることになる。

外部から様子が伺えないタイプの部屋や特別なスペースについては、それぞれのNPCの位置だけが「?」アイコンで表されている。PCはその場所に繋がる扉に隣接した状態で内部を調べる(これは「その他の行動」とみなされる)か、直接視認することでその正体を突き止めることができる。


このマップにおいて重要なのは、ピンク色のマスで示される「監視カメラの視界」である。このマスが表す範囲内で「PCが移動を終了する」「敵NPCが攻撃を受ける」「PCが通常移動で通過する」のいずれかが起こると、PCらの潜入は即座に検出されてしまう。

これは配置されている敵NPCの行動手番が回ってきたとき、視線の通っているマスにPCあるいはNPCの死体が存在する場合も同様である。

PCが検出されてしまった場合、即座に後述の『警報』イベントが発生する。

以下には、エリアに用意されたギミックや処理について述べられている。なお凡例の表記がないマスについては、すべて通常マスとして処理を行う。


メンテナンスコンベヤ

ギゴーン!ギゴーン!ギゴーン!ギゴーン!騒々しい機械音と共に、部屋を突き抜けるベルトコンベアが何処からともなくサイバネや銃火器を運んでくる。その傍らに直立する兵士たちもまた、機械めいた動作で淡々と品質確認作業を繰り返していた。

この部屋ではマップの右側から流れてくるサイバネや銃火器と言った備品や部品に対して、メイライ・トルーパーが淡々とメンテナンス作業を行っている。

コンベヤに隣接している兵士は非武装状態であり、敵が現れたとしても一切の反応を示さずメンテナンス作業を続ける。管制室のメイライ・オペレーターがプログラム切り替えを行わない限り、彼らは警報が発令してもPCを襲ってこない。

配置されているトレジャーは次のトレジャー表で判定を行うこと。

1~2:銃火器のアタッチメントやナイフ:シナリオ終了後、【万札】D3で売却可能。この部屋における次以降のトレジャー判定時に毎回出目が+1される(他のPCが行う判定でも同様にこの+1を得られる)。

3:クリーンなサイバーヘルメット:「サイバーサングラス」として使用可能な頭部装備。シナリオ終了後、【万札】5で売却可能。

4:メイライ・タクティカルスーツのサーボパーツ:「▶ヒキャクLv1」として使用可能なサイバネ。シナリオ終了後、【万札】5で売却可能。

5:軍用テッコ:シャープな装甲で覆われた軽量型の軍用サイバネ。「▶テッコLv1」として使用可能。シナリオ終了後、【万札】5で売却可能。

6:重装サイバー鎧:「ヘヴィテックアーマー」として使用可能な胴体装備。電源系が実装されておらず、単に頑丈な装甲を持つサムライアーマーとして機能する。

◆メイライ・トルーパー/非武装/アシガル級(種別:モータル)
カラテ     2  体力     1
ニューロン   2  精神力    2
ワザマエ    4  脚力     3
ジツ      -  万札     0
近接攻撃D:2、射撃D:6
◇装備やスキル
 スキル:『◉タクティカル移動射撃』
 装備 :『サイバーヘルメット(サイバーサングラス)』
 
 『軽量型メイライ・タクティカルスーツ』:
  最低限の装甲を備えた軽量のパワードスーツ。【脚力】+1。


一時収監室

ダークグレーの化学防護服を着た人物が2人。スーツのシナプス状LEDラインは不気味にパルス発光している。彼らの奥には別のセクションへと繋がる扉と、厚い強化ガラス製の壁が見える。そしてその奥には……何らかの人影が認められた。

この部屋では2人のメイライ・ケミスツが何らかの作業を行っており、奥の強化ガラス製の壁の向こう側には朦朧とした様子の"求職者"、すなわちメイライ社にスカウトされてきた人々が軟禁されている。

この部屋に配置されたトレジャーはいずれも『バイオアンプル』である。これは人体に決して無害ではない強壮物質が濃縮された緑色の液体が封じられたガラス容器で、経口摂取するか皮下注射することで効果を発揮する。

PCはバイオアンプルを消耗品である通常の回復アイテムとして使用できる。使用した場合、【体力】と【精神力】がそれぞれ即座に1回復する。複数手に入れたとしても、同じシナリオ中には1回までしか使用できない(複数回の使用をPLが求める場合、NMは本来の効果に加えてペナルティを与える)。

PCが発見されるなどして警報が発報されたとき、ケミスツは"求職者"を連れて南側に移動し、マップから消えてしまう可能性がある。

◆メイライ・ケミスツ(種別:モータル)
カラテ     2  体力     2
ニューロン   2  精神力    3
ワザマエ    3  脚力     2
ジツ      -  万札     2
近接攻撃D:2、射撃D:5
◇装備やスキル
 装備   :『サイバーガスマスク(射撃D+2)』
 サイバネ :『▶︎クロームハートLv1』、『▷自動蘇生装置』

『リロン神経毒ガス噴霧器』:
 遠隔武器、爆発(3x3)、連射1、精神力ダメージ1

『サイバーケミカルスーツ』:
 パルス発光するシナプス状LEDラインの入った化学防護服。
 気体を媒介した毒物によるダメージを無効化する。


管制室

幾つものUNIXモニターの光を浴びながらキータイプを淡々と続けるのは、一般兵とは装いの異なるメイライ・オペレーターである。彼らは全身のサイバネ置換率がトルーパーよりも遥かに高く、高度な戦術指揮能力を持つ。

そして彼の両脇に配置されているのは、無数の管に繋がれたトルーパーを封ずる円筒状のポッドであった。彼らの意識は全くに失われているように見える。

この部屋ではメイライ・オペレーターがUNIXモニターを前に、各種サイバネの搬入搬出作業の監視を行っている。警報が発報された時、彼はこの場所を動かずに、マップ上の全トルーパーに「戦術指揮」を行いながら状況に対応する。

部屋の両端に配置されているのは気絶状態のメイライ・トルーパーであり、警報が発報された場合に限り、覚醒して状況への対応を開始する。

◆メイライ・オペレーター(種別:モータル)
カラテ     4  体力     4
ニューロン   3  精神力    3
ワザマエ    6  脚力     5
ジツ      -  万札     5
近接攻撃D:4、射撃D:8
◇装備やスキル
 スキル :『◉タクティカル移動射撃』、『◉トリガーハッピー』、『◉ウィークポイント射撃』
 サイバネ:『▶テッコLv1』、『▶ヒキャクLv1』、『▶クロームハートLv1』、『▷自動蘇生装置』
 装備  :『パルス・グレネード』、『サイバーヘルメット(軍用サイバーサングラス)』
      『メイライ・タクティカルSMG(マシンガン)』

 『軽量型メイライ・タクティカルスーツ』:
  最低限の装甲を備えた軽量のパワードスーツ。【脚力】+1。

 『●戦術指揮』:
  同じマップ上に居る味方のモータルNPCの移動可能マス数を2倍にする。


保管庫

この部屋にはメンテナンスコンベヤで整備された武器・装備類が保管されている。トルーパーたちは一定数以上の装備のメンテナンスチェックが完了すると、それらをこの部屋のウェポンラックに懸架してゆく。

配置されたトレジャーは次の何れかから任意で選択し取得して構わない。

メイライ・タクティカルSMG :コアルールの『マシンガン』のデータに準拠
パルス・グレネード      :コアルールのデータに準拠


虚無の部屋

この部屋には特に重要なものはない。配置された兵士は非武装状態であり、敵が現れたとしても一切の反応を示さない。管制室のメイライ・オペレーターがプログラム切り替えを行わない限り、彼らは警報が発報されてもPCを襲ってこない。

配置されたトレジャーはバイオアンプルである。

◆メイライ・トルーパー/非武装/アシガル級(種別:モータル)
カラテ     2  体力     1
ニューロン   2  精神力    2
ワザマエ    4  脚力     3
ジツ      -  万札     0
近接攻撃D:2、射撃D:6
◇装備やスキル
 スキル:『◉タクティカル移動射撃』
 装備 :『サイバーヘルメット(サイバーサングラス)』
 
 『軽量型メイライ・タクティカルスーツ』:
  最低限の装甲を備えた軽量のパワードスーツ。【脚力】+1。



戦闘兵器トロフィー

そこには何らかの戦勝トロフィーめいて、全身に酷い傷を負った一体の大型ロボ・ニンジャが飾られている。流線型の黒い装甲、真っ二つに割られた頭部を飾るデザインクロススリット……これはかつて君たちがカラテを交わしたサターンではないだろうか?

この場所には『オペレイシヨン・ペーパークリップ』でPCに破壊されたサターンが勲章めいて飾られている。大型のジェットエンジンや各種武装は取り外され、電源系を失ったことから殆どの機能を失っているが、ジョルリ・ジツなどによって操ることが可能である。
 例えば『☆◉操り人形』を持つPCはサターン単体を対象にジツを発動することで、サターンを『操り人形』化して即座に行動させられる。この場合、ジツの発動コストは【精神力】2となる。ただし、効果終了時に【精神力】1を追加で消費することで、次のターンはジツの発動もコストも不要で、手番開始時にサターンを『操り人形』化できる。

NMは例外的に、これを「ハッキング系スキルを持つPC」や「デン・ジツあるいは電磁属性ダメージを伴う武器を持つPC」が行えるとしても構わない。

サターンに武器は内蔵されていないが、移動時に隣接マスを通過することで、1ターンに1回まで「懸架された巨大武器」を拾って一時的な武装とすることができる。

◆サターン|損壊(種別:戦闘兵器、大型2x2)
カラテ     6  体力     12
ニューロン   1  精神力    -
ワザマエ    9  脚力     3
ジツ      -  万札     0
近接攻撃D:6、射撃D:9
◇装備やスキル
 スキル:『◉突撃』

 『クローアームx2』:特殊近接武器、ダメージ1、連続攻撃2


サイバネ工房(ボスエリア)

巡回警備を潜り抜け通路を辿ると、君たちは天井を薄暗闇に覆われるほど上方に背負う、広大なホールに辿り着いた。やや不可解だが、深部に辿り着くにはどうやらどのルートを辿ってもこの場所を通過する構造になっているようだ。

PCはしばらくの探索の後、この広大なサイバネ工房にたどり着く。最終目標のプレジデントルームへ向かうには必ずこの部屋を経由する構造となっているのだ。

懸架された大型武器:マップのあちこちには戦闘兵器用の武器がクレーンなどで吊り下げられて、あるいは飾られている。その武器が実際何なのかは、回収時にD6ダイスで決定する。

これらの武器は回収して使うこともできるが、全て『重火器』として扱われ、『戦闘兵器』が運用あるいは指定がある場合を除き2回使用した時点で弾切れとなる。

1:オムラ・マシンガン:連射3、ダメージ1
2:オムラ・マシンガン:連射3、ダメージ1
3:マイクロミサイルポッド:「爆発(3x3)、ダメージ1」もしくは「連射6、ダメージ1」シナリオ中1発のみ
4:V3ジェットエンジン:『大型2x2』特性のキャラのみ、『轢殺2』を得る。
5:電磁ブレードカタナ:特殊近接武器、ダメージ1、電磁ショック1
6:スダチカワフ・バズーカ:爆発(カトンLV2)、シナリオ中1発のみ


◇描写イベント:アクセルカタナと"ドクター"

底知れない闇を背負ったサイバネ工房の中心部では、作業台の傍らで向き合う2つの影があった。ひとつは青いLEDラインが走るサイバネスーツの影。ひとつはガラス細工めいた繊細なサイバネ指を伸ばしてその装備をメンテナンスする、フードローブに全身を覆い隠した影。

君はこのうち前者を、かつて争った企業ニンジャ、アクセルカタナであると認めた。

サイバネ工房の中央には2つの人影がある。彼らの様子を伺ったPCは、その影の不気味な会話を耳にすることになるだろう。

黒いサイバネスーツに全身を覆った上級職員、アクセルカタナはサイバネのメンテナンスを終えると、フードに全身を覆い隠した"ドクター"としばしの会話を交わす。

「……お前が"ドクター"とは、実に皮肉な話だな。最も重篤な患者であるお前が」
『現状に、何か不満があるようですね。アクセルカタナ=サン』
「大いにある。俺はこの"体"に納得していない」
『なるほど、未だ変化に馴染んでいないのですね』
「俺は……そういう話ではない」

『過去の自分が?今の自分が?そんなことを考えるのは無意味な行為です。サイバネに溢れたこの世界で、己を構成する要素の合一性を精確に定義するのは難しいですからね』

『構造が違う、思考が違う、外見が違う。それは些末な問題です。最終的に今ある己の根底を構成する何かを己と認識さえすれば、それが己なのですから。つまり、自分が自分を自分であると認識したことが重要なのです』

『そしてそれこそが次の段階へと進化する鍵……』

◆イベント:警報と戦闘兵器

暗殺チームと同様、こちらでも3ターンが経過したとき、突然地下施設には警報が鳴り響く。これはPCたちではなく、後述のニューロサージが検出されてしまったことによるものだ。警報が発報されると、侵入者の迎撃のためアクセルカタナは西側から繋がるプレジデントルームへと向かいマップ上から消える。一方の"ドクター"は非凡な第六感でPCの存在を看過し、兵たちを指揮してその行く手を遮る(強制的に検出され、戦闘処理が始まる)

調査中にどれだけの数の兵士を倒したかにもよるが、ケミスツは勾留中のモータルを連れてマップ外に消え、オペレーターは管理室から指揮を取り、メイライ・トルーパーの大群だけがPCを目掛けて迫りくることになる。



◇NPCデータ:”ドクター”・コスモクライム

ローブがはだけ、その者の正体が顕となる。ガラス細工めいた様相は指先のみならず、その全身に及んでいた。透明なサイバネボディと背景を隔てるのは、封じられた神経系と、頭部に浮かぶ脳だけであった。

このシナリオでは「オペレイシヨン・ペーパークリップ」で遭遇した「コスモクライム」がボスキャラクターとして再登場する。彼は先述のデッドリースモークと同様に『概念蘇生ニンジャ』を自称するため、PCは"ドクター"が目的のニューロンキーの持ち主であることにすぐ気がつくだろう。このシーンでは最終的に、襲い来る敵をすべて排除し、コスモクライムのニューロンキーを手に入れることが目的となる。

TIPS:「コスモクライム」は何度倒しても戦闘兵器や重サイバネボディ、あるいは全く別人の姿で再びPCの前に姿を現す。その本体は機械や他人の体に埋め込まれたニューロンチップなのだ。それが破損せず回収されさえすれば記憶の連続性は保たれる。

一方で、同時に複数人が存在する、ニューロンチップを完膚なきまでに破壊しても再び現れるなど、他の「概念蘇生ニンジャ」とは別の手段によって擬似的な不滅性を獲得したキャラクターである。

コスモクライムは当初、ローブを着た人型の姿で大量のトルーパーを指揮しながら戦う。しかしPCの攻撃を受けたとき、その体ががらんどうの偽物であることが判明する。彼の本体は僅かな脊髄と脳(そしてそれらもニューロチップへと圧縮加工されている)だけであり、その他のパーツは換えの効く付属品に過ぎない状態となっている。

"ドクター"のサイバネボディは奇妙なガラス状の素材で構成されており、全身に張り巡らされた血管や神経系、先に述べた脳がアクリル樹脂固めのようにして内側に浮いている。彼はこの状態で一切の攻撃を行わず、殺到するメイライの兵士たちを指揮してPCを迎え撃つ。

『ドーモ、またお会いしましたね。コスモクライムです』

"ドクター"・コスモクライム(種別:モータル/重サイバネ、ボス級の敵)
カラテ     1   体力     3
ニューロン   1   精神力    4
ワザマエ    6   脚力     3
ジツ      -   万札     0
近接攻撃D:1、射撃D:11、回避D:6(HARD)
◇装備やスキル
 スキル :『◉サイバネ応急修理』、『◉不屈の精神』、『◉緊急ブリッジ回避』

 『▶▶▶▶▶▶コスモクライム・フレーム』:【精神力】+5
 
 『●キルンワーク精密指』:【ワザマエ】判定ダイスを+5する。
 
 『●パラディンの指揮能力』:
  マップ上に存在するあらゆる味方キャラクターの射撃&攻撃ダイスをそれぞれ+2する。



◇NPCデータ:コスモクライム・アイビー

KRAAAAASH!その攻撃がコスモクライムに届くことはなかった。命中のコンマ秒前、遙か上空より落下した巨大な鉄塊が青白い稲妻を伴う巨大なカタナを振るい、彼の背後から一撃を受け止めて見せたからだ……!

そのボディには『IB』と無骨な文字がゴシック体で刻まれている!

「言ったでしょう『次はもっとうまくやる』と」稲妻の背後でガラス細工のサイバネボディが開き、露出した脳が迫り出す。ガゴンプシュー!IBの装甲の一部が展開し……同時に、コスモクライムの露出脳も"展開"する。

『技術の発展は実に目覚ましい』戦闘兵器から伸びるマニピュレータが展開した露出脳から小さな一部位を引きずり出し、格納した。

『無駄を省き効率化』KRAAASH!ガラスのサイバネボディが砕け散る。『ラグの問題も大幅に改善。イヤーッ!』ロボ・ニンジャとは思えぬ滑らかさでカタナが打ち振るわれた。『このボディ、"IB"でお相手しましょう』

PCが"ドクター"を攻撃した時、天井から巨大なロボ・ニンジャフレームがコスモクライムの背後に投下され攻撃を防ぎ、彼の僅かな生体パーツをAIコアとしてマニュピレータで体内に取り込んでしまう。コスモクライムはこうしてサイバネボディを乗り換え、不足した頭脳パーツをロボ・ニンジャの回路で補うことで柔軟に戦闘スタイルを切り替えることができるのだ。

アイビーは近代テックによるカタナと盾を伴う、グラディウス・ドーめいたスタイルで戦う。

この戦闘ではPCを飽きさせないように、毎ターンこうしたエネミーのイベントPOPで緊張感が高まるように演出を行う。最初のコスモクライムがPOPして以降、装備の異なるサターンの機体を纏った別のコスモクライムが順に2体POPする。これはそれぞれが独立した自我を持った、しかしコスモクライムという同一の存在であり、処理に手間取れば、やがて『モーターガッタイ』のように三倍の処理能力を持つ巨大な機甲兵器の姿を顕にする。

現れる3体のコスモクライムをすべて始末すると、このシーンは完了となる。

◆コスモクライム・アイビー(種別:戦闘兵器、大型2x2、ボス級の敵)
カラテ     13   体力     20
ニューロン   6   精神力    -
ワザマエ    12   脚力     7
ジツ      -   万札     30
近接攻撃D:13、射撃D:12、回避D:6(HARD)
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃3』、『◉グレーター・ツジギリ』、『◉タクティカル移動射撃』
      『◉不屈の精神』、『◉突撃』、『●即死耐性』

 サイバネ:『▷脚部内蔵型マイクロミサイルポッド』
      『▷クロスLEDウェポンライト(第二の心臓)』

 『六連電磁ブレードカタナ』:
  特殊近接武器、ダメージ1、電磁ダメージ1、近接攻撃リーチ+1、防御構え/強攻撃

 『ブラックアウト・カラカサ』:
  遠隔武器、爆発(3x3)、火炎ダメージ1、精神力ダメージ1
  電子回路の破壊や表皮水分の急速加熱による激痛を引き起こすマイクロ波兵器。

  『●カラカサ防御』:
   あらゆる攻撃に対して『ダメージ軽減1』を得る。
   20以上のダメージを軽減した時点で、カラカサは破壊され、二度と使えない。

 『●パラティヌス・アクション・モード』:
  毎ターン開始時【ニューロン】値と同じ数「回避ダイス」を得る。
 
 『●ゼンメツ・アクション・モード』:
  手番開始時に使用を宣言する。次ターン、回避ダイスを得られなくなるが
  その手番の間『キリングマシーン』と同等の効果を得る。



◇NPCデータ:コスモクライム・エネルギヤ

KRAAAAASH!その時、新たな鉄塊が遙か上空より落下する。GARRRRRRRRRR!!!巨大なチェーンソーブレード、ミサイルランチャー、そして肩部に装着された二丁のマシンガン砲!

『Энергия』と刻まれたボディを屈め、そのロボ・ニンジャはアイサツを繰り出した。「ドーモ、コスモクライムです。このボディ、"エネルギヤ"でお相手しましょう」

アイビーがPOPした次のターンには、このエネルギヤがPOPする。エネルギヤには既に「コスモクライム」のニューロンチップが搭載されており、これで同時に「コスモクライム」が2体存在することになる。

エネルギヤは破壊性能に特化しており、全方位を爆撃しながらチェーンソーで敵を薙ぎ払うように戦う。

◆コスモクライム・エネルギヤ(種別:戦闘兵器、大型2x2、ボス級の敵)
カラテ     13   体力     20
ニューロン   6   精神力    -
ワザマエ    12   脚力     7
ジツ      -   万札     30
近接攻撃D:13、射撃D:12、回避D:6(HARD)
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃3』、『◉グレーター・ツジギリ』、『◉タクティカル移動射撃』
      『◉不屈の精神』、『◉突撃』、『●即死耐性』

 サイバネ:『▷クロスLEDウェポンライト(第二の心臓)』

 『ヒュージ・チェーンソーブレード』:
  特殊近接武器、連続攻撃−1、ダメージ2、攻撃難易度:HARD、サツバツ!発生

 『ダブル・オムラ・マシンガン』:
  遠隔武器、連射6、ダメージ1、小銃、マルチターゲット

 『ハニカムミサイルランチャー』:遠隔武器、小銃、連射1、カトンLv2

  『●射撃スタイル:全方位ミサイル爆撃』:
   特殊な射撃攻撃とみなす。移動後使用不可。射線の通る最大6体の敵を対象として宣言し
   自動的に「ダメージ1」「時間差」「回避難易度:EASY」のミサイル攻撃を3回行う。

 『●パラティヌス・アクション・モード』:
  毎ターン開始時【ニューロン】値と同じ数「回避ダイス」を得る。
 
 『●ゼンメツ・アクション・モード』:
  手番開始時に使用を宣言する。次ターン、回避ダイスを得られなくなるが
  その手番の間『キリングマシーン』と同等の効果を得る。


◇NPCデータ:コスモクライム・クライスラー

KRAAAAASH!その時、新たな鉄塊が遙か上空より落下する。GARRRRRRRRRR!!!マッシブな胴体から伸びる鉄塊めいた長大なカラテアーム!

『CHRYSLER』と刻まれたボディを屈め、そのロボ・ニンジャはアイサツを繰り出した。「ドーモ、コスモクライムです。このボディ、"クライスラー"でお相手しましょう」

エネルギヤがPOPした次のターンには、このクライスラーがPOPする。クライスラーには既に「コスモクライム」のニューロンチップが搭載されており、これで同時に「コスモクライム」が3体存在することになる。

クライスラーは1VS1の近接カラテ戦闘に特化しており、大質量による擬似的なビッグ・カラテで戦う。

◆コスモクライム・クライスラー(種別:戦闘兵器、大型2x2、ボス級の敵)
カラテ     13   体力     20
ニューロン   6   精神力    -
ワザマエ    12   脚力     7
ジツ      -   万札     30
近接攻撃D:13、射撃D:12、回避D:6(HARD)
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃3』、『◉グレーター・ツジギリ』、『◉タクティカル移動射撃』
      『◉不屈の精神』、『◉突撃』、『●即死耐性』

 サイバネ:『▷▷ジェットパック・ユニット』
      『▷クロスLEDウェポンライト(第二の心臓)』

 『V3ロケット・カラテアーム』:
  巨大なカラテ腕で強烈な近接攻撃を繰り出す。
  「素手」、「近接攻撃リーチ+1」、「怪力(痛打+1&弾き飛ばし)」

 『●アースクエイク・シコ』:
  移動フェイズ開始時に1行動を消費して使用可能。【ワザマエ】HARDで判定する。
  成功した場合、隣接マスの全キャラへ自動的に1ダメージを与える(回避難易度:NORMAL)。
  これは回避されたかどうかに関係なく、さらに回避不可の『回避ダイスダメージ2』を与える。
  この攻撃に対する『カウンターカラテ』は発生しない。

 『●メイアルーア・ジ・コンパッソ』:
  「攻撃フェイズ終了時」に使用可能。【ワザマエ】HARDで判定する。
  成功した場合、「攻撃フェイズ」で攻撃した対象のうち1体に対して
  追加で「ダメージ1」と「弾き飛ばし」効果を与える(回避難易度:HARD)
  この攻撃に対する『カウンターカラテ』は発生しない。『アースクエイク・シコ』とは併用不可。

 『●攻撃スタイル:モーター・トビゲリ』:
  【ワザマエ】HARDで判定する。
  【脚力】の2倍までの距離を瞬間移動し、ぎこちない大質量の破壊的トビゲリを繰り出す。
  到着マスに対し5ダメージ、その隣接マス12個に対し1ダメージを自動的に与える。
  到着マスのキャラが生き残った場合、強制的に隣接マスへと押し出される。

 『●パラティヌス・アクション・モード』:
  毎ターン開始時【ニューロン】値と同じ数「回避ダイス」を得る。


◇NPCデータ:コスモクライム(ガッタイ)

「アイビー」「エネルギヤ」「クライスラー」は「モーター・ガッタイ」のような合体機構を有している。基本的にPCがこの存在と戦うことは想定されていないが、仮にこの3体が合体した場合、「コスモクライム」の処理能力爆発的に向上し、PCは大いに苦しめられることになる。

なお、キャンペーン全体におけるPCの活躍が奮わず、メイライ社がオナタカミ社とより強固な関係性を築いていた場合、登場するコスモクライム全員の武装はオナタカミ製のものに変更され、ガッタイ機構の代わりに変形機構を有することになる。

「「「ここからが本番ですよ!」」」

◆コスモクライム/ガッタイ(種別:戦闘兵器、大型4x4、ボス級の敵)
カラテ     18   体力     60
ニューロン   6   精神力    -
ワザマエ    12   脚力     9
ジツ      -   万札     90
近接攻撃D:8、射撃D:12、回避D:18(HARD)
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃3』、『◉グレーター・ツジギリ』、『◉タクティカル移動射撃』
      『◉不屈の精神』、『◉緊急ブリッジ回避』、『◉◉タツジン:ノダチ』
      『●即死耐性』、『★アースクエイク・シコ』

 サイバネ:『▷▷ジェットパック・ユニット』、『▷脚部内蔵型マイクロミサイルポッド』
      『▷クロスLEDウェポンライト(第二の心臓)』

 『六連電磁ブレードカタナ』:
  特殊近接武器、ダメージ1、電磁ダメージ1、近接攻撃リーチ+1、防御構え/フェイント斬撃

 『V3ロケット・カラテアーム』:
  素手、ノダチ、近接攻撃リーチ+1、怪力(痛打+1&弾き飛ばし

 『ヒュージ・チェーンソーブレード』:
  特殊近接武器、連続攻撃−1、ダメージ2、攻撃難易度:HARD、サツバツ!発生

 『ダブル・オムラ・マシンガン』:
  遠隔武器、連射6、ダメージ1、小銃、マルチターゲット

 『ハニカムミサイルランチャー』:遠隔武器、小銃、連射1、カトンLv2

  『●射撃スタイル:全方位ミサイル爆撃』:
   特殊な射撃攻撃とみなす。移動後使用不可。射線の通る最大6体の敵を対象として宣言し
   自動的に「ダメージ1」「時間差」「回避難易度:EASY」のミサイル攻撃を全員に3回行う。

 『●メイアルーア・ジ・コンパッソ』:
  「攻撃フェイズ終了時」に使用可能(瞬時)。【ワザマエ】HARDで判定する。
  成功した場合、「攻撃フェイズ」で攻撃した対象のうち1体に対して
  追加で「ダメージ1」と「弾き飛ばし」効果を与える(回避難易度:HARD)
  この攻撃に対する『カウンターカラテ』は発生しない。『★アースクエイク・シコ』とは併用不可。

 『●戦闘スタイル:モーター・トビゲリ』:
  【ワザマエ】HARDで判定する。
  【脚力】の2倍までの距離を瞬間移動し、ぎこちない大質量の破壊的トビゲリを繰り出す。
  到着マスに対し5ダメージ、その隣接マス12個に対し1ダメージを自動的に与える。
  到着マスのキャラが生き残った場合、強制的に隣接マスへと押し出される。

 『●移動スタイル:殺人轢殺ジェットタックル』:
  基本的には『突撃』と同様のルールを適用する。
  ・他のキャラ(敵味方問わず)がいる場所を通過しながら移動できる。
  ・通過された敵全ては自動的にダメージを1D3受ける(回避は『HARD』で可能)。
  ・『殺人轢殺タックル』後に『近接攻撃』を繰り出す場合、そのダメージは全て+3される。
  ・その他(使用者は次の手番まで回避不能、など)は『突撃』と同様。

 『●並列三倍量ニンジャ戦闘AI』:
  同一のグローバルIPに接続した"コスモクライム"の頭脳が3機並列接続搭載されている。
  エテルの流入量増加と高度な処理能力により、毎ターン通常通り回避ダイスを入手できるほか
  「近接攻撃」→「射撃」→「射撃」と3回行動することが可能となる。 



シーン3:プレジデントルームへの道

その装飾的な工場は今も忙しく稼働している最中であった。白光タイプの電気ボンボリの冷たい明かりが水槽に満たされた怪しげなバイオ液に反射し、地下空間は緑色に照らされている。

それぞれの目的を果たしたPCたちは一度合流し、メイライ・トルーパーの死体が彼方此方に打ち捨てられた、同じようなレイアウトの通路を走り抜けてこの場所に辿り着く。ここにはスカウトした求職者に本格的な洗脳教育を施して「トルーパー」とするバイオ液水槽が通路の両脇へ聳え立つように配置されている。

もっともここは洗脳教育を主目的とした場所ではない。バイオ液水槽は「トルーパー」たちをある種のトロフィーやオブジェとして、プレジデントルームへの道を飾り立てる為だけに配置されているのである。

TIPS:アシッドウルフはセキュリティルームに残り、このシーンではPCだけが任務の続きを遂行することになる。2つのシーンを同時並行で進めている場合、先に目的を果たしたチームだけをこの場に登場させ、後追いで合流させても良い。


メイライVSアマクダリ

「イヤーッ!」「アバーッ!サヨナラ!」爆発的に生じたツララが周辺の兵士ごと1人のニルヤ兵を貫き、即死!そのジツの主、プロハンドは背後へと喚き立て「おい!まだか!?とっとと「イヤーッ!」「グワーッ!?」次の瞬間には青い残光に首を刎ね飛ばされていた。

「俺がやる。ここから先は、ニンジャの時間だ」「勝てると思ってる?」片や、目まぐるしくLED光が走るサイバースーツの影。それに相対するは改造白衣を纏う女ニンジャ。

両者の背後ではそれぞれ虚ろな兵士とゾンビーめいた兵士がたが互いに隊列を組み、ライフル弾の応酬を始めた。

プレジデントルームへと続くこの場所では、警報を鳴らした侵入者である、アマクダリ・セクトのニンジャ、ニューロサージとその護衛がアクセルカタナおよびメイライ兵と戦闘を行っている。

ニルヤ部隊が常人離れしたカタナ捌きでニンジャを狩り殺す一方、ニューロサージはメガデモ洗脳中のメイライ・トルーパーをボトク・ジツで次々と肉人形に変えながらプレジデントルームへの道を悠々と進んでいる。戦況はややアマクダリが優勢に思えるが、ニューロサージの暴走が彼らの潜入計画を台無しにしていることは否めない。


PCはアマクダリ・セクトの目的もまた、プレジデントルームであることにすぐ気がつくだろう。基本的には彼らが情報を得られないよう、PCがアマクダリに敵対することが想定されているが、この三つ巴の状況でどう立ち回るかはPLの判断に委ねられる。マップ左端のUNIX端末に辿り着き、ニューロンキーで扉を解錠すると次のシーンへと進行する(その場で生存していた全員が次のマップへと移行する)。


◇NPCデータ:プロハンド

アマクダリ・セクトのニンジャ。コリに纏わるソウルを身に宿しているが、コリ・ニンジャクランの所属ではない。ニューロサージのお目付け役として同伴している。
 このシナリオにおいては彼女の暴走によって引き起こされたメイライ社との不要なイクサによって、PCがアイサツを交わす間もなくアクセルカタナに首を刎ねられ、爆発四散する。あるいはプレジデントルームへ早々に辿り着いた場合、彼と戦うことになる可能性もある。

◆プロハンド(種別:ニンジャ)
カラテ     5  体力     5
ニューロン   4  精神力    4
ワザマエ    5  脚力     3
ジツ      1  万札     5
近接攻撃D:5、射撃D:5、回避D:5
◇装備やスキル
装備  :『コリ・ケン(カタナ)』
消耗品 :『トロ粉末』
スキル :『◉特殊近接ステップ』、『◉トラップ解除技術』
ジツ  :『☆コリ・ジツ』


◇NPCデータ:ゴールデンスパイダー

アマクダリ・セクトのニンジャ。ハッカーコミュニティの出身であり、主に電子障壁の突破が必要になるような潜入任務に派遣されている。ニューロサージのお目付け役として同伴している。
 初期状態ではマップに配置されていないが、NMは必要に応じてこのニンジャを敵NPCの増援として使用できる。そうでない場合、ゴールデンスパイダーは戦闘終了時に地下施設から脱出する。

◆ゴールデンスパイダー(種別:ニンジャ)
カラテ     3  体力     4
ニューロン   6  精神力    6
ワザマエ    6  脚力     3/N
ジツ      0  万札     5
近接攻撃D:4、射撃D:8、回避D:7
◇装備やスキル
 スキル :『◉緊急ブリッジ回避』、『◉kill_9』
 装備  :『カタナ』、『軍用サイバーサングラス』、『タクティカル・ニンジャスーツ』
 サイバネ:『▶生体LAN端子Lv1』、『▷電脳戦用デッキ』、『▶テッコLv1』


◇NPCデータ:ノーヘッド

アマクダリ・セクトのニンジャ。弁護士という表の顔を持ち、ネオサイタマの法律に関する造詣も深い。偽造のタツジンであるエミュレイターと共に数多くの敵をセプクに追いやった過去を持つ。

ロクビ・ニンジャクランのソウル憑依者であり、イクサにおいて自らの頭部を爆発物として用いる奇怪な戦闘スタイルを取る。爆発した頭部は何らかの原理により、術者の手元に再生成される。ニューロサージのお目付け役として同伴している。
 初期状態ではマップに配置されていないが、NMは必要に応じてこのニンジャを敵NPCの増援として使用できる。

「これはこれは」

◆ノーヘッド(種別:ニンジャ)
カラテ     4  体力     5
ニューロン   4  精神力    6
ワザマエ    2  脚力     2
ジツ      1  万札     5
近接攻撃D:4、射撃D:2、回避D:5、発動D:6
◇装備やスキル
 装備   :『伝統的ニンジャ礼装一式』、『カタナ』、『バクチク・グレネード』
 サイバネ :『▶生体LAN端子Lv1』

 『☆ロクビ・ボムLv1』:
  分離した自らの頭部を投擲し、不浄な爆発物として用いる。
  攻撃フェイズに1行動と【精神力】1を消費して発動(NORMAL)。
  視線の通る1マスを中心に、『カトンLv1』を発生させる。
  これによりダメージを受けた対象は、術者の次の手番終了時まで『崩れ状態』となる。


◇NPCデータ:ファイアアリゲイター

アマクダリ・セクトのニンジャ。柔軟な受け流しからのカウンターを主体とするナイル・カラテのタツジン。ソウル由来のギガ・カトン・ジツは、燃え盛るウキヨエめいた光景のローカルコトダマ空間に相手を引き込み焼き殺すという、キリングフィールド・ジツの一種である。

ニューロサージのお目付け役として同伴している。初期状態ではマップに配置されていないが、NMは必要に応じてこのニンジャを敵NPCの増援として使用できる。

「俺のホノオに飲み込まれた者は、永劫に絵画世界を彷徨うことになるのだ」「アブナイ!その油断が命取り!」

◆ファイアアリゲイター(種別:ニンジャ)
カラテ     5  体力     7
ニューロン   4  精神力    4
ワザマエ    3  脚力     3/N
ジツ      1  万札     0
近接攻撃D:5、射撃D:5、回避D:5、発動D:5
◇装備やスキル
 装備   :『メガコーポ一般兵装束一式』
 サイバネ :『▶サイバネアイLv1』
 スキル  :『◉ニンジャアドレナリン強化』、『◉滅多打ち』
       『☆カトン・ジツ』、『☆◉発火能力者』


◇NPCデータ:ニューロサージ

アマクダリ・セクトのニンジャ。ニューロサージは記憶を読み出すジツを有しており、メイライ社の持つ旧世紀の技術につながる機密情報を回収する命を帯びている。しかし、その素行には問題があり、周囲の護衛ニンジャはこのシナリオにおいても彼女に振り回されてしまっている。

ニューロサージはPCとは別のニューロンキー(それはニンジャの生首だ)を既に手に入れており、放っておけば悠々とプレジデントルームへと到達し、PCを出し抜いてしまう。一方で戦闘向きのニンジャではないため、一定以上まで【体力】が減少するか、PCとメイライ社が結託して集中攻撃を仕掛けてくるなど不利な状況に陥ると、脇目も振らずに逃走する。


この場合、マップの上下に配置された、薄いオレンジ色で表される最寄りの脱出マスまで最短経路で移動しようとする。もしニューロサージがこのマスに到達すると、マップから排除され、PCはそれ以上彼女を追いかけることはできない。

「いったい、何よ?」「ハイ、ハイ、ハイと」「ハハ!全部揃った!」「ちょっと興奮してきたから、ビズ口調をやめるわ」

◆ニューロサージ (種別:ニンジャ)
カラテ    4  体力   8
ニューロン  9  精神力  9
ワザマエ   6  脚力   3/N
ジツ     5  万札   10
攻撃/射撃/機先/電脳  5/7/9/9
回避/精密/側転/発動  9/7/6/15

◇装備や特記事項
 装備  :改造白衣装束(追加ルールなし)
 スキル :『●マルチターゲット』、『●時間差』
      『◉ニンジャソウルの闇』、『◉邪悪なサディスト』
      『★◉痛覚遮断』(体力+3、急所破壊による【精神力】ダメージ1軽減)
 ジツ  :『☆アナトミ・ジツLV3』、『★攻性ボトク・ジツ』、『★ニューロンハック』
      『★◉肉人形の作成』

『☆アナトミ・ジツLV3』:
 手番の攻撃フェイズに「その他の行動」として【精神力】を1消費し、発動判定を行う。
 成功した場合、術者と隣接しているキャラ1人に対して、以下のいずれかの効果を使用できる。
  ・ZBRアドレナリンと同じ効果を発揮する。
  ・部位破壊による基礎能力値へのダメージを全て回復する。
   ※2箇所以上の場合【精神力】を追加で1ずつ消費する。
 これは応急処置であり、シナリオ終了後に治療は必要。

『★攻性ボトク・ジツ』:
 手番「開始フェイズ」に【精神力】を2消費して発動する(HARD)。
 発動に成功すると、自身の素手にエンハンスを施し、次の効果を得る。
 ・出目6を1個以上含んで成功した場合『回避難易度』+1
 ・【6,6】ではなく【6,5】で『サツバツ!』発生
 ・『拘束攻撃(脱出:U-HARD)』
 ・戦闘兵器や構造物に対しては、いずれの効果も得られない

『★◉ニューロンハック』:
 術者によって『拘束』されている敵は、術者の手番開始フェイズに、
 『サツバツ!』出目2の効果を自動的に受ける(回避不能)。
 術者はこの方法でダメージを与えるたび、敵のニューロンから目的の記憶1つを読み出したとみなす。
 術者が望むならば、上記効果やダメージを一切与えず、記憶だけを読み出したとみなしてもよい。
 
『★◉肉人形の作成』:
 『サツバツ!』の出目2または出目6の効果でモータルまたはニンジャを殺した場合、
 直ちに【精神力】を1消費し、ジツ発動判定(難易度:HARD)を行うことで、
 対象を肉人形として支配下における。肉人形と化した者は、
 【体力】6、【ニューロン】1、【精神力】-、【脚力】1となり、生ける屍のようになる。
 ※その他の能力値は本来のまま

 肉人形は【ニューロン】や【精神力】を使用するような行動、および回避行動を取れない。
 肉人形はシナリオ終了時に倒れ、死亡または爆発四散する。



◇NPCデータ:アクセルカタナ(概念蘇生)

PCはこのシナリオにおいても、再び『アクセルカタナ』と遭遇することになる。『アクセルカタナ』は『ブレイン・ウォーフェア』や『オペレイシヨン・クロスボウ』でPCが遭遇するアクセルカタナと同様のパーソナリティを有しているが、100%同一人物とは言えない。この人物もまた『概念蘇生ニンジャ』なのだ。

アクセルカタナの目的は侵入者がプレジデントルームへ入り込むことの阻止であり、先ずはアクセスキーを持っていることが明らかなニューロサージを優先的に狙い、次いでPCら侵入者を攻撃するように動く。

「お前にふさわしい死をくれてやる」「脆い身体だ。イラつくな」

◆アクセルカタナ(種別:モータル、重サイバネ、ボス級の敵)
カラテ     2  体力     7
ニューロン   7  精神力    6
ワザマエ    6  脚力     5
ジツ      -  万札     10
近接攻撃D:5、射撃D:7、回避D:6(HARD)
◇装備やスキル
 装備  :『カラテ伝導ファイバースーツ(タクティカル・ニンジャスーツ)』
      『フルフェイスメンポ』
 サイバネ:『▶︎▶︎▶︎テッコLv3』、『▶︎生体LAN端子Lv1』、『▶︎ヒキャクLv1』
 スキル :『●サイバネ適性』、『◉常人の三倍の脚力』、『◉滅多斬り』、『◉連続側転』
      『◉ツジギリ』、『◉トライアングル・リープ』

『サイバーカタナ』:特殊近接武器、ダメージ1、電磁ショック1

『メイライ社製カスタムオートハンドガン』:
 遠隔武器、拳銃、連射3、時間差、マルチターゲット、ダメージ1

『▶︎▶︎アクセル・フレーム』:
 【体力】+3、【精神力】+2、『連続攻撃+1』。

『●戦闘スタイル:アクセル・ジツ』:
 【精神力】を2消費して使用。痛打なし。
 すべての攻撃が「回避難易度:HARD」の「●ヒサツ・ワザ:ムーンシャドウ」となる。
 使用者は手番終了時に発動回数分だけD2のダメージを受ける。

◇概念蘇生について

ピシィ……アクセルカタナのフルメンポに亀裂が生じ、装甲が剥離した。素顔があらわになった。「……!」彼女は驚愕したようだった。

『概念蘇生ニンジャ』が製造される際、その素体は単純に増強用のサイバネティクスとの相性のみで選ばれており、元の人格との性別や年齢の一致については一切考慮されていない。現在のアクセルカタナは、その外見的な装備こそ全く同じだが、スペイシー・ボイスに隠された声色は異なり、装備の下は痩せた女性のモータルとなっている。

この事実が明らかとなるまで、NMは『アクセルカタナ』に関する描写に置いて『ニンジャ』や『彼/彼女』といった、その性質を断言するようなキーワードを使うべきではない。


◇NPCデータ:アクセルカタナ(ニンジャ)

『アクセルカタナ』はコスモクライムによる、自己を定義するための精神的なインストラクションに強い影響を受けており、自身が過つてのニンジャとは異なると理解していながらも、己のソンケイを保つため、己を『今のアクセルカタナ』として自己定義し続けている。その結果、このイクサでモータルとしての死を迎えた時、ニンジャソウル憑依が発生し『アクセルカタナ』として再びニンジャと化す。

これはPCとPLに対する「100%同じ存在でなくとも、何者であるのかを自己定義しそれを貫き続ければ何者かになることができる」というメッセージでもある。最終的にPCが同じような選択を迫られた時、アクセルカタナやコスモクライムの有り様は、そのエゴの形成に大きな影響を与えるだろう。

己が己を己だと信じなければ、誰が己を保証してくれるというのだろうか?再憑依が発生した時点で、もはやアクセルカタナがメイライに与する理由はないが、ここでどう行動するかはその場の状況による。

「故に私達は自己定義を続ける。己が何者なのか」

◆アクセルカタナ(種別:ニンジャ/重サイバネ)
カラテ     6  体力     9
ニューロン   8  精神力    8
ワザマエ    10  脚力     7/E
ジツ      3  万札     15
近接攻撃D:11(精密)、射撃D:12、回避D:11
◇装備やスキル
 装備   :『カラテ超伝導ファイバースーツ(【体力】+1)』
 サイバネ :『▶︎生体LAN端子Lv1』、『▶サイバネアイLv1』、『▶︎ヒキャクLv1』
 スキル  :『●サイバネ適性』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
       『◉重サイバネ化』、『◉常人の三倍の脚力』、『◉トライアングル・リープ』
       『◉ウィークポイント射撃』、『◉ツジギリ』、『◉疾駆』

『サイバーカタナ』:特殊近接武器、ダメージ1、電磁ショック1

『メイライ社製カスタムオートハンドガン』:
 遠隔武器、拳銃、連射3、時間差、マルチターゲット、ダメージ1

『▶︎▶︎アクセル・フレーム』:
 【体力】+3、【精神力】+2、『連続攻撃+1』。

『●戦闘スタイル:アクセル・ジツ』:
 【精神力】を2消費して使用。痛打なし。
 すべての攻撃が「回避難易度:HARD」の「●ヒサツ・ワザ:ムーンシャドウ」となる。

『☆アクセル・ジツLv3』:
 サイバネ・ホログラフと身体加速のジツを組み合わせたテック・ジツ。
 移動フェイズ開始時に【精神力】を1消費して難易度NORMALで発動。
 一時的に【脚力】がLv値だけ増加し、続く攻撃フェイズにおいて相手を崩れ状態とみなす。

『●戦闘スタイル:アクセル・ツジギリ』:
 【精神力】を1消費して使用。【ワザマエ】で攻撃判定を行う。
 この攻撃は『回避難易度+1』となり、「ムーンシャドウ」と同様の移動を行っても構わない。



シーン4:プレジデントルーム|劇場

「ニューロン認証、完了な。開きます」ゲイシャ音声が告げる。機構部からスチームを噴出しながら、大仰な観音扉がゆっくりと開いた。

広大なその空間に広がるのはプレジデントルームではなく、劇場と形容すべき光景であった。緩やかな下り坂の頂点から君たちが見下ろす先、最奥のステージへと向かって真紅のシートが並べられ、そこには無数のオイラン・オーディエンスが不自然に整った姿勢で腰掛けている。

観音扉が君たちの背後で閉ざされ、劇場は再び薄暗闇に閉じ込められた。

この小規模の劇場めいた部屋にはターゲットであるゴットリーブの他、大量のオイランがひしめいている。PCが踏み込んだ場合、短い対話の後、ゴットリーブと彼の配下であるオイランたちとの戦闘に入る。つまり、このマップ上に存在する全てのキャラクターが敵となるのだ。


劇場の床はゴットリーブが居るステージに向けて、階段状の下り坂になっている。PCはここを下りながら進軍することになるが、基本的に上側のマスにいるキャラクターは下側のマスにいるキャラクターに対して高所の有利を取り、近接攻撃難易度-1のメリットを得る。これは敵味方を問わない。


座席は特に移動を阻害したり射線を遮ったりすることはないが、背もたれを遮蔽物として遠隔攻撃の盾にすることができるため、このマス上にいる間は射撃に対する回避難易度-1のメリットを得る。これは敵味方を問わない。


◇NPCデータ:シドニー・ゴットリーブあるいはブラックソーサラー

その男はライトに照らされたステージの上で、旧世紀のレリック・ミュージックに合わせ、扇情的なキモノを羽織ったオイランとぎこちないステップを踏んでいた。「見ての通り僕は忙しいんだ。帰ってくれないか」その足首から先は、やや内側に向けて変形しているように見えた。

PCには明かされないが、このシナリオにおける"ゴットリーブ"の正体は、電子戦争以前にCIAそして〈鷲の一族〉の傘下で薬物を使用したマインドコントロール実験を行っていたスパイマスター『シドニー・ゴットリーブ』の影武者である。彼はかつてシドニー・ゴットリーブが陰で呼ばれていた異名のうち、ブラックソーサラー(すなわち『CIA暗部の最深部に潜み、恐るべき実験を繰り返す闇の魔術師』、を意味する)を自らのニンジャネームとして選んだ。

彼は常時2人のオイランを後ろに控えさせ、ひとりの改造オイランアサシンと踊りながら、戦闘には直接的に参加しない。彼は最初のターンに『★★★アガト・ゲン・ジツ』を発動するか『★アガト・ジツ』でオイランにバフを与え、その後はさらにバフを拡大しながら『★アガト・ボム生成』で次々とトラップや上級戦力を召喚しながら戦う。

ブラックソーサラーは『★★ヒガンネット』の効果により、他のNPCにダメージを肩代わりさせるため、直接攻撃したとしても彼を倒すことはできない。PCは圧倒的な劣勢の状況から、暗殺ターゲットであるブラックソーサラーに手が届くまで、大量の敵を殲滅していかなくてはならない。

「色々と好き勝手に呼ばれていたけれど、今はこう名乗るのが相応しいと思う。ドーモ、ブラックソーサラーです」

◆ブラックソーサラー(種別:ニンジャ/アーチ級)
カラテ     1   体力     13
ニューロン   13  精神力    21
ワザマエ    5   脚力     1
ジツ      8   万札     5
近接攻撃D:1、射撃D:5、回避D:14、ジツD:23
◇装備やスキル
 装備  :『記憶のグレースーツ&鋼鉄メンポ(アーチ級生成装束)』
       →【体力】+4、【精神力】+5、緊急回避ダイス+8、発動+2、【回避】+1
 スキル :『●時間差』、『●マルチターゲット』、『●ニンジャ第六感』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉アーチ級ソウルの力』
      『★★★◉アーチ級装束生成(魔術的)』

 『●先天性内反足』:
  このキャラクターは両足に先天性の形態異常を抱えている。
  移動系スキルが使用不可となり、【脚力】が-2される。

 『☆アガト・ジツLv1-3』:
  Lv1:【精神力』を1消費し、難易度HARDで発動。判定に成功した場合、同じ部屋に存在する
     【ジツ】値+1人(上限4)の「モータル」へ『●悪魔の爪』の効果を付与する。
  Lv2:【精神力】2を消費するとき、さらに各対象に隣接する「モータル」1体を対象に加える。
  Lv3:【精神力】3を消費するとき、さらに各対象に隣接する「モータル」2体を対象に加える。  
  
   「●悪魔の爪」:
   ・対象の「素手」にエンハンスを施し、「近接攻撃D+1」「回避Dダメージ1」を追加する。
    これは指先から不規則に伸びる「黒い悪魔めいた爪」として表れる。

   ・このエンハンス効果を受けている対象が死亡した時、その効果を
    対象から射線の通る、別の「モータル」へ移譲することを宣言してもよい。

 『★アガト・ボム生成』:
  「悪魔の爪」を持つ「モータル」が死亡したとき、効果を移譲する代わりに
  【精神力】を1消費して、その対象を「アガト・ボム」に置き換えることができる。

 『★ヒガン・コネクト』:
  対象のIPアドレスを特定のグローバルIPに紐付いたプライベートIPで強制上書きする。
  指定した「モータル」1体の全能力値を+1し、指定した能力値をひとつだけさらに+1する。
  このバフを受けた対象は「コネクター」の特性を得る。このジツを戦闘中に使用することはできない。

 『★★ヒガンネット』:
  死の超常的な転嫁を行う。全て、繋がっている。
  このキャラがダメージを受けた時、そのダメージや付随効果を全て強制的に
  同じ部屋に存在する「コネクター」に肩代わりさせることができる。
  
 『★★★アガト・ゲン・ジツ』:
  自分の手番で攻撃の代わりに使用する。【精神力】を4消費し、「難易度:U-HARD」で発動。
  発動に成功すると犬。腹の中の蛇。銅製の脳。溶け出す鉛。燃え盛る内臓。ハートの開放。
「アガト・ボム(種別:トラップ)」:
  モータルの死体を苗床とする黒い菌糸状の管の呪術的集合体。

   ・このオブジェクトは【体力】3を持ち、自身を中心とする5x5の範囲内で攻撃を行う
    「コネクター」に近接/射撃D+1の効果を付与する。このボーナスは重複する。

   ・【体力】が0以下になると「爆発3x3」を発生させ、その場に「ミスター・デス」をPOPする。
    この爆発は味方を巻き込まず、範囲内の「モータル」全員に「悪魔の爪」効果を付与する。

   ・術者は手番開始時、難易度U-HARDのジツ判定を行い、判定に成功した数を上限として
    任意の数の「アガト・ボム」を起爆することができる。
   
   ・隣接マスで静止し、難易度:HARDの【ワザマエ】判定に成功することで
    「アガト・ボム」を起爆せずに切除することができる。これは行動権を消費しない。



◇NPCデータ:ミスター・デス

弾けたアガト・ボムの黒いカビは収束し、やがてグレースーツを纏ったマッシブな体躯のデーモンの姿を取った。渦巻く黒いカビが構築する頭部の中には、朱く輝く2つの眼があった。

これは『死神氏(Mr. Death)』と呼称されたゴットリーブの抽象的なイメージが具象化した半物質的な存在である。この超常的な存在はアガト・ボムの数だけカラテ値が増加し、それに応じて『●連続攻撃X』も変化するという恐るべき能力を有している。

アガト・ボムは全てのジツの起点となっている薬物幻覚を更に加速させる超常的な幻覚誘発装置であり、ブラックソーサラーはこれをPCに吸引させることで、半物質的・半エテル的な"ミスター・デス"の存在性を高めている。

◆ミスター・デス(種別:■■■■■)
カラテ     6   体力     2
ニューロン   10  精神力    -
ワザマエ    3   脚力     6
ジツ      0   万札     0
近接攻撃D:8、射撃D:3、回避D:0
◇装備やスキル
 装備  :記憶のグレースーツ(効果なし)

 『悪魔の爪』:
  特殊近接武器、ダメージ1、近接攻撃リーチ+1、連続攻撃+1、近接攻撃D+2

 『炎熱の眼』:
  遠隔武器、火炎ダメージ1もしくはカトンLv1

 『☆リーサリティー』:
  マップ上に存在する「アガト・ボム」の数だけ【カラテ】値が増加する。
  「ミスター・デス」は最終的な【カラテ】値に応じて「連続攻撃X」を自動的に取得する。



◇NPCデータ:改造オイランアサシン

改造オイランアサシンは傍目からはサイバネティクスが視認できないよう、オモチシリコンによる隠蔽改造を施したサイバネオイランである。戦闘が始まると1人はブラックソーサラーのダンスに付き合うため何も行動しないが、残りの3人はPCに向けて接近と攻撃を始める。

戦闘訓練を受けているこのアサシンたちは、基本的にオイラン・オーディエントが自分たちへの射線を遮るように動き、PCの密集具合に応じてバズーカを使いつつチャカ・ガンによる牽制をしながら接近してくる。

◆改造オイランアサシン(種別:モータル/コネクター)
カラテ     2   体力     3
ニューロン   3   精神力    4
ワザマエ    4   脚力     3
ジツ      -   万札     5
近接攻撃D(精密):6、射撃D:6
◇装備やスキル
 装備  :扇情的キモノ・ドレス(効果なし)
 サイバネ:『▶クロームハートLv1』、『▶サイバネアイLv1』、『▶ヒキャクLv1』
 スキル :『◉疾駆』、『◉突撃』

 『オートマチック・チャカ・ガン』:拳銃、連射2、ダメージ1

 『スダチカワフ・バズーカ』:
  遠隔武器、爆発(カトンLV2)、小銃、シナリオ中1発のみ

 『アサシンダガーx2』:
  特殊近接武器、連続攻撃+1、ダメージ1、射撃・連続側転難易度+1、精密攻撃



◇NPCデータ:オイラン・オーディエント

万雷の拍手が鳴り響き、ステージを取り囲む座席から一斉のオイランたちが立ち上がった。

オイラン・オーディエントは一見まともに見えてズンビーのような存在であり、このマップにおける主な敵性存在となる。

オーディエントは基本的に最も近くに存在するPCに向けてぞろぞろと群体めいて移動し、周囲を取り囲もうとする。基本的にはカタナによる通常の攻撃しかしてこないが、高所の有利を取った場合や、アガト・ボムによるバフで十分なダイスが得られている場合は積極的に滅多斬りを仕掛けてくる。

◆オイラン・オーディエント(種別:モータル/コネクター)
カラテ     3   体力     1
ニューロン   3   精神力    3
ワザマエ    3   脚力     2
ジツ      -   万札     0
近接攻撃D:3、射撃D:5
◇装備やスキル
 装備  :『扇情的キモノ・ドレス(効果なし)』、『サイバーサングラス(射撃D+2)』
 武器  :『ドス・ダガー(アサシンダガー)』
 スキル :『◉滅多斬り』



◆イベント:冥府の呼び声

ブラックソーサラーはPCと対峙すると、部屋にエアロゾール散布したLSDとアガト・ボムによる精神汚染を起点とした『★★★アガト・ゲン・ジツ』によりPCを強制的に悪夢の世界に引きずり込む。

これは発動時から3ターンに掛けたマップの侵食と狂気的幻覚の描写として表現され、マップが全て汚染された次のターンの開始時に、次のシーンへと進行する「重金属酸性雨」イベントが発生する。

フェーズ1

その時、周囲の壁のあちこちから赤黒い液体……鉄臭い血液がプレジデントルームへと噴出し始めた。部屋が蠢き、脈動する心臓のように、血液を送り込んできているのだ。




フェーズ2

ブラックソーサラーにしなだれかかっていた改造オイランが、そして君たちを襲う大量のオイランが沸騰し始め、その皮膚が、筋肉が、どろどろと溶け落ち、骸骨へと変わってゆく。


フェーズ3

部屋に飾られていた工芸品は犬の頭になっていた。犬。目が君たちを追う。赤黒い液体が部屋に満ちる。


◆イベント:重金属酸性雨

そしてそのとき、重金属酸性雨が振り始めた……。

「アガト・ゲン・ジツ」による恐るべき効果が成就しようかというとき、屋内にも関わらず突如降り始めた重金属酸性雨が全てを洗い流す。これは文字通り"全てを洗い流し"てしまい、流れ込む血液や襲い来るオイラン、果ては劇場そのものも絵の具を溶かすように崩れ始め、PCたちは暗黒の中へと自由落下を始める。

PCやPLはこれが「アガト・ゲン・ジツ」の効果かと勘違いするだろうが、実際はそうではない。「アガト・ゲン・ジツ」による干渉に対し、アシッドウルフがPCらに施した洗脳がコンフリクトを起こし、ニューロンのプロテクトとして機能しながらも、断片的な過去の記憶の歪なソーマト・リコールを引き起こしてしまうのだ。

これによって、PCはブラックソーサラーとの狂気的なイクサを行っていた状態から、突如全く異なるマップ、シチュエーションに放り込まれ、絶望的なイクサを強いられることになる。



シーン5:コールドフィート

ひどい耳鳴りと、体が燃えるような感覚。君は重金属酸性雨が降り注ぐ、 泥水に倒れ伏した状態で意識を取り戻した。ここは何処か?ゴットリーブの"エイトボール"。ここは何処か?重金属酸性雨降り注ぐネオサイタマの廃工場。ここは何処か?ここは何処か?

そうだ、この日は重金属酸性雨が降っていた。いつもよりも酷く、激しく、横殴りに打ち付けるそれに苛立ちを覚えるほどに。『これほど早く辿り着く者が居るとは』

視界が途切れた。
立ち上がれ。
カラテを構えろ。

重金属酸性雨汚染で崩れ落ちた廃工場。目に刺さる劇場シートの朱。『終わりか。お前のカラテは』そのニンジャは重金属酸性雨に打たれながら、空を見上げていた。

上記のようなカットインが挿入され、PCらに記憶の連続性はあるものの、全く別のシナリオのようにして歪なソーマト・リコールが始まる。

このシーンは、かつてソウカイヤに所属していたPCがターゲットであるアシッドウルフに分断工作受け叩きのめされた際の記憶と、クレイニアムによるミリタリー式のインストラクションの記憶、アシッドウルフによるカラテインストラクションの記憶が混じり合い、ツギハギのように切り替わりながら進行する。

PCにとって、ここから経験する出来事や目にする光景は、初めてのはずなのに何処かニューロンの片隅に引っ掛かるものがある、極めて奇妙なものばかりだ。


◇アガト・ゲン・ジツによるデバフ?

「アガト・ゲン・ジツ」が完全に発動しきった時、全てのPCには次のような致命的なデバフスキルが強制付与される。

しかし、これは厳密には「アガト・ゲン・ジツ」の効果そのものではない。ソーマト・リコールによって過去の再現シチュエーションに放り込まれたPCに対し、当時のステータスに近いものを再現する意図でデバフを付与し、「アガト・ゲン・ジツ」の影響かのように見せかけているだけだ。

『●燃え盛る内臓』:それは君の五臓六腑に染み渡る。【体力】にダメージを受けた時、さらに回避不能の「回避ダイスダメージ1」を受ける。

『●銅製の脳』:君の脳は鈍重な塊となり、欠落を生じる。生い立ちによる取得スキルや自動取得スキルを除き、全てのスキルを失う。

『●溶け出す鉛』:君の全身から鉛が溶け出している。全てのサイバネがシャットダウンし、その効果を失う。

『●腹の中の蛇』:君の臓腑で無数の蛇が蠢いている。成長の壁を突破している能力値を強制的に2/3(端数切捨て)にする。これに伴い自動取得系のスキルも失われる。

『●ハートの開放』:君が今、曝け出さなければならないもの。【体力】や【精神力】へのダメージを任意の値だけ相互変換できる。代わりに"特定の敵"から受ける「サツバツ!」の効果が必ず出目6の「即死」効果となる。

◇『コールドフィート』の進行ルール

このシーンでは大量のデバフを受けた、PCが圧倒的に不利な状態での戦闘が繰り広げられる。PCの意志に関わらず、記憶の影が襲い来るため、彼らは一旦ブラックソーサラーの存在を脇において問題に対処しなくてはならない。

デバフの処理も含め、複雑な先の見えない展開が続くため、NMは次の進行ルールをあらかじめPLへ開示してしまうのが望ましい。

◉このシーンは特殊なイベント戦闘である。

◉シーンはさらに4つのサブシーンに細分化されている。

◉一定ターンが経過するか、PCの誰かが本来なら爆発四散するようなダメージを負った時、即座に次のサブシーンへと強制的に切り替わる。PCは爆発四散しない。

◉サブシーンが切り替わるとき、PC全員の【体力】と【精神力】は最大値まで回復する。部位損傷も取り除かれる。


1~2ターン目:アシッドウルフ戦

『見せてみろ。お前のニンジャソウルの輝きを』

大粒の雨が破れた屋根から吹き込む。
泥が跳ね上がり、君と彼の装束にモザイク状の小さな模様を描く。
周囲には幾つかの倒れ伏した影。お前はそこに混ざるのか?

彼は、アシッドウルフはピストルカラテを構える。

ソーマト・リコールが始まってから最初の2ターンは、この現実と記憶が混じり合った歪なマップにおいて、過去の記憶が再現するアシッドウルフとの戦闘になる。

上記のマップでは一見してアシッドウルフが2人存在しているようにも見えるが、実際には中央の黒いラインを境として、時間軸の異なる記憶が構成した全く異なる2つのマップが横並びになっているものとして処理を行う。

そのため左側に存在するキャラクターは右側の存在を認識することができないし、その逆も然りだ。PCは二手に分断され、アシッドウルフと戦う。

◆アシッドウルフ (種別:ニンジャ)
カラテ     10  体力     13
ニューロン   10  精神力    12
ワザマエ    10  脚力     6/N
ジツ      1   万札     0   
近接攻撃D:14、射撃D:14、回避D:15
◇装備や特記事項
 防具 :『旧世紀ポリゴンメンポ&ミリタリー装束(精神力+1、回避D+1)』
 武器 :オノミチ・カスタムx2(赤外線レーザーサイトx2、クイックドロー・ユニット)

 サイバネ:▶︎▶︎▶︎▶︎鷲の腕Lv4(カラテ判定D+4, 回避D+4, 精神力+1)
      ▶︎アパタイトの眼(ワザマエ判定D+1, 射撃D+1)、▶︎生体LAN端子

 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉トライアングル・リープ』、『◉グレーター・ツジギリ』
     『◉タクティカル移動射撃』、『◉キリングマシーン』、『◉痛覚遮断』
     『◉◉タツジン(ピストルカラテ)』、『◉ヒサツ・ワザ(ネバダズ・デスカタパルト)』

『○元秘密工作員』:
  諜報活動のタツジンとして、電子・物理両面で様々な情報収集と隠蔽工作に精通している。
  適切なシチュエーションであれば、関連した判定の難易度が−1ないし−2される。

『◉◉タツジン(ピストルカラテ)』:
 「拳銃/二挺拳銃/ライフル」装備を「素手状態」ともみなし、
 それら銃器の装備時ペナルティを全て無視し、隣接している敵に対しても射撃可能とする。

  『●戦闘スタイル:射撃反動カラテ(使用コスト:回避ダイス2個)』:
   装備中の銃器で射撃判定を行った後、近接攻撃判定を行う(射撃スタイルは使用不可)。
   『二挺拳銃』を装備している場合、『連続攻撃+1』かつ『近接攻撃難易度+1』を得る。

  『●戦闘スタイル:セイケンヅキ射撃』:
   この近接攻撃は全て『痛打+1』を得る。この攻撃が1発でも命中した場合、
   攻撃フェイズ終了時に対象へ「弾き飛ばし」を与えても良い。

『☆腐食カラテ』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費して瞬時発動。ジツ値Xターンの間だけ効果が持続。
  効果中は『素手』攻撃にエンハンスによる『装甲貫通1』『回避ダイスダメージ1』が付与される。

『センサー式対人地雷』:
  このニンジャは戦闘エリアに大量の対人地雷を仕掛け、その位置を巧妙に偽装している。
  手番終了時、射線の通る敵1体を指定して自動的に発動させることができる(瞬時)。

  対象は即座に難易度U-HARDの【ニューロン】判定を行い、判定に失敗した場合
  自身を中心に『ダメージ1』『回避難易度:HARD』の『爆発3x3』が発生する。


3~4ターン目:クレイニアム戦

重金属酸性雨が打ち付ける泥の大地が、絵の具を溶かすように崩れ始める。剥き出しになるアスファルト。新たなテクスチュア。

『まったく。湿気たカラテだね。腰抜けは泥に塗れて、塗れて、何も成せずに野垂れ死ぬのが関の山だ。それが嫌なら拳握って立ち上がんな』

波の音が聞こえる。君は濡れたアスファルトに手を付き、起き上がる。

クレイニアムがナックルダスターを填めた手で君を手招きした。

アシッドウルフとのイクサ場は徐々に狂い始め、泥の下からアスファルト固めの堤防が現れ、虚無に溶け落ちた箇所には重油汚染された波が打ち付け始める。そしてイクサの相手はいつの間にか、ソウカイヤのクレイニアムへと入れ替わる。

このイクサでクレイニアムはPCのカラテに対して、デバフで弱体化している現在の状態から、本来の戦闘スタイルに繋がるようなインストラクションを授ける。例えばワザマエ型の剣士であれば、「アンタの細腕じゃあ、どう頑張ってもたたっ斬るのはできないね。もっとカラテを練りな。鋭く、一点に、で、そこを当てれば良いのさ」、といった具合だ。

インストラクションを経て、クレイニアムと戦うこの2ターンの間、毎ターン開始時に「アガト・ゲン・ジツ」に起因するデバフが1つずつ解除されてゆく。このサブシーンでは『●燃え盛る内臓』『●銅製の脳』の2つが解除される。

◆クレイニアム (種別:ニンジャ)
カラテ     12   体力     19
ニューロン   8   精神力    9
ワザマエ    7   脚力     6
ジツ      5   万札     0
近接攻撃D:14(15)、射撃D:9、回避D:14、緊急回避D:9
◇装備や特記事項
 装備 :『**ガスマスクメンポ&ミリタリー装束+2**(業物の近代的ニンジャ装束一式+2)』
     『』
 消耗品:『オーガニック・トロスシ』、『ZBRタバコ(効果なし)』
 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉特殊近接ステップ』、『◉◉タツジン:ボックスカラテ』
     『◉緊急ブリッジ回避』、『◉頑強なる肉体』、『◉防具習熟』
     『☆カトン・ジツLv3』、『★カトン・パンチ』

『★◉特殊カトン・ジツ』:
 カラテ打撃と同時に、拳の先に小爆発を生じさせる特殊なカトン・ジツ。
 攻撃フェイズ開始時、【精神力】Xを消費することで次の戦闘スタイルを使用できる。

 『●戦闘スタイル:捨て身の強打|強打』:精神力コスト1
  この攻撃は『エンハンス不可』となるが、判定の成否に関わらず
  攻撃対象を中心に「爆発(3x3)」が自動的に発生するようになる(全て『時間差可』)。

  ※発生する「爆発(3x3)」は術者を含む敵味方全員を巻き込む。術者はこれを回避できない。
  ※例えば「連続攻撃3」に全成功した場合、これは時間差可の6連続攻撃となる。

 『●戦闘スタイル:収束カトン・パンチ|収束』:精神力コスト3
  この攻撃は『エンハンス不可』となるが、判定の成否に関わらず、
  最後の近接攻撃対象を中心に『グレーター・カトン・ジツ』が発生する。
  シナリオ中1回までの使用。

  ※発生するカトンは術者を含む敵味方全員を巻き込む。術者はこれを回避できない(D3ダメージ)。


5ターン目:アシッドウルフ?戦

アシッド010101はミ01リタ0101デモンめいたカラテの構えをとった。重金属酸性雨が逆さに降り始める。その頭部もまた、空へと吸い込まれる渦巻く塵で出来ていた。

『イクサとは単なる力比べではない。直感と、状況判断能力、そしてタクティクス。先を読め』声が聞こえる。君の腕が熱を持った。

この段階になると重金属酸性雨は逆さに降り始め、分断されていた左右の空間は繋がる。対峙する敵は頭部が黒い塵で構成された、異様な姿のアシッドウルフ2体に入れ替わる。分断されていた2つのマップは1つになり、PCはどちらか片方を集中攻撃することもできる。

PCやPLには開示されないが、同時に2体のアシッドウルフがマップに存在していることは、彼が実際に2人存在するという事実のメタフィクション的な暗喩でもある。

片や何処かから聞こえるインストラクションの声はアシッドウルフに入れ替わり、『●溶け出す鉛』のデバフが解除される。アシッドウルフのインストラクションはカラテムーブメントに対してではなく、戦術の組み立てと直感による予想外の事態への対処に重点を置いたものだ。

◆アシッドウルフ? (種別:ニンジャ)
カラテ     10  体力     10
ニューロン   12  精神力    12
ワザマエ    10  脚力     5/N
ジツ      0   万札     0    
近接攻撃D:14、射撃D:14、回避D:15
◇装備や特記事項
 防具 :記憶のグレースーツ(効果なし)
 武器 :オノミチ・カスタムx2(赤外線レーザーサイトx2、クイックドロー・ユニット)

 サイバネ:▶︎▶︎▶︎▶︎鷲の腕Lv4(カラテ判定D+4, 回避D+4, 精神力+1)

 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉トライアングル・リープ』、『◉グレーター・ツジギリ』
     『◉タクティカル移動射撃』、『◉キリングマシーン』、『◉◉タツジン(ジュージツ)』

 『ワザ:トモエ投げ』:
  『カウンターカラテ』の発生時かつ、『回避判定』の出目【5+,5+】で発動。
  この『カウンターカラテ』は回避不能となり、攻撃者と逆方向へ『弾き飛ばし』の効果を与える。

 『ヒサツ・ワザ:瘴気注ぎ込み』:
  素手による『ナムアミダブツ』が発生したとき、【精神力】2を消費して
  難易度HARDのジツ判定で発動を試みることができる。

  判定に成功した場合、『マウントタックル』の効果に加え
  「装甲貫通1」の「ダメージ1」、「回避ダイスダメージ1」を2回発生させる。

 『震える大地』:
  手番開始時、マップ上の全ての敵対キャラへ自動的に次の攻撃を発生させる(瞬時)。
  これは液体のように揺れる大地から伸ばされる黒い腕として描写される。
  『回避難易度:HARD』、『ダメージ1』、『回避ダイスダメージ2』


6~7ターン目:ブラックソーサラー?戦

『『もうへたばったのか?』』
『決してここに010101の手が届くことはない』

「奇妙だ。何か、プロテクトが……」01のノイズが走り、ブッダデーモンめいた影が現れる。現れる。現れる現れる現れる現れる。

「「「「「「「「「「BWAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」

怪物めいたアシッドウルフのメッキは剥がれ始め、やがてブッダデーモンのような怪物の姿が顕となる。同時にこのブラックソーサラーの象徴的な悪夢存在はマップ全体を埋め尽くす大量のブンシンと化し、PCに襲いかかる。

ここに登場するブラックソーサラー?は全員がまとめて1体とみなされ、後述の『ハチモク』の成功数だけのコマがそれぞれ行動できるというかなり特殊な処理が行われることになる。


『カラテを鍛えりゃあ、テメェらは何者にだってなれる』
『お前はまだ何も成し遂げていない。さあ、起きろ!』

鉛は再びクロームの兵器に、燃えたぎる内臓と蛇が血肉と化す。ニューロンをかき乱す不浄のノイズを、2人のニンジャのインストラクションが洗い流す。

……2人?それは一体"誰"だ? "何時"のインストラクションだ?

この戦闘ではアシッドウルフとクレイニアムのインストラクションが描写されると同時に『●腹の中の蛇』のデバフが解除される。しかしPCはインストラクションの主が明確に2人であると認識するにも関わらず、特にクレイニアムの声について、何時それを受けたものか全くもって分からない。

◆ブラックソーサラー?(種別:ニンジャ?)
カラテ     12   体力     1
ニューロン   12   精神力    1
ワザマエ    12   脚力     7
ジツ      0    万札     0
近接攻撃D:12、射撃D:12、回避D:0
◇装備やスキル
 装備  :記憶のグレースーツ(効果なし)
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』

 『鉤爪』:
  特殊近接武器、肉体破壊(出目【5+,5+】でサツバツ!)、ダメージ2

 『ハチモク』:
  ターン開始時に難易度HARDの【ニューロン】判定を行なう。
  イニシアチブが強制的に1に低下する代わりに、そのターンには
  判定ダイスの成功数+1体(上限8体)の「ブラックソーサラー?」が同時に行動することができる。

 『掴み取るモノ』:
  『●ハートの開放』を持つ対象への「サツバツ!」が必ず出目6(即死!)の効果になる。


◆イベント:ゲンジツの終わり

ブラックソーサラーの肉体が弾け、暗黒が
###お前たちの可能性を###
『さあ、起きろ』
満ちる

銃弾が
血、雨、熱、泥
弾け

ミリタリーブーツが仰向けに倒れ伏した君の胸を圧迫する。
貴様は何者になることができる テメェらは
ソウルの輝きを 何者にも 

4つのサブシーンを切り抜けると、PCのニューロンは再び混乱状態に陥り、謎めいたソーマト・リコールを体験することになる。ここで発生するソーマトの数は、先のサブシーンを強制スキップされずに突破した数に応じて増減する。

サブシーンが3回以上強制スキップされた  :ソーマトなし
サブシーンが2回強制スキップされた    :ソーマト1種類
サブシーンが1回強制スキップされた    :ソーマト2種類
サブシーンが強制スキップされなかった :ソーマト3種類



ソーマト①:尋問の手口

01010101画質の悪いIRCカメラ映像を観ていた
薄暗い部屋の中央にフードで顔を覆った人物が椅子に縛り上げられ、その目の前に軍服姿の別の人物が立っている
『昔の話だ。秘密工作員だった俺はくだらないミスで掴まり、コンクリートの壁に囲まれて座り心地が最悪な椅子に縛り上げられた』
軍服の人物が低い声で話し始めるが、縛られた人物はぐったりとして動かない
『アイツはまず俺の眼を引っこ抜いた』
『それから、ビビリあがって心臓が止まっちまわないように、強心剤と鎮痛剤を少しずつ流し込みながら、俺の腕を指先からゆっくりケジメしていった』
どこからか点滴器具が持ち込まれたところで映像は010101

PCは古いVHS映像を見るかのように、上記のシーンを体験する。これはニューロンに混ざりあった「アレン・ダレス」が持つ過去の記憶の断片である。



ソーマト②:クレイニアムのインストラクション

君は硬い灰色のコンクリートの上、うつ伏せに倒れ伏す。
痛烈に叩きつける大粒の重金属酸性雨が、打撃傷に火照る君の体を冷やす。

『テメェらはまだひよっこだが……ま、これからだな』
クレイニアムはメンポの隙間にZBR煙草を差し入れる。
幻惑的な水色の煙が立ち昇り、すぐさま雨にかき消された。
火は消えぬ。

『よく考えることだね。自分が、どうなりたいのか』
彼女は煙草を握り潰した。
BOMB!

PCは己の記憶のように、上記のシーンを体験する。これは過去にクレイニアムにカラテ・トレーニングを受けた際の記憶と、「自分が何者なのか」というアイデンティティの揺らぎが始まるであろうメタファー的な問いかけが混ざりあった、存在しない記憶である。


ソーマト③:アシッドウルフへの敗北

君は泥の中、仰向けに倒れ伏す。
もはや顔へ痛烈に叩きつける大粒の重金属酸性雨を防ぐ術はない。
血が雨と混じり合い、ほんの一瞬だけ周囲を紅に染めた。

『悪くないカラテだが、それまでだ』
アシッドウルフはミリタリーブーツで胸部を踏み、君を逃さない。サイバネ腕の握るピストルの銃口が向けられた。サヨナラ。

BLAM!

PCは己の記憶のように、上記のシーンを体験する。これは過去にソウカイ・ニンジャとしてクレイニアムの命でアシッドウルフ(スパイマスター)を追跡・交戦し、敗北した際の記憶がベースとなったシーンである。実際にはPCはアシッドウルフに殺されてはいないが、PC/PLがこの演出を見て『自分たちも概念蘇生者なのではないか』という疑念を抱くことを意図されている(当然ながらこれはミスリードであり、実際にはそうではない)。


そして現実へ

君たちは銃声で意識を取り戻す。周囲の景色は金属に覆われ血肉が撒き散らされたプレジデントルームへと逆戻りしていた。

その血肉は……無論、壁から吹き出す濁流によるものではない。周囲に転がる大量のオイランの死体が生み出したものだ。それを生み出したのは、無意識に振るわれ続けていた君たちのカラテ……否、それだけではない。オイランたちの多くは、ドス・ダガーによってセプクすることで果てていた。皆揃って、同じ格好で。

次いで、起き上がる君が得る、2つの情報。

「バカな……」そこには胸部を撃たれ致命傷を追ったブラックソーサラーが居た。「何故効かない……ニューロンに……なにかプロテクトが……」

そして「ようやく夢から醒めたか」銃口をブラックソーサラーに突きつけるニンジャ……アシッドウルフは誰にとなく言った。「タネが割れた手品ほどつまらないものはない」

そう、アシッドウルフがそこに居た。

幾つかのソーマトを越えた後、いつの間にか劇場に到着していたアシッドウルフ(スパイマスター)がブラックソーサラーの胸部を撃ち抜いた銃声でPCは我に返る。周囲には彼らがゲン・ジツの影響下で奮ったカラテが殺したオイラン・オーディエントの死体と、何故かセプクして果てたオイランの死体が混在している。

アシッドウルフは手法をよく知るメイライ社の洗脳プログラムの裏をかき、指令を上書きすることでオイランたちに強制セプクを行わせた。アシッドウルフはPCを囮としてブラックソーサラーにジツ行使に集中させ、その隙を突いて手勢を皆殺しにし、彼に致命傷を与えたのだ。


結末:ブラックソーサラーの正体

「何故効かない、か。その未熟なイミテーションこそが理由だ」

「お前は不完全な状態で、実によく働いた。だが、己を見失った。くだらないニンジャソウルひとつで。分不相応な願いを持ち、偽りの技術を振り翳した。それでいて"ゴットリーブ"にしがみついた」「僕は……いや、君は……」「お前は、偽者だ」

「ああ、あの家に帰りたい。森に囲まれた家に」「そこはお前の居場所ではない」「ああ、そうか……」

「もう休むが良い」BLAM!銃弾がブラックソーサラーの額を撃ち抜いた。

先にも述べたように、ブラックソーサラーは己こそが「シドニー・ゴットリーブ」であり、洗脳研究の第一人者と思い込んでいる。しかしながら、彼はあくまでも引退したゴットリーブの代理人、影武者であり、彼の研究成果のひとつとして洗脳を受けた上で入れ替わり、彼に変わってスパイツールの開発を行っていただけの人物にすぎない。本物のゴットリーブは恐るべき才能を持った危険なモータルであり、既にモータルとして寿命を迎え没している。

ブラックソーサラーはスケープゴートとして、ゴットリーブの思考パターンと人格、外見こそ与えられていたものの、Mkウルトラで研究されていた洗脳の核心技術には決して到達できないよう、思考のレベルを意図的に落とした状態で運用されていた。厄介だったのは彼が電子戦争の直前にニンジャとなり、己をゴットリーブと思い込んだまま、その力で自ら物情をコントロールしようと暴走を始めたことだ。


ブラックソーサラーは先述の理由からもMKウルトラの真の技術には到達することができない。これに伴い、例えジツを用いたとしても、真にはニンジャを洗脳でコントロールする事ができない。そのため彼はモータルの洗脳とジツによる強化で、彼らを疑似ニンジャとして運用している。

ここで問題となるのは、本来のシドニー・ゴットリーブという人物との乖離だ。彼は極めて探求心が強く、その一方でそれらを成し遂げるためであれば非道実験も厭わないソシオパス的人物でもあった。人間とニンジャ、その双方の精神に干渉してみせる恐るべき洗脳技術理論はアシッドウルフに引き継がれ、その可能性が証明されつつある。片やブラックソーサラーはニンジャへの長期的干渉の不可能を技術的な限界と捉え、単純に己のジツで狂気を忍び込ませ精神を破壊するまでに留めた。なまじニンジャの強力なジツによって人々を操ることが可能となったことで、彼はその状況にあぐらをかいてしまったのだ。

与えられたゴットリーブという役割を貫き通すこともできず、かといってニンジャと化し、思想が変化し始めた始めた新たな自分をそうと認めることもせず、ただゴットリーブという名前に縋っているのがブラックソーサラーという存在であった。

エピローグ

「悪く思うな。奴が用いるジツのネットワークの注意を逸らす為、お前たちをデコイに使った」アシッドウルフはピストルをホルスターに直すと、ステージにあがる。「予定通り……メイライは俺が接収する。」

本作戦におけるアシッドウルフの真の最終目的は、メイライ社の接収である。PCと別れてから真の目的の達成に動いていた彼は、「MKウルトラ」という源流を同じくし、自身も良くメソッドを知る洗脳プログラムを改ざんすることで、メイライ社の兵士たちを全て己の兵隊として手中に収めようと画策していた。

PCがブラックソーサラーの注意を引き、ヒガン・ネットの監視網を劇場に集中させ、またPCのジツに対する反応で手の内を知らないと思いこませることで生じた隙にアシッドウルフはメイライ社の心臓をその手で掴むことに成功したのだ。
 アシッドウルフは何者にもなれなかったブラックソーサラーの末路と、アシッドウルフが正しく継承した、より優れたゴットリーブの技術がその手法の裏を掻いたことを根拠に、お前は偽者だ、とブラックソーサラーを追い詰める。

誰でもない誰かのひとりでありながら、"アシッドウルフ"であり続ける彼はブラックソーサラーの惨状に幾らかの慈悲ある厳しい言葉を投げかけ、彼にトドメを刺す。そうして舞台にせり上がってきたコンソールに手を触れ、ニューロン認証をパスした彼が、ブラックソーサラーのCOO権限をオーバーライドし、名実ともにメイライ社の乗っ取りに成功した時点で、このシナリオは終了となる。


分岐ポイント

このシナリオでは(それほど重要ではないが)CPの今後の展開に影響を及ぼす分岐ポイントが幾つか存在している。

①コスモクライムのニューロンチップ:シナリオ本編でも述べたように、PCがニューロンキーとして奪った"コスモクライム"は別のボディに挿入さえすれば再び復活することができる。これをAIとして利用し、望むならばPCはオーダーメイドの極めて強力なサイバネティクスを開発することができる(余暇1日消費、▶生体LAN端子Lv1必須)。

コスモクライムは当面の間、サイバネの檻に閉じ込められた、達観的なニューロンの半同棲者としてPCの役に立つが、最終シナリオにおいては目的成就の直前で突然牙をむく危険なマルウェアめいて機能する。

②アクセルカタナの生死:再憑依したアクセルカタナは積極的にPCと事を構えようとはせず、彼らが見逃しさえすれば、数名のニルヤ兵を引き連れてメイライ社を退社する。

これにより、PCが最終的にブラックサイトを離反することを決断し、なおかつ第三勢力として事態の収拾に当たろうとするとき、アクセルカタナは協力体制を敷ける相手の候補となりうる。

③ニューロサージの生死:ニューロサージはPCより先に地下施設へと潜入し、そのジツを用いて研究者などからメイライ社の機密情報を幾つか回収している。

これにより、もしニューロサージがPCの追撃を受けずに撤退に成功したなら、彼女は情報をセクトに持ち帰り、PCらブラックサイト勢力が襲撃など許す要因となりうる。逆にPCが離反してアマクダリ側に与することになる場合、それが重要な反撃の糸口となる可能性もある。これはある種のプロット・バウチャーであり、厳密にどのような情報であるかは決められていない。


◇報酬(PC1人あたり)

基本報酬:余暇:5日、万札:80、名声:+2

※撃破したキャラクターの所持万札は除く。
 調整したい場合、所持万札のドロップを無しにして想定獲得分を基本報酬に加算する。
◇その他、NMの裁量に応じた追加報酬
◉メイライ・コーポレーション社製の兵装(テック武器・防具)が購入可能となる。


補足コメント

『真夜中の絶頂作戦(Operation Midnight Climax)』はMKウルトラ計画のサブプロジェクトとして、1954年から始まった計画であり、シドニー・ゴットリーブが主導のもとに実行された「無自覚な対象にLSDを投与した際の影響」を調査することが目的でした。

その名の「絶頂climax」とは性的な絶頂を表しており、彼らは売春婦を雇い、ターゲットをパッド(売春婦や薬物中毒者のたまり場を意味するスラング)に誘い込んでLSDを与える役目を担わせました。彼らは元々ニューヨークで何も知らない一般人へのLSD投与実験は行っていましたが、ここではそこにさらにセックスの要素を加えることにしたのです。これは、ゴットリーブが「女スパイを使って男を籠絡し情報を聞き出す」という古典的な手法について、「セックスが(特にドラッグと組み合わせた場合)いかにしてターゲットの口を軽くするか」という観点で研究を体系化したいと考えていたことが大きく影響しています(そして当時、そうした研究の指標となる文献は極めて限定的でした)。

後にゴットリーブの実験に対する狂気的なまでの執着心や、好色家な側面が語られたのも、この『真夜中の絶頂作戦』に携わった関係者の口からです。

一見すると、本シナリオでは上記の要素が特に盛り込まれていないようにも思えますが、実際にはシドニー・ゴットリーブについて"誇張"したり"逆"の要素を取り入れたりしてブラックソーサラーを描くことで、彼が偽者であることが強調されています。

  • "エイトボール":シナリオ中ではあまり言及されていないが、舞台となる地下施設のこの名称は、MKウルトラにも関連のある米国陸軍生物戦研究所がフォートデトリックに開設した、試験施設と試験チャンバーの呼称に由来している。本来"エイトボール"は生物兵器をテストするためのものであり、病原体に曝露する被検体が内部に、観測する研究者が外部にいるものだが、ブラックソーサラーはその内部に居るという点で、彼が未だに被験者に過ぎないという事実が暗に示されている。

  • 誇張されすぎた"好色家":強大なニンジャソウルの憑依による全能感なども影響を及ぼしているとはいえ、ブラックソーサラーは劇場を満席にするほどのオイランを囲うなど、"好色家"という側面を誇張しすぎている。また本来『真夜中の絶頂作戦』では観測・記録する研究者側であったにも関わらず、「オペレイシヨン・ミッドナイト・クライマックス」ではステージ上で"観測"される側になっているなど、明確に立ち位置が逆転していることがここでも示されている。

同様に、シナリオ本編中に用意された『アガト・ゲン・ジツ』による幻覚の描写は、実際にMKウルトラに関連したLSD実験の被験者が報告した内容に基づいたものですが、それがアレンの施した、源流を同じくする『ウルトラ・ジツ』に洗い流されてしまうという点も、ブラックソーサラーが中途半端な存在であるという事実を補強する形になっています。


本シナリオ「オペレイシヨン・ミッドナイト・クライマックス」では、やや唐突ではあるものの、キャンペーンの最初から(そしてこれ以降も)プレイヤーキャラクターに付き纏う『MKウルトラ』という暗部にルーツを同じくする、メイライ・コーポレーションとの決着が描かれます。しかしながら、シナリオ冒頭でも述べているように、本作のキモは「己とは」というエゴについて、また自己定義についてプレイヤーキャラクターが学ぶことです。

キャンペーン全体の物語が進み、プレイヤーキャラクターたちが自らのルーツに潜む暗部に迫るとき、自己の再定義に成功したアクセルカタナ、強大なエゴで自我を確立するコスモクライム、何者にもなれなかったブラックソーサラーらとのイクサを思い出すことになるでしょう。

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