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音楽家は社会との繋がりを意識しよう | NSU経済・経営学部 Vol.2

前回から「お金・ビジネス」について学ぶ新シリーズ「NSU経済・経営学部」が始まりました。

「三方よし」という考え方に共感出来た人は、ぜひ自分の仕事がどのように世間の役に立っているのかを考えてみてください。

人、社会の役に立っていると実感出来れば、モチベーションも上がり、さらに充実した人生が送れるようになりますよ。

前シリーズでも少し触れましたが、スティーブ・ジョブズ氏も、お金儲けが先ではなく、「人に喜んでもらえる物を作りたい」という想いから、MacやiPhoneを作ったそうです。

まさに「売り手よし、買い手よし、世間よし」ですよね。

参考:NSU教育学部 Vol.7『お金の教育』(下)

さて、今回のテーマは「社会との繋がりを意識しよう」です。

「世間よし」を実現、達成するためには不可欠なテーマです。

「風が吹けば桶屋が儲かる」って何?


突然ですが、皆さんは「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざを聞いた事がありますか?知らない人は、このブログを読み進める前に、どういう事なのか想像してみてください。





どうですか?分かりましたか?

風が吹くと土ぼこりがたって目に入り盲人が増える→盲人は三味線で生計を立てようとするから、三味線の胴を張る猫の皮の需要が増える→猫が減るとねずみが増え、ねずみが桶をかじるから桶屋が儲かるという事」


正直現代人にはよく分からないですよね(笑)。

つまりは「一見関係なさそうな場所に影響が出るかもしれない」というたとえです。

これの現代版では「ロングヘアーが流行ると牛丼が98円になる」というのがあるらしいですよ(どこかのグローバルなIT系企業の採用試験で出題されたとか…)

「髪を結ぶためのゴムの需要が増え→天然ゴムの生産地の東南アジアが急成長→牛丼屋が海外戦略の一環として、東南アジアに進出→現地物価水準にあわせて価格を設定すると98円になる」

だそうです。

ちょっと難しい話になってきましたね(苦笑)。

音楽家もひとごとではない!


では、音楽家の皆さんにとって少しリアルな話にしてみましょう。

今の日本で話題になるワードは「少子高齢化」、「待機児童問題」、「働き方改革」などがありますよね。

「少子高齢化になると、音楽の先生の需要はどうなると思いますか?」

「待機児童が増えると、音楽家にはどんな影響がありますか?」

「働き方改革がうまくいくと、音楽家にはどんな影響がありますか?」

こんなテーマについて、前述の「風が吹けば桶屋が儲かる」の要領でイメージしてみてください。





いかがでしょう?

では、これが正解というわけではないですけど、僕の考えを書いてみますね。

「少子高齢化になると、音楽の先生の需要はどうなると思いますか?」

少子化になると、生徒数が減ります。生徒数が減れば学校の先生の採用も減ります。という事は、音大で教員免許を取得しても、先生として就職出来る確率が下がります。

生徒数が減ると、部活動の規模も縮小します。例えば吹奏楽部の部員数が少なくなったり、存続出来なくなってしまった場合、学校の先生ではなく、フリーランスでトレーナーをやっている人も、それだけでは生活出来なくなってしまう人が出てきます。

もちろん学校や吹奏楽部だけでなく、町のピアノ教室も同じですよね。

少子化にターゲットを絞るとちょっとネガティブかもしれませんが「高齢化」のほうはどうでしょう?

最近では「健康寿命」という言葉もよく聞かれますが、シニアの方が老後をより有意義に、健康に過ごすためには、楽器を習うというのはとても良い事ですよね。シニアにターゲットを絞っている音楽の先生は、これから需要が増えるかもしれません。

「待機児童が増えると、音楽家にはどんな影響がありますか?」

子どもを保育所に預けられないという事は、お母さん(お父さんの場合もあリますが)が育児で家を出られないという事ですよね。例えば結婚をして産休を取ったとして、その後、保育所が空かないために、(音楽の)現場に戻るのが遅れる、もしくはプロとして続ける事を諦めなければいけない可能性もあります。

音楽家ではない一般のお母さんも、育児で外出出来ないので、コンサートに行けない。つまり、観客動員数が減る。コンサートが開催出来ない。そして音楽家の収入に影響が出る。

もしくはお母さんがアマチュアの音楽家だったとして、本当は趣味で再開したいけど出来ない。教室に通ってくれないので、音楽講師の収入は増えない。こんな事も考えられます。

逆に、子連れOKのコンサートは需要が増えるかもしれませんね。

「働き方改革がうまくいくと、音楽家にはどんな影響がありますか?」

残業が減れば、その分趣味や娯楽にかける時間が増えます。そうすれば、教室やコンサート、ライブにもお金を使ってくれるかもしれないので、音楽家の収入は増えるかもしれません。

ただし「うまくいくと」と書いたのは、今まで残業代をあてにしてそれなりの給料をもらっていた人が、残業が減り、収入も減ってしまうと、趣味、娯楽にお金をかけるどころではなくなってしまうので、音楽家が恩恵を受けるところまではいかないと僕は感じています。

別の見方をすると、働き方改革によって「副業OK」が増え始めているので、一般の企業に就職して最低限の収入を確保し、空き時間を有効利用して音楽家をやるなんて事も可能、もっと言えば主流になるような気がしています。

前シリーズの最終回に書いたように、政治家の皆さんにはもう少し頑張っていただきたいのですが、正直あてに出来ないので、受け身になっている場合ではないのです。

これらの社会問題がどっちに転ぶかは正直誰にも分かりませんが、「自分で自分を切り開く」ためのアンテナを社会に対して常に張り巡らせていれば、どうなっても柔軟に対応出来ますよね。

参考:NSU教育学部 Vol.12『自分で自分の未来を切り開く』

今、社会で起きている事は自分には関係ない、とにかく練習を頑張って上手くなれば仕事があると思っている皆さん、その考えはとても危険です。

「世間よし」の感覚を持つ事は、必要不可欠、当たり前レベルの話。

音楽で収入を得て自立する事に興味がなく、ただ自分のアートを突き詰めたい人はもちろん構いませんが、そうでない人はもっと「社会との繋がり」を意識して生活する事を強くオススメします!

→次回へ続く

著者 藤井裕樹(ふじいひろき)プロフィール

藤井写真

NPO法人ネクストステージ・プランニング音楽ディレクター
株式会社マウントフジミュージック代表取締役
Trombonist, Composer, Arranger, Teacher, Writer, Producer, Consultant

LIFE WITH MUSIC「音楽と共にある生活を」

1979年大阪府生まれ。都立小平南高等学校在学中、第4回日本トロンボーンコンペティションにおいて第3位入賞。アメリカネバダ州立大学ラスベガス校特待生(2005年在籍)。 19歳でプロとしてのキャリアをスタート。国内外の多くのジャズアーティストとの共演の他、東京ディズニーリゾートでのパフォーマンスや、大塚愛、関ジャニ∞、矢沢永吉などのJポップ、ロックアーティストのツアー・ライブサポートや、CDレコーディング、CM音楽のレコーディングなどに参加。作編曲家としては、東京ディズニーリゾートや東京スカイツリーのイベントなどを手がけ、講師としては、2008年から2015年まで(財)ヤマハ音楽振興会認定講師を務める。2016年3月11日、自身では初のリーダーアルバム「Lullaby of Angels」をリリース(東日本大震災チャリティーCDとして)。 2017年1月、NPO法人ネクストステージ・プランニングの音楽ディレクター(プロデューサー)に就任。若い音楽家が自立するためのノウハウを書いたブログ「音楽家のサバイバル術」の執筆も行うほか、これまでの経験を生かし、楽器可物件の不動産会社や音楽事務所、ライブハウス、個人の音楽家などのコンサルティングも行っている。

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