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ポジティブな人とネガティブな人 | NSU教育学部 Vol.9

シリーズNSU(Next Stage University )教育学部第9弾のテーマは「ポジティブな人とネガティブな人」です。

ポジティブな人はつまりプラス思考で、物事を楽観的(前向き)にとらえ、能動的な人生を歩んでいると言えますよね。ちょっとくらい失敗をしたとしても、「良い経験だった」と割り切り、どんどん未来を切り開いていきます。

逆に、ネガティブな人(マイナス思考の人)は、物事を悲観的(後向き)にとらえ、受動的な人生を歩んでいると言えます。過去の失敗を引きずり、常に失敗を恐れ、思い切った行動を取る事が出来ません。

ポジティブな人が「ネガティブになりたい」と思っているという話は聞いた事がないですが、自分がネガティブだと感じている人の多くは、ポジティブな人に憧れているのではないでしょうか。

そんなポジティブには一見、良い事しかない、ネガティブには良くないところしかないように思うのですが、実際にはどうでしょう?

ポジティブシンキングの落とし穴


ポジティブな人は良くも悪くも、あまり深く考えずに行動する傾向があるように思います。「まあ、なんとかなるからとりあえずやってみよう!」という感じです(「根拠のない自信」という言葉もありますよね)。

もちろんこの行動力は素晴らしいのですが、あまりに経験や教養、知識が伴わない状態でのポジティブの場合、時に大事故を引き起こしかねないのではないでしょうか。

例えば、日本は地震などの災害大国ですが、「いつ起こるかわからないし、なんとなく自分は死ぬ気がしない」と思って、耐震基準を満たしていないボロボロの家に住んだり、非常用の食料や水を貯蓄していなかった場合、いざ本当に大地震が来たら命を落としかねません。

自分はさすがにそこまであっけらかんとはしていないと感じるかもなので、「プロの音楽家として生きていく」という行為で見てみましょう。

実際には音大生の数パーセント程度しか実現出来ない難関だと思うのですが、「自分はどうにかなる!」とポジティブにとらえ過ぎている人が多いと、僕は多くの学生や若い音楽家を見て感じています。
『夢を実現させるために、最も大切な行動とは?』Vol.1

この記事でも取り上げたように、本来は「情報収集や戦略」が大切になってくるはずなんですが…

ネガティブシンキングをプラスに変える!


一方、ネガティブな人というのは、慎重な人とも言えますよね。

「日本に住んでいたらどこにいても常に地震で命を落とす危険性がある。なるべく安全な建物に住んで、非常用持ち出し袋なども買っておこう」という考え方が出来ると思います。

「音楽家として食べていけるのはほんのひと握り。自分には難しいかもしれない。だから人より練習、情報収集をして、生き残るための戦略を立てよう!」と考える事が出来ます。
どうですか?このように見方を変えてみると、ポジティブな人よりもネガティブな人のほうが成功しそうな気がしませんか?

ポジティブとネガティブの両立


僕が言いたいのは、どちらかが正解という話ではありません。

世の中で成功している人というのは、ポジティブな面とネガティブな面を両方合わせ持ち、状況に応じてうまく使い分けているという事です。

そうする事で、上手に危機管理をしながら前に進んでいく事が出来ますよね。

チームや組織の場合、Aさんはポジティブ寄り、Bさんはネガティブ寄りという風に、複数のタイプが違う人のコンビネーションでうまく機能している場合がほとんどだと思います。

極端にポジティブ過ぎたりネガティブ過ぎるのは良くないと思いますが、適度なネガティブは決して悪い事ではありません。

日本には先人の教えとも言える「ことわざ」というものがあります。ポジティブで思い付くのは「明日は明日の風が吹く」くらいですが、ここで言う適度なネガティブでは、「転ばぬ先の杖」、「備えあれば憂いなし」、「石橋を叩いて渡る」など、いくつも思い浮かびます。それだけ大切な事だと言えますよね。

NSU教育学部 Vol.3『日本と欧米の教育の違い』

「日本と欧米の教育の違い」でも触れた、大坂なおみ選手の元コーチのようなポジティブシンキングは最近ちまたでよく聞かれるようにはなりましたが、これを鵜呑みにしてそのまま教育現場に取り入れるのは危険だと思っています。

まったく危機管理の出来ない子が育ってしまったり、適度なネガティブさを持っている子の良さに気付かず、否定してしまい、必要以上のポジティブシンキングを押し付けてしまう事態にもなりかねません。

やはり大切なのは、全員に同じ、平均点な指導をするのではなく、各自の個性を見極め、良いところは伸ばすけど、足りない部分は適度に補うという指導だと思います。

ある物事について、「例えばこういう行動をしたらこんな良い事が起きるかもしれない。でも、こういうリスクもある。どんな事が想像出来ますか?あなたはどんな行動を取りますか?」という風に、常に考えさせる教育が大切ではないでしょうか。

NSU教育学部 Vol.2『カリキュラム教育のメリット/デメリット』

ここでも書きましたが、カリキュラム教育の弊害は、自分で考えない事です。

教育の大前提である「自立」において最も重要な行動が、「自分で考える事」です。

危機管理の出来る知識と教養を経験によって身に付け、そこにポジティブな行動力がともなえば、あなたの成功の可能性はとても高くなると言えるのではないでしょうか。

次回へ続く

著者 藤井裕樹(ふじいひろき)プロフィール

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NPO法人ネクストステージ・プランニング音楽ディレクター
株式会社マウントフジミュージック代表取締役
Trombonist, Composer, Arranger, Teacher, Writer, Producer, Consultant

LIFE WITH MUSIC「音楽と共にある生活を」

1979年大阪府生まれ。都立小平南高等学校在学中、第4回日本トロンボーンコンペティションにおいて第3位入賞。アメリカネバダ州立大学ラスベガス校特待生(2005年在籍)。 19歳でプロとしてのキャリアをスタート。国内外の多くのジャズアーティストとの共演の他、東京ディズニーリゾートでのパフォーマンスや、大塚愛、関ジャニ∞、矢沢永吉などのJポップ、ロックアーティストのツアー・ライブサポートや、CDレコーディング、CM音楽のレコーディングなどに参加。作編曲家としては、東京ディズニーリゾートや東京スカイツリーのイベントなどを手がけ、講師としては、2008年から2015年まで(財)ヤマハ音楽振興会認定講師を務める。2016年3月11日、自身では初のリーダーアルバム「Lullaby of Angels」をリリース(東日本大震災チャリティーCDとして)。 2017年1月、NPO法人ネクストステージ・プランニングの音楽ディレクター(プロデューサー)に就任。若い音楽家が自立するためのノウハウを書いたブログ「音楽家のサバイバル術」の執筆も行うほか、これまでの経験を生かし、楽器可物件の不動産会社や音楽事務所、ライブハウス、個人の音楽家などのコンサルティングも行っている。

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