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【キャラ愛が感じられる】映画『大室家 dear sisters』 感想

※当記事には映画『大室家 dear sisters』のネタバレが含まれます。

読者の皆様は『ゆるゆり』という作品をご存じだろうか?『ゆるゆり』とは、美少女キャラが織り成す学園コメディであり、各キャラが自身の持つ愛やら感情やらを暴発させながら面白可笑しく話が進行していくギャグテイストが強い作品である。原作はなもり先生による一迅社出版の漫画であり、アニメも3期まで放送されており、OVAも複数制作されているほどの人気作品である。気になった方はアニメの配信情報に関しては以下を参考にしてほしい。

さて、この『ゆるゆり』にはスピンオフ作品があるが、それが『大室家』である。実はこの『大室家』を原作にした映画が今年に2本の映画として上映されることになったのだが、その内の1本目に当たるのが今回言及する『大室家 dear sisters』である。私はこの『大室家 dear sisters』を2度も視聴した。当記事では本映画作品の感想について自由に述べていこうと考えている。尚、私は『大室家』の原作漫画は未読であることに注意していただきたい。


1.本映画作品の個人的評価

結論を先延ばしにしても読者には苦痛だと思われるのでさっさと感想を述べる。この作品は一言で言えば、

行きつけの店で醤油ラーメンを注文したら、ちゃんと醤油ラーメンが出てきた。

そんなところであろう。『ゆるゆり』が好きな人であればちゃんと楽しめる作品となっており、人気コンテンツが出す新作映画の完成度としては良いお手本と言ったところであろう。念のために述べておくが、『鬼滅の刃 無限列車編』や『呪術廻戦0』みたいにファンじゃなくても映画を楽しめたり新規参入が見込めたりする映画作品ではないことには注意していただきたい。では、本映画作品『大室家 dear sisters』の良かった代表的な点を取り上げると、以下のようになる。

  • 大室櫻子に関して、大室家の三姉妹の中で劣っているキャラだという描写に終始せず、きちんと良い側面まで描写していた点。

  • 同級生の中で崇められがちな大室花子に対して、対抗心を燃やす高崎みさきというキャラを登場させて話を展開させた点。

  • 大室撫子とその友人が織り成す日常が尊かった点。そして園川めぐみという存在。

  • 大室撫子に関する謎をちらつかせ、視聴者を退屈させなかった点。

  • 園川めぐみという存在。

  • 園川めぐみという存在。

では、具体的にはどのように良かったのかを以降の章で述べていく。

2.本映画作品の美点

1.大室櫻子の扱い

本映画作品の美点を述べる前に、今の大室三姉妹の状況を理解する必要がある。少し長くなるぞ。

そもそも原典の『ゆるゆり』では、大室三姉妹に関して、長女の撫子と末っ子の花子は優秀であり、真ん中っ子の櫻子はアホの子といった描写のされ方をしている。この描かれ方に関しては特段糾弾すべきといったものではなく、ただ単におバカキャラの大室櫻子のアホさをより強調するためにそういった姉妹間の格差を描写したという一発ネタでしかなく、ゆるゆり』で大室三姉妹のエピソードを『日常』の東雲研究所並の頻度で出てくるのならいざ知らず、読者が忘れた頃に出す程度であれば、ああいう一発ネタ1本で十分であろう。

そんな中で誕生したのがあのスピンオフ作品『大室家』である。『ゆるゆり』のアニメ勢である私は、このスピンオフ作品に対し、先述した一発ネタが延々と繰り返されている全く面白みのなさそうな作品だと予想していたのであった。あの一発ネタというのはたまに出てくるからこそ面白いのであって、毎回やられると単純に退屈であり、何より櫻子を貶めて撫子と花子を持ち上げる展開を繰り返していると、作品のためだけに頭悪いキャラにされる櫻子が不憫すぎて、そんなことで笑いを取ろうとする作品は不愉快極まりない。あとそれに『大室家』には自分の推し出てこなさそうだし・・・。といった考えもあり、私はあまり本映画作品にはそこまでの期待をしておらず、(まあ『ゆるゆり』の作風をある程度味わえればそれでいいか・・・。)と思って本映画作品の視聴に臨んだのであった。

その結果だが、櫻子の良い面までちゃんと描写されており、この映画からは確かなキャラ愛が感じられたのであった。勿論、撫子の騙す気満々な台詞に乗じて櫻子が雑誌を渡して、雑誌のネタバレを握っているという撫子に対する優位性を自ら手放したり、花子が自身の同級生の前で自分の姉の片方(=櫻子)は失敗作であることを呟いたりするなど、あの姉妹間の優劣の格差の描写は時折見られるのだが、この作品においてはギャグというよりは、姉妹間の優劣の違いを既定とした何気ない日常シーンといった感じに描かれており、そこには誰かを貶すことで笑いを取るといった私の嫌いなギャグの形は存在しない。こういった落とし込み方も評価すべき点であるが、私がもっと評価したいのは、櫻子の良い一面を描写することに成功したという点だ。具体的に述べてみよう。花子が風邪を拗らせた際に、櫻子は一所懸命に病気に効く卵粥の材料を探しており、そしてその卵粥を妹のために作ったという描写がある。結果的に量が多すぎる卵粥ができたため、古谷向日葵にお裾分けしたのだが、こういった妹に対する櫻子が持つ愛情の深さが垣間見えるシーンというのはなかなかに心温かくなるものだったのであろう。

2.花子様に唯一抗う高崎みさきの存在

次に挙げる本映画作品の美点として、花子に対抗心を燃やす高崎みさきの存在というのがある。本節ではこれを説明していく所存だ。本映画作品では、大室三姉妹の各の学校における様子が描写される。といっても、櫻子は原典『ゆるゆり』にて学校生活での振る舞いが多く描かれているため、そこまでの尺が与えられておらず、その代わりに花子と撫子の学校生活の様子を長めに描写している。ここでは花子の学校生活に関する描写について述べるが、率直に言って花子もとい花子様の学校生活の様子は最初は見てて苦痛であった。というのも、花子様がそこまで凄いことを成し遂げているわけではないのに(テストの点数が満点なのは凄いが)、同学年ほぼ全員から花子様と崇められているのはなろう系作品を見ているみたいで私の精神を蝕んでいった。なんなんだこのクソつまらない茶番は。この展開もとい茶番が面白くないと感じる理由は花子様が殆どの同学年の生徒に崇拝されているからというだけではない、花子様を崇拝しているキャラ達からは個性も人間味も感じられなくて、ただ花子様を褒めまくる無機質な記号としか感じられなかったからである。こんな茶番全くもってつまらん、なーにが花子様じゃ、と私は呆れていた。そう、あのキャラが出るまでは・・・。

高崎みさき

この高崎みさきこそがあの退屈な花子様のシーンに一石を投じたという救世主的存在である。この高崎みさきの存在の凄まじさを例えるとすれば、

  • アニメ ポケットモンスターでいうカスミ

  • ドキドキ!プリキュアでいうキュアダイヤモンド

  • ゆゆ式でいう櫟井唯

  • LiPPSでいう城ヶ崎美嘉

  • ハイスクール・フリートでいう宗谷ましろ

  • Poppin'Partyでいう市ヶ谷有咲

  • 聖テレサ女学院(なかよし部)でいうクロエ

  • チームカノープスでいうナイスネイチャ

  • 星屑テレパスでいう雷門瞬

  • ダンジョン飯でいうマルシル

  • ボボボーボ・ボーボボでいうビュティ

  • 陣内智則でいう陣内智則

といったところである。これらの例を見れば、如何に高崎みさきという存在が大事な役割を担っているかが理解できるであろう。では、ここからはその高崎みさきがどういったキャラクターなのかについて解説していく。簡潔に言うと、この高崎みさきという子は花子様に対抗心を燃やしているキャラである。そう、この高崎みさきは花子様を持ち上げている他の同学年の子とは一線を画す存在であり、この子が花子様と競い合い(?)をすることで話の面白さが格段と上がっているのだ。実際、彼女は身長、偏食の度合、跳躍力などなど、何かにつけて花子様に対抗しようとするも、どの要素に関しても自分が劣勢であることに悔しがるのだが、こういった一連の流れが作品をコミカルに仕上げており、更に言うとみさきちこと高崎みさきの可愛さを引き立てる要素にもなっているのだ。以降では高崎みさきをみさきちと呼ぶが、本映画作品に対する彼女の貢献はこれに留まらない。実はみさきちと花子様が夜の学校に行ってみさきちの忘れ物を取りに戻る展開があるのだが、ここでもまたみさきちの可愛らしさが窺える。このように、花子様関連のエピソードに対して、みさきちは濃い味付けをする役割を担っているのだ。

3.女子高生の理想が詰まった大室撫子の学校生活

花子様こと大室花子の学校生活の話を取り上げたとなれば、大室撫子の学校生活の話もするべきだろう。撫子の学校生活に関してだが、結論から言うと女子高生の尊すぎる絡みが見られて最高であった。撫子に関しては、花子様と違って学内で優秀扱いされているといった描写は特になく、友人達と楽しげな交流を行っているといった描かれ方をされており、そこにあるのはただただ美しい女子高生達の日常であった。さっきから女子高生の理想だの尊いだの美しいだの言っているが、別に上品なティータイムを過ごしているわけでも恋愛感情ありきで雑談しているわけでもなく、女子高生同士が談笑したりお菓子をあげたりあげなかったりするという、邪悪さも損得勘定も心の読み合いも介在しない純真無垢な馴れ合いをしているその様が非常に尊く美しいのだ。そしてなんといっても撫子の友人である三輪藍園川めぐみ八重野美穂、このお三方のビジュアルがかなり美しい上に、それぞれキャラクター性がバラバラなので、人によってどのキャラが好きなのかが大きく分かれるといったところであろう。読者諸君はどのキャラが好きだろうか?因みに私は断トツで園川めぐみ推しである。

4.大室撫子の特別なパートナーの存在の示唆

本映画作品における撫子関連の描写は前節の学校生活パートだけではない。そう、度々仄めかされる撫子と特別な関係にある人の存在だ。本映画作品では、日常パートだけで視聴者を退屈にさせないように、こういった撫子関連の謎を視聴者に提示しているのだ。具体的に挙げると、撫子がその特別な存在と電話越しに話している際に愛情表現をする、撫子がその特別な存在を家に連れ込む、といった具合に「この特別な存在というのは誰なん???」と視聴者に考え込ませたり不安にさせたりするシーンが時々出てくるのだ。流石に日常系が苦手な人にもオススメ!とまでは言えずとも、こういったシーンをちょくちょく出すことによって、日常パートだけを見せて飽きさせないようにしているという仕組みはかなり評価すべき点であろう。因みに、この特別な存在というのは女性であることが櫻子と花子の会話にて確定しているため、「貴様アアア!!男出すなアア!!!美少女の日常系アニメに男出すなアア」と主張する過激派は安心してほしい。となると、この特別な存在というのは前節にて紹介した三輪藍園川めぐみ八重野美穂の中にいると考えるのが自然であるが、果たして誰が撫子と特別な関係を持っているのであろうか?これは私見だが、あの日常パートを見るに三輪藍よりも園川めぐみ、八重野美穂の方がその可能性が高いと思われる。個人的には園川めぐみが撫子とその特別な関係を持っていてほしい。そもそも、この特別な存在が誰なのかが作中で明かされるときは来るのだろうか?それとも作中での明示はされずとも、考察要素の1つとして仕掛けるつもりだろうか?はたまた最後の最後まで謎のままにしておくつもりだろうか?確かなものは闇の中。神のみぞ知ると言ったところであろうか。

5.園川めぐみがとにかく可愛い

前節まで本映画作品の美点を幾らか列挙したが、最後に本映画作品における最大の美点を述べようと思う。それは園川めぐみの圧倒的可愛さであろう。以下に彼女のプロフィール画像を貼り付けるので見てほしい。

『大室家』で断トツに可愛いキャラである園川めぐみ

いやなんなんだこの可愛さは・・・。この園川めぐみというキャラは、撫子のあの友人3人の中で断トツでビジュアルに華があり、それでいて明るいキャラでありながらも撫子達の友人グループの中でカーストが1番下だというまさに最高級なキャラ属性を備えている。あと様変わりする表情がめちゃくちゃ可愛いし、1人だけベスト着ていないのも可愛いし、髪型も目の色も可愛いし、おっぱい大きいし、といった具合に可愛さが詰まりに詰まりまくっているお弁当箱であり、今まさに私の中にある可愛いという感情の高速道路が彼女で大渋滞を起こしているといったところである。園川家のめぐみ可愛すぎだろ!

実を言うと『ゆるゆり』では杉浦綾乃推し結綾推しの私は本映画作品を見る前までは(『ゆるゆり』が好きだから一応見るけど、大室三姉妹って別に推しでもないし、そこまで楽しめないんだろうなあ・・・)と思いながらこの映画を見たのであった。そこで出会ったのが園川めぐみである。このキャラがいたからこそ私は映画を十二分に楽しむことができたし、『大室家』で自分の推しができたというのがすっっっっっごく嬉しかった・・・。この園川めぐみという存在に、私は盛大に感謝をしたい気分でいっぱいだ。

話は変わるが、私は撫子と特別な関係を築いているキャラは園川めぐみであると主張している。自分の推しがただのサブキャラじゃなくて物語の鍵を握るキャラだったらめちゃくちゃ最高じゃん(´・ω・`) まあ、仮にそういうキャラじゃなかったとしても、それはそれで自分が園川めぐみを彼女にすれば良いだけだし、どっちに転んだとしても自分の勝ちよ。

さて、読者諸君は撫子を含む友人グループだったらどのキャラが1番好きだろうか?あと本映画作品の登場人物で1番好きなキャラは誰だろうか?そのキャラに対する愛をコメント欄で自由に語ってほしい。

3.最後に

当記事では、映画『大室家 dear sisters』の感想を自由に語った。当記事で述べた本映画作品の美点を改めて以下に列挙する。

  • 大室櫻子に関して、大室家の三姉妹の中で劣っているキャラだという描写に終始せず、きちんと良い側面まで描写していた点。

  • 同級生の中で崇められがちな大室花子に対して、対抗心を燃やす高崎みさきというキャラを登場させて話を展開させた点。

  • 大室撫子とその友人が織り成す日常が尊かった点。そして園川めぐみという存在。

  • 大室撫子に関する謎をちらつかせ、視聴者を退屈させなかった点。

  • 園川めぐみという存在。

  • 園川めぐみという存在。

最後に、本映画作品の次作である『大室家 dear friends』が今年中に上映されるという。この『大室家』という作品がどういった着地の仕方をするのか、撫子関連の謎はどのように描かれるのか、期待していたい所存だ。

※コメント欄にて『大室家』の原作漫画のネタバレをする行為は厳重に禁じられております。

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