見出し画像

第三次世界大戦 香港の乱

 今、世界は大きな変革の中にあります。

 激変する世界情勢の中、まさに今、国境が動き出してしまったともいえるようなニュースが世界中を震撼させています。

 今回は香港における総まとめの記事をお届けさせていただきます。

 中国が香港に対する支配を強めることで、これまでの香港での社会秩序のあり方であった『中国の一国二制度』が崩壊したと言われています。
その香港では現在何が起こっているのか、大まかな流れをここから見ていきましょう。

 中国における一国二制度とは一体なんなのでしょうか?

 これについて本記事では難しく考えずに『これまでの香港はアメリカのような社会が許されていた』、と考えて頂くとこの記事においては理解しやすいようにまとめたつもりです。とても複雑かつ難解な問題ですので、以下少しだけ捕捉させていただきます。
 問題となっている香港では歴史上の混乱から元々はイギリスが統治していたのですが、現在はイギリスから中国に返還される過程で、社会制度の移行期間中ともいえる状態でした。つまり中国本土よりも、アメリカや日本、イギリスと似た形の資本主義社会が構築されていた状態と呼べそうです。さらには経済面のみならず政治面でも、ある程度の香港自治により香港内では民意が政治に反映されていたはずなのですが、これからはそうもいかなくなってしまいました。まさに今、香港の社会構造そのものが変わってしまったからです。

  以下の画像は2020年6月30日イギリス国営放送BBCよりの抜粋です。今回はこの記事の中でも右下の赤線を入れたところに注目していただきたいと思います。

画像1

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53230415


 この赤線部分は『香港に対して中国がある程度自由な介入ができる』と思って頂いて差し支えないでしょう。さらには香港の法律よりも今回の香港国家安全法が優先される、とも書いてあることからこれからは香港での政治運営上、香港での民意が無視される可能性が高くなったこともまた注目すべき点と感じます。

 この法律が香港において施行されてしまった今、まさに香港において民主主義から共産主義への転換、という大きな時代の変化があった瞬間であることも特筆したい点です。一つの社会のあり方がひっくり返ってしまった瞬間、つまり革命が起きた瞬間ともいえるでしょう。

 この記事では、香港についての一連の事件を『乱』と呼ぶことにさせていただきます。YouTubeチャンネルでの動画では、アメリカの場合は国内の不満の爆発を抑えるために武器を投入したり、さらには警察占拠などのクーデター未遂(シアトル)も起きていることから『内戦』と呼んでいるのですが、香港の場合は社会制度が複雑なため、内戦と呼ぶべきかどうか(香港市民からしたら中国共産党は外国のようなモノという意見もあったことなど様々な見方があるようです。)悩んでいたところ、乱がふさわしいのではないかなと思いました。

 これから紹介させていただくのですが、香港でもこれまでの一連の流れの中で様々な形で武器が投入され、大きな被害が出るなど現代の戦争を象徴するような事件がたくさんありました。数年前から続いていた香港民主派のデモが大きくなるに連れて、そのデモはやがて暴動と化してしまったのです。それに加えて、数年前から『米中貿易戦争』といわれた状態であったことも踏まえなければなりません。当初は貿易面での外交勝負の様相でしたが、それらがエスカレートしていく中で米中両政府は貿易制裁という外交カードだけに収まることなく、デモや暴動、さらには人権問題などを理由として互いの国の内政干渉とも取れる法案を次々と可決してしまいました。

 その後2020年、世界はパンデミックに襲われて事態はさらに悪化の一途を辿っています。3月頃からコロナウイルスによるパンデミックを巡り世界各国が戦時状態を宣言しました。

 そして米中両政府ともに上記、内政干渉とも受け取ることのできる法案を可決しました。

 その後、世界を驚愕に包んだトランプ大統領による『コロナウイルスは真珠湾攻撃より最悪だ!』という発言の報道と同時期に、アメリカ政府は香港の領事館職員宿舎を売りに出しました。様々に変化する局面の中で、中国はコロナ禍を好機と捉えたのか香港を制圧したともいえる状況を作り出していたのです。それを受けてイギリスなどが香港市民を受け入れる救済措置をだしました。

画像2

一体何がおきていたのでしょうか。

それではここから当時のニュースを簡単に振り返っていきます。


2019年8月、数年前から拡大していたデモが170万もの規模となってしまっていました。

画像3

https://www.asahi.com/sp/articles/ASM8L4DJPM8LUHBI007.html

画像4


画像5

 そして8月下旬、デモは衝突に発展し出しました。その中で香港市民はアメリカに助けを求める場面もありましたが、その後もデモの勢いは止まることなく9月には大規模衝突をしてしまいました。

画像6

https://www.asahi.com/sp/articles/ASM9Y4DYSM9YUHBI007.html

 そして両政府はジワジワと互いの内政干渉、さらにはきな臭さを思わせる状況にまで発展していきました。

画像7

https://www.bbc.com/japanese/50149816

 発展する混乱の中で、香港議会はデモや暴動の発端と言われていた逃亡犯条例を正式に撤回するという場面もありましたが、それでもデモや暴動は治まりませんでした。逃亡犯条例は、デモや暴動の原因として様々で複雑絡み合っていた社会問題の一つでしかなかったようです。執筆者がバンクーバーにてこの点について香港人の方に取材をしたところ、『自分たちの町を中国共産党から守る』という意見もありました。これらを踏まえると、現地の方の感覚としては『自分たちの権利を守るために闘う』という意識の元での乱だったようです。



画像8

https://www.bbc.com/japanese/50582398

 2019年11月、中国に対する内政干渉とも言われた法案にトランプ大統領が署名をしました。
 アメリカではこの署名をもって法律が正式に決まりました。さらには事実上、この法案はアメリカによる中国に対する宣戦布告だったと捉える方もいたようです。
 なぜならこの法律が内政干渉であると捉えると、この法律が決まってしまった時点(トランプ大統領がサインした時点)でアメリカが他国の政治に口を出したと捉えることも可能、ということが根拠のようです。

 実は宣戦布告と読んでも差し支えのない報道はこれ以前にも複数あったのですが、パンデミックなどのニュースに埋もれてしまっていて見つけることが困難だったという状況にも目を向ける必要があるかもしれません。そして現在は決着にまで至っています。
 
 そしてこの頃、香港では暴動の被害から経済活動がとても難しい状況になってしまっており、リセッション、つまり経済の悪化が確定したという報道も出ていました。

 上記、宣戦布告とも受け取れるアメリカの法案に対する中国の反撃として、中国は米軍の香港への寄港を当面禁止しました。この時点で香港にはアメリカ軍は入れないという状況が生まれました。

 ここから2020年です。

 米中の怪しさの陰でアメリカはイランとも大規模軍事衝突を始めてしまいました。 2020年1月3日、アメリカはイランの要人であるソレイマニ司令官を殺害してしまったのです。

画像9

https://www.bbc.com/japanese/50980333

 これを機にアメリカとイランはミサイル攻撃など武力衝突に発展してしまいました。北米ではアメリカとイランが戦争を始めることこそが国際関係上、『第三次世界大戦』と言われていたようです。その環境の中、イランがミサイル攻撃をしてしまったことから、北米では多くの人が『第三次世界大戦』の勃発が頭を過ぎった状況と私は認識しています。

画像10

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/01/post-92084.php

 その後もアメリカとイランの戦争は止まっていません。国際的にはこの頃から軍事戦争に発展してしまったとの認識ではないでしょうか。

画像11

https://www.bbc.com/japanese/51956037

 そして3月これらの事態に加えて世界を巻き込むパンデミックが発生、これを受けてトランプ大統領から『戦時下』発言がありました。ここの表題には書かれていませんが、この発言の背景にはイランとの戦争勃発もあったと読むべきかもしれません。さらにこのパンデミックはアメリカの空母を移動させました。南シナ海を守っていた空母がコロナ感染の影響でグアムにて隔離されてしまったのです。

 そのスキを狙っていたのでしょうか。中国は兼ねてから軍事侵攻を懸念されていた南シナ海に行政区を設置しました。
 これは明らかな実効支配でしょう。

 ちょうどこの頃、日本周辺でも他にも様々に軍事の動きが起きていました。尖閣周辺への中国軍の進出や北方領土が返還されないだろうことを盛り込んだロシアの憲法改正などが記憶に新しいかもしれません。

【状況整理】

画像12

 ここで一旦、世界地図とともに戦局を整理したいと思います。今回は戦争を地球上で行うカードゲームに例えて戦局を振り返ってみましょう。
 まずはアメリカの先制カードとして貿易圧力というカード、そして香港にアメリカの会社を置くことで中国に利益を与えていたりもするため、会社・人・金というカードもすでに置いてあるとします。その他には軍事的な手段としての空母もまた交渉カードと言えるでしょう。

画像13

 このスライドでは説明のためにトランプ大統領が主張している『中国あたりからウイルスが出てきたという説(武漢発生説)』の元で説明させていただきます。
 
 中国はコロナウイルスというカードをアメリカに対して使ったとしましょう。

画像14

 その結果空母がダメージを受けてしまいました。さらに他にも、会社などまでダメージを受けてしまったことからそのカードも少し押されてしまったように思います。そしてトランプ大統領からの貿易圧力の声もこの辺りから小さくなったように記憶しています。

画像15

https://www.bbc.com/japanese/52569137

 次に2020年5月、世界を揺るがす発言となったトランプ大統領による、ウイルスは真珠湾攻撃よりもひどいという発言です。

 この時点ではなぜトランプ大統領からここまでの発言が出たのかはこの頃は多くの人が分からなかったのではないでしょうか?その後のアメリカと中国の香港に対する挙動を見ていくと徐々にこの発言の真意に近づくかもしれません。

 その後、アメリカは香港の領事館職員宿舎を売りに出しました。

 領事館は『市役所の出張所』のような場所です。例えば、海外在住の日本人が領事館に行くと日本の情報が得られたり、さらには領事館にて行政手続きや選挙の投票なども行うことがきます。民間人も含めて国交関係を正常に保つためには必要な施設と呼ぶことができそうです。国交関係が今ほど悪化して、その職員宿舎を売りに出すということは国交断絶の準備なのではと私は感じてしまいます。このニュースに関してあくまで私の裏読みなのですが、公共施設を売却し出したということは、アメリカは香港を諦める流れの可能性を疑いました。さらには攻撃がひどいと言う発言の直後でもあったため、何らかの被害がアメリカに出たのでは?との推測もできそうです。

画像16

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93833.php

 そして6月30日、冒頭に紹介した香港国家安全維持法が成立しました。この法律の結果を受けて、民主派活動家のアグネスさんらが身を隠したとの報道が出ました。

 この記事には香港民主派が望んでいた国際社会からの助けは来なかった。と書いてあります。ここの過去形には特に注視が必要かもしれません。『来なかった』という一言から『決着が着いてしまったのかな?』と気にする事でどのようなニュースを拾うべきかという意識が変わるからです。そしてこの直後、イギリスは香港市民への救済措置を発表しました。さらにその後、中国は香港の図書館の民主活動家の本を撤去したとの報道も出ました。

 私はこれをみて、先の大戦の終戦時にGHQが日本にきたことを連想してしまいました。
 太平洋戦争終結当時のGHQも日本の敗戦の際、日本の思想に関する本の多くを焼却するなどしてしまったそうです。戦争における思想弾圧の仕方はいつの時代も似ているのかもしれません。

画像17

https://www.bbc.com/japanese/53330198


 中国は香港にも独自の警察を設置しました。これにより中国の法律によって香港市民を取締ることができるようになったことにも注視が必要と思います。つまり、これからは中国の法律に従わない人がいたらこの警察がその人たちを捕まえることができるという点でも民主派の敗北が決定付けられたといえるでしょう。

最後に総まとめをさせていただきます。

画像18

 アメリカからの様々な外交カードに対して中国がコロナという攻撃、そして香港へのアメリカ軍入港拒否というカードを使いました。その後パンデミックによりアメリカの空母が影響を受けてグアムに後退、さらには行動不能となりました。

画像19

 その後南シナ海に役所を置き、香港に警察を置くことで実効支配を盤石なものとしました。

 そしてこれらを受けての発言として『真珠湾攻撃よりひどい』とトランプ大統領は発言したと考えると、香港に対しての軍事介入が難しいことにこの時点で気づいたのではないかという推測も成り立ちそうです。さらにはその後、イギリス他各国より香港市民への救済が始まりました。この救済措置も、香港市民民主派の敗北を要因としていると捉えられそうです。


 ここからは今後の展開についての考察をさせていただきたいと思います。

 国際的な世論などを加味すると、今後にアメリカから軍事力を行使してしまうとアメリカが悪者になってしまう可能性があります。香港に着いては元々中国の領土なので、例え香港市民を救済する目的だとしても、アメリカが香港に対して軍事力を行使したら『侵攻』となってしまう可能性があるからです。

画像21

 そして中国は南シナ海、香港と続けて実効支配を固めつつあることから、米中戦争の前線は中国側から押していることが予想できそうです。さらには専門家の方の見解としても南シナ海、香港と中国が実効支配を固めたことにより次は台湾が危険になるという予想が以前より出ているようです。

 特に警戒すべき点として、台湾に置いても中国軍の侵攻想定と明言した訓練まで始まってしまっていることには特段の注意を払う必要があるのではないでしょうか?今後、台湾に何らかの被害が出ると沖縄も連動する恐れがあるとの意見もあります。昨今の状況を考えると『これが現代の戦争』と割り切って、一人一人が今後を考える必要がありそうです。

 蛇足になりますが、戦争は政治、経済、法律、軍事などの外交カードで将棋のように戦っていると見ると流れが掴みやすいかもしれません。


 戦時中は情報が命。

 海外情勢の話を少しずつ周りと共有して何とか乗り越えていきましょう。

 下記URLにて本記事のラジオ動画も配信しています。ぜひとも合わせてのご利用よろしくお願いします。

https://youtu.be/jFY9Ap0lw6Y



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?