大好きな兄が不登校。この社会を本気で変えたいと思う理由 皆川孝弘
今回の「新世界への修学旅行」のプロジェクトに参加するにあたって、他人事ではない何か心の奥に隠していていた気持ちが外に出てこようとしてきたのでここに書き留めようと思います。
重い話と受け取る方もいるかもしれないですが、これは今も変わらないいじめの実情であり、今もどこかで辛く悩んでいる人がいることです。
彼らを受け入れるにあたって、このプロジェクトが社会を変えるかもしれない大きな役割を担っていると本気で思っています。だから書くことにしました。
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私の兄は、中学生から不登校でした。
兄貴は2個上で、私が中1の時に兄貴は中3で既に不登校になっていました。それまでは普通に暮らしていました。小学生の時、兄貴に化学記号について教えてもらった記憶があります。
私は当時野球部で、その顧問が兄貴の担任でした。毎回校内放送で顧問の先生に呼ばれ、兄への配布物を代わりに受け取るため職員室に行きました。職員室の欠席者ホワイトボードには、いつも兄の名前が書かれていました。
「兄貴は元気か?」と聞かれ、私はいつも「あ、はい」と答えていました。
私の中学校では、ジャージの裾に自分の苗字が書いてあります。校内を歩いていると、兄貴をいじめているであろう輩が横を通りすぎる瞬間、不意に私のバックをワシ掴みにして、「兄貴はどこだ?」と問いかけてきます。私は「知りません」と答えました。当時は中学1年生で小柄だったが、恐怖とともに「絶対言わねぇぞ」という強い気持ちがありました。
兄弟だったけど、兄貴がいつ学校行ったとか、そういうことは分かりませんでした。この時期は兄貴は部屋からほとんど出てこず、会話もなし。兄貴の部屋を覗くと、部屋の壁に穴が空いていたことは覚えています。
兄貴が学校にいた姿を一度だけ見たことがあります。授業の移動中、兄貴が理科実験室の廊下で立たされている姿でした。
なんで兄貴は立っているんだろう。この理科の教師は、どうして兄貴が学校に遅れて来たことを汲み取れないんだろう。私はとても悲しい気持ちになりました。
下校時間、帰り道を歩いていると同級生が俺に問いかけました。「この上履きは皆ちゃんの?」
そこには上履きの名字の先に大きく書かれた「ちこく部」という文字。侮辱された汚い言葉の数々。すぐに兄貴のだと分かりました。
私は、「あ、なんだろこれ」ととぼけながら、その上履きを受け取りました。同時に、これを書いた人への急激な怒りに震えました。
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巷では「いじめる側も悪いが、いじめられる側にも原因がある」という意見を持つ人がいます。
でも、私は真っ向から反論します。
「いじめられる側に原因なんて無い、いじめる側が100%悪い」と。
兄貴は学校に行けなかったので、結局はどこの高校にも行けませんでした。フリースクールとか、夜間とか選択肢はあったのだろうけど、学校からは何も提案がなかったようでした。親は就職させるつもりだったようです。
学校最後の日、兄貴は頑張って卒業式には出ていました。
どんな気持ちで、どんな決意で卒業式に出たのだろう。在校生側にいた私は、すごく緊張していた兄貴を見ながら、なんとも言えない気持ちになりました。なんて言うか、すごく心の中で応援していました。「俺は味方だぞ」って。
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私も中学生時代に、仲間はずれやいじめられた経験がありました。部内で総スカンされ、一切遊びに誘われない時期もありました。
でも、兄弟揃って不登校にはなりたくない。
当時は不登校になると「いじめの主犯格から”脱落者”のようにバカにされる」という想いがありました。
もし私が不登校になれば、絶対に周りから不登校兄弟とバカにされる。そんな状況に対しても無性に腹が立ちました。
自分のためではなく、兄貴や家族のために絶対に学校に行こうと思いました。勉強も兄貴をいじめた奴らよりも良い成績とってやろうって頑張りました。
今振り返ると、私は兄貴のおかげで強くなれました。
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兄貴は今も実家にいます。
兄貴は、自分でパソコンを作ったり、バイク改造したり、本当に器用です。今はネットゲーム?しながらも祖父の世話をしてくれています。
その技術や勤勉な性格が活きれば絶対に働けると思いますが、その話をすると兄貴は場の悪そうな感じになります。だから私もそれ以上は言いません。(そもそも働かないといけないというのも、固定概念かもしれない)
けど、私はあの学校以外の外の世界を兄貴に知ってほしいのです。
兄貴には幸せになってほしいのです。
外の世界はあの学校だけじゃない。それを知ってほしい。
世の中は自分の思っている以上に広い。
自分の知らない人々や場所に出会うことで、様々な価値観や刺激を受ける。それが悩みや不安の解決策につながるかもしれない。
人間関係が面倒くさい?自分にはコミュニケーション能力がないと思っているの?それは自分のせいだと?
違う、環境をちょっと変えてみると以外とそうでもないんだよ。
今、自分を守ってくれている居場所も大切にしてほしい。
でも、まだこの世の中にはあなたにとって居心地の良いと思えるいばしょが沢山あるんだよ。怖い気持ちもわかる。でもほんの一瞬の気分転換でもいいから、一歩踏み出してみてほしい。いばしょは一つじゃないんだよ。
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当時の私は、「不登校」の解決策は「登校すること」だとしか思いつきませんでした。だからなんとか学校に行かせるために、兄貴の部屋のドアの隙間から手紙をすっと入れたこともあります。
不登校は良くないこと。地獄が待っているけどなんとかして学校にいかなきゃ。そう思っていました。
でも、それは間違いでした。いや、正しくはもうそういう時代ではなくなりました。
無理して学校に行かなくても勉強はできる。新しい仲間や居心地の良い場所と出会える。そして新しい価値観や考え方に出会える。そこには新しい自分がいる。
「不登校は良くない」という社会の固定概念が溶け始めたら、この世の中はどうなっていくのか。
このプロジェクトの社会的意義を、私は大いに感じています。
※実際に参加した子供や、送り出した保護者の方の実際の感想などを元にツアー実施報告を行います※
説明会については下記のイベントページをご確認ください。
12/10(火) 新世界への修学旅行 ツアー実施報告会をやります@原宿+オンライン
https://ibasyo4.peatix.com/view
遠方の方はオンライン中継を行うので誰でも参加可能です。
誰でも一緒にできることがいっぱいあるから、
日本中にみんなで一緒にいって、一緒にいばしょをつくりましょう。
そしてシェアしてくれるとみんな喜ぶのでご協力いただけますと幸いです。
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