感情に訴えるのは人の仕事
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先日公開になったばかりの伊藤園「お〜いお茶 カテキン緑茶」のCMです。日本で初めてAIタレントを起用していることで話題になりました。
なるほどこれはAI技術の進化だ、人間と区別がつかない。
AIだから不祥事もキャンセルカルチャーも関係ない。
AIすげえ!新しい!斬新!
…とはマッタク思いませんでした。
CMのメッセージは明確、伝え方もストレート。
製品のコンセプトを伝えた上で、視聴者の感情に訴える。
AIという新しい技術を使っていながら、それはまさしく人の手に拠るものでした。
【私が感心したポイント ①】「お〜いお茶 カテキン緑茶」新パッケージコンセプトが生かされている
刷新されたパッケージデザインに生成AIが使用され、「中身だけでなく、外観も時代に合った魅力を伝えられる製品開発に努める」という発売元のコメントが発表されました。パッケージデザインはぜんぜん良いと思いませんが、日本初のAIタレントを起用したCMという企画自体が、企業姿勢と製品のメッセージを補強しています。
【私が感心したポイント②】AIの特性を利用し、製品コンセプト「未来を変えるのは、今!」をビジュアル化している
茶カテキンは血中コレステロール、体脂肪に働き、美しく健康に年齢を重ねる助けになります。CMでは未来を描いた冒頭に年齢を重ねたAIタレントが登場し、カテキン緑茶を手にするカットを挟んで、現在の若々しい姿のAIタレントになります。“今を積み重ねた先に未来がある” というメッセージをわかり易く画で表現しています。AIタレントだからこそ、加齢/若返りの時間操作を自然に、また遠慮なく行えます。
【私が感心したポイント③】ターゲット層の感情に訴える楽曲
サディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにおねがい」(1974年)を使用することで、加齢による衰えが気になる世代の人の記憶と感情を揺り動かします。高橋幸宏氏の訃報に触れた記憶も新しい僕らは、過去に思いを馳せ、タイムマシンにお願いしたくなったりします。エモい。
感情に訴えるのは人の仕事
すごくスマートな企画だと思います。が、①と②は時流に乗かったものであり、③がなければ魅力あるCMにはならなかったと思います。感情に訴えるのはまだ人の仕事で、AIというツールをいかにおもしろがって使えるか、というところに僕らの価値がありそうです。