「パラサイト　半地下の家族」アカデミー賞４冠　ポン・ジュノ監督を小川キャスターが取材しました！！

2020年2月25日 02:04

去年５月、カンヌ映画祭で
最高賞のパルムドールを受賞。
そして、今月、アカデミー賞で
作品賞を受賞するなど、
４冠に輝いた韓国映画
「パラサイト半地下の家族」の
ポン・ジュノ監督。
きのう、緊急来日した監督に
お話を伺いました。
奇想天外な物語に隠された
監督の強い思いとは･･･。
＊＊＊２０２０年２月２４日（月）放送＊＊＊

●小川キャスター
「NEWS23の小川彩佳と申します。
今日は、よろしくお願いします。」
●ポン・ジュノ監督
「よろしくお願いします。」

韓国映画「パラサイト半地下の家族」。
ソウルの半地下で暮らす失業中の貧しい一家が
高台の豪邸に住む裕福な一家に入り込み、
奇想天外な展開をみせる物語です。

今年のアカデミー賞で最高峰となる
作品賞や監督賞など４部門を受賞。
英語以外の作品としては、史上初の快挙です。

●小川キャスター
「（カンヌ国際映画祭最高賞）パルムドームと
アカデミー賞４部門受賞、
大変おめでとうございます。」

●ポン・ジュノ監督
「本当に不思議です。
うれしく光栄なことですが、
戸惑いもありました。“うねり”を感じた時は、
すでにそれに飲み込まれていました。
いつか
時間的な余裕をもって振り返ってみたいです。
今は、その“うねり”の真っ只中にいる感じです。
もちろんそのすべてが楽しいのですが。」

●ポン・ジュノ監督
「“半地下”は、いわば“半地上”です。
完全な地下に
なってしまいそうな恐怖がありながら、
まだ半分は地上にあって日差しも見える。
完全に地上に上りたい、
日差しが燦々と入ってくる
金持ちの邸宅に上り詰めたいが、
一歩間違えれば、半地下どころか
完全な地下に墜落してしまいます。」

映画では貧困の象徴のように描かれている
半地下という住まい。

ポン監督の学生時代、
半地下に下宿する友人が何人もいて、
珍しい光景ではなかったといいます。

映画のロケ地となったソウル市内の住宅街

地上から階段を降り、
半地下の住宅を訪ねてみました。

３年ほど前から、住んでいるという
８０代の女性です。

●今林記者
「地面の高さがこの位置にありますので、
外気が入ってくるのは
わずかな空間しかありません。」

以前住んでいた半地下の部屋よりは、
広いといいますが、

晴れた日の昼間でも
電気を消すと真っ暗です。

この部屋の月の家賃は、
約３万２０００円。
女性の収入は生活困窮者向けの給付金だけで、
これ以上の負担は難しいといいます。

１９８０年代の住宅需要の高まりから、
規制緩和によって、生まれた半地下の住居。
韓国の２％にあたる３６万世帯が暮らし、
そのうちの６割がソウルに集中しています。

一方、すぐ近くには家賃数十万円という
高層マンションが乱立。
韓国では、不動産価格の高騰が続き、
格差が広がっているといいます。

●ポン・ジュノ監督
「半地下は韓国の独特な
住居形態ではありますが
そのような境遇に置かれている人は
世界中どの国にもいると思います。
映画的にうまく飾ったり、
甘い言葉で希望を与えたりするよりは、
そのままそれをすべて解剖してみようと。
はっきり真正面から見つめた時こそ、
それを克服できる道も
見つかるのではないかと思います。」