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【エンゲージメントをまるっと理解!③】エンゲージメントのよくある4つの誤解
「エンゲージメントを高めることが大切」といった話をしていますと、「どんな研修をすれば、エンゲージメントが高まりますか?」と尋ねられることがあります。
「エンゲージメント」という概念は「組織に対する自発的な貢献意欲を持って、主体的に仕事に取り組んでいる心理状態」と定義している通り、従業員一人ひとりの心理状態を示すものであり、ある一つの研修を行えば全員のエンゲージメントが一斉に高まる、というものではありません。
第1章で、エンゲージメントとモチベーション、ロイヤリティ、コミットメント、従業員満足度との違いをご説明していますが、エンゲージメントとはどういうものか、ということについては、まだまだ誤解されている部分が多いようです。
人それぞれエンゲージメントのとらえ方が異なるということもありますが、どうやら4つほど誤解されがちなポイントがあると感じます。
そこで、エンゲージメントについてより理解を深めていただくため、エンゲージメントに関するよくある4つの誤解をご紹介したいと思います。
エンゲージメントに関するよくある誤解 1
「全従業員のエンゲージメントを高める効果的な施策がある」
残念ながら全従業員のエンゲージメントを一度に高めるような完璧な施策というのはありません。
エンゲージメントとは、組織と従業員、仕事と従業員それぞれ個人個人との結びつきであり、エンゲージメントが高まるパターンは人それぞれ異なります。
今すぐ結婚したいと思っていても、「これをやれば誰とでも確実にカップルになれる」といった秘策などはないのと同様、
「これをやれば全員のエンゲージメントが高まる」という施策もまたありません。
エンゲージメントの高め方は人によって異なるというところは押さえておいていただきたいポイントです。
エンゲージメントに関するよくある誤解 2
「エンゲージメントを高めるために、会社がいろいろ与えなくてはならない」
エンゲージメントを高めるためには、給料を上げたり、福利厚生を充実させたり、きれいなオフィスを用意したり、と従業員に対して、さまざまなものを与えなければならないのだ、と誤解されている方もいます。
会社が従業員に対して、働きやすい環境を整備すること、モチベーションを高めるような制度や施策を用意することは、当然ながらやったほうがいいことではありますし、不足していたらエンゲージメントは高まりようがありません。
ですが、与えれば与えるほどエンゲージメントが上がる、というものでもありません。
繰り返しになりますが、エンゲージメントというのは、個人から組織、組織から個人、双方からベクトルが向いた状態での結びつきであり、組織側が一方的にアプローチしたとしても、個人からのベクトルがない限りつながらないものです。
そのためには、従業員一人ひとりと向き合い、それぞれどのような結びつきをつくっていけるか、という視点を持つ必要があります。
エンゲージメントに関するよくある誤解 3
「常にエンゲージメントの高い人材がいる」
「従業員のエンゲージメントを高めましょう」という話をすると、「まずはエンゲージメントの高い人材が欲しい」とおっしゃる方がいます。
当然ながら、優秀な人が必ずしもエンゲージメントが高いというわけでもなく、いかなる時もエンゲージメントが高い人材がいる、というわけではありません。
ある会社でエンゲージメントが高い人も、別の会社に転職して仕事内容が変わった瞬間に、エンゲージメントが下がってしまう、
といったことはよくあることです。
また、同じ会社にいても、クリエイティビティを発揮できる職種にいるときはエンゲージメントが高かった人が、緻密でミスが許されないタイプの仕事にアサインされた瞬間にエンゲージメントが下がってしまう場合もあります。
エンゲージメントに関するよくある誤解 4
「「組織」が頑張って、個人と結びついていく必要がある」
エンゲージメントは、「組織と個人の結びつき」であると語られるため、「どうしたら組織と個人をつなげられるのだろう」と頭を悩ませている方が多くいらっしゃいます。
ですが、そもそも「会社」などの「組織」というものはそれ自体が概念でしかなく、「組織と個人」と言われるときの「組織」には実態はありません。
そのため、実際にエンゲージメントについて考える際には、組織の何と従業員が結びつくのか、組織の理念なのか、事業内容なのか、戦略なのか、社長なのか、上司なのか、といったことを細かく見ていく必要があります。
これは人によって異なりますので、一人ひとりについて、何がエンゲージメントにつながっているのかを細かく見ていく必要があります。
ここまで、エンゲージメントに関するよくある4つの誤解について解説してきました。
エンゲージメントに万能薬はない。
エンゲージメントは「組織と個人」「仕事と個人」の結びつきである以上、ある一つの施策を導入すれば必ず全従業員のエンゲージメントが向上する、といった性質のものではない。
といったことをご理解いただけたのではないでしょうか。
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