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ぼくの基盤 #3「三人の恋人」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第二章

ぼくがレストランにいる時間が減った。グラマラスな女が現れるとぼくは女を連れてレストランを後にする。ぼくは忙しい。開店前のミーティングは短時間で切り上げる。より的確な指示をださなければならない。女と付き合いはじめた頃は、店を抜け出すことにも罪悪感があった。


すると女が言う。


「あなたって、自分がここにいなくちゃいけないと思い込みたいのね」

ぼくは声を荒げる。

「ぼくを誰だと思っているんだ? ぼくがいなければこのレストランはすぐに潰れてしまう!」

女はますます笑い、ぼくはムカムカする。そのくせ、ぼくは女にそそのかされてしばしばレストランを休む。それでも夜になれば料理長から翌日のメニューの連絡がくる。チーフは予約の状況を報告してくる。女が言うように、ぼくがいない方がむしろレストランはうまく回っているようすら見える。


レストランに入ってくる常連客はぼくより先に彼女に挨拶するようになる。常連客の自宅に彼女とカップルで招待される。いつの間にかぼくの隣りは彼女の指定席になっている。


週に何日かぼくらはレストランで食事をとる。食後はバーに移る。彼女は機嫌よくワインを飲み、女主人のように常連客と語らう。ぼくは彼女の付き人のようにポツンと取り残される。いつものように一人で食後の紅茶をすすっているとスレンダーな美女がぼくの脇にするりと近寄ってくる。


女はぼくにメモを手渡して言う。


「後で連絡して。待ってるわ」


女は潤んだ目でぼくを見つめる。メモに走り書きされた電話番号が艶かしく目に飛び込んでくる。ぼくに公認の恋人がいると知りながら、スリリングな誘いを仕掛けてくるスレンダー美女に一瞬にしてとらわれる。女はストレートの髪をなびかせて席へ戻っていく。ぼくの体は俄然熱気を帯びて、汗ばんでくる。ぼくはたまらずジャケットを脱ぐ。ぼくはもう我慢ができない。常連客との会話に夢中な恋人の腕を引っ張り、強引に自宅へと送り届ける。そしてそのままぼくのスポーツカーはスレンダー美女のもとへと走る。


恋人が増えた。ぼくにはもう寝るひまもない。二人の恋人はレストランに日替わりであらわれる。ぼくはレストランの客と恋人を満足させることばかり考える。常連客は二股をかけているぼくに気づくと同じことをいう。


「仕方ないよね。オーナーはまだ若いんだから」


二人の美女は失いかけていた情熱をぼくによみがえらせる。ぼくはスタッフも驚くほど働く。仕事とデートの合間には道場にも通う。道場にはぼく目当ての女性入門者が増えた。おじさんはぼくが女の生徒と問題を起こないように目を光らせている。ぼくに想いをよせる女性の中に元気のいい女の子がいる。女の子はおじさんがいないときを見計らって、ぼくを誘う。ぼくには断る理由がない。なぜなら、ぼくは公園を旅する旅人だから。目の前にあるものはすべて経験する。だからぼくは三人目の恋人を手に入れる。

→ …続きを読む(ぼくの基盤 4「混沌」)

前回の話はこちら。

​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。

制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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