ぼくの基盤 #8「房中術」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第二章
「どうしましたか? 大丈夫ですか?」
ぼくはスポーツカーの窓ガラスを叩く音で目を覚ます。窓ガラス越しに警察官の顔が見える。あたりは夜が明けて白白とした空気が流れている。スポーツカーはガードレールに突っ込んでいて、ボンネットが歪んでいるのが見える。ぼくはロックを外してドアを開ける。
警官が心配そうに言う。
「歩けますか?」
レッカー車がやってきてスポーツカーを引いていく。ぼくは少しずつ記憶を呼び覚ます。ぼくは恋人を三人失った。何もかもが夢のようだ。
ぼくの日常が変わる