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ぼくの基盤 #8「房中術」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第二章


「どうしましたか? 大丈夫ですか?」

ぼくはスポーツカーの窓ガラスを叩く音で目を覚ます。窓ガラス越しに警察官の顔が見える。あたりは夜が明けて白白とした空気が流れている。スポーツカーはガードレールに突っ込んでいて、ボンネットが歪んでいるのが見える。ぼくはロックを外してドアを開ける。

警官が心配そうに言う。

「歩けますか?」


レッカー車がやってきてスポーツカーを引いていく。ぼくは少しずつ記憶を呼び覚ます。ぼくは恋人を三人失った。何もかもが夢のようだ。


ぼくの日常が変わる。ぼくは市営バスに乗って道場に通う。仕事以外の時間は武道の稽古についやす。恋人をなくして持てあました力は武道に向かう。

おじさんが笑う。

「禁欲的な生活も悪くはないだろう」

ぼくは言い返す。

「わざと禁欲しているんだ」

ぼくはますます稽古に勤しむ。母国で武道を習っていた頃は運動の一つにすぎなかった。今は、この国で誰にも負けないように強くなる。

道場には様々な職業の人たちが通ってくる。野生のような鋭い目をした生徒もその一人。女を感じさせない女性とぼくは色々な話をする。彼女はぼくをあちこちに連れだそうとする。自然や歴史のある場所。ぼくより年上の彼女は、レストランと道場しか知らないぼくに新しい世界を見せたいと言う。

ぼくは断る。

「仕事を休むことはできない」

彼女はため息をつく。

「人生を楽しむこともせず、そんなに働かなくちゃいけないなんてかわいそうに」

ぼくは声を荒げる。

「ぼくを誰だと思っているんだ。レストランが順調でなければ生きている意味などありはしない。ぼくはもっとお金を稼いで成功するんだから」

ぼくは饒舌になる。言葉を吐くほど敗北感を感じるのはなぜだろう。


野生の目をした女はぼくを誘い続ける。ぼくは女に連れられて原住民の祭りを見にいく。自由気ままに歌い踊る彼らを見るとぼくは小さく叫ぶ。前にこの光景をどこか見た。ぼくの頭の中にエロティックな映像が広がる。森の中で踊る裸の女たち。むせかえるような体臭が鼻先をツンと刺激する。ぼくの目は見開かれる。今、目の前で歌い踊る原住民の顔は裸の女のそれと同じだ。ぼくの体の奥底からふつふつとみなぎるものがある。ぼくを前へ突き動かすものは男としての本能だ。

→ …続きを読む(ぼくの基盤 9「ボディーガード」)

前回の話はこちら。

​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。

制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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