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ぼくの基盤 #9「ボディーガード」  |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第二章

野生の目をした女は知り合いが多い。そのうちの一人がぼくの武道の腕に惚れ込む。彼は、遠い国からやってくる賢者がボディガードを探していると言う。ぼくは賢者と呼ばれる人に会ったことがない。威圧されるような立派な人物に違いない。好奇心に駆られたぼくは女を伴い、賢者のもとへと向かう。賢者は神聖な道場にいる。一歩足を踏み入れた途端、ぼくは立ちすくむ。人々が賢者の前にひれ伏している。

ぼくのとなりで女がささやく。

「あの人よ」

ぼくの予想と違い、柔和な顔つきの賢者だ。ぼくは目の前の光景に圧倒される。プライドだけは世界一高いこの国の人々が、遠い国からやってきた一人の男の前にひれ伏すとは。


ぼくは案内の者に取次を頼む。案内の者はぼくらのことを賢者に耳打ちする。賢者はぼくらを一瞥すると、言う。

「男性はこちらへ。女性はそのまま帰りなさい」

ぼくは驚いて女を見る。彼女は賢者に一礼するとぼくを残して帰っていく。ぼくは挨拶もそこそこに賢者に詰め寄る。

「どうして勝手にぼくのガールフレンドを返したりするんだ⁈」

賢者は言う。

「彼女は迷っている。彼女のためだ」

とても納得はいかない。賢者はぼくにボディガードを頼む。身がすくむほどの目の力で。ぼくはすっかり呑み込まれる。

ぼくは女に電話をかける。彼女はサバサバしている。

「あなたには言わなかったけれど、本当はあそこに行きたくなかったのよ」

賢者の言っていることは合っていた。ぼくはますます賢者に興味を抱く。


ぼくは1日だけ賢者のボディガードをつとめる。賢者が講和を説く間、ぼくは彼の近くに立つ。人々のひたむきな目がぼくの方へ向かってくる。彼らはぼくではなく、賢者を見ている。ぼくはすぐに退屈して、つまらない一日が過ぎる。ようやく仕事が終わり、ぼくは賢者に呼ばれる。ぼくは賢者の前に立つ。ぼくは早く帰りたくてそわそわする。

賢者が話しかけてくる。

「お前は何をやっている」

ぼくは返事をする。

「武道家です」

「違う」

賢者はゆっくり続ける。

「お前は将来成功する。名前を授けよう」

賢者は短冊のようなものにすらすらと名前を書き、ぼくに渡す。どうやって読むのかわからないような単語が記されている。

「その意味は「月」だ」

ぼくは賢者の顔を見る。賢者の目つきは鋭いけれど、なんて優しい顔なのだろう。

…#10へつづく。

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モダンミステリースクール 形而上学BOOKシリーズ
「カバリスト ぼくの成功物語」〜永遠の生命の木の謎〜 
イプシスマス・中込英人 著 税込2,500円

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◆出版記念特別トークショー開催

2月25日(木)11:00〜13:00『カバリスト』出版記念特別トークショー!

著者・イプシスマス 中込英人氏と、構成・文章を担当した谷村典子氏によるスペシャルトークショーを開催します。
ここでだけ明かされる制作秘話!
あの話は、あの人のこんなエピソードが元になっていた?
本当は入れたかったあんな話も…!

【参加のお申込み】はこちらから。
※本をご購入いただいた方は無料でご参加いただけます!


制作

グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。

中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』
谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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