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「正義」と「平和」は共存できるのか

消えた傷痍軍人

 筆者が子供の頃、上野公園などの盛り場に行くと傷痍軍人が物乞いをしている光景によく出くわした。白装束で四肢のいずれかが欠損し、首から下げた箱で道行く人に施しを求めていた。母親は近づかせないよう筆者の手を引き、急ぎ足になった。

 いま、動物園でパンダを見て、デパートで買い物をし、外食を楽しむありふれた平和の中で、その経験は紛れもなく「戦争があった証し」であり、肉眼で見る生身の歴史だった。

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