エネルギー危機と脱炭素問題 日本はどう立ち向かっていくのか

世界的な電力危機

 いま、テレビをつければ、節電のために照明を落としています、と断りが入る。ロシアのウクライナ侵攻による世界のエネルギー調達事情の混乱から、電力への不安が湧き上がっている。特に発電エネルギーを全面的に海外に頼る日本は厳しい。需要に対する供給余力を示す「予備率」は1月時点で東京電力の場合1.5%と危機的だ。東電は9月まで13カ月間連続で料金を引き上げ、値上幅は40%。

 アメリカでも、ガソリン価格は年初の1ガロン1.9ドルから6ドルに跳ね上がり、車なしでは生活できないアメリカ国民を苦しめ、政権を揺るがす。バイデン大統領は急遽サウジアラビアに飛び、石油価格を下げるため原油増産を願い出たが、サウジのムハンマド皇太子は何の約束もしなかった。世界的な再エネブームから、一時は原油がマイナス価格までつけたことをお忘れか?産油国をお先真っ暗にしておきながら、増産して価格を戻せと?シェールオイル革命でアメリカは自給率100%になったはずじゃなかったか?

 EUの欧州委員会は、7月20日、経済制裁の跳ね返りからロシアからの天然ガス供給の途絶や大幅減少することを懸念し「緊急計画案」を公表。8月から来年3月までEUの加盟国の天然ガス消費量を過去5年間の平均に比べて15%削減するとした。

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