オペラ好きにお勧めしたい!ゲーム「アイドリッシュセブン」
オーケストラのお仕事内容
オーケストラというと、モーツァルトだとかベートーヴェンだとか、クラシック音楽ばかりやっているイメージがあるかも知れません。
でも実際の職業としてのオーケストラはというと、いわゆる"クラシック音楽"を演奏するのは、仕事全体の6割くらいなんです。
(もちろんそれぞれの団体にもよるのですが)
じゃあ残りの4割は何をしてるのかといえば、映画やテレビ、ゲームの音楽を収録したり、それらの生演奏のコンサートをしたり、ポップス歌手のバックで演奏したり、と、ジャンルを超えた幅広い演奏活動を行っています。
例えば私たち新日本フィルハーモニー交響楽団ではこれまでに、ジブリ映画の音楽(千と千尋の神隠し・崖の上のポニョ・ハウルの動く城)を担当してたり、刀剣乱舞やモンスターハンターの演奏会をしたりして来ました。
おそらく、クラシック音楽に1ミリも興味が無いという人でも、電波の無い所で自給自足生活をしてる人でもない限りは、オーケストラの演奏だと意識せずに何かしらを耳にしている人がほとんどのはず。
私も先日ドラクエ11をNintendo Switchでやっていた所、BGMが電子音とオーケストラの収録バージョンと選べて、ちょっと興奮しました。
どっちも凄く良いんですよ…
完全に同じゲーム画面で、流れてる音楽のメロディが同じでも、音色が違うだけで全く違う世界感になるんですよね。
これは多分、私が音楽家で、かつ私がドラクエ好きだから、だけでは無いはず!
今度は「アイドリッシュセブン」
そんなクラシックからゲーム音楽までなんでも来いなオーケストラ、新日本フィルが4月29・30日にお贈りするのは、大人気スマホゲームアイドリッシュセブンのコンサートなんです。
クラシックファンの皆さん、ちょっと待って。
まだこのページを閉じないで。
今から私はアイドルを育てるゲームの話をしようとしてますが、おそらくクラシックファンかつアイドル育成ゲームファンの方ってそんなには多くないと思います。
私もゲーム好きとは言え、こういった類いのゲームには全く無縁の人生を歩んで来ました。
「イケメン王宮◆真夜中のシンデレラ」という恋愛ゲームに課金しまくっていた友人に、心の距離を感じたりした事もありました。
でもね、
私はアイドリッシュセブンをやってみて、このゲームこそクラシックファン、中でもオペラが好きな人にこそやって欲しいと心から思ったのです。
虚構に感情移入するのはゲームもオペラも同じ
さて前述の恋愛ゲームに課金しまくっていた友人もまた、職業はクラシックの音楽家です。
私には、現実世界にはいない虚構になぜそこまで感情移入し、恋愛感情まで持ち、本物の恋人よりもお金を注ぎ込むのか全く理解出来ませんでした。
そんな私に彼女が教えてくれたのは、
なるほど…
私は一度もやったことないことを、先入観だけで遠ざけてしまっていた事をとても反省しました。
何はともあれ早速ダウンロード。
この手のスマホゲームは基本無料で、課金するとプラスαで楽しめるというものが多いので、気軽に始められます。
……と、私はまだまだ始めたばかりですが、ここにこのゲームの素晴らしさを書き連ねていたら5000字を超えてしまいましたので、ここでは大事なことだけ言いますね。
お も し ろ い よ !
細部まで作り上げられた世界感
もう500万人もダウンロードしてるし、7年も人気が続いてるし、そりゃあおもしろいです。
私なんてゲームを始める前に、アイドリッシュセブンのWikipedia見てるだけでも楽しめました。
例えば二階堂大和というメガネのキャラクターがいるのですが、キャラクターデザインをした種村有菜さんは大和について「パフォーマンス中にメガネをかけることについての安全性や機能性を考慮した」と後に語っています。
え、これ無料のゲームでしょ?
そう、このアイドリッシュセブン、キャラクターもストーリーも全て架空なのに、めちゃくちゃ作り込まれているんですよ。
そしてアイドル育成ゲームなので、そのアイドル達が歌う楽曲があるのですが、それがまた本物のアイドルグループのような完成度なんです、どの曲も。
SixTONESやSnowManが歌ってても全くおかしくない感じ。
え、これ無料のゲームでしょ?
と、誰もが幾度となく思うと思います。
名言の数々
アイドリッシュセブンは大きく分けて、ストーリーを読んで楽しむことと、楽曲に合わせてタップするリズムゲームの二本柱で出来ているのですが、そのストーリーもまた秀逸なんです。
そしてとにかく名言が多いことでも知られているこのゲーム。
その名言集を読みながら私は思いました。
これは……
この感じを私は知っているぞ…
これは、そう、オペラだ!
熱い想いと人間の苦しみはいつの時代も
オペラとは17世紀頃から作られている歌劇、現代で言えばミュージカルのようなものですが、そこで描かれているのは十中八九恋愛です。(暴論)
身分が違う恋で悩んだり、不倫したり、すれ違ったり、思い余って殺しちゃったり。
形や場所は違えど、人は、人の感情の機微に感動し、楽しみを見出すのですね。
そんなオペラでは、多彩なメロディに乗せて人々が自分の感情を歌います。
その歌詞がですね、どことなくアイドリッシュセブンの名言の感じに似ている気がするのですよ。
現代語なのをほんの少し言い回しを変えて、ここでアイドリッシュセブンの名言をいくつか紹介させてください。
もう何かのオペラのセリフでもおかしくないですよね?
このゲーム、こんなセリフがそこかしこにたくさん散りばめられているんです。
表現方法は違いますが、オペラ好きの方はきっとこのゲームも楽しんでいただけるのでは、と、ふと思ったのでした。
今は世界中で「アイドル」と呼ばれるキラキラした方達が活躍されていますが、そんなアイドルだって人間だもの、苦労も苦悩も葛藤もきっとあるはず。でも本物のアイドル達がそれを見せるのはご法度でしょう。
ゲームだから、虚構だからこそ垣間見れる世界がアイドリッシュセブンの1つの魅力なのかも知れません。
そんな人間ドラマに溢れるアイドルの世界を彩っている素晴らしい音楽を、オーケストラの生演奏で聴いてみませんか。
春の爽やかな陽気の中、渋谷で皆さまをお待ちしております。
アイドリッシュセブン オーケストラ
-Third SYMPHONY-
Bunkamura オーチャードホール
2022年4月29日(金・祝)
17:45開場 / 19:00開演
2022年4月30日(土)
昼公演 12:15開場 / 13:30開演
夜公演 16:45開場 / 18:00開演
両日とも残席僅少
指揮:西谷 亮
演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団
詳細:https://www.idolish7-orchestra.com
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また、新日本フィルは今年7月に、モーツァルトが1790年に書いたオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」のオーケストラを担当します。
恋人達の人間模様を描いた、まさに王道の"オペラ"と言える人気作品。こちらも是非お楽しみに。
藤原歌劇団・NISSAY OPERA 2022
「コジ・ファン・トゥッテ」新制作
日生劇場
2022年7月1日(金) 14:00開演
7月2日(土) 14:00開演
7月3日(日) 14:00開演
W.A.モーツァルト作曲
「コジ・ファン・トゥッテ」
オペラ全2幕
<日本語字幕付き、原語(イタリア語)上演>
指揮:川瀬賢太郎
合唱団:藤原歌劇団合唱部
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
詳細:https://www.jof.or.jp/performance/nrml/2206_cosifantutte.html
(文・腰野真那)
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