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【おおさか東線延伸を空想】②首都圏と比較して見える問題点

前回の記事はこちら!

見出し番号は前回からの通しです。

3.地図からみる問題点ー武蔵野線(+南武線)との比較

おおさか東線延伸案を再掲
©️ OpenStreetMap contributors
山手線(赤線)と東京メガループ(青線・一部省略)
©️ OpenStreetMap contributors

①おおさか東線の延伸区間は徐々に郊外に行く形状でいびつ

今回考えたおおさか東線から近鉄長野線への直通は地図をみて頂くと分かりますが、大阪駅付近では都心近くを走る区間(特に野江や鴫野からは京橋まで一駅)です。しかし、大和路線並走区間で一気に都心から離れ、現状は一部単線の比較的郊外を走る区間に変わります。
たった久宝寺から柏原はたった3駅先だから近鉄線もおおさか東線からの環状ネットワークに組み込めるだろうと考えましたが、意外と都心から離れてしまい、かなりいびつな形状になりました。
対して東京メガループ(とりわけ武蔵野線系統と南武線を合わせた区間)は起点こそ山手線と接する都心部の東京から始まります。しかし、東京駅を含めてみてもきれいな扇状になっていることがみてとれます。道路網と同じく郊外の路線網は非常に分かりやすいです。

②大阪駅から新大阪へ北上し、再度南下するため至近距離を迂回

おおさか東線はうめきた新駅開業に伴い、大阪駅に直通するようになりました。しかし、地図をみればわかるように、大阪駅からJR野江付近にかけて逆U字型に線路がひかれてます。南吹田駅や城北公園通駅からは大阪駅直通のメリットの恩恵を多少受けれます。しかし、特におおさか東線の北区間は都心付近を走るため、大阪都心に行くには既存の放射線の方が便利に思えます。
尚、鉄道空白地帯だった城北公園通付近には市バス(シティバス)34系統が通っています。この路線は全国有数の運行本数で、大阪駅には専用の乗り場が別につくられるほどです。
大阪駅方面のアクセスはバスが恐らくまだまだ根強いと考えられます。
うめきた新駅を無理に活用するための大阪駅直通にも思えてしまいます。
 他方、東京メガループを抱える武蔵野線は西船橋からデルタ線を介し、東京方面と海浜幕張方面に分岐します。
ここで各方向、本数が半減します。しかし、武蔵野線の都心(東京駅)直通は北方面への接続駅があまりない京葉線途中駅への利用も考えられ、意義があるものと考えます。東京からしっかり距離をおいて環状線(武蔵野線)に入るので良くできた路線網だなと感じます。

③山間部を走る区間がある

富田林市の願昭寺から見る大阪の風景

河内長野から熊取にかけてはほとんど開発されていない山間部を走ります。すぐ南は和泉山脈が控えています。滝畑ダム、関西サイクルスポーツセンター、水間観音、犬鳴山温泉などの観光地はあります。前回述べたテクノステージという工業団地や小さな集落はあります。しかし、外環状線も車線数が減る区間であり、そこまで大きな需要をうむような開発ができるかは不透明です。また、近鉄長野線も需要はある路線とはいえ、年々利用者は減少傾向です。
近年、国道309号沿いで大型店の出店が盛んですが、典型的な地方都市にある大型駐車場を構えるロードサイド店で、駅前開発はあまりなされていません。また、石川の東側は小さな山になっています。
近鉄長野線の一部は高架化工事もされましたが、逆に言えばそれだけの土地があったともいえます。
他方の東京メガループは丘陵地帯を走る区間は存在するにはしますが、また、都心20-30キロ圏内でもほぼ平坦な区間を走ります。また、街の開発も駅と共にあります。越谷レイクタウンはその典型例と言っていいでしょう。
ロードサイドの大型店をみて駅前ではなく道路を見ればそれなりに充実した街、駅の視点に偏るべきでないと見る向きもあります。しかし大量輸送機関の鉄道駅と共に発展してる街の方が、充実してると思います。

④乗降客数が少ない

ラッシュ時間帯の武蔵小杉駅

東京メガループには、西船橋、南越谷、新松戸、武蔵浦和、北朝霞、武蔵小杉など、推定乗降客数が5万人こす駅、駅によっては10万人を超える所もざらにあります。西などと方角つくように決してその街の中心ではないことが多い中でこれは凄いことです。
一方、大阪メガループとなりそうな路線は乗降客数が多い久宝寺駅でも3万人程度、南大阪線と長野線の分岐する急行停車駅でも2万人程度です。一部に現状単線区間があることからも利用の少なさが窺えます。
ただし今後、路線網の拡充で増える可能性は未知数です。
 

⑤経路をおおさか東線とは別で全て大阪外環状線沿いにしても放射線の生駒山地越えの為、放射線と並行区間が発生する

青線:並行する放射線
赤線:概ね外環状線ルートで作る場合のルート
©️ OpenStreetMap contributors

先述のデメリットを解消するため、おおさか東線を活用せず、新たに国道170号付近に沿って柏原から高槻方面に新設するルートを考えます。このあたりは環状線がなく、特に淀川を挟んだ高槻市と枚方市の間を結ぶ道路は少ないため、あれば非常に便利になりそうです。また、京阪間の都市と大阪東部がダイレクトに結ばれます。しかし、地図に示したように南から近鉄大阪線、近鉄奈良線、学研都市線という大阪市内から出る放射各線は生駒山地を極力避ける、坂を緩やかにするためか、府県境付近で南北方向に大きく迂回します。また、京阪本線も枚方から京都に向かうため北方向に進路をとります。そのため、並行区間がそれなりに発生し、供給過多気味になるかもしれません。近鉄奈良線は生駒山地越えのためにケーブルカーを通す案が検討されたくらいの急坂です。比較的新しい近鉄けいはんな線は東西に直線的に結んでいるものの、こうなってしまうのはある意味必然であったといえます。

南武線と横須賀線の並行区間
©️ OpenStreetMap contributors

一方の東京メガループ区間にも川崎から武蔵小杉付近までいわゆる横須賀線と並行していますが、並行区間はここくらいで、それなりに人も多い所なので棲み分けができています。

⑥そもそも大阪平野が狭い

かつて和歌山線で活躍していた車両

色々考えた所で結局これに尽きると思います。
広大な平野部を走る武蔵野線、南武線に対して東側に生駒山地、金剛山地、南側は和泉山脈がそびえる大阪平野では開発の余地があまりありません。
山を越えた先にあるもう一つの環状線ともいえる和歌山線や桜井線は完全にローカル線ムードです。ただし、奈良線は複線化もされ京都視点での放射線の役割も果たすので都市近郊の通勤観光路線になっています。

⑦なにわ筋線開業時の運行形態の不透明性

都営大江戸線新宿駅

なにわ筋線が開業し、大阪都心を抜ける路線ができた時、おおさか東線はどうなるのでしょうか?新大阪発着に戻るのかはたまた大和路線に直通するのでしょうか?
大和路線に直通するとなると、久宝寺駅で一周することになり、車両の向きがややこしくなりそうです。
都営大江戸線のような6の字型になるので、片方を久宝寺どまりにするなどが考えられます。
しかし、大江戸線とは異なり様々な路線がいりくみます。おおさか東線には待避設備がなく、将来的に南海との直通が想定されますが、大阪地下駅も2面4線しかありません。
ダイヤ乱れで収拾つかなくなりそうです。
仮に阪和線に直通するとしてもおおさか東線直通のメリットがあまり思い浮かばないです。

4.最後に阪和貨物線活用案を考える

延伸案を再掲
©️ OpenStreetMap contributors

久宝寺から画像のオレンジの線に伸ばす案です。こちらは途中駅を設置して定期旅客列車を走らせる計画もあったそうです。(参考記事:鉄道プレス. )
阪和貨物線は近鉄南大阪線の車内から一度か二度くらいだけ列車を見た覚えがありますが、記録には残していません。
地図的にはこちらのほうが大阪環状線の外側を通るきれいな扇形になっています。
谷町線や近鉄南大阪線、御堂筋線と交差し、大阪市内の放射線を結ぶルートなので、意外と実用性はありそうです。さらに杉本町から南海線に伸ばせば大阪市南部の東西移動の利便性は格段にあがります。このあたり、南北の路線は腐るほどありますが、東西を結ぶ路線は皆無に等しいです。広域的輸送というより地域輸送で役に立ちそうです。
しかし、残念ながらこの計画は立ち消えになっています。
大阪市都心の新線計画が着々と進む一方、大阪市南部は置き去りにされている印象です。これからますます都心回帰が進む予感がしますし、もっというと東京に行ってしまうのではないでしょうか?
大都市だけあって、都市近郊が賑やかでないと都市全体としての活力は低下するのではないかと懸念します。

今日はここまでです。お読み頂きありがとうございました。

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