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Unlearnは時にはLearnと同じくらい大事だよ

 通訳案内士や診断士の試験を受けて以降、新たな知識の習得欲が高まっていて、いろんな勉強会に参加したり本を読んだりする機会も増えました。また、同じ志をもつ診断士仲間たちとの飲み会も何物にも代えがたい時間となっています。いろんな知識を仕入れたり、アップデートしたり。今後も学び続ける人生でありたいとおもいます。でも、学んでばっかりでいいの…?というのが今日のテーマ。

「俺が選手だった頃は…」型監督の弊害

 職場で働いていても、上司が「私が現場にいたころは朝から晩まで働いて…」とか、「顧客と大事な話をしようと思ったら、相手先に行って何時間でも待って…」みたいな、過去の武勇伝を豪語し、かつ、現場にそれをやらせようとするケースってありませんか?私の職場にも何人かいるのですが、「俺が選手だった頃は…」型監督と呼んでいます。
 例えば、ある高校の野球部監督の年齢が60歳だったとします。その監督が高校、大学時代(または社会人野球時代)、朝から晩まで野球漬け、練習中には水を飲まず、タイヤを引っ張って海岸を走り、何ならうさぎ跳び階段上りなんかをやっていた世代です。
 でも、ここ数十年のトレーニング理論で、体幹トレーニングや水分補給の重要性、うさぎ跳びの弊害など、練習の在り方が大きく変わってきました、それなのに、過去の経験を引きずっている、というのは、現在の会社組織においても(特に年功序列型の会社においては)よく見られるのではないでしょうか。

コロナ禍やサステナビリティについていけなくなってませんか?

 年功序列型の会社(新卒から定年まで同じ会社で働き続けることが当たり前になっている組織)は、組織がしっかりしている分、保守的・安定的な一方、変化に対してのフレキシビリティに欠ける面があるといわれます。
 そういう中で、コロナ禍による仕事の仕方の変化やサステナビリティなどを取り入れた職場環境の変化にもかかわらず、仕事のやり方を変えられていない人が多くいる気がしています(自分基準)。例えば…
 

  • 何事も紙に打ち出さないと気が済まない(反・ペーパーレス)

  • WEBよりもリアルの打ち合わせがいいから、職員を出勤させたがる(顔見て話さないと不安)

  • 社員は残業して当然だと考えている(反・ウェルビーイング)

  • 社員のモチベーションを過度に期待する(やりがい搾取)

 でも、こういった上司の行動・思考について、部下たちはわりと冷めた目で見ているケースが多いのではないでしょうか。それもこれも、過去の自分の(成功)体験を忘れられず、または、過去の自分を否定する感じがして、Unlearnできていない結果である気がするのです。
 いくらマネジメント層としてのノウハウを学び、さらに上の経営層に自身をアピールするのがうまいといえども、Unlearnを怠れば、下からの信頼獲得はおぼつかないし、いつの間にか「老害」と陰で呼ばれてしまう可能性すらあるのではないか。そう感じます。

私の課題としてのUnlearn

 最近(というかここ数年、やったりやらなかったりと波があります)、中国語学習にも取り組んでいますが、こういった類の学習はLearnあるのみ。公文にしても単語にしても覚えて、使って身に着けていくものですよね。
 一方、こちらはつい最近学び始めた「コーチング」については、過去の自分の経験をUnlearnする必要があると考えています。かつて、マスコミで働いていた自分にとっては、相手の本音を聞き出す方法はインタビューで本質を突く質問を重ねることだと思ってきました。また、マスコミでのインタビューは番組/記事の成立を前提にしているので、誘導尋問やキレイごとになりがちです。
 一方で、コーチングでは、コーチ側は示唆せず、かつ、自然に相手の中から本当の感情が湧き出してくるのをサポートしていきます。そのために、様々なメソッドがあるのですが、こちらから答えありきで誘導するころ、相手の言いたいことをこちらがまとめることなどはできるだけ避けたいところです。
 マスコミにいたころの自分の方法をUnlearnしなければならないのですが、一度体に染みついたものを抜くのはなかなか難しい、そう感じます。味のしみ込んだおでんの大根を使って風呂吹き大根を作るようなものでしょうか(←なんか違う)。

Unlearnの重要性に気付いただけでも重要な一歩

 ほかにも、以前は交通費を抑制する観点から高速バスを多用したり、LCCを使ったりとお金のことをよく考えていましたが、様々な学習の機会を得て、それが時間節約や体力の面から本当にふさわしいのか、考えるようになりました。これも、「交通費にお金をかけないことが大事」とする自分の考えのUnlearnだと思います。
 このように、何かを習得するにあたって、Unlearnが必要だということに気づいたというだけでも、重要な一歩だったのではないかと思います。
 以前のやり方を急に変えるのは難しいけど、少しずつUnlearnしつつも、自分のノウハウを付加して新しい価値を作っていく、それこそが理想なのだと思います。

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