昔よく見ていたテレビ番組

 最近、テレビを見なくなった。どこのテレビ局の番組をつけても、大体クイズか中高年向けの健康番組ばかりだからだ。ドラマもこれといって、インパクトの強いものがない。

 特にバラエティー番組はつまらない。芸人やタレントが、一クラスに必ず一人はいる、うるさい生徒のノリで番組を進行しているので、正直いい気分にならない。

 そのため、今では気になるアニメやドラマ、特別興味を持てたバラエティ番組、映画の地上波放送を見るときしかテレビはつけない。高校生のころからこのスタンスで現在まで来ている。

 ちなみにネットはよく見る方で、テレビや雑誌、新聞には出てこない人や、ネットでしか知ることができない情報がたくさんある。なので、面白い世界だと常々感じている。

 今では、ネットの住民の一人となっている私。だが、昔はかじりつくようにテレビ番組を見ていた。

 毎日のように何かしらの番組を見ていたが、その中でも『月曜から夜ふかし』と『マツコ有吉の怒り新党』にはハマっていた。

『月曜から夜ふかし』は、日テレで月曜深夜にやっている番組。地域の問題(といっても関東圏がメインだが)や、街ゆく人にインタビューや川柳を詠んでもらうもの、しょうもないことについて専門家に聞く企画が多い。

 インタビューで面白いことを言ったり、レギュラーのマツコやADに気に入られたりすると、その人に密着する企画を放送することがある。

 その企画では、インタビューで羽目を外した回答をしていた人が、真面目な姿を見せる。その姿を見ていると、テレビインタビューに答えている人も私たちと変わらないんだな、としみじみ思う。

 個人的に好きだったのは、埼玉県問題と桐谷さん、イルマニアの話題だ。

 埼玉県問題とは、浦和と大宮の対立や魅力度が低い、隣県千葉との争いといった問題。映画版『翔んで埼玉』の埼玉と千葉の関係を思い浮かべてみるとわかりやすいだろう。

 これに関して、千葉県出身のマツコが、「埼玉と全面戦争だコノヤロー!」と叫んだことは今でも記憶に残っている。

 また、埼玉県問題の企画は反響が良いことから、不定期で埼玉県のできごとを紹介する、「埼玉ヘッドラインニュース」なる企画まで生まれてしまった。

 桐谷さんは、株の配当と株主優待で生活している元プロ棋士のオジサン。株主優待券を使うために、都内を自転車で駆け抜け、店や映画館を巡っている。

 好きなものは絶叫マシーン。浅草の花やしきのジェットコースターに乗って、ナイスなリアクションを披露したことがあった。

 ちなみに私が自転車移動をするようになったのは、この人の影響が強い。

 桐谷さんは、スペシャル放送になると毎回出演するのだが、登場するパートではいつも、ものすごい勢いでママチャリを漕ぎ、都内を爆走するカットが出る。

 このカットを見たとき、私は、忙しなさを感じると同時に、爽やかさも感じていた。

 以来私は、桐谷さんのように自転車を速く走らせたい、という願望が強くなったので、通学路を走るときは、いつも必死で走っていた。

 この光景を見た母親からは、

「健が走ってるとき、『My Revolution』(渡辺美里の曲。桐谷さんパートのまとめにBGMとして流れる)が流れてんじゃないの?」

 と言われたことがあった。母親から見た私は、どうやら桐谷さん同様忙しない類の人間で、自転車の方もかなり速いらしい。

 イルマニアは、由比ヶ浜の海水浴場にいる人たちに川柳を詠んでもらうという企画で、「イルマニア 埼玉入間 代表さ(ア~イ!)」という句を詠んだラッパー。

 イルマニアは彼の通称ではなく、所属するグループの総称のこと。そのため、彼には「MCMA」という芸名が別にある。

 だが、しっかり韻を踏んだ名川柳の印象が強すぎたためか、「イルマニア」という言葉は、彼の代名詞となっている。

 私はイルマニアに触発されて、川柳を詠んでみたことがあるのだが、どれも上手くは詠めなかった。

 やはり「ラッパー」という人種は、見た目こそは毒々しいが、頭のキレは唐代の詩人のようにキレるらしい。

 水曜深夜にテレ朝で放送していた『マツコ有吉の怒り新党』。

 内容は二部構成。前半は視聴者から送られてきた不満について、マツコと有吉、夏目アナ(2015年から交代した)が話し合うものがメイン。後半は「新三大○○」というもので、アニメや漫画の面白いシーンやスポーツの名勝負の中でも、特に面白い3つを紹介するコーナーといった感じだ。

 前半のコーナーでは、「戒名の話」と「受け付けない顔について」が記憶に残っている。

 戒名の話は、「親族が死んだときに、親と同じ戒名にしないと天国に行けない」というお坊さんの発言に、視聴者が怒りを感じたというもの。

 これについて、マツコ有吉の二人が、「私たちはどうせ同じところに行くよね」と笑いながら言っていたことが印象に残っている。

 番組を見た次の日に、友達とこの話題について話したのだが、友達は、

「結局、天国へ行くか地獄へ行くかも金次第なんだよ」

 と笑いながら語っていた。

「地獄の沙汰も金次第」

「六文銭を渡し守に渡せば無事に三途の川を渡ることができる」

 このようなことわざや言い伝えがあることが、死後も金が大事ということを何より強調している。追善供養をするだけでも金がかかることがその証左だ。

 このようなことからも、「天国か地獄へ落ちるか」という漠然とした問いを、金で解決しようとする人たちの気持ちも、わからなくもない。

 受け付けない顔については、「この人の顔生理的に無理! という人が必ずいるよね」という悩みについて。

 この話題も友達と話したのだが、友達は、

「色黒く、ぶっとい眉毛で唇が紫色の人」

 と答えた。

 私はこの顔について想像したのだが、ぶっ、と吹き出してしまった。『こち亀』の両津勘吉と、『ちびまる子ちゃん』に出てくる藤木くんの顔を2で割った顔を想像してしまったからだ。

 ちなみに私の受け付けない顔は、目が離れ、鼻が潰れていて、反りっ歯な顔だ。

 後半の「新三大○○」は、トルコ映画とクソゲーの話が今でも記憶に残っている。

 トルコ映画の話は、ストーリーの構成があまりにくどすぎるということで紹介された。

 雑魚との戦闘に1時間も尺を使ったり、銃で何発打たれても話し続けたり。

 もはや「くどい」を通り越して笑いが出てしまう。

 クソゲーの話が一番面白かった。

 そのクソゲーとは、ドラゴンを倒さないと門が開かない『ドラゴンズ・レア』、敵を撃墜すると特攻してくる『トランスフォーマーコンボイの謎』、QWOP四つのキーで100m走を走る『QWOP』の3つだ。

 この3つの中で、特に面白かったのが『トランスフォーマーコンボイの謎』。

『トランスフォーマーコンボイの謎』は、1986年にニンテンドーから発売されたファミコンゲーム。

 このゲームのどこが「クソ」なのか? それは、敵が細かい弾を放ってくるところ、撃墜したら出てくる敵に当たると爆発して即ゲームオーバーになるところだ。小馬鹿にしてるようなBGMもあってか、イライラも倍増してしまう。

 後で友達とこの話をしたのだが、大ウケしてしまい、しばらくこの話題で持ち切りになった。あるとき、仲のいい数人と集まって実際にやってみよう、という話も持ち上がったぐらいだ。

 だが、高校入試やその準備もあってか、結局やらずに終わった。

 高校に入ってからはスマホを持つようになったので、テレビを見ることは一切なくなり、ソシャゲやマンガ、アニメの話題が多くなってきた。それにしたがい、私もテレビ番組を見ることが次第に無くなっていった。

 だが、それも仕方ないのかもしれない。

 物事や人の興味、価値観というものは、時と共に移ろいゆくものだから。

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