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私小説

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話を書いた日にちはバラバラかもしれませんが、順を追って追加していこうかなと思います。
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#小説

【私小説】春休み①─春のはじまり─

「はい、通知表」  桜の咲きはじめる春うららかな3月終わり。担任から私は通知表を渡された…

佐竹健
1か月前
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【私小説】人を好きになれない(後編)

「本当にそうだとしたら、君は『異常者』だよ」  山木に言われたことを、私は何度も繰り返し…

佐竹健
1か月前
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【私小説】友達のこと(前半)─天才の話─

「にぎやかだったな」  中学生のときを振り返ると、いつも思うこと。  もう10年も昔のこ…

佐竹健
2年前
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【私小説】勉強のこと

 私は誰よりも勉強ができなかった。そう言いきれる自信がある。  国語、社会、英語、数学、…

佐竹健
2年前
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【私小説】夏休みの話③(ラスト)

 お盆が明けると、少しホッとする。  補習、部活、そして親戚の集まりという拘束もない。肩…

佐竹健
2年前
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【私小説】秋の楽しみ(前編)─焼き芋と読書、そして紅葉─

 11月になった。先月まで緑色だった銀杏の葉は黄色く色づき、少し暖かった空気も冷たくなっ…

佐竹健
2年前
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【私小説】秋の楽しみ(後編)─秋の休日と紅葉と夕焼け─

 日曜日、私は自転車を漕いで少し遠くの町まで自転車を漕いだ。  冷たいけれど爽やかな秋風が気持ちいい。 「秋だねぇ」  日本の秋を感じる。ついこの前まで少し蒸し暑かったかと思えないほどに涼しい。 「動きやすいから、どんどん飛ばしていこう」  自転車を漕ぐスピードを上げ、私は走った。  稲がなくなって土色になった田んぼと薄い水色の空の間を赤とんぼは飛び回る。  途中にあったスーパーで昼食とおやつを買ったり、コンビニでトイレを借りたりしながら、紅葉の美しい山を目指す

【私小説】私の進路と死(前編)

 11月も終わりに差しかかったころ、総合の時間に高校の話が出た。  話の内容は、入試の種…

佐竹健
2年前
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私の進路と死③─東京へ─

 旅に出てから2日目の朝。上野東京ラインに沿って、自転車を漕いでいた。 「やっぱり旅って…

佐竹健
2年前
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【私小説】私の進路と死⑤─エピローグ─

 警察に補導されてからは、母親の監視が強くなった。  学校へ行くときも、通学カバンや制服…

佐竹健
1年前
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【私小説】修学旅行の班決め

 月が変わって2月。一応世間の認識では冬ということになっているが、1月に比べ、ほんの少し…

佐竹健
5か月前
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【私小説】人のことを好きになれない(前編)

 ホームルームがあった2日後の午後。私は保健室から教室へと向かった。渋々授業に出席するた…

佐竹健
3か月前
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【私小説】写真と桜

 よく写真を撮っている。下手くそな風景写真をメインに。  寺社仏閣や城といった建造物、史…

佐竹健
2年前
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【私小説】君のそばにいたい

 霧が立ち込め、夜の冷たさがまだまだ残る朝。 「あ、もうこんな時間か。起きないと」  目を覚ました私は、起き上がるため、体に力を入れた。だが、体が思うように動かない。いや、体が動くのを拒んでいる。そう言った方が正確かもしれない。そのためか、朝起きて学校へ行くという当たり前のことがいつもの何十倍も憂鬱に感じた。 「動けない、か」  観念した私は、布団の中にいることを決めた。目をつぶって、眠ろうとした。だが、騒音のせいでなかなか寝付けない。  私が学校へ行きたくない理由