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私小説

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話を書いた日にちはバラバラかもしれませんが、順を追って追加していこうかなと思います。
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#私小説

【私小説】人を好きになれない(後編)

「本当にそうだとしたら、君は『異常者』だよ」  山木に言われたことを、私は何度も繰り返し…

佐竹健
11日前
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【私小説】前文にかえて

 人の世は儚い。  才ある者もそうでない者も朽ちてゆく。仲のいい関係はずっと続かない。栄…

佐竹健
2年前
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【私小説】昔の日常

 中学生のときの私の日常について、少し話そう。  朝6時半くらいに起きる。  朝ご飯を食…

佐竹健
2年前
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【私小説】友達のこと(前半)─天才の話─

「にぎやかだったな」  中学生のときを振り返ると、いつも思うこと。  もう10年も昔のこ…

佐竹健
2年前
11

【私小説】友達のこと(後編)─親友の話─

「一緒に共感できたり、好きなことを楽しめたりする友達」  そんな友達がいると、学校生活は…

佐竹健
2年前
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【私小説】土曜日の学校

 時々ある土曜日の学校ほど嫌なものはない。  土日も練習のある運動部に所属していた中高生…

佐竹健
2年前
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【私小説】勉強のこと

 私は誰よりも勉強ができなかった。そう言いきれる自信がある。  国語、社会、英語、数学、理科と言った主要科目は平均点よりも下だった。なら、主要な5教科以外はできたのかと言えば、そうではない。芸術科目や技術家庭科、体育の実習では、持ち前の不器用さを発揮し、絶望的なセンスを同級生に晒していた。そうしていつも怒られたり、笑い者にされたりしていたものだ。  何を言いたいのか一言で言えば、 「学校の勉強が絶望的にできない」  ということだ。  それゆえに、親戚や友達、母親と親

【私小説】読書と私 その1─死後の世界について─

 頭が悪いくせに、どういうわけか私は本を読むのが好きだった。もちろん頭の方がよくないので…

佐竹健
2年前
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【私小説】夏休みの話(お盆前)

 夏休みは、なんとなく過ごしていたい。そう思っていた。  好きな本を読んだり、見たかった…

佐竹健
2年前
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【私小説】夏休みの話③(ラスト)

 お盆が明けると、少しホッとする。  補習、部活、そして親戚の集まりという拘束もない。肩…

佐竹健
2年前
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【私小説】夕暮れと体育祭の終わり

 体育祭が終わった。  片付けやクラスでの表彰などをしているうちに、時計の針は5時を回っ…

佐竹健
2年前
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【私小説】友達のこと その③ 真面目なあの子

「当時、私には両手で数えられるほどの友達がいた」  以前私はそう話していた。けれども、話…

佐竹健
2年前
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【私小説】友達の話 その④ 後輩のこと

 思い返してみれば、私たちは先輩の後ろ楯もなくよくここまでやってきたなと思う。  普通中…

佐竹健
2年前
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【私小説】秋の楽しみ(前編)─焼き芋と読書、そして紅葉─

 11月になった。先月まで緑色だった銀杏の葉は黄色く色づき、少し暖かった空気も冷たくなった。 (もう秋の盛りか)  秋だ。秋の盛りだ。  私は秋が好きだ。  まず、食べ物がおいしい。  夕方から夜になりかけの時間帯に、 「焼き芋~。焼き芋~」  と軽トラックに乗った焼き芋屋さんが、拡声器で触れ回る。 (どうする……)  この宣伝文句を聞くとふいに焼き芋を買いたい衝動に襲われる。そして、 (買おうかな、買わないかな。買ったらお金無くなるしな……。でも、おいし