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日本酒 古酒・熟成酒 飲み比べ(滋賀県長浜市 冨田酒造有限会社 七本鎗 山廃純米 「琥刻」2012年・2014年・2016年・2018年 自家熟成)


先日の話の最後に、すごく丁寧なラベルの日本酒があることを綴りました。

一本一本にその上槽日が表示されているんです。
滋賀県長浜市 冨田酒造有限会社 七本鎗(しちほんやり) 山廃純米 「琥刻」(ここく)でした。

今日は、この冨田酒造さんの七本鎗 山廃純米「琥刻 」2012年・2014年・2016年・2018年の飲み比べです。

10ヶ月前に購入した、七本鎗 山廃純米 「琥刻」

実は、この日本酒を購入したのは、10ヶ月ほど前の2020年6月。
10ヶ月ほど前の私と言えば、日本酒古酒・熟成酒に興味はあったけど、古酒・熟成酒どころか、日本酒のことも何もよく知りませんでした。
ただとにかく古酒・熟成酒を飲んでみたくて…、この四本を買って、いただきました。

東京赤坂 株式会社鈴木三河屋で購入しました。

開けた日本酒は、冷蔵庫に保存すべきだったのかもしれません。
でも、いろんなもの読んだり、いろんな人と話してたら、「光はダメだけど、常温貯蔵・熟成は大丈夫」という意見が結構あった。
そこで、1/5くらい残っていた日本酒の瓶を部屋の暗いところに立てて、しばらく置いておきました。

いわゆる自家熟成、または、自家熟です。

そして、10ヶ月経って、もう一度飲んでみることに。
飲めますよ、色もきれいだし、どれもおいしいです。
お料理に使ったり、お風呂に入れたりするなんて、とんでもないです、もったいなすぎます!

七本鎗 山廃純米 「琥刻」 飲み比べ

2021040七本鑓 (1)

七本鑓 グラス

左から、2012年、2014年、2016年、2018年で、色は、2012年からだんだん淡い色になります。

基本的に同じ造りですが、2012年までと2013年以降で違いがあります。
2012年までは、協会701号酵母、精米歩合60%。
2013年以降は、自社培養酵母、精米歩合麹米60%・麹米80%です。

なお、ラベルには、「二〇一二」などとありますが、これは、酒造(醸造)年度のこと。
「二〇一二」なら、2012年7月1日から2013年6月30日の間に造られています。
実際、この2012年ものの上槽日は、瓶の裏の方に「2013年3月21日」とあります。

「琥刻」 2012年

色:
淡い茶色がかったキラキラした黄色、琥珀色。
香り:
酸っぱい香りの中に、少しオイリーな感じと、しいたけの甘うま煮のような香りが広がる。
味:
旨みと酸っぱさのすぐあと、少しオイリーな感じ。
それから、苦味がきて、少しぴりっとしたのちに、旨みが加わり、しばらく続く。
ペアリング:
さきいかとかおつまみ系のものが食べたい。

(琥刻 2012年)
原料:米・米麹
原料米:滋賀県産玉栄100%
精米歩合:麹米60%、掛米60%
アルコール度数:16度
日本酒度:➖➖
酸度:2.3
アミノ酸度:1.6
酵母:協会701号酵母
貯蔵:冷暗所
価格: 3,300円(税込)(720ml)
製造年月:2020年1月
上槽日:2013年3月21日

「琥刻」 2014年

色:
2012年ものと似ているけど、少し淡い色、キラキラした感じもある。
香り:
旨みと思える香りが前に出ていて、みたらし団子のような香りにおだやかな酸っぱさが広がる。
味:
旨みの中に甘さがあり、オイリーな感じのあと、ふと酸っぱくなるが、酸っぱさはだんだん弱くなりながら、心地よい苦味と旨みと続く。
ペアリング:
これは、チョコレートだな、濃い味の中華料理にも合うかな。

(琥刻 2014年)
原料:米(国産)・米麹(国産米)
原料米:滋賀県産玉栄100%
精米歩合:麹米60%、掛米80%
アルコール度数:16度
日本酒度:➖➖
酸度:2.3
アミノ酸度:1.8
酵母:蔵付天然酵母
貯蔵:冷暗所
価格: 2,640円(税込)(720ml)
製造年月:2019年12月
上槽日:2015年3月21日

「琥刻」 2016年

色:
レモンイエローに近い黄色に薄く茶色が混じったような色、2012年ものや2014年ものより淡い色。
香り:
ヨーグルトのような感じとみたらし団子のような香りが、ほどよく混じり合った香り。
味:
やわらかな口当たりで、旨みと酸っぱさ、それにわりとはっきりとした苦味加わり、とても心地よい。
余韻はさほど長くないが、とてもおだやかで、口の中も気分もふわっとする。
ペアリング:
天ぷらとかかな。

(琥刻 2016年)
原料:米(国産)・米麹(国産米)
原料米:滋賀県産玉栄100%
精米歩合:麹米60%、掛米80%
アルコール度数:16度
日本酒度:➖➖
酸度:2.1
アミノ酸度:1.4
酵母:蔵付天然酵母
貯蔵:冷暗所
価格: 2,640円(税込)(720ml)
製造年月:2019年8月
上槽日:2017年3月27日

「琥刻」 2018年

色:
レモンイエローに近い黄色。
香り:
おだやかなカシューナッツのような香りの中に、綿菓子のような香りと酸っぱさが漂っている。
味:
少し酸っぱい旨みみたいな感じがふわっと口の中で広がり、これって何だろう、と思ってると、オイリーな感じが鼻の奥に来て、ふと苦くなる。
その後、旨みと酸っぱさに戻り、余韻は長くなく、ぱっと終わる感じ。
ペアリング:
チョコレートとかケーキとか、スイーツ系かな。

(琥刻 2018年)
原料:米(国産)・米麹(国産米)
原料米:滋賀県産玉栄100%
精米歩合:麹米60%、掛米80%
アルコール度数:16度
日本酒度:➖➖
酸度:2.0
アミノ酸度:1.2
酵母:蔵付天然酵母
貯蔵:冷暗所
価格: 1,980円(税込)(720ml)
製造年月:2019年7月
上槽日:2019年3月18日

まとめ

どれもとてもやさしく、ふわっとした感じです。
きっと、丁寧に造られて、蔵で大切に熟成されてたんだろうな、と。
私のところに来てからも、無事に育っている模様。
琥刻の瓶は光が入らないよう真っ黒、コルクも空気が入らないよう頑丈な作りなので、常温保存でも美味しくいただけたっていうのはあるかな、と。
それにしても、全部じゃないかもしれないけど、日本酒って強いお酒ですね。

ところで、10ヶ月前、開けた直後の香りや味の感想は、
「四本ともそれぞれ違うな、2013年もの以降は酵母を変えたらしいけど、違いが分かる!どれも、おいしい!」
でした。
ただ、残念ながら、これだけしか覚えてないので、開けた直後と10ヶ月後では、香りや味がどう違うかは説明できません。

いつか、比べてみたいです。

最後に、貯蔵・熟成年数の話

「今は2021年だから、2018年ものは3年貯蔵・熟成されてる古酒・熟成酒だな」と思ってしまいます。
でも、よく見てみると、「2018年」とは酒造(醸造)年度のこと。
「2018年」だったら、2018年7月1日から2019年6月30日の間に造られた日本酒です。
実際、2018年ものの上槽日は「2019年3月18日」で、今は、2021年4月なので、貯蔵・熟成期間は2年と1ヶ月。
つまり、以前お話した日本酒の古酒・熟成酒の定義「3年かそれ以上熟成させた日本酒」には、当てはまらないんです。

少々マニアックかもしれないけど、やはり、熟成年数はすぐ分かるようにしておいてほしい。

これは、琥刻だけ、冨田酒造さんだけではなかなかできることではありません。
業界全体、あるいは、行政の方へのリクエストです。
ちなみに、琥刻は、ラベルをよく見れば熟成年数を正確に計算でき、こんな丁寧な表示は、他では見たことないです。


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