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お城のおそうじやさん #17 fin

半年後。

「あなたは、今日は5階のそうじをお願いね」

元気な声がおそうじがかりの部屋から聞こえてきます。

「カラ!レオノール女王がお呼びよ。相談したいことがあるんだって」

アデルの声です。

「あら、今日は忙しいんだけど、、、わかったわ」

カラは5階の鍵の束を新入りのおそうじがかりたちに手渡すと

女王の部屋へと向かおうとします。

「あとは私がやっておくから、ゆっくりしてらっしゃい」

レジーナが優しく微笑みながらカラを送り出します。



「お待たせしました。レオノール女王」

「カラ!待ってたわ。仕事は順調?」

「はい、おかげさまで。

おそうじがかりを50人に増やしていただいたので

みんな無理なく働けています。

お願いを聞いていただいてありがとうございます」

「こんなに広いお城を4人でそうじなんて無理な話よね。

でも、以前の私はそんなことに気づかなかった。

カラのおかげよ」

女王はそう言うとカラを優しく抱きしめました。

「相談したいことと言うのはなんです?」

カラが女王に抱きしめられたまま尋ねます。

「そうそう。実はね、、、」



あの日以来、女王はカラに色々なことを相談するようになっていました。

お城の中からではわからない町の様子をカラに教えてもらうように

していたのです。

人々が考えていること、困っていることの

ありのままをカラは女王に伝え、国の政治に女王は反映していました。

国の人々も以前とは見違えるように住みやすくなったこの国を愛し、

また女王を愛しました。

「このお城の一部を学校にしようと思うの。

子供たちの教室を作って色んな勉強をする。

お城には宮廷音楽家や宮廷画家、体力自慢の兵士たちもいる。

素晴らしい教育が子供たちにできる。ね、どう思う?」

カラは、突拍子のない女王の思いつきにいつも驚かされていましたが

国と国民のことをいつも考えている女王のことが大好きでした。


「また二人で楽しそうに話してるわ」

「本当だ。このところ毎日だね」

女王の部屋の窓を拭きにきたフィン。

その横にはフィンと同じようにロープを体にくくりつけ

窓拭き係になったアビーがいました。

「ところで、窓拭きは慣れた?」

「ええ」

「でも、どうして急に窓拭き係になりたいなんて言ったんだい?

危ない仕事なのに」

「別に、理由なんてないわよ。スリルを味わってみたかっただけ!」

そう言うと、アビーはフィンから顔をそらし、

頬を少しだけ膨らませました。



部屋の中では、まだカラと女王がケラケラと笑いながら

話しを続けていました。


お城のおそうじやさんの話はこれでおしまいです。

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