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第20回MSP始動!新入生に向けたガイダンスを取材!

ネビュラエンタープライズ・おちらしさんスタッフの福永です。
U25世代に向けて、舞台芸術に関する情報を発信するユニコ・プロジェクト(通称:ユニコ)

ユニコでは、昨年、数か月に渡って追いかけさせていただいた「明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)」に、今年も取材をさせていただくことになりました!

▼前回のインタビュー記事はこちら▼

前回ご紹介したとおり、新プロデューサー、新演出家が決まり、すでに少しずつ動き出していた第20回のMSPですが、ついに5月10日、新入生を含む参加希望者に向けて、「MSP参加ガイダンス」が行われました。場所は新入生の多い、和泉キャンパス。MSP参加の条件ともなっている「ガイダンス」なので、新体制として初のイベントではありますが、100人を越える大盛況の会となりました。

大教室を埋め尽くす大勢の参加者。
会のスタートまで、前方のスクリーンには、昨年19回のMSPの、ダイジェスト映像が流されていて、昨年参加していたメンバーは懐かしがったり恥ずかしがったりしながら笑顔でそれを眺めていました。新入生と思われる学生さんたちは、やや緊張した面持ちで、これからどのような会が始まるのか、真剣な表情で、心を落ち着けている様子でした。

制作部チーフ・児玉菜美穂さん

全員に資料が配布され、プレゼン用のパワーポイントの準備が出来ると、司会進行役の制作部チーフ・児玉菜美穂さんの声でいよいよ「ガイダンス」がスタートしました。

プロデューサー・宮嵜明理さん

始めに、新プロデューサー・宮嵜明理さんからの挨拶がありました。少し緊張した様子ではありましたが、自分の経験から、MSPがいかに素晴らしい団体であるかを一生懸命アピールしていました。すぐ近くに昨年のプロデューサーだった金子さんもいらっしゃいましたが、1学年違うだけですっかり“大人”の印象になっており、宮嵜さんの、プロデューサーを経た1年後の姿が、すでにイメージできるような気がしました。

演出・高橋奏さん

次に、新演出家の高橋奏さんの挨拶があり、20回の演目「ハムレット」について、面白おかしく、でも真剣に解説していました。高橋さんはこの後、セクション紹介のときにも説明に立ったのですが、面白かったのは、演劇が全くの未経験という人もいることを意識して、「キャストとは」のような、本当に基本的なことから丁寧に説明していたところでした。ガイダンスに参加した誰ひとり、この時間を無駄にさせないとする心意気を感じました。

MSPコーディネーター・井上優教授

続いてMSPコーディネーター・井上優教授からもお言葉があり、第20回の長期スパンを「フルマラソン」と例え、一緒に走り切ってくれるメンバーを募集する旨を熱く訴えておられました。そして、前回のインタビュー時と同様に、節目とは言え、この「第20回公演を特別視はしない」と、今回をしっかりとやりきって21回につなげたいと、改めて強調されていました。

監修・西沢栄治さん

また、演出の監修は昨年に続き、JAM SESSIONの西沢栄治さんが担当。
ご本人の作品演出だけでも相当大忙しのはずですが、MSPに対してもとても親身に、演出家に寄り添っておられる姿を昨年も拝見していたので、こちらまで勝手に安心してしまいました。

続いて、再度、宮嵜プロデューサーから「MSPとは」の説明があり、さらには今年の全体スケジュールが発表されました。
節目ということもあって、昨年よりもイベントが多いところが今年のMSPの特徴です。11月の本公演以外に、9月には昨年同様「ラボ公演」があり、さらに明治大学博物館にて『明治大学シェイクスピアプロジェクト 20年の軌跡』という展示が約1か月半も開催されます。また、その展示の関連イベントとして、30分ほどのミュージカル公演も上演されることが決まっています!

さらにさらに、来年の5月の予定まで決まっており、大学の付属高校である、明治大学付属中野八王子高校の40周年記念公演も、今回のメンバーによって上演されることになっています。例年よりもかなり長期間にわたるMSP活動が予定されているのです。

メンバーは、ガイダンス後にエントリーをすることで、正式な参加が決まります。この盛りだくさんのイベントの予告に、昨年参加していたメンバーたちも驚いていたようでした。新入生もおそらくその規模の大きさに、改めてびっくりしたことでしょう。

楽器隊 チーフ・西田有希さん

その後は、各セクションのチーフから、各々のセクションの仕事内容、そのセクションならではの特徴や魅力について、またどのような人材を求めているかなど、個性豊かに紹介していきます。
どの紹介も楽しかったですが、特に印象深かったのは、楽器隊の紹介。本番近くなると稽古時間が増えることがわかっているので、チーフの西田有希さんは、明治大学の学祭である「明大祭」との「両立は不可能です!」と言い切っていました。大学生になったなら、きっと学祭も楽しみの一つだったでしょう。日程が近くなってから経験できないとわかるより、最初に明言しておいた方がいいと判断したのだと思います。ここにも後輩への温かな心遣いが感じられました。

コラプターズ チーフ・師岡千恵さん

すでに活動を始めている戯曲翻訳のチーム「コラプターズ」のチーフ・師岡千恵さんからは、どのようにして翻訳を進めているのかが説明されました。そしてこの後、本格的に芝居のクライマックスシーンの翻訳が始まり、そこに携われることの面白さを熱っぽく語っていました。稽古開始前には、仕事を終えてなくてはいけないので、コラプターズの活動はもう2月から始まっています。一度オンラインで行われている検討会の様子を拝見したのですが、とても丁寧に、一セリフずつ、下訳をベースに今の学生の言葉に直していくという作業に取り組んでいました。語学の授業としてもかなりハイレベルなものに感じたので、たとえシェイクスピアに興味がなくても、スキルアップできるセクションと言えるでしょう。

一セリフずつ、原文、下訳を元に、現代の学生の言葉に直していくのがコラプターズの仕事

キャスト・楽器隊志望者には、この先にオーディションがあるため、その説明もありました。ワークショップ形式のオーディションが計画されていて、ここでも、演出家の本気度を感じました。この日のガイダンスの最後に、キャスト希望者は写真撮影があったのですが、すでに長蛇の列ができていました。オーディションはかなり熾烈な争いになることでしょう。
楽器隊希望者には、さらに動画オーディションがあるようで、そのアップ方法も解説されていました。今どきの学生さんらしいと、ただただ感心するばかりですが、一方で、動画の方が自分の納得いくパフォーマンスで応募できるから、という愛のある理由もあり、微笑ましかったです。

一通りのセクション紹介や事務的な説明が終わると、最後にもう一度、井上先生からのお話しがあり、「MSPは楽しい、でもときに“辛い”し“厳しい”。ただ、ここでの体験は、他の学生演劇では絶対に経験できないもの」と、力強く仰っていました。
真摯に“いい作品”を作ろうと向き合うからこそ、当然のように、他者との摩擦、個々の苦悩も経験することになります。逆に言えば、それを学生のうちにしっかりと経験できることは、人生においてとても価値あることなのだと、昨年、本番を終えたメンバーの皆さんの晴れやかな表情を思い出して強く感じました。

現状、プロデューサー、演出家、各セクションのチーフと、コラプターズの初期メンバーしかいないこの座組。これからどんな顔ぶれが集まり、どんな『ハムレット』を作り上げてくれるのか、次の取材が楽しみになる、有意義で、希望と期待しかない「ガイダンス」でした。

第20回明治大学シェイクスピアプロジェクト
『ハムレット』

公演日程:2023年11月上旬(予定)
公演場所:明治大学駿河台キャンパスアカデミーコモン
3階アカデミーホール
全公演無料

各セクションの紹介はブログでも!https://ameblo.jp/msp-meiji/

▼ユニコ・プロジェクトの記事はこちら▼

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