見出し画像

丘田ミイ子の【ここでしか書けない、演劇のお話】⑤ 子どもとの観劇、何をどう選ぶ?―2023年完全版(丘田調べ)―

みなさん、お元気ですか?インフルも猛威をふるう今日この頃、とにかくみなさん元気で過ごせますように!というのも……私はまんまと長男からインフルエンザのお土産を受け取り、数日撃沈。ウイルスに限らず子どもは本当に様々なものを持ち帰り、手渡して来るものです。道端の花、公園のどんぐりに大奮発の松ぼっくり、動物の形に似た石、上手にかけた絵をくれる日もあります。そして、何より形のないものも。それは言葉や言葉になる前の何かであったりするのですが、その温もりに思わず涙したり、鋭さに背中を冷やしたり、煌めきにたまらず嫉妬を覚える時もあるくらい。
「子どもってどうして鏡文字書くんだろう」とひとりごちた私に9歳の娘が「目は鏡だからだよ」と言ったとき。みんなが笑っている映画のポスターを指差して「きもちのなかでは泣いているのにね」と5歳の息子が言ったとき。
「かーくんはいきているからさ、いつもあたまでいろんなことをおもうんだよ」
演劇を観た帰り道にそう言われたこともありました。今日はそんな子どもたちとこの1年一緒に観た/観たかった、そしてこれから観たい演劇についてお話していきたいと思います。

と言っても、子ども向けの演劇や親子演劇のみを紹介するわけではありません!
おもちゃや本には往々にして対象年齢が表記されていますよね。映画にも映倫が設けた指定があります。だけど、演劇には「未就学児入場不可」とは書いてあっても、内容における対象年齢が明記されていることはほとんどありません。全面的に親子/子ども演劇として打ち出している作品や料金設定があることなどからなんとなく「子どもも観られるのね」と察して観に行く。そんなところが現状ではないでしょうか。しかしながら、そうではない作品からも子どもは大人の想像以上のことを受け取ったりもしていて、その想像力や感性に大人の方が新たな発見をもらうこともあります。本記事ではそんな「子ども向けではないかもしれないけど、子どもと観てよかった」「いいかもしれない」と感じる作品についても触れたいと思います。お笑いからアングラ、文学からポップカルチャーまで幅広く。あくまで私の感覚と我が子の一例ですが、「へえ、そんなことがあったのね」としばしお付き合いいただけたら…。では、2023年完全版のつもりでドドッと行きますよ!


9歳(小学4年生)と観た作品

1. 「笑い」を堪能するテアトロコント

小4の娘は、年度を言えば、その年のM-1決勝コンビと優勝コンビを挙げられる程お笑いに夢中。そんな娘と観に行って大正解だったのがテアトロコント。きっかけは東京にこにこちゃんの公演を観に行って、そのハッピーな喜劇世界がたちまち大好きになったこと。そんな東京にこにこちゃんが出場するテアトロコントを「私も行く!」と自己申告してきたというわけです。テアトロコントは30分のショーケース形式で演劇とコントが一緒に楽しめる企画。このコンパクトさとバリエーションは子どもにも見やすいようで、「おもしろい人がいっぱい…!」と大興奮。東京にこにこちゃん以外に知っているコンビがいなかったことから、観る前は「知らない芸人さんだ」と言っていたのですが、今では有○の壁や○曜日のダウンタウンを見る度に「サスペンダーズ出てほしい」「ネギゴリラは?」とバラエティのキャスティングに物申すほど……(笑)。もちろん楽しみにしていた東京にこにこちゃん新作も堪能。中でも娘はナカゴーの髙畑遊さんが大好きなようで、「私も大好き!」と盛り上がったりしました。

2. まさか、まさかのアングラ芝居?!

娘には東京にこにこちゃんの他に追いかけている劇団がもう一つあります。それは、元祖にして現役のテント芝居、まさかの劇団唐組。「紅テントに子ども?!」そんな驚きの声を実際にかけられたりもしたのですが、人間の心臓から水が吹き出してきたり、口の中から長い糸が引っ張られていく突飛な景色や、舞台が外の世界に明け渡されていく衝撃のラストは好奇心旺盛な子どもにとっても圧倒的劇体験となったようでした。最初は父親の出演がきっかけだったので、次回公演はどうだろうと思っていたところ、自ら「観たい!」と挙手。初回で桟敷席の特質を心得たようで、myクッション&ブランケット持参の玄人顔負けフル装備で向かいました(笑)。「今回もむずかしくてわからなかったけど面白かったー!」と素直な感想もこぼしつつ、「あのシーンどうなってたの?」「あの人はどこに行ったの?」と想像は広がるばかり。理解や説明ができるかどうか。正解のない演劇において、そんなことはあんまり重要ではないのかも。職業柄つい何でも言葉に換えてしまう私にとっても、娘とのテント芝居観劇は貴重な体験に。翌日ピザを食べている時に口から伸びたチーズを見て「ほら!糸女郎!」と言った時には流石に笑ってしまったけれど(笑)。今は春公演の演目発表を一緒に心待ちにしています。

3.商業作品から得るカルチャーの魅力

ガラリと毛色は変わって商業エンタメ作品からも一つ。10月に上演された『あの夜であえたら』も娘にとっては刺激的な体験になったようでした。なんと言っても、東京国際フォーラムでの上演というスケールの大きさと映像を駆使したオンタイムの演出、ペンライトを振る、という観客参加型の要素も娘を惹きつけた魅力だったようです。『あの夜であえたら』はラジオ番組が舞台の物語で、これまで親しみがなかったラジオというカルチャーに新たに興味を持つきっかけにもなりました。小4ともなると、物語も大筋は追えるようになって、お仕事ドラマではあれども多くの登場人物の中から誰かの気持ちに感情移入したり、誰かの行動に疑問を抱いたりもしていて、それもまた大切な体験だったような気がしています。プロデューサーの佐久間宣行さんの出演シーンで会場がドッと沸いたことで「どうやらこの人は人気者らしい」と感じ取ったというのも興味深く。「あなたがサブスクで見ているあのお笑い番組を作っている人だよ」と教えたら、帰り際にパネルを指差して「佐久間さんだよ!」と。インプットとアウトプットの早さにも驚きを感じた観劇でした(笑)。

4.同世代の友人と観た演劇体験

この秋には学校の課外授業でも観劇に出かけた娘。座・高円寺で観た『フランドン農学校の豚〜注文の多いオマケ付き〜』について興奮気味に話してくれました。端的に言うと、「王の発令によって飼育していた豚が屠殺されるまでのお話」。対象の家畜に死亡承諾書を取らなければならない、というなかなか重く残酷なストーリーなのですが、「怖かったけど、面白かったね」とクラスメイトと盛り上がったとのこと。『注文の多い料理店』もよくよく考えたら怖いお話だと思うのですが、子どもって結構怖いお話が好きだなあと感じたりもします。大人の方が食らうこともしばしばで、それは子どもが時折無邪気にも残酷な言動をとることと近しい何かがあって、リミテッドな子どもの素直さや心の成長過程を興味深くも思ったり。同じ歳の友人と演劇を観られたことも嬉しかった様子で、「(俳優が)大人なのに子どもになるのすごいよね」という子もいれば、「(登場人物が)子どもなのに<死亡承諾書>なんて難しい言葉言ってるのちょっとおかしいよね」という子もいたのだとか。そんな子どもたちの視点の多様さにも刺激を受けました。

他にも、明日のアー(現:アー)の怒涛のコント数十連発に圧倒されながら大笑いをしたり、ポリスで躍動するコメディエンヌたちの魅力に夢中になったり。かと思ったら、スヌーヌー『モスクワの海』を息をのんで見つめたり、ロロ『BGM』からの帰り道にその物語の出発点でもあり、娘の誕生日でもある3月11日に起きた地震のことを改めて話したり。いろんな観劇がありました。これからもなるべく劇場の敷居は低く、いろんな演劇に触れてくれたらと思います。

5歳(保育園年中)と観た作品

小学生の娘と違ってまだまだハードルが高いのが、5歳の息子と観る演劇。それでも、息子もまたはっきりと「えんげきがすき」と言うので、小さい頃から劇場に行ったことが「好き」を見つける一つのきっかけになったのだと思うと、親としては嬉しいものです。そんな息子と観た演劇についても少しお話をさせていただきますね。

1.はじめての「たのしかった!」

まず、息子が明確に初めて「たのしかった!」と言った観劇エピソードから。それは昨年5月に遡るのですが、こまばアゴラ劇場で観た、ひとごと。『はなれながら、そだってく。』という公演でした。小さな出来事が数珠繋ぎとなって一つの物語になっているこの演劇から、言葉もまた覚束ない息子が何を感じ取ったのか。その本当のところは私もわからずにいます。でも、あの時のセリフや歌を数日経っても繰り返す息子の姿を見る限り、その小さな頭や心に響く何かがあったこと。それだけは確かなことのように思って、言葉が言葉になる前の年頃にかけがえのない時間を共に過ごしたのだと実感をするのでした。劇場の中に建てられた小さなテントの中で体を寄せ合ってお芝居が観られたことも子どもの緊張を和らげ、「ここで何が起きるのだろう」という高揚を高める効果になっていたように思います。何より、私自身が今もなおその演劇のことが忘れられなくて、自分や子どもの靴紐を結ぶ度に、あの演劇の中にあった“くつひもの歌”を思い出してしまうのです。子どもと観る演劇として打ち出されている演劇が大人にとっても重要な体験になり得ること。だからこそ、演劇において対象年齢というものはある意味ではないということ(もちろん、刺激的な内容などから不向きなものはありますが、そういったものを除いて)。そんなことを改めて感じた観劇でもありました。当時執筆したレビューも合わせてご覧いただけたら!

2.子どもが演じる演劇やその感想から得られる何か

毎シーズン親子揃って夢中で観ているのが、俳優・岩本えりさんが演出を務める練馬児童劇団の発表会。子どもの声や表情の豊かさ、迸るエネルギーに「ここでしか観られないものがある」と痛感します。9月に上演された演目は『オズの魔法使い』。竜巻でオズ王国に飛ばされた主人公のドロシーは、北の魔女からかつて東の魔女が履いていた魔法の銀の靴を授けられます。家に帰る唯一の手がかりであるオズの魔法使いに会うべく旅に出たドロシーが道中出会ったのは、脳みそのないカカシ、心のないブリキの木こり、勇気のないライオン。考える頭、感じる心、そのどちらとも言える勇気を一緒に探すのです。この「〜がない〇〇」というキャラクターたちに息子は心を持って行かれたようで、「脳みそは頭だけど心はどこにあるの?」「勇気はだれにもらうの?」と逸る気持ちで展開を見つめていました。冒頭に書いた「かーくんはいきているからさ、いつもあたまでいろんなことをおもうんだよ」と言われたのはこの演劇を観た後のこと。息子の言う「あたま」はきっと「こころ」でもあって、あらゆることをこの身体のいろんな場所で感じているのだと胸が熱くなりました。「そうだね、ママも心で考えることも、頭で思うこともあるよ」と言ったら、「むずかしい!」と言われ、帰りに車のナビがおかしくなって道に迷ってしまって「東京ばかばかしい!」という謎名言が飛び出したのもこの時。ドロシーじゃないけれど、家に無事帰れてよかったね!

3.「今日のえんげきはどんなお話?」

「ゾウの話みたい」
「どっちの?」
PANCETTA『ゾウ』に行く前に交わした会話です。息子が「ゾウ」という音から「象」と「像」を同時に“想像”したことにまずびっくり。未就学OK回で開演は11時、席は最前列で。俳優が組体操のように身体を重ね合わせて一匹のサーカスの象となって現れた瞬間から、息子はもうその世界に没入。思わず漏れ出た「うわあ…!」という感嘆が興奮を物語っていました。豊かな音楽が生演奏で挿入されたり、影絵を使った演出があったりと子どもの耳目を集める仕掛けも多く、最後まで全く飽きずに観ました。息子との会話にあったように、それはゾウと、象と、像のお話でした。それから、他者や世界を “想像すること”についての。今、そのことは大人にも子どもにも必要なことのように思います。観劇後に街でポスターを見つけた息子は興奮気味に「ほらここ!」とイラストの像を指差していました。その後寄った串カツ田中では奇しくもガチャポンで象のマスコットが当選し、それを見せながら店員さんに演劇の説明。余韻を過ごす時間もまた楽しい観劇でした。「ぞ〜うさんがふみだした〜」と、今でも何かにつけて劇中歌を口ずさんでいます。

他にもパショナリーアパショナーリア『かぞくららばい』で「あの人、ママみたい」と物語の家族と自分の家族をふと重ねる姿に成長を感じたり、KAATキッズ・プログラム『さいごの1つ前』で「うつくしいおんがくがながれつづけてたね」というたった一言の感想にこちらが何かを知らされた気持ちになったり。子どもが見つめるもの、受け取るものの底知れなさを痛感します。小学生まであと1年、感性のやわらかいこの時期を大切にしつつ、息子にもまた追いたい演劇や劇団との出会いがあるといいなと思います。

再演があるなら、次は子どもと観てみたい!

対象年齢が明記されていないことから、ひとまず一人で観た演劇の中でも「これは子どもと観てもよかったかも!」「子どもの感想を聞いてみたい」と思った作品もあります。演劇には再演という素敵なシステムもあるので、あくまで私感ではありますが、こちらも一言コメントとともに列挙させてもらいますね。今度の参考の一つになれば…!

1.タカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』(作・演出:高羽彩)
起きてしまったことを変えられないとしても、今から起きる何かはきっと少しずつ変えられる。タイムスリップという仕掛けの中で、歴史や過去について知る一つの手がかりにもなりそう。人と自分の特技や才能を比べてしまったり、これから先の進路に迷う年頃になって出会うのもまたいいかもしれません。

2.EPOCH MAN『我ら宇宙の塵』(作・演出:小沢道成)
私たちはみんな世界にとっては塵のようにちっぽけで、それでいて、誰かにとっては一番星のように特別で。子どもが思春期になって、自分のことや近しい誰かのことがわからなくなった時、家を飛び出して向かった先が劇場だったとして。その時にこの演劇がやっていたらな。この星が見えたらな。そんな作品です。

3.やみ・あがりシアター『濫吹』(作・演出:笠浦静佳)
中国の古事成語と「通学路の旗振り」というPTA活動を通して見えてくる人間関係。多数のコミュニティを巡る話でありながら、それらが実は1対1の重なりであること。そんなことに気づける作品です。社会の中でそこはかとなく感じる所属感や疎外感。それはきっと学校でも、子どもでも起こりうることだから。

4.かまどキッチン『燦燦SUN讃讃讃讃』(作・演出:児玉健吾)
子どもって、お気に入りの服には常軌を逸した愛着心を抱くんですよね。「明日も明後日も夏も冬もこれ着る!」なんてことも日常茶飯事。『トイ・ストーリー』のお洋服バージョンというといささかPOP過ぎるかもしれませんが、クローゼットの中で巻き起こるお洋服たちのアレコレは子どもも面白く観られるかも。

5.ザ・プレイボーイズ『ハロー、妖怪探偵社』(作・演出:善雄善雄)
妖怪×探偵。これはもうタイトルの時点で子どもの食いつきの良さが予想されます(笑)。個性豊かなキャラクターやハートフルな物語も含めて、子どもが受け取るものもあるんじゃないかなと。多様性の時代とはいえ、異質を排する風潮はまだまだ根深い。だけど、人と違うことや他者の個性をこんな風に思えたら、きっと未来は少し明るい。

―ちょっぴり番外編として―

東京演劇道場『ワーク・イン・プログレス/Dojo WIP』
藤井千帆/鈴木麻美企画『淋しいおさかな』

別役実の童話作品を演劇化した作品で、ある女の子が遠い海にいる“淋しいおさかな”に会うために旅に出るお話。それは「感情」に出会う旅でもありました。ある絵本を読んで、「なんでかわからないけど雨がでちゃう」と娘が目を押さえていたのはもう随分前のことだけど、その頃の娘に見せてあげたいと思いました。「小さいものが大きいものになるかもしれない過程」というキャッチコピーがまた、奇しくも子どもの感性に言えることでもあるようで。試作なので、いつか本公演のチャンスがあるかもと楽しみにしています。

12月〜1月の上演作品と開催ワークショップもcheck!

ここまでは過去の経験や観劇の記録を元にお話をしてきましたが、最後にこれから上演&開催予定の気になる作品やWSについてお話します。ここでは、主に子どもの観客を想定した作品を紹介。初めてお子さんと劇場に行く方にも届いたらいいなあと願いも込めて。公演情報の詳細については変更などもあるかと思いますので、正確な詳細は公式HPをご確認下さいませ。

1.青年団 子ども参加型演劇『サンタクロース会議』(作・演出:平田オリザ)
2023年11月30日(木)〜12月3日(日)@こまばアゴラ劇場
2023年12月10日(日)@滋賀県 長浜文化芸術会館 大ホール
対象年齢:4歳〜

「サンタさんはいるの?」今日も世界中どこかのリビングや寝室から聞こえてくる、子どもからの普遍的な問いかけに答える会議劇。全国各地で好評の参加型演劇です。子どもはもちろん、大人にとっても響く何かがあるかも。

2.人形劇団プーク『エルマーとりゅう』(脚色・演出:柴崎喜彦)
2024年1月3 日(水)〜1月5日(金)@紀伊國屋ホール
対象年齢:3歳〜

プークが全国で公演を重ねた、エルマーシリーズ待望の続編。ちなみに原作者のR・S・ガネットさんは2024年でなんと100歳に! 世界中で長く愛される名作絵本の世界がプークならではの躍動感溢れる人形劇で立ち上がります。

3.CHAiroiPLIN おどる絵本『じごくのそうべえ』(振付・構成・演出:スズキ拓郎)
2024年1月12日(金)〜1月14日(日)@こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ
対象年齢:4歳〜

たじまゆきひこ作のベストセラー落語絵本『じごくのそうべえ』が、老若男女が楽しめるパフォーマンスで登場!こわいけれど、気になる。そんな地獄が舞台のお話です。なのに、なぜだか笑ってしまう!個性豊かなダンサーと俳優が繰り広げる、可笑しみ溢れるストーリー。きっと楽しい地獄との出会い(?!)になるはず。

―ここからはちょっぴり番外編!―

4.くちびるの会 ワークショップ
2023年12月27日(水)@山吹ファクトリー
対象:子ども向け演劇表現に興味がある俳優・劇作家・演出家。演劇経験はないが子ども向け演劇に興味がある方。※定員あり

劇作家の山本タカさんが主宰を務める「くちびるの会」が考案した、子ども向けの演劇表現「紙おしばい」。2022年に創作された第三弾『こだぬききょうだいのおつかい』では全国各地を巡り、多くの子どもたちを夢中にしてきました。WSではそのテキストや小道具を使って、子ども向け演劇の創作を体験。子どもに向けた公演情報ではないけれど、その可能性をより広げるための試みも是非広く知られてほしい。そんな思いでお知らせしました。定員などの詳しい情報公式をcheck!

5.METRONZ『寝てるやつがいる!』
2024年1月24日〜28日(日)@赤坂RED/THEATER
※未就学児入場不可

こちらの作品は、おそらく子どもを想定して作られたものではないのですが、私がお笑い好きの娘と行ってみようかなと思っている作品。「眠らない身体になってしまった人たち」が特異な体質ならではの悩みや可笑しさを共有する物語。のはずが、ある出来事によって状況が一変。そこで再びこのタイトル、『寝てるやつがいる!』。芸人さんたちならではの珠玉のコメディが楽しめそう。子どもと行かずとも、大人が観に行く作品としてもチェックしていただけたら!

さてさて、今月のテーマはいかがでしたか?気になる作品やカンパニーはありましたか?
最後になりましたが、前述した通り前情報が乏しい演劇において、子どもと観られるか否かの判断はとても難しくもあります。肯定的な意味で「演劇に年齢制限はない」と感じる一方で、「対象年齢が分かる手掛かりがもう少しあれば」と悩ましく思うことがあるのも正直なところ。昨今は、大人向けの演劇でも、センシティブな題材を扱う場合や過激な表現を行うことについては事前に情報が共有されるようになってきました。そんな風に少しずつ変化していく中で、一人、二人と誰かにとって観劇の材料と機会が増えること。私は演劇がそんなものになったらいいなと願っています。大人にとっても、そして、これからを生きる子どもにとっても。

◎追伸◎
過去に私が執筆した子どもとの観劇に関するこんなレビューたちも是非今後の参考にお役立ていただけたら! それでは大人も子どももみんな風邪には気をつけつつ、今月もどうかHave a nice theatre!

連載「丘田ミイ子のここでしか書けない、演劇のお話」
▼▽過去記事はこちらから▼▽

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
丘田ミイ子/2011年よりファッション誌にてライター活動をスタート。『Zipper』『リンネル』『Lala begin』などの雑誌で主にカルチャーページを担当。出産を経た2014年より演劇の取材を本格始動、育児との両立を鑑みながら『SPICE』、『ローチケ演劇宣言!』などで執筆。近年は小説やエッセイの寄稿も行い、直近の掲載作に私小説『茶碗一杯の嘘』(『USO vol.2』収録)、『母と雀』(文芸思潮第16回エッセイ賞優秀賞受賞作)などがある。2022年5月より1年間、『演劇最強論-ing』内レビュー連載<先月の一本>で劇評を更新。CoRich舞台芸術まつり!2023春審査員。

Twitter:https://twitter.com/miikixnecomi
note: https://note.com/miicookada_miiki/n/n22179937c627


▽舞台公演や映画のチラシが、無料でご自宅に届きます!▽

17,100名の舞台・美術ファンにお届け中!「おちらしさん」への会員登録もお待ちしています! おちらしさんとは⇒https://note.com/nevula_prise/n/n4ed071575525