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人を褒めることの裏返し
新入社員研修が終わった。
様々な場所を見学し、色々な話を聞き、多くのグループワークを行った。
そのなかで同期に何度も言われたことがある。
「〇〇(わたし)は人を褒めるのが上手だね」
「〇〇は人の良いところをたくさん見つけてくれるね」
なかなか新鮮な体験だった。
学生時代にそんなことを言われたことはなかったからだ。
別に、同期の良いところを見つけようと思って探していたわけではない。自然と目に入った誰かの長所を口に出していただけなのだ。
大学時代は、寮で共同生活をしていた。
周りにたくさんの同世代がいたが、誰かの長所を褒めることなどなかった。
なぜこうなったのだろうか。
研修の数か月間ぼんやりと考え「同期に特に期待していなかったから」なのではないだろうかと自分なりの答えに辿り着いた。
期待していないというか、他人と自分を割り切れることに関しては私は自信がある。
「私ならこれくらい出来るけど、みんながみんなそうではないもんな~」こんなことを常日頃考えている。
このような思考だと、入社後の人間関係は私目線でマイナスからスタートする。
「まあみんなこんなもんだろ」
と生意気にも私は他人を自然と批評している。
そこから、何か良い行いを見ると無意識に加点されていく。例えば、グループワークで意見を取りまとめてくれる同期に対してだ。
その加点理由が自然と口に出る。
周りは、〇〇はよく人を褒めるね、と言ってくれる。
不思議なものだ。
今まで、人を褒めるという行為は素晴らしいものだと思っていた。だが、自分の褒めるという行為は、期待していないこと(もはや見下していると言ってもいい)の裏返しなのだ。
それでも、人の良いところが自然と口に出る。
褒め上手というキャラで私の人望も勝手に上がっていく。
なんなんだ、これは。
こんな聖人君子みたいなキャラになるつもりなんてなかった。
そんな人望を集める器の人間ではないことは自分が一番分かっている。本当はそう叫びたいが何とか抑えている。
人間関係は不思議だ。人生どうなるか分かったもんじゃない。
もう人を褒める度に、見下しているのかもしれない自分がチラつくようになってしまった。
未だに言語化できないモヤモヤが残り続ける。
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