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ザ・ストーリー・オブ・西荻窪

街が好き。
そして今までの人生の多くの時間をどこかの街で過ごしてきたので、わたしのストーリーはいつも街と一緒にある、とも言える。それくらい「わたし」(そして「わたしたち」)と「街」というのは密接に繋がっている気がする。
このシリーズでは、わたしと街のストーリーを共有していきたい。

今回は、私が昔10か月だけ住んでいた東京・西荻窪の街について。

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吉祥寺の一駅となりに、西荻窪という駅がある。
大きい街ではなく、吉祥寺にあるような商業施設もない。飲み屋街があることでちょっと有名な街。東京に出てきた最初の10ヶ月間、わたしはそんな街に住んでいた。

魅力的な個人的がたくさんある

住んでいた部屋は、駅から歩いて15分の古くて狭くて、ネズミがいる部屋だった。そんなボロ屋に住んでいたけど、わたしはこの街での生活が好きだった。

この街には、歩いて行ける距離にいい感じの飲み屋、本屋、喫茶店がたくさんあった。当時東京に出てきたばかりのわたしは、休みの日は家の周りや駅の周りをよく歩いた。街の様相が、18歳まで住んでいた大阪南部や大学時代を過ごした沖縄とはまったく違い、「これが東京かー」と思っていた。

店先のショーウィンドウが素敵
雑貨屋なんかもある

当時通っていた店はいくつかあるけれど、一番頻繁に行ってたのは、富士そばかもしれない。富士そばは、主に関東地方にある蕎麦屋のチェーンで、安い料金でそばやうどんが食べられる。わたしは本当は個人店が好きだけど、西荻窪の富士そばは他のチェーン店とはちょっと違った感じだった。

西荻窪駅の駅前の様子

当時は、夜が遅くなる仕事をしていたので、家に帰って夕飯を作る気力がない時によく富士そばへ食べに行った。たまに1日2回(昼ごはんと夜ご飯)いく日もあった。そのうち店のおばちゃんに顔を覚えられて、私がいくと蕎麦を無料で大盛りにしてくれた。「今日も遅いねー」「仕事ですからねー」「大盛りにしといたよ!」そんな会話ができる店だった。こんなチェーン店もあるのかと思った。

駅前の商店街

多くの人が、チェーン店は機械的で面白くないと思うかもしれないけど(わたしもそう思う)、そうじゃない店もある。わたしの顔を覚えてくれて、スモークトークもできたのが西荻窪の富士そばだった。今思えば、メガシティ東京に出てきたばかりのわたしに安心を与えてくれていて場所だったかもしれない。

西荻窪は飲み屋街があるので少し有名

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