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星明かりに魅入られし和歌
暁の東の空にひときわギラギラした星があると思って、国立天文台のサイトで調べたら、「金星」でした。
「等級:-4.8」……マイナス4.8!
見入られるわけです。
星を詠んだ和歌を一つ。
引き被きふしたる衣を、更けぬるほど、丑二つばかりにやと思ふほどに引き退けて、空を見上げたれば、ことに晴れて浅葱色なるに、光ことごとしき星の大きなる、むらなく出でたる、なのめならずおもしろくて、花の紙に箔をうち散らしたるによう似たり。今宵はじめて見そめたる心ちす。さきざきも星月夜見馴れたることなれど、これはをりからにや、ことなる心ちするにつけても、ただ物のみおぼゆ。
月をこそ ながめなれしか 星の夜の 深きあはれを こよひ知りぬる
意訳
衣を頭までかけて寝ていたけれど、夜が更けて、午前二時頃でしょうか……と思い、かぶっていた衣を払って、空を見上げると、ひときわ晴れて薄い藍色の空に格別に光る大きな星が一面に出ているのは、いつもの空と違って趣深い。花色、露草の花の汁で染めた紙に金箔を散らした模様によく似ている。今夜初めて見惚れた気がする。今までも星が月のように明るい夜を見てきたけれど、これは旅先という折からでしょうか、心に深く染み入ってくるようで、ただもう物思いにふけるばかり……。
月を眺めて物思いにふけることはよくしているけれど、星がさやかに輝く夜の切ない美しさは今宵初めて胸の奥で知りました。
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