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古文はウイスキー、現代語訳はハイボール、原文読みは…

古文を学んで10年。初めは苦労したけれど、原文で読めるようになって良かったと日々感じています。

古文はウイスキー

私は四十代の頃、足繫くバーに通い、10年ものや12年ものを嗜みました。シェリーカスク、スペインのワインの樽で熟成されたウイスキーが大好きでした。なが~い年月が香りとなってグラスから立ち昇る至福の時……ウイスキーの魅力が古文のそれと重なるのです。

最初は現代語訳で古文にはまっていった私。今、原文読みをしているおかげで、訳文読みの長所短所がわかってきました。

現代語訳はハイボール

シュワシュワと軽い今の言葉で割った古文。ゴクゴク飲めるハイボールのごとく、「源氏物語」でも「大鏡」でも、気軽にそのおいしさを味わえます。これはこれでもちろん良いのです。

では、原文読みはストレートなのか? というと、違いますね。

オリジナルの古文には句読点もかぎかっこもありません。一般の原文は、それらが付された分かりやすい文ですから。

原文読みはトワイスアップ

ウイスキーと同量の水を注ぐのがトワイスアップで、ウイスキーの香りを知るのに最適な飲み方とされています。仕事の後、私が家ではなくバーに帰っていた頃は、もっぱらこれで熟成の香りを堪能していました。

古文をストレートで、というのは、たとえば「源氏物語」をくずし字で読むこと。それはさすがにハードルが高いです。

程よく分かりやすい、句読点やかぎかっこ付きの原文読み。ハイボールの訳文読みと違って、古文がき込めている"永い時の匂い"も楽しめます。

古文のトワイスアップで熟成の香りに酔いしれる人が増えるといいな~。向いている人なら、3か月ほど、単語・文法・和歌を学べば、そうなれます。

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