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#31 女性特有のPMSの症状を薬に頼らず改善する方法とは?【ニューロ横丁11軒目:感情①】

 生理前にイライラしてしまったり、感情の起伏が激しくなってしまう症状を、PMS(月経前症候群)と言います。この女性特有の症状に関して、脳科学的に分かっていることは、何かあるのでしょうか?

 今回は「感情」をテーマにお話ししていきます。

女性が生涯PMSの症状に悩まされる期間は○年?

 PMS症状について、実はまだメカニズムなどはよく分かっていません。発達障害の時と同様に、症状は分かっているけれど、原因までは分かっていないという状態です。症状については、よく耳にする人も多いかもしれませんが、心理学的な症状として、気分の落ち込みが一つ挙げられます。月経前の気分の落ち込みで、自殺してしまう人もいるくらい重い症状を持っている人もいます。

 あとはイライラしてしまったり、攻撃性が強くなってしまうこと、不安、パニック発作、やる気の低下なども挙げられます。心理的症状の他にも、ニキビができてしまう皮膚の症状や、腹部膨満感といってお腹が張っている感覚、甘いものが食べたくなる胃腸の症状、頭痛などさまざまです。

 これらは、重い人もいれば軽い人もいて、大体50〜80%の女性が、このようなPMS症状を経験していると言われています。今挙げたような症状の中で、4つ以上当てはまってしまう人も、35%ほど存在していて、特に若い女性に多いと言われています。この症状を持っている人は、一生のうち7年ほどこの症状で苦しむそうです。「生理前」を生理の始まる2週間前からとすると、生理中も腹痛や食欲減退などの症状に襲われ、女性が元気でいられるのは、1ヶ月のうち1週間あるかないかくらいなのではないかと考えてしまいます。

 以前、排卵日に女性内の競争が激しい環境にいると、美人な人や周りにいる可愛い顔の人が、不細工に見えてしまうという話をしました。外部から刺激なり変化が起きて、自分の感情が変化していくというのが、一般的な感情のイメージだと思うのですが、感情の問題は、ホルモンや周期で変わりうるというのが、面白いところでもあると思います。これは女性のPMSだけではなく、男性もホルモン障害に罹ると、同様に感情の症状が出ると言われています。

PMSを改善させるさまざまな方法とは?

 PMSの改善のためにはピルや漢方が処方されることもありますが、それがなかなか体に合わないという人も多いはずです。PMSは自分自身も辛いし、感情をコントロールする問題は、対人関係の中でも影響を及ぼしてしまいます。女性の生理の周期によって、1ヶ月に1回は、カップルで大きな喧嘩をしてしまう人たちもいるのではないでしょうか。男性側も「毎月のことならコントロールしてくれ!」と、女性に思ってしまうところもあると思いますし、女性側もコントロールしたくても、そう簡単にはいかない問題であるため、お互い辛いと思います。

 では、少しでもPMSの症状を和らげてあげる方法はあるのでしょうか?一つ言われているのは、PMSは、ホルモンレベルの変動で、エストロゲンと呼ばれているホルモンが、一時的に減ったりすることで起きているのではないかというところで、ホルモン療法が存在していたりします。他には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)といって、うつ病の薬になっているものなのですが、これによってセロトニンレベルを増やすと、PMSの症状が和らぐとも言われています。あとはよく聞く話ですが、定期的な運動をすることや、ストレスになることを回避したり、特に睡眠習慣に気をつけるなどのことも大切です。運動は気分をポジティブにする効果が全体的にあるため、生理前に効くというよりは、気分に効くという効果があると思います。

 PMSは人によってはうつ病と同じくらいの症状を患ってしまう人もいるため、早く治療法が見つかって欲しいものです。ホルモン療法でしたり、うつ病と同じように認知行動療法でしたり、そのようなところが現在推奨されている治療です。ピルや漢方、市販の薬などに頼っている人もいると思いますが、薬は絶対に副作用があるもののため、今注目されているのが、副作用のない、非薬物的な治療法です。運動なども良いのですが、驚くことに、音楽療法などもエビデンスが出てきていて、音楽を聴くだけでPMSの症状が治まることがあると言われています。5年ほど前に出ているPMS向けの音楽療法では、モーツァルトやバッハなどの、クラシックを聞かせて実験をしていたそうです。人によって効果のある曲は異なるかもしれませんし、自分に合ったものを見つけられるといいですよね。好きな音楽を聴くことで、セロトニンも放出されて、快眠につながるとも言われています。

まとめ

 人間の感情は色々な変化が起きるものですが、ホルモンによって怒りやすくなったり、落ち込みやすくなったりするのが、女性特有の悩みで、大変なところでもあります。治療も、薬など提案はされてはいますが、副作用もあり、悩みが多い人もいると思います。そのような中で、薬を使わないような、音楽であったり、生活習慣であったり、ニューロテクノロジーのようなところで、感情をおさめられるような未来が待っているかもしれません。

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