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#23 夢を忘れてしまうのはどうして?睡眠の質を上げる意外な食べ物とは?【ニューロ横丁8軒目:睡眠】

 たくさん睡眠をとった日でも、次の日授業中に眠くなってしまうというような人はいませんか?起きていなければいけない状況で、眠気を覚ます方法をあれこれと試したことがある人も多いはずです。

 しかし、そもそも本当にちゃんと質の良い睡眠を取れているのかというところが問題な時もあります。本日も「睡眠」について深掘りしていきます。

睡眠妨害だけじゃない!ブルーライトの効果的な一面とは?

 良い睡眠にとって、睡眠の量と質では、どちらがより重要なのでしょうか?もちろん個人差もあるのですが、睡眠にとって絶対的な量は必要です。

 また、質というところで、しっかりと深く眠れている時間が長いかということも大事になってきます。そのため、こっちが大事!と言い切ることはできません。良い睡眠にとって悪いこともわかってきています。

 例えば、翌日に響いてしまうほど眠りにくくなるものの1つに、寝る前のブルーライトが挙げられます。網膜の中にある錐体細胞は、RGB(レッド、グリーン、ブルー)の3種類です。その中でもブルーは短波長といって、光の中でも短い波長なのですが、画面の中にも短波長が多く含まれています。

 ブルーライトを感知する細胞を、網膜神経節細胞というのですが、その細胞がブルーライトを感知すると、「朝だ!起きろ!」と脳に命令を出し、脳を覚醒させてしまいます。そのため、寝る前のブルーライトは、睡眠の質を下げてしまい、入眠を遅くしてしまうことがわかっています。サーカディアンリズムと言って、24時間の生活リズムの中で、日光などの光が人間にとってリズムの基になっているため、ブルーライトは睡眠の質に大きな影響を及ぼします。

 反対に、覚醒度を上げるためには、青い光を使うと良いため、朝起きる時に自然の光を使うことによって、起きた時の覚醒度が上がりやすいと言われています。長距離トラックのドライバーや、長い飛行時間のパイロットは、時差ボケなどを治すために、大量のブルーライトを浴びて覚醒度を上げる、ライトセラピーなども行うと言われています。そのような意味ではブルーライトは有効なのです。

 ブルーライトは悪者として見られることが多く、確かに寝る前は睡眠を妨げるものになってしまいます。しかし、ブルーライトカットを使うことは、覚醒を防いでしまうため、常に眠くなってしまうかもしれないという見方をすることもできますよね。スマホのナイトモードなどは、青の光がなくなるため、少し画面が黄色っぽくなります。このように朝と夜で使い分けていくことが必要かもしれません。

夢を見る人と見ない人の睡眠の違いは?

 睡眠の質に関連して、金縛りの仕組みについてもお話していきます。そもそも、睡眠にはステージがいくつか存在します。入眠してからノンレム睡眠のステージがどんどん深くなっていき、脳波で見てもゆったりとした1〜3Hzほどのデルタ波が出てきて、記憶の固着などが起きる段階にいきます。それが終わった後に、レム睡眠といって、眠りが浅めになっていき目が動いて夢を見る段階に入ります。金縛りはこのレム睡眠中に起こります。脳は覚醒状態に近いけれど、体は動かないから金縛りになってしまい、夢を見ている状態に近いものなのです。

 「夢も見ないくらいぐっすり寝た!」という言葉を聞いたことはありますか?しかし反対に「私は毎日夢を見るから、眠りが浅いのかな」と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。夢はレム睡眠中に見ています。そして記憶とは、人間が何かを経験するときにシナプスに残るものを指しています。起きている時は、シナプスは活動しているのですが、寝てるときは、シナプスはすぐに萎んでしまうイメージで捉えることができ、そのため夢はすぐに忘れてしまうのです。そして毎回夢を見るという人は、たまたまレム睡眠中に起きているので、夢を覚えているのです。そのため、他の人もみんな夢は見ているのですが、レム睡眠中に起きない限りは忘れてしまっているのです。そのような意味では、良い夢を見ているのであれば、夢を覚えている人は幸せなスリープサイクルだということができます。

音や食べ物で睡眠の質が変わる!?

 睡眠の質の観点でも、睡眠のステージが重要になっており、例えば、ノンレムスリープ(徐波睡眠)の時に、ゆっくりとした音を聞かせると、それを持続させられると言われています。つまり、1〜3Hzが流れている時に、それに合わせた脳波を送ってあげると、眠りを深く維持できるのです。光だけでなく、音も脳のリズムを変えて、深い睡眠を維持する手助けになることができます。

 音や光以外では、食べ物や飲み物も睡眠に影響すると言われています。アルコールの回でもお話しましたが、適度な飲酒は質の良い睡眠をもたらしますが、飲み過ぎてしまうと眠りにくくなってしまいます。

 また、メラトニンといって、時差ボケに使われる薬があるのですが、メラトニンを増やすためには牛乳が良いと言われています。さらに、夜の牛は眠いため、そのようなメラトニンが出ている牛から搾ったミルクを飲むと、よく眠れるらしいのです。夜に搾ったミルクは、昼間のミルクよりも、メラトニンの含有量が10倍ほども変わってくると言います。ほぼ薬みたいなものですよね。

 他にも、キウイやさくらんぼなどのフルーツも、睡眠の質を上げるというエビデンスが出ているようです。また、ビールの香づけに使われているホップも入眠には良いと言われています。寝る前に何を食べるか、飲むかによってぐっすり眠れるようにもなるのです。

まとめ

 睡眠の質を左右するのには、さまざまな要因があります。光では、ブルーライトが寝る前には悪影響でも、起きる時や日中眠い時には効果的です。また、音も睡眠が深い時に脳の状態を維持するのに使えたり、食べ物では、夜に搾った牛乳は昼の牛乳よりも10倍メラトニンが多いのでどのようにしたら手に入るのかはわかりませんが、よく眠れると言われています。

 未来には、より健康的に眠れるような、食べ物や飲み物を出してくれる、デバイスが出てきたら嬉しいですね。

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