見出し画像

【書籍紹介】ー 百花 ー 母と息子の、愛と記憶の物語。


認知症を患い記憶を失っていく母、
その母を見守る息子。


ある空白の1年から
どこか微妙な関係性だった親子関係が
母の認知症をきっかけに動き出す。

主人公の泉は母親の姿から
過去の母との暮らしを思い出す。



そして確固たる自分への愛を思い知る。



失われていく記憶と
忘れていた記憶が交差しては、
すれ違う過去と想い。

そんな儚くも美しい
深い親子愛の物語。




この2人がいつもお互いの名を呼び、
お互いを探し、見つけ、確かめ合う姿が
ものすごく胸を打たれました。

こんなにも絆が強いのは
母子家庭だからではなく、
おそらくだけどお互いを失いかけて
取り戻した過去の体験が大きいのかなと。


そんな風に感じました。



「失っていくということが、大人になるということなのかもしれない」


親子って、本当に複雑だと思う。

同じく母子家庭で、
自分の母は認知症ではなく
精神的な病気だった。

だから全然また
違うのかもしれないけど
何を伝えても伝わらない
あの瞬間の悔しさだったり
(きっとお互いに感じてるもの)

病気をキッカケに
普段は内側に秘めてるものが
外側にあふれ出てくる点は
似たようなものがあるのかなと
思っていて、

勝手に自分自身と重ねてしまい
想像以上に苦しい一冊でした。




母は、もういない。


過去の出来事に対して
自分がなにかに気づけたとして
なにをどうしたって
どうやってももうすべてが遅い。

だけど口下手不器用同士、
自分がこちら側でやってるみたいに
この7年間、お互い「あの時」の
答え合わせをしてるのかもしれない。

なんて考えると少し笑えてくる。
会いたいな。



と、まぁこんな感じで
感傷的になるのが苦手なので
親子愛系はあまり選ばないのですが、
大好き川村元気さんの作品だったので
今回手にとってみました。

辛い部分もあったけど、
ものすごく心に残るお話でした。

今回は Audibleで聴いたのですが
個人的には川村元気さんの作品は
文字で見たい。

なんかあのなんとも言えない
言い回しとか言葉選びをじっくり楽しみたい。


おすすめです。




そんな感じ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?