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人生リブート指南(24)人生初沼津を54歳で体験した男がソウルフードを食した話

東京・新宿から私が移住した静岡県東部の「沼津市」
私は生まれが中部の静岡市のため、「出身県なんで懐かしくて安心感があるでしょ」と言われることがありますが、いえいえ全然。
静岡県は横にやたらめったら長いので(だから「青春18きっぷ」で旅する人は、何時間も県境を越えられない「静岡エンドレス地獄」を体験します)、東部・中部・西部は文化も気質も違っていて、ほぼ「別の県」
だから「へー、こっちの人たちってこうなんだ」と新鮮な感動をする場面も多いんです。

余談ですが、静岡県はやたらと横長ですが、県庁所在地の静岡市はむやみに縦長だったりします。
駿河湾に背を向けて内陸方面にひたすら進んでいくと、やがて南アルプスに到達するんですよ!
静岡市は2003年に隣の清水市と合併して政令指定都市になり、海際からJRの線路までの「駿河区」(←私の出身はココ)、旧清水市の「清水区」、線路から南アルプスまでの「葵区」3区体制となったんですが、その面積のバランスは誰がどう見ても「変」。
どれくらい変なのか、この図でご確認ください。

静岡市

ね? 私でなくても「なんじゃこりゃ」と思うでしょ(葵区のとんがった先っちょが南アルプスです)。
葵区には市役所や県庁などの中枢機関があるんですが、フザケてんじゃないかと思うくらいに広くって、実際「政令指定都市の行政区としては日本一の面積」なんだとか。
そんなわけで駅のそばに「東急ハンズ」「伊勢丹」がある一方で、奥地には「静岡のマチュピチュ」と呼ばれる天空の里があったりして。
オーバーでなく「駅前から葵区の端っこまで行く」のと「静岡から東京まで行く」のが同レベルで、わが故郷ながら「嘘でしょ」と言いたくなります。

このような事情から、静岡県中部人は自分のテリトリーだけでお腹いっぱいなんで、東部にも西部にもあまり関心がありません。
少なくとも私の周囲の者はそうでした。
県内の有名温泉観光地である熱海伊豆には家族旅行で行ったりしますが、それ以外の東部の町にはまず足を踏み入れない。
だから、いま住んでいる沼津の土を私が生まれて始めて踏んだのは、実に54歳の時だったんです。
というか、もしも人生リブートを考えなかったら、一度も行かないまま死んでた可能性も高かった。

そんな私がファースト沼津DAYに足を運んだのが、駅前商店街の外れにある「桃屋」というお店でした。
桃屋と言っても海苔佃煮を売ってるわけじゃなくて、お惣菜店です。
惣菜だけでなくお団子などのおやつ類も売っていて、特に評判なのがコッペパンに様々な具材をはさんだサンドイッチ。
ボリュームのあるコロッケとかトンカツとかメンチカツなどがはさまっていて、それでいて値段は200円以下からある激安設定なんで学生にも人気で、ご当地出身の若手俳優・磯村勇斗さん「沼津のソウルフード」として愛してやまないんだとか(テレビで観ました)。

ここのコッペパンサンドの味付けには「ソース」「甘いたれ」の二種類があるんですが、ネイティブの方から勧められるのは圧倒的に後者ですね。
実は中部にも揚げ物を甘いたれにからめる文化があって、子供の頃には甘だれメンチをスーパーで売ってたりしました。
そのせいか「メンチカツサンド甘いたれバージョン」を食した時には、沼津に来て初めてノスタルジーを覚えたものでした。

湯河原の「坦々やきそば」の回にも書きましたが、人生リブートのため移住候補地リサーチには「ご当地メニューを味わえる」という余禄があります。
皆さんもどこかを調査した折には美味そうなものを食してみてください。
食の部分からその土地が気に入るようなことが、ひょっとしたらあるかもしれませんよ!?

画題「沼津のソウルフードは俺のソウルもシビレさせたぜ!」

桃屋


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