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外資系のSIerで鬱になった話

こんばんは。きゃべつです。
noteを書くことによって自分の考えを整理できることに気づきました。今後も赴くままに記事を書いてみたいと思います。

今回は2年半ほど外資系のSIerで働き、色々と疑問に思うところがあったので記事にしてみました。(迷走してるので読みづらい)

努力とは将来への期待説

私たちはなぜ、直ぐに成果を得られないものに努力をするのでしょうか。将来の成果への期待を持っているからだという話があります。正確には、予測した期待よりも大きな報酬の場合に学習するようですが、専門分野ではないので気になる方は「ドーパミンの報酬予測誤差」と調べてみてください。

ドーパミンの話を抜きにしても、自分の努力が将来への成果に結びつかないのであれば、努力を辞めてしまう(鬱になってしまう)のは当然の感覚だと思います。

私もSIerで2年半努力を重ねてきましたが、自分の仕事によって得られる成果を(どちらかというと社会への成果を)感じることができず退職に至りました。私が感じたSIerでの"期待との誤差"について、いくつか話をしたいと思います。

進歩しない技術、それが信頼性

「SIerに技術力を求めるのは間違っている」とよく耳にしますが、まぁまぁ落ち着けと。SIerが技術力がなくても大企業でいられるのは産業構造だけではないはず。

様々なSIを行う中小企業が出現してもなお大手SIerが衰退しないのは、これまで多くの巨大システムを構築したという"信頼"が一役買ってると感じる。実際に私が在籍していた頃、よく「社内のナレッジとしてはどうなのか?」とか「他の企業はどうしてるの?」とよく聞いた。

そんな信頼を守ろうとなのか、新しい技術を使いたがらない傾向にあると感じた。システムの信頼性を単純に「前から知ってるから安心」という考えで担保しているようだ。「馬は知ってるけど、車はよく分からないから、馬車を使う。」ようなものだ。

抽象的なことを書いてしまったが、私が専門としているクラウドで話すと、「JavaアプリのCI/CDをEC2立ててシェルスクリプトで行うよ」といった具合だ。私もアプリ分野は浅い理解で申し訳ないが、JVMによってCPUアーキテクチャ差異を吸収するにも関わらず、CodePipelineを利用しないのは正直筋が悪い。(Codeシリーズ採用について様々なポジティブ要素はあるものの長くなるので省略)

「進歩しない技術、それが信頼性」という発想(新しい技術を導入しないことにより信頼性を確保する発想)は、この技術の変化が激しい時代にそぐわないものになったのではないかと思う。その発想はもはや実績があるものを採用する安心感に甘んじて、新しい技術のキャッチアップを忌避してるように感じる。(知っている・慣れている・怖くないという生物的な反応が強いという側面もある)

ITは自ら価値を生み出すものではない

SIer在籍時に「人類の足を引っ張る仕事」のように感じた。ITというのは所詮サポート職だ。1次産業、2次産業のような地球の資源から直接人類へ価値をもたらす産業、その産業を効率化するためにITがある。別にITが発達した前からもそういった産業があったが、ITが登場したことにより効率化・省人化され、自由となった従事者は人類の新たな道を切り開く産業に入っていく。これが人類の進歩に繋がる。ITはその意味でサポートの要素が強い業界と思う。

ITによって効率化できなければ意味がない。例えば、飲食店での注文を全てデジタル化しても、高齢者の多い地域であればかえって店員の説明時間が増えてしまう。その一方、サイゼリアのように紙に記入する方式をとれば、全年代で注文の効率化を行えるようなこともある。そういった意味でITの成果は"効率化度合"で計られる。

私の2年半担当したプロジェクトでは、システムを作るのにかかる業務量に対して、減るであろう業務量は少なく感じた。何百人規模のエンジニアを雇い、何百億掛けて、数年掛けて、たった数万人のサービス利用者に提供する。システムを作るエンジニアのほうが利用者よりも多い状況である。また、SIerであるから製品の再販にインセンティブがあるのは分かるが、高いIT製品を売りつけて運用を複雑化してしまえば、全く人類の成長に貢献していない。(むしろ足を引っ張る仕事だ。)

「効率化できない」ということは、IT化した前より後のほうが、業務に割く人員が増えているということだ。本当であれば省人化すれば、余った人材を先進的な分野に投入できるはずが、今までの業務に同数の人員を割当ててスタックされてしまう。それでは人類は全く同じことをやるリソースしかない。(出生率が2.0の越えていれば問題ないが、)そんなことを在籍時に感じてしまったのが終わりの始まりでした。

変更容易性を損なうインセンティブ

SIerには販売した商品によってインセンティブが貰えるものがあるようです。そのようなインセンティブがあっては、システムはより複雑化・高機能化させる流れになります。
納品後には「なぜこの製品がここに使われてるのか」「この製品マイナーすぎて保守が難しい」とかそんな事言われるだろうと想像します。

売りたい製品ベースでクライアントの依頼を実現するとすれば、様々な製品を組み合わせる必要があります。これで保守が非常に困難なシステムが出来上がりました。保守容易できなければトラブル解決に時間がかかり、信頼性もここで損なわれます。

これは皮肉ですが、SIerが製品を売るとき「紙」にインセンティブをつけるのはどうでしょうか。サイゼリアの注文は紙によって圧倒的に効率化されました。ITでしか考えられないSIerに、他の効率化の選択肢は考えられないのですから。そこら辺はコンサルの守備範囲なのでしょうか。私は自分たちの売上を上げるために、お客様の効率化を損なうようなSIerは恥じるべきだと思う。そんな2年半でした。

あとがき

長々と書きましたが、一旦ここまでで切ろうと思います。IT業界の人類へのさらなる貢献を望んでます。(いいねしてくれると励みになります!)

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