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オカルト理論ならばあがれた【Мトーナメント】

 雀友との対局でこんなことがありました。

 4試合目の南4局。持ち点は東家・31600、西家・27400、北家・27200、南家(私)・13800。

 私はオーラスを迎え、1人沈みのラス目です。けれども、跳満ツモでトップを獲得できます。

 跳満ツモを狙うときに強い味方となるのがチートイツです。ドラを2枚持っていれば、リーチしてツモれば3000、6000になります。

 もってこいの手が入りました。配牌からドラがトイツで5巡目に8筒を重ねた手牌。西と北のどちらの単騎待ちで聴牌に取るかの選択です。

 黙聴でチートイツ・ドラ2の6400点を出あがりしても、2000、4000をツモってもラスのまま終了です。当然リーチしようと決めていました。

 場に西は西家が1枚、北は北家が1枚切っていました。見た目ではどちらも2枚ずつ残っています。

 CMで数えられないくらい何度も見たことが目に浮かびました。

 皆さんご存知のKADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎プロがTEAM雷電・黒沢咲プロの西単騎待ちの四暗刻に放銃する場面です。

 さらに、「単騎は西で待て」という格言も思い出しました。

 ここはお嬢と格言にあやかろうと、西単騎待ちを選択。リーチして逆転トップを狙いました。

 これが悔しい裏目となりました。

 8巡目にツモったのが北。北単騎待ちにしていれば、3000、6000でラス目からトップに浮上していました。

 皮肉なことに最後にツモったのも北。西は最後まで姿を見せません。

 この一局は私の1人聴牌で流局。4位のまま試合を終えました。

 悔しかったので確認したところ、西は2枚とも王牌に眠っていました。

 すると、トップを取った雀友からこんな一言が寄せられました。

 「なぜ今日のラッキー牌になっている北の単騎待ちにしなかったの?」

 この雀友はチートイツが得意で、Мリーグの解説でおなじみの土田浩翔プロの大ファン。なかなか強い打ち手です。

 「うれチーピン(7筒)であがれる日」「シャンポン待ちの日」など本家のような「オカルト理論」をよく口にするので、「コウショウの弟子」と呼んでいます。

 コウショウの弟子が北単騎待ちにすべきだった理由について説明します。

「2試合目の南2局に九萬・北のシャンポン待ちで北を一発でツモっているでしょう。今日は北であがれる日なのにもったいないことしたね」と、傷口に塩を塗ります。

 「いつものオカルトだ」と思いながらも、北単騎待ちにしていたら勝っていたので反論しませんでした。

 そのコウショウの弟子が昨日、嬉しそうに連絡してきました。

 「河野(高志)さんの手、自分だったら一発ツモだったよ」

 コウショウの弟子はМトーナメント2023の見逃した試合を順番に追っかけ視聴しているそうです。

 そこで、気になったのが2023年7月3日(月)のМトーナメント2023の予選2ndステージA卓。RMU・河野高志プロが惜しくも決勝トーナメント進出を逃した試合です。

 河野プロは第2試合の南2局1本場でカンチャンとシャンポンの待ちの選択でカンチャンに決めたのが裏目となり、一発ツモを逃して放銃。これが敗因となりました。

 予選2ndステージA卓は日本プロ麻雀連盟・山脇千文美プロ、最高位戦日本プロ麻雀協会・醍醐大プロ、最高位戦日本プロ麻雀協会・坂本大志プロ、RMU・河野高志プロが対戦しました。

 2戦の総合ポイント上位2人が勝ち上がります。

 第1試合の結果は坂本61.3、山脇10.0、河野-16.8、醍醐-55.0。

 第2試合は山脇プロ、河野プロ、坂本プロ、醍醐プロの並び順。

 河野プロは南2局、6000オールのあがりを決めました。

 9巡目に3筒・3索のシャンポン待ちでリーチ。

 河野プロは10巡目に一発で3索をツモ。裏ドラが1枚乗り、リーチ・一発・ツモ・ドラ2・赤ドラ1・裏ドラ1の6000オールです。

 続く南2局1本場。持ち点は北家・山脇29200、東家・河野28200、南家・坂本27800、西家・醍醐14800です。

 起死回生の一撃を決めた河野プロ。ここでもう一つあがって山脇プロを逆転してトップ目に立てば、勝ち上がりにぐっと近づきます。

 河野プロが9巡目に二萬をツモった手牌です。

 河野プロはドラ2枚、赤ドラ1枚を持つ勝負手。

 3筒を切れば、カンチャンの2筒待ちです。

 1筒を切れば、七萬・3筒のシャンポン待ちです。

 場に1筒が2枚、2筒が1枚切られていました。一方、七萬と3筒は1枚も出ていません。

 河野プロの手牌には3筒が2枚あります。他家が2筒を使っている可能性は低そうで、ツモっても活用しにくいです。

 河野プロは2筒のほうが「景色が良い」と判断。カンチャンの2筒待ちでリーチしました。

 2筒は山に1枚残っていました。七萬と3筒は山に3筒が1枚だけありました。

 河野プロの選択は痛恨の裏目となりました。

 10巡目にツモったのがラス牌の3筒。もし、シャンポン待ちにしていたら、リーチ・一発・ツモ・ドラ2・赤ドラ1の6000オール(+300)をあがっていました。

 これを決めていたら、河野プロは決勝トーナメントに進出していたと思います。

 河野プロは一発ツモを逃しただけでなく、17巡目にドラの6筒をツモ切り、黙聴の坂本プロに満貫を放銃しました。

 坂本プロはタンヤオ・ピンフ・ドラ1・赤ドラ1の8000点(+1300)です。

 河野プロにとって悪夢の一局となりました。

 河野プロの手牌だったら確かにカンチャンの2筒待ちのほうが、七萬・3筒待ちよりもよく見えました。全く自然な選択だったと思います。

 ところが、この一局を視聴したコウショウの弟子は「シャンポン待ちの一択」と強調します。

 「河野さんは前局に3筒・3索のシャンポン待ちで一発ツモを決めていた。今回も七萬・3筒のシャンポン待ちに取れる。自分だったらラッキー牌の3筒が絡むシャンポン待ちを選ぶ」と興奮気味に語りました。

 さらに、「前局も9巡目に聴牌して一発ツモだった。この局もまた9巡目に聴牌したのだから同じようにシャンポン待ちにしたい」と力説しました。

 河野プロが試合後のインタビューで触れていたように、前局からの流れにこだわる打ち手だったら、コウショウの弟子と同じようにシャンポン待ちを選ぶかもしれません。

 それでも、これは全くのオカルト理論。河野プロは指運に恵まれなかっただけです。

 ただ、私のチートイツの手のようにどちらで待っても場況の条件が同じならば、オカルト理論に委ねてみるのも面白いのではないかと思うようになりました。

 ただし、コウショウの弟子の強さの秘訣はオカルト理論ではなく、対戦相手が2試合前にあがった牌姿をしっかりと覚えているその優れた記憶力にあると確信しています。

 

 

 

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