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少子化が止まらぬ理由を考えた(5)〜子育てを任せることへの風当たり…ホントは「母」がやるべきなのに!?~

 母親が子供の面倒を誰かに任せるということ、特に男性が育児、家事に関わること、また保育園に子どもをあずけながら女性が働くこと、について、年齢にも環境にも地域にもよるのだが、本当に世の中のアレルギーというか、風当たりは、いまだにキツいと思う。

 育児や家事に取り組みたい男性は、実際はそれなりにたくさんいると思うのだけど、恐らくは企業や国などの偉い人たちの中には、あまりにも子育てにかかわった男性が少ないせいか、日本の世ではそういう男性はほとんどいないことになっているような雰囲気がある。

 また、自分の場合は、保育園に通ったことがなかったので、保育園がどういうシステムなのかよくわからず、何やら通わせてよいのだろうかと、とても不安でもあった。今なら保育園および保育士の方々の存在にどれほど助けられたかと思うし、母親が働いていなくても、安価で安心して預けられる保育園に希望者全員があずけられたら絶対にいいのに、と思うのだが、それまでは自分は少し、保育園や誰かに任せることに対する、偏見があったと思う。その偏見のもとには、子育ての大変さがまるでわかっていなかったこと、母親および義理の母親が主婦だったことがあった。「そんな小さい時期から預けるなんて、子供がかわいそう。仕事なんて、そんなのさっさとやめなさい」的な声が、外からも自分の内側からも日常的に放たれて、とてもつらい状況に陥った。

 子供を産んだ直後、自由に動けない状況で家にいて、都内での保育園のポイント制の厳しさを知れば知るほど、共働きでも預けられない可能性が高いと知ったときの不安は、それはそれはすさまじいものがあった。仕事が好きでもないが、保育園に入れないことを理由に、これまで耐えてきた仕事を辞めるのも、嫌なのだった。仕事が好きだったら、どれほど辛いだろうか、と思った。子供と2人で過ごす日々は自分にとってはかなり辛く、家で子供を見て主婦になることは、絶対に、ずぇっったいに!(80年代漫画の表現風)自分には合わないという実感もあった。しかし、仕事に復帰した後、安心して復帰できるような環境ではないことも、これまでの経験からリアルに想像できた。いろいろあって母親には頼れないから、保育園にあずけなければ身が持たなさそうなのに、家の近くの保育園は人気で、どう考えても入れない。保育園がとてつもなく遠いところや、あまり環境がよくない園になるかもしれない。あずけずに仕事を辞めたらこれまでの苦労がフイになる…どっち方向を向いても、全方位的に辛すぎた。しかも、その悩みを抱えているときは最も子供との対峙が大変で、過去の辛い記憶オンパレード、さらに脳内によくわからない子育て物質が出ていて、子供のことが心配で心配でたまらない、心配過ぎて震える時期でもあったうえに、おいそれと自由になれない時期なのだった(と言いつつ自分の場合は子供を夫に任せて、相当自由な時間をもらっていた方だったとは思う…)。

 当時、あまりの辛さに、ダークサイドに飲み込まれ、コーホー・コーホーと呼吸をして、先端の部分が光る棒でチャンバラ風に戦いながら、思わず惑星を爆発させてしまいそうなほどのストレスフルな時期が、確かにあった…はずなのだが、今こうして思い出そうとしても、その頃の記憶というのは、なぜかすっぽりときれいさっぱりと、抜け落ちている。

 なぜだか、子供がとても小さかった頃の記憶は、本当に、数年たった今、全然ないのだった。


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