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日産スタジアムを、食のエンタメ空間に。CDAが推し進める"スタグル革命"の舞台裏。

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横浜F・マリノス(以下F・マリノス)は2019年より、Catering&Delivery Service Association合同会社(以下CDA)とオフィシャルスポンサー契約を結び、主に日産スタジアムでの"スタグル革命"を推し進めてきた。その効果は絶大で、いまや「F・マリノスのスタグルは日本一」と自信を持って口にするサポーターも少なくない。今回はCDA代表の須谷真央さんにお話を伺い、スタグル革命の狙いとF・マリノスとの仕事にかける想いを聞いた。

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【プロフィール】須谷真央(すだに・まお)。Catering&Delivery Service Association合同会社CEO。もともとはキッチンカー業者としてJリーグの試合に出店していたが、「キッチンカー業界を変えたい」思いでCDAを創業、2シーズン前よりオフィシャルスポンサーとしてF・マリノスのスタグル事業をクラブ側から一任されている。ホームページはこちら。 Twitterアカウントはこちら。

取材日:2021年1月10日



下田:F・マリノスがCDAさんと推し進めてきたスタグル革命をTwitter上で興味深く拝見しており、このたびお声がけさせていただきました!

須谷:弊社は日産スタジアムの『トリコロールランド』『西ゲート前』に出店しているキッチンカーの選定から運営管理を行っています。本日はよろしくお願いいたします。

下田:まだお写真でしか拝見したことがないのですが、スタグルの質やサポーターによる口コミの量、またCDAさんの発信も含め、ものすごく盛り上がっている印象があります。

須谷:この2年間で売上を伸ばすことができたのは、サポーターの皆さまの口コミのおかげと言っても過言ではありません。またクラブ側のスタグルに対する理解も、スタグル革命を推し進めていく上では非常に大きなバックアップになりました。

下田:本日はCDAさんが主導しているスタグル革命についてたくさんお話伺えれば幸いです。よろしくお願いいたします!


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(本記事にて使用しているトリコロールランドのお写真は、すべて2019年3月2日に撮影したものです)


足を運び、提案を続けた
2018シーズンの苦労。


下田:まずはじめに、2018-19シーズンよりオフィシャルスポンサーとして日産スタジアムのスタグルに携わるようになった経緯を教えていただけますか?

須谷:私は横浜出身ということもあり、以前から日産スタジアムをホームとしているF・マリノスにお仕事で関わりたいと思っていました。スポンサーとして契約を結んだのは2019年1月なのですが、実際は2018年から動いていまして。ホームゲーム全試合に足を運び、様々な観点から調査をしていました。弊社がF・マリノスに関わることでどんな"革命"を起こせるか、スタグルの担当者に提案しようと思っていました。


下田:F・マリノス側からオファーをいただいたのではなく、須谷さん側から動いていたんですか!

須谷:はい。誤解を恐れずに言えば、日産スタジアムという立派な場所にあるスタグルとして「もったいないな」って気持ちが強くて。それで積極的にアピールしていったんです。


下田:実際、どういった部分に課題を感じていたのでしょうか?

須谷:一番強く思ったのは、「クオリティ的にもっと伸ばせるのではないか?」ということです。私自身、キッチンカーの業界に15年間いるので、どのキッチンカーが美味しいかはある程度把握しているつもりでした。ベルマーレやレッズの会場には、業界内でも有名なキッチンカーが多い。そういった意味でF・マリノスも、もっとクオリティを追求してもいいのではないかと思っていました。

それから、日産スタジアムは敷地が広いため、多くのキッチンカーを置けるメリットがあります。だからこそ、メニューバリエーションが大事になります。私が観に行った試合では、キッチンカー12台のうち2〜3台でケバブを売っていることもありました。サポーターの立場からすれば「たくさん種類がある方がいいな」とは思っていて、そのあたりに改善点があると踏んでいました。


下田:ご担当者に提案をした際の反応はいかがでしたか?

須谷:そもそも、最初はご担当者にたどり着くことすらできなかったんです。その上、当時のF・マリノスはいくつかの仲介業者を通じてスタグル空間を作っていたこともあり、すぐに物事を動かすのは難しかったようで。やっとの思いでご担当者にお会いでき、「いいですね」と仰ってはいただけたものの、そこからなかなか進展せず…。


下田:それでも、1年後にはオフィシャルスポンサー契約を締結するまでに至ったんですね。

須谷:2018年末に、スタグルのご担当者が変わったことが転機になりました。新しいご担当者もスタグルの現状に課題を感じており、弊社の提案がハマる形となりました。また、その担当の方が私と同じ大学、学部、学科の後輩だったことも大きかったですね(笑)。良いめぐり合わせがあり、話がトントン拍子に進み、2019年から弊社が担当させていただくことになりました。

これは後日談ですが、実は早い段階で弊社からの提案をチーム内で調整していただいていたようで、いろいろなタイミングが合って実現に至ったようです。どちらにしてもやはり、今のご担当者の方々には本当に頭が上がりません。


下田:1年間粘り強く提案を続けられて、念願だったF・マリノスに携わることが決まった瞬間の気持ちはいかがでしたか?

須谷:私にとってのF・マリノスは、Jリーグが開幕して以降、ずっと見てきたチームでした。なのでこの上なく嬉しかったですが、それと同じくらいプレッシャーがありましたね。もちろん自信はありましたけど、やってみないと分からない部分が大きかったです。ただ結果的に、F・マリノスがJ1優勝を果たしたこともあって、1年目からスタグルが盛り上がりました。最後は涙しましたね。あの風景は忘れられないです。




業務委託ではなく、スポンサー契約。
狙いだった、対等な関係性。


下田:CDAさんの参画と共にF・マリノスの"スタグル革命"が始まったわけですが、契約を結ぶにあたり、クラブ側とはどういった取り決めがあったのでしょうか?

須谷:実は、ほとんどありませんでした。キッチンカーの仲介業者がスタグルに携わる際は、その多くが業務委託契約を結んでクラブの下請け的な立ち位置で仕事をしています。しかし私としては、キッチンカーに関してはクラブよりも弊社の方が分かっていると思っていましたので、対等な関係性で仕事をするためにオフィシャルスポンサー契約を結ばせていただきました。

なのでクラブからの要望は一切なかったんです。全面的に信頼していただけたので、弊社としては最高のやりがいがありました。


下田:CDAさんがクラブ側から全幅の信頼を寄せられていたのは、スタグルに対する意見が担当者と完全に合致していたことが大きかったのでしょうか?

須谷:担当者の意見は「サッカーなので強いことが一番。その次はスタグルだ!」というものでした。私としても食をエンタメと捉えており、「日産スタジアムに食のエンタメ空間を作りたい」と提案していましたので、互いの価値観が合ったのは大きかったです。


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下田:1年目、CDAさんがまずはじめに取り掛かったことは何でしたか?

須谷:2018年に調査をしていて一番辛かったのは、サポーターが新横浜駅のコンビニやお弁当屋さんから昼食を買ってくる姿を何度も見たことでした。新横浜駅から日産スタジアムまでの距離は決して近くないので、お弁当も冷めちゃいますから、スタジアムで温かいものを食べた方が絶対にいい。なのにスタジアム外でお弁当を買う選択をされているのが凄いショックで。1年目に関しては、コンビニ等でご飯を買っていらっしゃるサポーターを振り向かせようと思っていました。


いちや

(いちや 紹介ページ)


下田:そのための施策として、先ほど仰っていたクオリティとメニューバリエーションを意識したキッチンカーの選定を行ったんですね。

須谷:キッチンカーにも色々な種類があり、それぞれの良さがあります。イベントやお祭りでは、『中クオリティのものを速いスピードで出して売上を上げる』キッチンカーが主流になるのですが、F・マリノスの会場にもそういったコンセプトのお店が多く並んでいました。提供までに時間がかかると、その分並ばせてしまいますからね。ただ2019年からは、高いクオリティであることを絶対条件として、様々な種類のキッチンカーを入れるようにしました。中にはかなり並ぶキッチンカーもありますが、「並んでまで食べたい」ニーズがあると確信していました。

結果として、1年目は前年度比で倍以上の売上になりましたので、多くのサポーターにスタグルの価値を感じていただけたと思います。1年目のホーム開幕戦でいきなり『キッチンカー祭り』を実施していただくなど、クラブ側の理解が深かったのも大きく影響しました。


下田:ところで須谷さんはどうして、スタジアムに高いクオリティのスタグルを集めようと考えたのでしょうか?

須谷:私としては、毎試合を食フェスにしたい気持ちがあります。日産スタジアムで、F・マリノスの試合と食フェスを楽しめるようにしたい。そもそも『食』とは大多数の人にとって興味のあるものであり、実際、サッカーに興味がない人を日産スタジアムに連れてきたときに、スタグルを入り口としてF・マリノスのサポーターになっていくことがあったそうです。それから既存のサポーターとしても、「どのスタグルを食べるか迷って困るな」ってスタジアムで思えたら、すごく楽しいと思いませんか?


炭火焼わが家のとん丼や

(炭火焼我が家のとん丼や LINE公式)


下田:たしかに仰るとおりで、スタグルがハイクオリティであれば「美味しいご飯食べるついでにサッカー見てみない?」って自信を持って誘えるような気がします。また個人的に、コロナ禍で声を出す応援ができなくなり、「どうしてスタジアムに行くのだろうか」と考えることも増えました。スタグルの充実は、既存サポーターがスタジアムに行く動機にもなりますね。

でもそう簡単に、クオリティの高いキッチンカーを日産スタジアムに呼べるのでしょうか?

須谷:その点については、弊社が時間をかけて作り上げてきた信頼と、仲介業者として持っているコネクションで勝負できると考えています。弊社には全部で500〜600台のキッチンカーの登録があり、F・マリノスの試合前に一斉募集をかけます。そこから私が選定をさせていただいています。


下田:1試合あたり、何台くらいのキッチンカーが出店を希望するのでしょうか?

須谷:時期や試合によりますが、多いときは100台くらいから申し込みが入ります。そこから私が30〜40台ほどに絞るため、正直胸は痛いです。ただ、キッチンカー業者にとってF・マリノスのホームゲームは、それほど多く手が挙がるほど「出店したい場所」になっています。


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(sMile table 日産スタ公式)



サポーターとの関わり合いが、
キッチンカー業者のやりがいに。


下田:スタグル革命は1年目から順調に進んでいったように見えましたが、逆に苦労などはあったのでしょうか?

須谷:正直すごくスムーズでした。スポンサーとして関わった最初の試合で23台を出店しまして、当時はこれでも多い方ではあったのですが、最終的には30〜40台を呼べるようになりました。

しかし、30〜40台を呼ぶこと自体は誰にでもできます。その中で私が胸を張って言いたいのは、「日本代表クラスのキッチンカーを30〜40台集めることができている」ということ。それがF・マリノスのスタグルにおける一番の魅力です。


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(GRILL TOKYO 公式)


下田:先ほどの話に戻りますが、そこまでハイクオリティのキッチンカー業者が集まってくる理由は何なのでしょうか?

須谷:大前提として、サッカーの現場はキッチンカー業者には大人気です。売上も出るし、何より短い時間で一気に稼げる。拘束時間が短いので、効率的で好まれています。

その上で、他のイベントとF・マリノスの試合会場での大きな違いは、「サポーター(お客さま)との繋がりが生まれる」こと。多くのイベントでは、キッチンカーとお客さまは一期一会の関係性になるので、その間に繋がりが生まれることは非常に少ないです。キッチンカー業者からすれば、やりがいを感じにくい構造になっています。

一方、日産スタジアムに出店をすると、F・マリノスサポーターの皆さまに顔と名前を覚えてもらえ、リピーターになっていただけることも多くあります。中にはサポーターからユニフォームをプレゼントしていただき、毎回着用して営業しているキッチンカー業者もいます。キッチンカー業者の皆さまからは、「F・マリノスの現場はやりがいがあり、サポーターは本当に温かい方が多い」といった声をいただいています。


下田:Twitterを見ていると、F・マリノスのサポーターはCDAさんを含んだ「スタグルを提供する側の方々」をファミリーとして温かく受け入れているように感じます。

須谷:昨シーズンのホーム最終戦、弊社がTwitter上で主導し、「キッチンカー感謝祭」というものを開催しました。サポーターの皆さまに、キッチンカー業者の皆さまへ感謝の言葉を伝えていただけないか、とお願いをしました。



そうしたところ、サポーターの皆さまが自主的にサンクスカードのようなものを作成して、感謝の言葉を書いてくださり、キッチンカーの方々に渡してくれたんです。実は私もいただきまして、サポーターの皆さまからの感謝の言葉一つひとつに対して、本当に熱くなるものがありました。

試合終了後にキッチンカーの皆さまと話をしていたのですが、何人もの方が涙を流していました。「(キッチンカーをやっていて)こんな風に言われることなんてない。本当にF・マリノスに関わってよかった」と皆さまに言っていただけたのは印象的でしたね。


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Twitter上での様子はこちら


下田:キッチンカー業者の皆さまにとって、F・マリノスのサポーター相手に商売をできる日産スタジアムは、利益だけじゃなく人との繋がりを感じることができる理想的な場所なんですね。

須谷:F・マリノスの会場に来ていただいているのは、さまざまな現場から引く手数多な"Sランク"のキッチンカーです。そういった方々が揃ってF・マリノスの現場を選ぶのは、仰る通り、利益・人の温かさの両面において出店したくなる空間を、サポーターの皆さまが作り出しているからに他なりません。

私の中で日産スタジアムは、キッチンカー業界のベストを見せられる場所。正直、他のイベントだと「あのキッチンカーは呼べないだろうな」と念慮してしまうことが多くあるのですが、日産スタジアムであればどれほどハイクオリティなキッチンカーであろうと「来てください!」と自信を持って言えます。


下田:日産スタジアムでの出会いに端を発し、実店舗にF・マリノスサポーターが訪れるような流れは起きているのでしょうか?

須谷:ありますね。たとえばコルポデラストレーガさんは銀座にお店がありますが、あまりにも美味しかったということで、コロナ禍前は、F・マリノスサポーターの方が幹事になっている忘年会や会合で使っていただくことも多くあったそうです。また、キッチンカーは平日にオフィス街などでランチ営業をやっていることが多いのですが、サポーターの皆さまにわざわざ来ていただけることもあります。試合日以外での利用にも繋げていく狙いはあったので、弊社としては嬉しい限りです。

また、私が出店していただくキッチンカーを選定する際に重要視しているのは、店主および働いている方の人間性です。売れればいいという考え方ではなく、サポーター(お客さま)と接することも考えた上で、人間的に優れている方がいいと思っています。サポーターの皆さまに試合日以外もご利用いただけているのは、料理のクオリティだけでなく、人間性の部分も大きいのかなと感じています。


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(WEEKEND Instagram)


下田:F・マリノスのスタグルに関わっているすべての人が何らかのメリットを享受できているのですね。

須谷:先ほど、出店を希望しても落選してしまうキッチンカーが多くいると申し上げましたが、裏を返せば、いま日産スタジアムに出ているキッチンカーは狭き門を通った精鋭であるとも言えます。F・マリノスに出ていることが、クオリティ保証になっている側面もあります。

ですので、もし行列に並ぶことへ抵抗のある方は、列ができていないお店のものを食べてほしいと思っています。クオリティに関しては全店舗に対して自信を持って派遣させていただいているので、きっとご満足いただけるはずです。


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どんな意見にも真摯に対応。
最初から"無理"と決めつけない。


下田:Twitter上では、サポーターの皆さまと積極的にコミュニケーションを取られている印象です。Twitterの使い方について意識していることはありますか?

須谷:Twitterは私一人で運用しています。たまに、中の人が複数人いると言われるのですが、全部私がやっています。これには理由がありまして、F・マリノスのスタグル事業における社内のトップは私になっているため、サポーターから届く意見に対してトップダウンで進められるからです。

「こうした方がいい」と言われたら次の試合で改善するのが弊社の方針です。ときに誤った改善になることもあるのですが、トライ&エラーが大事だと思っていますので、そこは恐れずにいきたいと思っています。



下田:色々な意見が寄せられるかと思いますが、ほとんどの全てにリプライを返されている姿勢も、サポーター側からの好印象に繋がっているように思います。

須谷:F・マリノスには多くのサポーターがいますので、色々な意見があります。批判的、非現実的な要望が寄せられることもあります。でも最初から無理という言葉を使うことは絶対にせず、必ずできる方法を模索する、できない場合でもそれを補完する方法を考えることを徹底しています。

というのも、F・マリノスのサポーターは、それぞれの立場からF・マリノスを良くしようとする人しかいないわけで。誰が来ているか分からないイベントではなく、F・マリノスを良くしようって想いの下に人が集まっているわけですから、引き続きどういった意見にも真摯に対応していくつもりです。


下田:そうした前向きな姿勢は、須谷さんがCDAという会社に浸透させてきた文化なんですね。

須谷:できないっていうのは一番楽な方法なんですよね。もし相手が求めているものができないとしても、ホスピタリティとして何かしら改善する、何かを動かそうとする姿勢が重要だと考えています。「F・マリノスのためにできることを全力でやる」と言ったからには、今後も「できません」を言うことはせずに、常に前に進んでいこうと思います。


下田:そんなCDAさん目線で、サポーターの方々に行ってほしいことはありますか?

須谷:美味しい・美味しくない含め、遠慮せず発信してほしいです。問題があれば、修正するよう検討しますので、私にどんどんDMを送ってください。

もしクレームがあったときは、リアルタイムでキッチンカーに向かい、店主と話をしています。一生懸命料理されている最中に注意を受けるのは嫌かもしれませんが、そこに関してはご理解いただいています。私は「美味しい」と言われても当たり前だと思っているので、むしろ厳しい意見のほうが嬉しいです。


下田:F・マリノスというクラブの理念と、CDAさんが体現している姿勢には、少なからず親和性があるのではないでしょうか?

須谷:F・マリノスのスタグル担当者もそうですし、社員の皆さまはチャレンジに対して前向きな方が多いのでやりやすいです。たまに弊社がやりすぎてしまう時もあるのですが、おそらく陰で守ってくれているんだろうなとは思いながら(笑)、でもそこを譲ると中途半端になってしまいますし、中途半端なものを作っても誰も得しません。今のF・マリノスの姿勢があるからこそ「どこにも負けないものを作ってやろう!」と思わせてくれます。


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(PIZZA VAN 紹介ページ)


下田:「F・マリノスを良くしよう」としている方々と共に働く中で、クラブに対する愛着はどう変化していきましたか?

須谷:日に日に強くなっていきました。まず、弊社を快く受け入れていただいたサポーターの皆さまには感謝しかありませんし、F・マリノスのため、サポーターの皆さまのために頑張りたいという想いはだんだんと強固なものになっていきました。

個人的には、F・マリノスのサポーターに「うちのスタグルは日本一!」って思ってもらいたいです。またアウェイサポーターに対しても「うちのスタグル美味しいから食べに来てよ」と、胸を張って言えるような空間を作っていきたい気持ちはものすごく強いですね。


あわくろ屋 (1)

(あわくろ屋 公式)



伸びしろは無限大。
描いているスタグル構想とは。


下田:最後にあらためて、須谷さんが考えているスタグルの可能性についてお聞きしたいです。

須谷:2020年の10月から横浜ビー・コルセアーズ(以下ビーコル)も担当させていただく中で再認識するのは、食の影響力はものすごく強い。もちろん、スポーツの会場においては試合が一番大事です。ただ、サポーターを増やす、友達を連れてくることに対する食の影響力はものすごく強い。また、ファミリー、子どもたちが楽しんでいる姿を見ていると、まだまだ色々な可能性はあるなと思っています。

正直、やりたいことは全然実現できていません。もともとはF・マリノスのスタグルを3年計画で日本一にしようと考えていました。でも新型コロナウイルスの影響があり、2年目は全く動けなかったので、3年目となる2021年はサポーターが喜んでくれる姿をより多く見れればと思っています。


下田:何か具体的に考えている施策などはありますか?

須谷:やりたかったのは、F・マリノスのスタグルのみを抽出したスピンオフ企画。2019年、合わせて約100台のキッチンカーに出店いただいたので、そのうちの50〜60台を集めて、横浜赤レンガ倉庫で『F・マリノススタグルイベント』みたいなこともできるんじゃないかなと。

私は、F・マリノスのスタグルだけで一つの企画として成り立つような存在にしたいです。もともと、CDAを創業した理由の一つは「キッチンカーの地位向上」でした。サポーターの皆さまにCDAの存在が浸透してきたことは嬉しいのですが、私としてはもっと各キッチンカーの名前が知られていき、ゆくゆくは日産スタジアムからキッチンカー業界のスターを輩出していくことを望んでいます。


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(カッパドキアキッチン Instagram)


下田:スタグルイベント、面白そうですね!それこそ先ほど仰っていた、スタグルを入り口にF・マリノスへの興味を喚起することに繋がりそうです。

須谷:スタグルからスタジアムに来てくれる人が増えれば嬉しいですね。F・マリノスのサポーターもイベントに来てくれると思いますし、実現できるかは別として、個人的にはスタジアムでやっている行進を赤レンガでやってほしいんですよね。すごい迫力を感じられそうなので!


下田:Bリーグにも携わられているとのことなので、CDAさんを中心にサポーター同士が競技を越えていく動きも出てきそうですが。

須谷:『スポーツグルメフェス』みたいなこともできたらなと思っています。面白そうですよね。私自身、ビーコルさんとお仕事をするようになってからバスケの面白さに気づくことができましたので、グルメを通じて今までは興味のなかった競技を見て、応援するようになっていただけたら素敵だと思っています。


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(フレーミングノラ Instagram)


下田:日産スタジアムに限れば、F・マリノスのスタグルにはどのような伸びしろがありますか?

須谷:まだ呼べていないキッチンカーもありますので、クオリティに関しては伸びしろがあると感じています。また、もう少しF・マリノス色を出せればと思っていますし、選手とのコラボも含めて『食のエンタメ空間』としての楽しみを増やしていきたいです。

トリコロールに寄せたものは増やしていけると思っています。私としては、トリコロールランドをもっともっとF・マリノスカラーにしたいんですよね。持っているもの全部がF・マリノスのもの、みたいな感じにできると思っているので、そこに関してもチャレンジしていきたいです。


ベリーズベリー

(BERRY'S BERRY Instagram)


下田:最後に、サポーターの皆さまにお伝えしたいことはありますか?

須谷:普段からたくさんのお声がけをTwitterでいただいて、その言葉一つひとつが私の原動力になっています。去年、コロナ禍で観客5000人上限のときでも、キッチンカーを20台近く出店することができ、売上面でも数字を出すことができたのは、サポーターの皆さまに食べに来ていただけたからです。本当に感謝しかありません。

昨年、弊社で改善の取り組みをさせていただいた手すりの件サポートカードに共通しているのは、小さな愛です。「F・マリノスファミリーの仲間のために何かをする、みんなで支え合う」といったことを、『食のエンタメ空間』を通じて生み出すのも、弊社に任された仕事の一つだと思っています。

F・マリノスのスタグルは発展途上で、『食のエンタメ空間』を作っていくのはこれからです。さらなる進化のためには、サポーターの皆さまの協力が必要になりますので、2021年もご協力をお願いできればと思っています。


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【了】

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