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たぶん食べもの

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即興の散文。食べもののことを書きがちだけど、食べもののことがまったく書かれていないときもあります。
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2023年4月の記事一覧

塩とこしょうを別々に持つ必要性【4/29】

ここ数年でやっと「レシピをしっかり参照して料理を作る」と「おいしそうな食材をちゃんと選んで買う」を覚えた。このふたつの学びによって、わたしの自炊の味は飛躍的に上昇した(と思う)。 昔はほんとうに気分ひとつで調味料を配合していたのだ。味見こそしていたものの、だいぶ無茶苦茶だった。計量スプーンはきっと「この家では、自分の有益性がまったく実証される機会がないじゃないか」とさぞ寂しがっていたにちがいない。もしくは怒っていたのではないか。 塩とこしょうは別々に持っているほうがいいと

背骨がある文章っていいな【4/26】

ずっと待ってもらっていた個人の仕事がやっと終わりそう(すみませんの気持ちでいっぱい)朝方にまた推敲してから出す。 スープストックトーキョーが先日開始した離乳食提供にたいする反響(炎上とも呼ばれていた)を受けて、公式HPに公開した文章を読んだ。 そもそもなぜ炎上しちゃったんだ……という気持ちなのだが(こんなにポジティブな取り組みまでが炎上してしまうなんて、ますますこの世の未来を憂いでしまうじゃないかよっていう意味で) スープストックトーキョーの中の人たちの体温のようなもの

窓が多い部屋に住んでいたい【4/24】

今の家は窓が多い。 いや。今の家に限った話じゃない。私は窓が多めな家を好き好んでいるらしく、そういう家に住みがちだ。 賃貸に住んで20年強、最優先事項は日当たりだと気がついた。とにかく湿っぽくて薄暗い部屋はいけない。気分が落ちちゃうから。メンタルはいともかんたんに太陽の光に左右されるのだ。 太平洋沿いで生まれてみたかった。超陽キャになれていたかもしれない。

脳内にずっと陽水がいる【4/21】

少し前にはじまったフジテレビ系ドラマ『あなたがしてくれなくても』を結構しっかりめに観ている。で、その影響から『ダンスは上手く踊れない』(挿入歌)が朝から晩まで、結構な頻度で脳内をぐるぐるしていて、うっかりするとサビの部分を歌ってしまいがちな日々を過ごしている。 ドラマの挿入歌は稲葉さんによるカバーだが、私の脳内で流れているのは井上陽水氏が歌っているバージョンだ。これまでの経験上、脳内に1度流れ始めた陽水はしばらくは止まらない。だから、夏の始まりくらいまでずっと陽水とともに過

東急ハンズはもうハンズになっているんだと知った日【4/20】

ここ2週間くらいの記憶がうすい。呼吸と食事と仕事を主にしていたはずなんだけど、でもくわしく思い出せない。非常によくないことだ。 つい先日行ったばかりの海のことや飲み会の記憶(つまりものすごくめっちゃ楽しい思い出)までうっすらとしているのだから、まことに遺憾だ。 そうならない程度には休息の時間をつくっていかないと、自分もつらいけどまわりも辛くさせてしまうので気をつけたいと思った日。 今日の移動時間は主に自他境界について考えてた。 「自他境界が曖昧な人」というのはざっくり

薬味を2つ以上のせると、胃から喜びの声が聞こえてくる【4/19】

時間はない。でも野菜を切ろう。 スナップえんどうのすじもとろう。 そらまめも剥こう。 そう決心した日があった。 そのおかげなのか、数日経ったいまも私は元気だ。 うっかりすると、5分あれば野菜をざっくり刻めることや野菜を食べると体が喜ぶことをすぐ忘れてしまう。 今度こそ心に留めたい。みょうがを3本細かく刻んで長ねぎとキムチと一緒にインスタントラーメンのうえにのせたら、しゃきしゃきとした歯応えが食べ終わりまで続いてとても爽やかだったことを。 * 住んでいるマンション

誰かが手を動かさないとうまれない【4/14】

先週末久しぶりに食事付きプランで旅館に泊まって、夕食や朝食のおぼんに載っているお皿の数の多さに圧倒されてきた。 お皿を見た瞬間、皿を準備する、調理する、盛り付ける、そして客が食べ終わったあとに皿を洗う……というあらゆる工程で生じる旅館の人たちの労力が脳裏に浮かび、誰かが自分のためにこんなにも時間を割いてくれていることに、ひしひしとありがたさを覚えた。 食事は誰かが手を動かさないとうまれない。にもかかわらず、自身は野菜を刻まず、フライパンを火にかけることもなく、ゆらゆらと席

帰りたくないなら帰らない選択があるのが自由【4/11】

週末銚子に行った。 1泊のつもりだったのだが、のんびりした空気と穏やかな海に魅入られ、帰りたくない気持ちに制御がきかなくなって急きょ延泊した。 延泊したホテルは直前割がきき、ふだんだったらまず泊まれなさそうな40平米近い敷地をひろびろひとりで使える豪華なものだった。 ありあまる土地。 ホテルでなにをしていたかといえば、ただただ「フェンス」(WOWWOWのドラマ)を見ていた時間が少なくとも5時間はあり(一気見した)その時間の自分といえばただただずっとパソコンとにらめっこ

寝る時間を大切にする必要性【4/7】

頭のなかにある文字を外に出すことをコンスタントにやると、心の老廃物的なものが一掃される。 だから定期的に文字を書いてるとメンタルが半端なく安定するのだが、その一方で、いつのまにか寝ることの優先順位がさがっていく。 さげないでくれたまえよ。 半休計画が急きょ取りやめになったので、自分を癒すために帰宅途中にフラペチーノを飲む試みをした。 悪くなかった。チョコレートは自分の心境によって味が顕著に変わる食べものだと思う。 友達からのLINEがしみた。正直にいうと少し泣いた。

だいたい撮る前に食べてしまう【4/6】

選ばれし勇者たち。 っていう響きが好きだ。 勇者はたしかに勇者であり、勇者と聞いた瞬間に自分からは遠い世界だと感じるひともいるようだ。でも待って。おおらかに多方向から定義しようとすればわりといかようにもできるのよ、たぶん。勇者。 たとえば私のカメラロールにある食べものたちは皆勇者だと信じている。だって、食べられる前に記録に残ることができたのだから。 そう考えたら、今週も木曜日まで元気に生きてきた我々は十分に勇者ってことでいい気がしてくる。 ところで最近曜日をよく間違

電話をかけながら散歩する習慣【4/4】

友人が、昼休みに食事を食べたあと、散歩をしながら電話をくれるようになって数ヶ月が経った。 友人は、健康のために歩くことを習慣化させようとしているという。その試みをはじめてきいたとき、なんと粋なんだと思った。これこそ昭和生まれの私たちに必要な行動だ。 そう思うのなら、私もその時間は一緒に散歩をすればいいんじゃないかと考えたが、結局家にある仕事机に座りながら受話器をとることが大半という状況で今に至る。自宅とはウエストがゴム製のズボンのような存在なのだ。ぬくぬく過ごすことに慣れ

20代のころの日記を、消さなくてよかったなぁと思った日【4/3】

くどうれいんさんの記事がとてもすてきだった。 隅から隅まで全部いいので抜粋しずらいのだけれども、特に、(僭越ながらも)自分ごととして、ああ〜〜!!ってなったのが下記だった。 そういえば私も、インターネットにはじめて触れたころから、なにかにつけて日記らしきものをオンライン上に書いてはいたけれど、同じ場所にずっと書いてはいないし、習慣的に書いてもいない。 日記らしきものたちは、楽天ブログ(諸事情により衝動的に閉鎖してしまったのでもうない)、mixi、エキサイトブログ、はてな

ホイップクリームの今世への未練のなさがすごい【4/2】

ふわふわっとしたホイップクリームがとても好きだ。うず高く盛られたクリームを見ると、脳のなかでなにか(興奮するとでるやつ、たぶんドーパミン)がぶちあがって祭りが起こる。だけどその祭りはとてもはかない。 ホイップクリームは口にした途端から、ゆるゆる溶け出していき、終わりに向かって疾走していく。スピードがはやすぎて全然追いつかない。 打ち上げ花火や線香花火だって、もうちょっと余韻がある。 ホイップクリームは、なぜそんなにも今世に未練がないのだろう。さすが、見た目の方向性が雲に

トマト味との距離感【4/1】

トマト味の食べもののことが、好きなのか、ふつうなのか、いまだによくわからない。嫌いじゃない、苦手じゃないってことだけは確かだ。 ふだん率先して頼まないのだけど、いざ口にすると「おーめっちゃおいしいな!」ってなる。トマト缶を買ったあと、1年くらいはのうのうと放置しがちだが、いざ使ってみると、めっちゃ便利な存在じゃんってなる。生のトマトたちに関しても同様で、率先して食べないけど、食べると「わ!うまいじゃん!」となる。塩をふっただけのトマトとか、めっちゃ最高だ。 もしかすると、