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たぶん食べもの

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即興の散文。食べもののことを書きがちだけど、食べもののことがまったく書かれていないときもあります。
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記事一覧

台湾のごはんの味はやさしくて、やさしくておいしすぎた

GW付近、台湾に行ってきた。 冬のある日の深夜、「うああああああああああ」って頭が錯乱して衝動120%で取ったチケットでそのまま旅に出た。15年ぶりくらいの台湾。 成田発、台北桃園空港着。台北数日。そのあと特急に乗って高雄着。高雄数日。高雄から台北まで新幹線で戻って、台北松山空港発、羽田着で戻ってきたという感じ。 むろんたのしく、かなりおいしくもあった。食べるごはんというごはんがなにもかもうまい。台湾には、やさしい味のもの、ちょっと尖っているが概ねやさしい味のもの、もっ

目黒川のあたりで愛犬のにおいがする【4/30】

夜。会社を出て、アイスを買いにコンビニまでの道を歩いているときにふと、脇にある目黒川のあたりからチャッピィのにおいを感じた。チャッピィとは、実家にいたころ飼っていた柴犬の血が混ざった雑種の小型犬だ。 チャッピィはいつも外にいた。当時は今ほど酷暑じゃなかったためか、外で犬を飼う人がまだ結構たくさんいたのだ。ホームセンターでは、三角屋根の犬小屋がそこそこ幅をきかせていたように思う。隣の家の犬も、隣の隣の家の犬も、斜め前の犬も、みんなみんな外で飼われている犬だった。 家のまわり

もちろん納豆発祥の地は複数ある【4/24】

1年に1回くらいひきわり納豆を買うんだが、買うたびにびっくりしている。だって彼らはいつだって、歯でかみくだく前からくだかれているから。 そりゃそうだろうって自分でも思うが、1年に100回以上、ひきわられていないまんまるの納豆を食べているため、久しぶりに食べると驚く。わああ、くだかれている!と。そういえばこういうスタイルの納豆もあったわー!と。 で、ふとひきわられている理由を知りたくなり、「ひきわり納豆 なぜ」とキーボードを叩いてEnterボタンを押したところ、大きめの大豆

今期のドラマで少なくとも3人の登場人物が記憶を喪失している【4/22】

被るときは被るもんなんだな(しみじみ)。 というのがまず第一の感想だった。国土のなかに1億2千万人も人間がいたら、思考が1ミリも被らないほうが不思議。いや、ひとりひとりは別の人間だけど、同じ時代を生きていたら、似たようなことを考えることもそりゃあ、あるだろうよって気持ちでいる。 でもまさか、テレビドラマの題材がこんなにも被るなんて。 この件をねんのため、知らない人のためにちゃんと説明すると、いま、4月スタートで6月ごろに最終回を迎えるクールの連続ドラマのうち3番組におい

チョコザップに半年行ってない【4/21】

チョコザップに行っていないことを、週に2回くらい思い出すんだけど、週に1度も行かないまま1週間が終わっている。そんな暮らしを気がついたら半年近く過ごしていた。 この前友だちから電話が来た時にも「チョコザップには行ってんの?」と聞かれたので「行ってない!」と元気よく答えた。 ジムに通うと決心して結局行っていないというのは、よくあることではあるが、自分の持続性のなさを浮き彫りにする確かな証拠でもある。そう考えると、そこまで元気よく答えることではないんだろう。でも別に隠すほどの

道の歩き方が雑だと、毎日が発見の連続になる【4/19】

最近、自分の歩き方が雑だと気づいた。 ぼんやり歩いているともいう。周囲を見ているつもりがちゃんと見ていない。そのおかげで見知った道でも頻繁に新しい発見がある。 毎日が発見の連続だ、とか言うとなんかちょっとかっこいいけど、要は日々見落としがたくさんあるから、発見することが終わらないのである。 この前は、近所の人が寄り集まるような、個人販売もしてくれる卸問屋を見つけた。ちなみにこの街に住んでからはもう3年近く経ち、そのお店の前を100回くらいは通っている。 その場所のこと

人間なので、17年会ってなくてもいとこを覚えている【4/18】

先日、帰省した。5年ぶりくらいに父方の祖父と父に会った。泊まりがけで帰省したけど、祖父と父の住む家には泊まらず、駅前のホテルに泊まった。祖父と父の住む家には客用の冬布団がないのだ。 だけど、冬布団があったとしても私は泊まらなかったと思う。以前、一度だけ祖父と父の住む家に泊まったとき、父の飼っている犬に一晩中顔を舐めたくられつづけたことがあったのだ。本当に言葉のとおり一晩中で、おかげでほとんど眠れなかった。たしか夏、祖母のお葬式のときのことだ。 犬はかわいい。とてもかわいい

コンビニのセルフレジにすっかり慣れてきたのがこわい【3/6】

近所のコンビニがめきめきとセルフレジ化している。 その波は去年あたりからじわじわとやってきて、最寄りのローソンが数日の閉鎖ののちにまるごと全部セルフレジに切り替わったときには、心の準備のできていなさのあまり、「セルフかセルフじゃないかを選択することは、できないん……ですよね……?」と答えのわかりきった質問を店員さんに投げかけてしまった。 店員さんは「そうですね、申し訳ありません」と申し訳なさそうに言っていて、この人の責任じゃないことを口に出してしまったことを猛省した。

雪が降った日の夜は散歩がしたい【2/5〜6】

2月5日(月)はわさわさと大量の雪が東京に降った日。 16時ごろ、取材の帰り道、徐々に威勢よくなりはじめていた雪の降りっぷりが、家に着くころには横殴り気味になっていた。 傘をさしているのにコートが雪まみれになって、家に到着した途端からだがずっしり重い。雪のなか行動するのは普段の3倍くらい疲れる気がする。雪国の人たちのエネルギーってものすごいな。 とはいえ、ふかふかの雪を踏むなら今晩のうちしかない。あまり雪の降らない街に急に降る雪の軽さと白さは降った日の夜がピークなのだ。

時間も感情も、収縮性の強いゴムのようだ【1/21】

「1月が、もうこんなに過ぎてしまったことが信じられません。」 「つい先日、年が明けたとばかり思っていたのになぜ。」 「桜のことはまだ考えたくもありません。」 そんなことを言いながら過ごしている。 1月がもう、22日めになろうとしているって重々わかってはいるのだけど、できるかぎり長く、2024年元旦の初心を抱いたままでいたいのだ。 たとえそれが、ものすっごくむだな抵抗だとしても、無情にすぎていく時間にたいして「抗いたいぜこのやろう」って気持ちを抱きつづけている。いつか

ビザってパスポートに貼られるものなのか【12/28】

旅行の準備が着々とすすんでいる。まず黒いダウンジャケットが届いた。これは、中国の山のほうで、ジャイアントパンダのシャンシャンに会うために必要なもののひとつである。 シャンシャンはガラス張りの庭で過ごしているので、その様子をじっと眺め、カメラにおさめようと挑む我々はできるだけ、ガラスに洋服がうつりこみにくいよう黒い服を着ておくといい。 ゆえに本気のパンダファンたちは黒い衣服を身にまとった人がおおい。 自分は、これまでは紺色のコートでなんとなくごまかしていたが、ついにZOZ

来年の計画【12/22】

……というタイトルだが、どちらかというと自分は、近い将来なにしたいとかを書くのが得意じゃない。 というか、書く必然性を感じてなかったから、これまであんまり書いてこなかった。だけど来年以降久しぶりに自分の挙動を変える予定がある。 というか、いいかげん変えてほしいな〜って思っている。これは自分にたいして言っている。 なんでこんなことを思うのかというと、あるときふと、「人生って、そんなに長くないよ」と2人くらいの年長者から言われたことに紐づいている。 うわ、わりとこわいこと

白い背景の写真が必要【12/18】

土曜日出勤したぶんの代休で、ビザの申請をしにいった。 いま、中国を旅行するにはビザがいるのだ。 ビザを取るのははじめてで、なにもわからないところからのスタートである。小さいころはじめて「ビザ」という名前を聞いて、ピザの仲間?って思ったころからたいして進歩がないままだ。 だけど調べるのが面倒で、雑な調べ方しかしてなかった。だもんだから、申請センターの人に書類を提出してまもなく「ほかの書類は? ないの? 持ってないの?」と言われた。 中国のビザのサイトにのってる申請書に記入

ああ、運転したいと1日に数回考えている【8/2】

免許を取ってから1年以上が経った。 免許取得以降、クルマを運転したのは、種子島に行ったときと石垣島に行ったときの2回のみ。いずれも離島である。 離島での運転のいいところはまず、東京と比較すると、圧倒的にクルマの台数が少ないことだ。「いま、この道走ってるの自分しかいない……?」って瞬間がたくさんある。 で、景色がいい。緑の山の奥のほうに透明な海の色がチラ見えしたときのしてやったり感というのか、うわぁ見ちゃったぞ的な気持ちの溢れ方……というか、もっといい言葉選びはないのかな