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夜中の
2021年12月31日 14:07
いつの間にか眠っていたようで舞台はもう終わりに近づいていたオレンジを剥きましょうかと青年の長い指がナイフを握る金襴緞子に滴り落ちるものうつくしい調べはいつしかきいきいと悲鳴にも似てすべてを仕組んだ少年は笑う終わりはいつだって呆気ない淋しいと声にすればあなたは傍にいるふりくらいしてくれる双頭の猫が甘えてくる腹を割かれた牛が預言する虎たちはわたしを喰らおうと足音を消すさあさあ
2021年12月28日 01:14
砂に長い木の棒で輪を描く中に星を描きこんで記号をいくつかそして呪文を唱えるきみが生まれる生まれたばかりのきみはごじゃごじゃと意味の通らない言葉を吐くわたしのエゴで生まれてしまったきみ生贄の山羊供物の葡萄、無花果、酒きみが生まれたからわたしはもう孤独ではない孤独になる権利を棄てたきみをおぶって山を降りる怪物にどよめく民衆いつか慣れるわたしもきみも慣れることだけが止
2021年12月21日 07:02
はやく起きてしまったのでミルクをあたためて紅茶をいれるおまえはまだ眠っている空は薄い朱と灰がかった緑眠たそうな星が天頂にいる昨日は死にたいような気持ちに満たされていたが今はそれもうやむやになっているテレビをつける誰かの家の知らない犬の動画今日もなんとか乗り越えようあたたかい格好をして甘いお菓子を買いにいこうおはようおはようなにかに祈るような気持ちで
2021年12月2日 06:50
夜のオルガンが鳴っている蕎麦をすする青年Sと薄桃色の薔薇を握り潰す青年H猥雑な喫茶のバックヤード、深夜ふたりはよく似ていたが似かよった部分がとても深かったので誰も共通項を当てられなかった青年Sは鬼の話をする青年Hは大袈裟にわらうおそらくこんな夜はもう来ないだろうと予感するSたぶんまたこうやってわらうだろうと予言するHプレイリストが明るい調子の暗い歌を流す甘った
2021年12月2日 06:18
四角い箱庭に赤い屋根のおうちプラスチックの黒猫陶器のオウムフェルトの妖精たち寂しくないように配置してわたしはひとり暮らしているむかしはもっと広いところに住んでいた気がするが記憶が遠すぎてわからないカウンセラー役のきみがやってきてわたしの心を分析するさびしくてこわくてかなしくておこっていてだけどたのしく暮らしていますね箱庭の中に小さな海をつくっていつでもき