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『本を守ろうとする猫の話』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、最近読んだ本を紹介します。

夏川 草介 著 『本を守ろうとする猫の話』 (小学館 、2017)

猫と人、相反するこの表紙。
そして、猫が本を守ろうとする。
何度も迷ったけど、読み終わったら買って良かったと思えました。

ざっくり内容

序章。
主人公(林太郎)の祖父(じいちゃん)が亡くなる。
じいちゃんは古書店を営んでいた。

両親も失っている主人公は、葬儀の時に初めて会う叔母と
これから暮らすと言われる。

学校も休み、じいちゃんが亡くなったので、書店も閉店しようと
セールを始める。
書店員を営むので学校に行かなくなるが、小学生から縁のある学級委員長(柚木)は「連絡帳」を持って時々書店に来る。

ある時、しゃべるトラネコのトラが書店に入ってくる。
トラに頼まれ、主人公は迷宮で問題解決を行うこととなる。
いつもの書店内に光がさし、迷宮へと向かう。
成功しなければ、この場に戻って来れない。

第一の迷宮
閉じ込められている本を解放すること。

迷宮にいたのは、非常に忙しいと言う男。
本好きで1ヶ月に100冊の本を読み、1度読んだらガラス戸にしまう。
本はたくさんあるのだから、時間がないという。

主人公は、これに異論を唱えて書店に戻ってくる。

第二の迷宮
本を切り刻む男がいるから、本を救って欲しいと。

この男は本が好きだ。
しかし現代は忙しいから、たくさん本が読めるように
”読書の効率化”のために本を切り刻むと言う。
あらすじや要約が分かるようにと分厚い本を切り刻む。
『走れメロス』は「メロスは激怒した」の一文。

2回目も主人公が異論を唱え、書店に持ってくる。

第三の迷宮
本を売りさばく者がいるので、止めて欲しいと。

たくさん必要とされる本があるのだから、たくさん作って売り、
利益とする。
本を消耗品であると考えるのか。

3回目の迷宮も主人公によって、変えられる。

最後の迷宮。
そこには、女性がいる
これまで主人公が迷宮に入り、主人公が変えた3人の者が
今どうなっているのかを見せられる。

それをどう思うのか。
本をどう思うのか。

主人公は問われる。

まとめ

もし小学館でなければ、主人公の出した最後の答えは
もっと深掘りされていたのだろうか?
そんなことを考えました。
3つの迷宮で、本う救うことになった主人公。
4つ目の迷宮で、自身の選択をどう考えるのかを問われる。

第一の迷宮。
大事な本だから棚にしまっておきたい気持ち。
たくさん本はあるのに、人の時間は有限的なので急ぎたくなる。
ここだけ拾えば、同意もする。
だけど、本は繰り返し読むことで発見がある。
同じ本について人と対話する楽しみがある。
有限である時間を、あえてゆっくりすることで失うこともあるが、
それによって得るものもある。

第二の迷宮。
なんだろう。
”読書の効率化”って文字を見て、ゾワっとした。
思わず外に歩きに出てしまった(´・ω・`)

本の良さは、熟考して何度も繰り返し読むところが1つにある。
忘れてしまったら前のページに戻ることがある。
理解出来ないたった数行を、信じられないほど繰り返し読むこともある。
あー無理!!って本を閉じることもある。

”効率化”…!!

とはいえ。
あらすじや要約にお世話になることはある。
本読んでる時間がない!!大雑把に把握したい!!そんな時。
本の購入にためらう時には、参考にさせていただくこともある。
難解過ぎる時もだ。
よって、不必要だと断言はしない(出来ない。)。

最近、100冊分の哲学だっけか?そんな感じのタイトルの本を見つけて、
心底驚いたのを思い出した。
なんてタイムリーだろう。
それなりに分厚い本なので、本当にふんわり知りたい人には
向いているのだろう。

だけどさ?
1人の著者が、多数の哲学者の主張をまとめてるんだよ。
偏るでしょ…って思ったのを思い出しました。

第三の迷宮。
経済優先にありがちかなって思いました。
これも間違ってはいないと思うんです。
出版社で働く人が全員本好きだとは限らない。

出版されるためには、たくさん本を出す。
売れる本を出すのも、それは需要と供給もあるよな…
でも本が痩せてしまっては本来の意味が失われるのではないか?

そして、最終迷宮で主人公は自身の思いを問われる。
主人公の異論と、迷宮にいた者たちの意見。

間違ってはいない。
しかし、正しくもない。

ちなみに私は、以前自身の記事で書きましたが、本は人が思いを伝えたいからだと思う。
確かに本は、たくさんのことを教えてくれる。
でも、一方的に与えられていては偏ってしまう。
だから対話相手が必要なんだ。
やっぱ読書記録会(共通の本など)をしたいですな。

面白い本でした。


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