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ある魚の一日 【詩】

熱いお風呂に 帽子を浮かべると
それは 一匹の魚になる

魚は
熱いコーヒーが飲みたい 
という

そして 
熱いコーヒーをすすりながら
一日中 駅を眺める

魚は 
深夜の駅が一番好きで 
一番嫌いだった

ホームの電気が
次々と消えていく

目の前で
水風船がはじけたような
そんな気持ちになると

魚は 
熱いコーヒーを
おかわりする

そして こう思うのだった
明日は休みだから
ゆっくり眠ろう

魚は眠った

熱くも冷たくもない
海の中で
ゆらゆらと 揺られながら

そして私は小声で
おやすみ 
と言いながら
お風呂に浮かぶ帽子を
すくうのだった


いっぷくの詩」より

この詩はずいぶん前に書いたものだけれど、
我ながら今でもスキな詩。

突然、ふっと頭の中にわいてきた言葉を捕まえて文字に起こしたらできたような詩だからかもしれない。

以前の投稿で「いっぷくの詩」としてちょっとふわっとした内容の詩をまとめたものを書きましたが、そこから一編取り出してみたものです。

イラストは森野ニコラさんの作品をお借りしました。ありがとうございます!


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