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いっぷくの詩 【詩】


とうふのような彼女ひと

とうふのような彼女は
ランチにとうふ定食を注文した

彼女は 色にあらわすならソフトな白
やわらかな物腰で
彼女なりに尖ったところは持っていても さして痛くはなく
からだにやさしい健康食品のように
心にやさしい人
けれど うまくつかめないと その実態はまるで分らなくなる
そして とてももろい

そんな 豆腐のような彼女の所に
今 とうふ定食が運ばれてきた
食べ始めた
食べている

とうふのような彼女ひと


ある魚の一日

熱いお風呂に帽子を浮かべると
それは 一匹の魚になる
魚は 熱いコーヒーが飲みたいという
そして 熱いコーヒーをすすりながら
一日中駅を眺める

魚は 深夜の駅が一番好きで 一番嫌いだった
ホームの電気が次々と消えていく
目の前で水風船がはじけたような
そんな気持ちになると魚は
熱いコーヒーをおかわりする
そしてこう思うのだった

明日は休みだからゆっくり眠ろう

魚は眠った
熱くも冷たくもない海の中で
ゆらゆらと揺られながら

そして私は小声で
おやすみ と言いながら
お風呂に浮かぶ帽子をすくうのだった


みる

みる
ふっと
空をみる
木をみる
土をみる
我をみる

みた
はっと
空の顔
木の顔
土の顔
我の顔

瞬間の発見は
いつも新鮮


隙間
床の間
土間
話の間

間 は、ちょうど良いと心地よい
心地よい 間 を共有できる人は
気の合う人
間 が抜けると
おかしい人


風の船

空に
ふうせんが 浮かんでいます
ふうせんは 風の船 と書きますね


散歩

ひとり、ふたり、さんにん
一歩、二歩、さんぽ

大いなる自由と好奇心をもって
旅に出る
さんぽ それは小さな旅
さんぽの連続 それは旅

一歩、二歩、さんぽ
ひとり、ふたり、さんにん

さんぽする 旅に出る



はじめまして。見に来ていただき、ありがとうございます! 「雨の詩(うた)」https://note.com/nepa88/n/n422be1298f3e を絵本にしたいと思っています。 いただいたサポートは大切に制作活動に使わせていただきます☆